【最新版】外国人を雇用する方法・注意点・手続きを行政書士が詳しく解説

外国人雇用のマニュアル
執筆者:

行政書士/井手清香

「外国人労働者を自社の戦力として受け入れたい」と考えている企業も多いと思います。しかし、最初の外国人労働者をどのように受け入れるのかわからず、戸惑っているところもあるのではないでしょうか。

今回は、外国人労働者の雇用が増えている背景や雇用のメリット・デメリット、外国人材を雇用するまでのフローから企業がすべき準備など、外国人労働者の受け入れに関する基礎知識について行政書士が解説します。

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目次

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  1. 外国人労働者の雇用が増えている理由
  2. 外国人雇用における企業のメリットとデメリット
  3. 雇用には就労できる在留資格が必要。在留資格とは?
  4. 外国人労働者を募集する3つの方法
  5. 外国人の雇用に必要な手続き
  6. 外国人雇用のためにすべき準備
  7. 職場環境を整えて、受け入れ準備をする
  8. 外国人の雇用で注意すべきこと
  9. まとめ:外国人雇用のルールを守り、定着しやすい環境を整えましょう

外国人労働者の雇用が増えている理由

外国人労働者の雇用は年々増加しており、身近で外国人労働者を目にするようになった方も多いのではないでしょうか。実際、日本において外国人労働者はどのくらい増加しているのでしょうか。統計の数値から分析します。

厚生労働省が発表した資料『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在)』によると、2023年10月末時点で、外国人労働者の人数は2007年に届出が義務化されて以降、最高数となる2,048,675人を記録しました。

外国人労働者数は、2013年から2023年にかけて以下のように推移しており、10年間で約3倍も増加していることがわかります。

受け入れ事業者数については、2023年10月末には318,775か所で前年比19,985か所増加し、届出の義務化以降、最高を更新しました。対前年増加率は6.7%と、前年の4.8%から1.9ポイント増加しています。2022年10月から外国人の新規入国規制緩和によって、増加しました。

同調査によると、外国人労働者数が増加している要としては、以下の3点が挙げられています。

● 技能実習生の受入れが進んでいる

● 政府が推進している「高度外国人材」や、留学生の受入れが進んでいる

● 雇用情勢の改善が進み、「永住者」・「日本人の配偶者」といった身分系の在留資格を持つ外国人の就労が進んでいる

2020年、2021年、2022年はコロナウイルスによって外国人受け入れが一時停滞する時期もありましたが、今後受け入れはさらに進むと考えられます。

企業が外国人労働者の雇用を進めているのは、労働力不足へ対応するためです。

日本の少子高齢化の流れは止まらず、労働生産人口の減少などにより、特に「介護」や「建設」などの分野では労働力が構造的に不足しています。労働力が構造的に不足している分野では、コロナショックや不況においても外国人労働者の雇用ニーズが高く、企業が積極的に雇用を進めているといえます。

高齢者や女性活用は政府も後押しをしているところですが、それでもなお労働力人口が足りないので外国人労働者の受け入れを国策として進めています。

マイナビグローバル アンケート調査のグラフ(2019年6月実施)
㈱マイナビグローバル アンケート調査(2019年6月実施)より※

人手不足の現状についての事業者へのアンケート結果を見ると「若手層(34歳以下)」、「ミドル層(35~55歳)」の人手不足が顕著であり、特に旅館・ホテル・レジャー業では8割以上が「若手層」不足に陥っています。人手不足の原因としては、「十分な人数を採用できない」、「優秀な人材が少ない」といった量と質の両要素が指摘されています。

人手不足への対策として「外国籍労働者を採用する」は11%。飲食・飲料サービス業および製造業、旅館・ホテル・レジャー業で高いことが特徴です。現時点では、「生産・製造」「販売・サービス」分野での外国人の採用実績が多いです。「生産・製造技術」はベトナム・フィリピン中心に東南アジア、販売・サービスは中華圏を中心に採用されています。

コロナ禍でも人手不足の状況は続いている

新型コロナウイルス感染拡大の影響で一部採用が停滞している業界もありますが、多くはコロナ禍前と変わらず人手不足となっています。逆に、技能実習生などの入国が難しいことから、さらに人手不足となっている場合もあります。

留学生の新卒採用なども進んでおり採用を希望する企業は多くありますが、情勢により留学生が帰国を選択するなどから、採用実績は多少低下しています。これは、通常よりも少ない留学生を奪い合うことになり、企業の採用競争力が求められているとも言えます。

外国人労働者の実態について、より詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

外国人雇用における企業のメリットとデメリット

では、外国人雇用をすることで企業が得るメリット・デメリットはどんなものでしょうか。

外国人雇用の4つのメリット

メリットは4つあります。それぞれ見ていきましょう。

メリット①人手不足の解消

日本人だけでなく外国人材を採用の対象に加えることで、求職者の母数が広がり、採用に苦戦していた職種でも、望む人材に出会える可能性が高まります。更に対象を、海外現地の外国人材にまで採用を広げると、雇用に至る可能性は更に高まりまるでしょう。

メリット②外国人雇用のコストの最適化や助成金利用

日本人だけではなく、国内外の外国人を対象に含めることで求職者の数が格段に増え、結果的に採用サイクルの短縮化となり、採用コストの最適化につながります。また、外国人雇用に関する助成金が国や自治体からも用意されている場合があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

メリット③訪日外国人への多言語対応

外国人の従業員が職場にいることで、その国の文化や価値観を踏まえたスムーズな接客が可能になります。

メリット④海外進出への足掛かり

今すぐではなく、数年単位で海外ビジネスの展開を検討している企業は、関連する国の言語や習慣に精通している外国人人材の受け入れを検討してみるといいでしょう。

外国人雇用の3つのデメリット

デメリットとしては3点挙げることができます。

デメリット①文化や習慣の違い、コミュニケーションの難しさ

文化や習慣の違いを理解していないと、悪気がなくともお互いに不愉快になってしまうこと、場合によっては法に触れてしまうこともあります。事前にお互いの文化について理解を深めることが大切です。また、外国人の日本語レベルによっては、意思疎通がうまくいかないこと、出身国によってはコミュニケーションに対する考え方の違いですれ違ってしまうこともあります。

外国人写真との意思疎通のコツ

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デメリット②外国人雇用ならではの手続きやルールを覚える必要がある

外国人労働者ならではの雇用に関する手続きや、就労のルール、支援があります。在留資格によっては就けない職種もあり、外国人雇用に関する知識はあったほうが良いでしょう。外国人受け入れに精通した社員がいない場合は、ぜひ、マイナビグローバルのご相談ください。

デメリット③外国人労働者の雇用までに時間がかかる

在留資格の発行や、外国人雇用ならではの手続きがあることから、就業を始めるまでに時間がかかります。また、海外現地の外国人を採用する場合は、渡航や住居選びなど更に時間を要します。

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雇用には就労できる在留資格が必要。在留資格とは?

外国人が日本で働くためには、就労可能かつ就労内容に適した在留資格が必要です。

就労可能な在留資格には、就労に制限のない身分系の在留資格4種類と、就労内容に制限のある在留資格19種類とがあります。身分系の資格には、永住者のほかに、日本人と結婚した場合や、永住者と結婚した場合などに取得できる在留資格などがあります。

自社において雇用可能な外国人の在留資格がわからない場合は、ぜひマイナビグローバルへご連絡ください。

就労可能な在留資格(制限あり)

日本での地位や身分に基づく在留資格では、就労は制限されていません。 

永住者……法務大臣から永住の許可を受けた者。 
定住者……法務大臣が一定の理由を考慮して一定の期間の居住を認めた者。 
日本人の配偶者等……日本人の配偶者や子・特別養子など。 
永住者の配偶者等……永住者の配偶者や子など。 

就労可能な在留資格(制限なし)

就労可能な在留資格のなかでも、活動内容に制限がある19種類です。在留できる期間や、認められている活動の範囲などを表にしていますので参考にしてください。 

在留資格 活動の範囲 在留期間 備考 
技術
・人文知識
・国際業務 
大学などで学んだ知識や、母国の企業で培った経験などと
関連する活動であり、単純労働は含まない
(例)機械工学の技術者、デザイナー、通訳など
5年、3年、1年
または3か月 
大学卒業程度の学位が必要。 
企業内転勤 外国の事業所から、日本にある支店・本店などへの転勤者。 
活動の範囲は「技術・人文知識・国際業務」に準じる
5年、3年、1年
または3か月 
大学卒業程度の学位は必要ない
介護 介護福祉士の資格を有する者が、
介護又は介護の指導に従事する活動
5年、3年、1年
または3か月 
介護福祉士向け
技能 産業上の特殊な分野に属し、熟練した技能を要する活動
(例)外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、
貴金属等の加工職人など 
5年、3年、1年
または3か月 
 
高度専門職
1号・2号
「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、
「高度経営・管理活動」の3つの活動内容に分類
(例)研究者、大学の教授、会社の経営者や役員など優遇措置として、
複数の在留資格にまたがるような活動が認められている
5年または無期限 高度人材ポイント制度」において、
70ポイント以上を獲得していることが条件 
特定技能
1号・2号
【1号】特定産業分野(14分野)に属する相当程度の知識または
経験の必要な業務に従事する活動

【2号】熟練した技能が必要な業務(2分野)に従事する活動 
【1号】1年、6か月または4か月ごとの更新、
通算で上限5年まで

【2号】3年、1年または6か月ごとの更新 
技能水準を試験などで
確認する(1号)
技能実習
1号・2号・3号 
単純作業では修得できない技能を、
実習によって習得するための活動
法務大臣が個々に指定する期間
(1年もしくは2年を超えない範囲) 
労働力の供給の
手段としてはいけない
興行 俳優、歌手、プロスポーツ選手などとしての活動3年、1年、6か月、3か月または15日  
医療 医師、歯科医師、看護師など、
法律上資格を有する者が行うこととされている活動
5年、3年、1年
または3か月 
 
研究 政府関係機関や企業等の研究者としての活動5年、3年、1年
または3か月 
 
教育 小学校、高等学校、中学校等の
教育機関における語学教師などとしての活動
5年、3年、1年
または3か月 
 
法律
・会計業務 
弁護士、公認会計士など、
法律上資格を有する者が行うこととされている活動
5年、3年、1年
または3か月 
 
経営・管理 企業等の経営者、管理者などとしての活動5年、3年、1年4か月
または3か月 
 
外交 外国政府の大使などとしての外交活動。
また、その家族としての活動 
外交活動の期間  
公用 外国政府の大使館・領事館の職員や、
その家族などとしての活動
5年、3年、1年、3か月、30日、
または15日 
 
教授 大学などの機関における、
研究や研究指導といった活動
5年、3年、1年
または3か月 
 
芸術 作曲家や作家、画家などの芸術上の活動5年、3年、1年
または3か月 
 
宗教 外国の宗教団体から派遣される
宣教師などとしての活動
5年、3年、1年
または3か月 
 
報道 外国の報道機関の記者や、
カメラマンなどとしての活動
5年、3年、1年
または3か月 
 

就労可能な在留資格の詳細については、こちらの記事をご覧ください。 

資格外活動許可について

就労不可の在留資格であっても、「資格外活動許可」を申請・取得していれば、決められた制限内での就労が可能です。(出入国管理及び難民認定法 第19条第2項|e-gov

許可には「包括許可」と「個別許可」があります。

  • 包括許可……勤務先や業務内容を入管が指定しない許可のこと
  • 個別許可……具体的な就労先や業務内容を入管が個別に特定・指定する許可のこと

例えば、留学生の多くは「包括許可」の資格外活動許可を受けてアルバイトを行っています。

申請方法は以下の通り。

【資格外活動許可の申請方法】

●申請者:本人
●申請先:住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
●必要書類:包括許可の場合は、原則申請書のみ
●個別許可の場合:資格外活動として行う活動内容の詳細を証する文書
●審査期間:申請先にもよるが1カ月程度

▶参考:出入国在留管理庁|資格外活動許可について

就労資格がなく、資格外活動許可を受けていない外国人を雇用してしまった場合は不法就労助長罪となり、企業が罰せられる可能性があります
もちろん、外国人本人は不法就労で退去強制になり、本国へ帰国します

では不法就労・不法就労助長罪にならないためにはどうすればよいのでしょうか。

不法就労にならないために在留カードを必ず確認する

在留カードが本物かどうか、期限が切れていないかどうか、依頼する業務が在留資格で認められている範囲なのかどうかを確認したあと、図の①と②の部分をチェックします。

①が「就労可能」となっているかどうか、「就労不可」であれば裏側の②を確認し、資格外活動許可を得ているかを確認します。「就労可能」または「就労不可+資格外活動許可」であれば問題ありません。

在留カードが本物かどうかの見分け方などの詳細は以下の記事で解説していますので、ご覧ください。

在留資格の種類がわかったところで、次はどのようにして採用を薦めればいいのかについて解説していきます。

外国人労働者を募集する3つの方法

求人サイトや自社サイトで募集をかける

方法の1つ目は、求人サイトや自社のサイトを使って募集するやり方です。メリットは費用は一番かからないことです。デメリットは応募が必ずあるとは限らないこと、応募者のレベルがバラバラであるため、希望通りの人材が集まるかわからないということです。また、急いで採用を行いたい場合などには不向きです。

知り合いの外国人に紹介してもらう

方法の2つ目は、知り合いの外国人や、すで社内で働く外国人に知り合いなどを紹介してもらう方法です。外国人同士のネットワークは非常に発達しており、頻繁に会っていたりSNSで情報交換をしていることが多々あります。すでに外国人を採用していて、同じ国の出身者の方を採用したい場合には非常にスムーズな方法でしょう。

人材紹介会社から紹介してもらう

3つ目は人材紹介会社から紹介してもらう方法です。その際、外国人の紹介を行っているか確認しましょう。

この方法は、初めて外国人を雇用する企業や、なるべく急いで採用活動を行いたい場合にお勧めです。人材紹介会社であれば、人材を集めるところから面談の設定、在留資格申請などの手続きまでおこなってもらえます。外国人雇用では日本人雇用にはない外国人特有の手続きが発生したり(例えば在留資格申請など)、求職者とのコミュニケーションに多少の手間がかかったりします。

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外国人の雇用に必要な手続き

外国人労働者を雇用するための手続きには、労働契約の締結の他、在留資格の申請や期限の管理などがあります。

労働契約の締結

外国人の雇用が決まったら、企業はまずは労働契約を締結します。すべての出発点は、労働契約の締結です。在留資格を申請する際にも、雇用契約書(もしくは労働条件通知書)が必要になります。

雇用手続きについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。 

また、雇用契約書を作成する際は、万が一在留資格を取得できない場合も視野に入れた書き方にするなど、外国人労働者ならではのポイントに注意して作成する必要があります。

契約書の詳しい書き方や注意点については、こちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

在留資格申請や提出書類

外国人を雇用する企業が提出する書類や手続きについてまとめました。

提出物・手続きタイミング提出先
就労資格証明書 採用が決まって在留資格の申請の見込みが立ったとき居住予定地,受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署
中長期在留者の届け出 (外国人雇用状況の届出をしていれば不要)中長期在留者の受入れを開始した日から14日以内最寄りの地方出入国在留管理官署  
雇用保険加入の手続き被保険者となった日の属する月の翌月10日までハローワーク
健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届手続き期間は事実発生から5日以内年金事務所

在留資格には期限があり、期限が切れるまでに更新をしなければ日本に滞在し続けることができません。期限が切れると不法滞在となります。外国人労働者本人が在留期限をきちんと把握できていればいいのですが、把握できていない場合もあるため、在留期限の管理は意識して行いましょう。

外国人雇用のためにすべき準備

外国人を受け入れる際、企業がサポートすべき手続きについて解説します。これらは、あくまでも一般的に、外国人が日本で働き、暮らし始めるにあたって、企業としてサポートしたほうがよい手続きであり、上述の「特定技能における外国人支援」とは異なります。

外国人が日本で暮らしていくためには、住居の確保といった生活の基盤を整える必要があります。外国人自身がこれらの手続きをすべて行うことは難しく、時間もかかるため、新生活をスムーズに始められるように手続きをサポートしましょう。

入国前の準備 (海外在住者の場合)

印鑑の作成

日本生活において印鑑は未だ必要不可欠ですが、外国人の多くは印鑑を持っていません。

持っていたとしても、実印として登録するのに不適切である場合もあります。実印登録をするためには、割れたり欠けたりしにくい印材であることが必要ですが、例えば中国の印鑑の印材は石であることが多く、既定の大きさに当てはまらないケースもあります。

そのため、契約に用いるための印鑑は日本で作成するのがよいでしょう。

滞在住居の手配

前もって住居を手配しておきましょう。敷金・礼金については企業側が補助するケースも多いです。また、家賃については定期的に引き落としがある旨を外国人本人に理解してもらってください。

▼特定技能外国人の住居に関する詳細は以下の記事をご覧ください。

入国後の準備(海外在住者の場合)

携帯電話の手配・契約

海外によくある使い切りのSIMカードとは異なり、日本の携帯電話契約の多くは月額制です。そのため、「月額でお金を払っていくもの」という点を外国人労働者にきちんと説明する必要があります。本人名義で契約する場合もありますが、会社として契約して貸与する方法もあります。

入国後の準備(海外在住・国内在住共通)

市区町村役所における住民登録

3か月を超えて滞在する外国人は、住民登録が必要です。市区町村の住民登録を受け付けている窓口で、住民登録をしてください。この際、マイナンバーカードの作成についても同時に申請しておくと良いでしょう。外国人求職者本人は仕組みをよくわかっていない場合が多いので、手続きの補助をしてください。

国内在住者が引っ越しをして働く場合も住民登録は必要です。行ったか確認しておきましょう。

銀行口座の開設

日本での給与を受け取るためや生活費を決済するための口座を準備しましょう。

外国人の新規口座開設は大変な点も多いので、企業がサポートするとスムーズです。詳しくは以下の記事をご覧ください。

インターネット環境の手配

故郷の家族とやり取りするために、ネット環境があると安心です。プロバイダーとの契約は、契約書の文章量が多く、読んで理解することが一人では難しいので、実際にネットが使えるように設定までしてあげると喜ばれます。部屋にネットが最初から開通している場合であれば、ユーザーID・パスワードの設定を補助してください。

ライフラインの開通

電気、水道、ガスなどの契約から開通までをサポートしましょう。利用料金について、締日・支払日・支払い方法を確認してください。

法定健診の受診

法定健診は必須ですので、受診するように促してください。外国人本人は「任意で受診するもの」と勘違いしている場合があります。

「特定技能」は、登録支援機関の利用についても確認

特定技能外国人へ支援を行う

在留資格「特定技能」の外国人を雇用する場合、受入れ機関(企業)は特定技能外国人に対して支援計画に沿った支援を行う義務があります。外国人に対して様々な支援を実施する必要があります。支援は上記の準備と重複するものもありますので、詳細を確認しましょう。

事前ガイダンスや生活オリエンテーションなど、規定の支援を行ってください。自社で支援を内製化できない場合や、直近2年間で外国人の受け入れ実績がない場合などは、登録支援機関の利用が必須となります。

特定技能や、登録支援機関について詳しく解説した記事は下記のURLからご覧ください。

ゼロからわかる 特定技能ガイド

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職場環境を整えて、受け入れ準備をする

外国人を雇用する際には、職場環境の整備も行う必要があります。一緒に働く社員が外国人労働者を理解し、受け入れることが一番重要なポイントです。ここでは、職場環境の整備において重要な3つのポイントをお伝えします。

現場の同僚・上司の理解を得る

外国人の雇用を決めるのは上層部であることが多いですが、実際に毎日外国人と一緒に働くのは現場の社員です。トップダウンで採用が決定すると、現場は心理的にも環境的にも準備が整わず、混乱してしまうことがあります。せっかく雇用をしても逆に現場と外国人社員が疲弊してしまっては意味がありません。

雇用が確定したら、早くから現場の社員たちに「なぜ外国人労働者を採用したのか、どういう役割を期待して採用したのか」という意図を説明し、外国人労働者の雇用について理解が得られるようにしましょう。そうすることで、外国人社員は能力を発揮することができ、現場社員も安心して働くことができます。

雇用する外国人の文化のギャップを理解する

国が異なれば、文化的なギャップがあるのは当然です。どちらが良い・悪いではなく、「ギャップがあること」自体をまずは認めます。それから、ギャップを埋めるためにできることを考えましょう。

例えば、飲食業の場合、マニキュアやアクセサリーは禁止の場合が多いですが、母国では付けたままが当たり前というケースも少なくありません。その際、単に「禁止だから」と伝えるのではなく、「異物混入のリスクが生まれてクレームになってしまうから」といった明確な理由を伝えましょう。また、海外には日本のような「察しの文化」はありませんので、周囲の社員に、「言葉で伝えないと、ギャップは埋まらない」ということを周知しておくことが必要です。

その外国人労働者の出身国の文化・風習について、社員が理解を深められる機会を作ることも大切でしょう。宗教についても理解を深めておくことをお勧めします。

アットホームな付き合いができるように環境を整える

家族との結びつきが強い国からきた外国人労働者の場合、母国が恋しくなってしまうかもしれません。いち早くネット回線や通信機器を整備し、母国の家族と連絡をとる手段を確保してください。

また、本人が嫌でなければ、家族のことなど話を聞くのもいいでしょう。職場でアットホームな関係を作る文化の国もありますから、食事会やイベントなどを開催し、交流を行うと喜ばれることもあります。雇用する外国人の国の文化などを知ってそれぞれに合った対応が望ましいです。

▶関連記事: 実際に日本で働く外国人のインタビュー記事はこちら

外国人の雇用で注意すべきこと

求人募集の労働条件と実際の労働条件に相違がないようにする

マイナスな条件だと応募が集まらないのではと、求人募集の労働条件を実際より良く書こうとしてしまう採用担当者がいますが、これは労働基準法違反となりますので、絶対にやめましょう。

また、入社して条件が違った場合、せっかく外国人を雇用しても早期退職つながってしまいます。外国人は契約文化ということもあり、条件と違った場合の判断も日本人に比べてシビアです。

悪条件の場合だけが早期退職につながるというわけではなく、例えば、月の残業が求人票で提示されているよりも低く実際の月給が下がるような場合も敬遠されます。賃金、福利厚生等、なるべく相違ないように注意しましょう。

日本人雇用にはない法律や届出に注意する

外国人雇用には、日本人雇用にはない手続きや法律があります。日本人に適用されるものはほぼ外国人にも同様に適用されるため、+αで行う必要があります。うっかり忘れてしまった場合、企業に対して罰金が科されるものもあります。

例えば、外国人を雇用したら行う「外国人雇用状況の届出」は、届け出を怠ったり虚偽の報告をすると30万円かの罰金が科されます。

雇用した外国人の在留資格では認められていない業務に従事させてしまった場合は、不法就労を助長したとされ、「不法就労助長罪」として3年以下の懲役もしくは300万円いかの罰金・その両方が科されることがあります。在留資格の更新や変更を行わないまま雇用した場合も同様に不法就労助長罪となることがあります。

そのため、外国人雇用を行う前に、まずはどの在留資格を持った外国人なら任せたい業務で雇用可能かについて調べてみてください。不安がある場合は、行政書士や人材紹介会社などを介して相談をしながら雇用することがおすすめです。

外国人材雇用や雇用後の支援についてのお困りごと・ご相談ならマイナビグローバルへ。

同一労働同一賃金・最低賃金は順守

日本人同様、外国人に対しても、同一労働同一賃金制度と最低賃金法については必ず守りましょう。まれに勘違いされている方がいますが、外国人だからといって、不当に賃金を下げていいわけではありません。当然、守らない場合は違法となり不足分を払わなければなりません。

注意が必要な理由がもう一つあります。それは、給与水準が日本人よりも低い場合は、在留資格が取得できないことがある点です。外国人であることを理由に待遇の差別を行ってはいけないため、入管では企業内で同じ業務を行う日本人の給与水準も確認します。外国人の待遇について不平等になっていないか、注意しましょう。

入社後もフォローを行う

新卒入社の社員がそうであるように、外国人の定着にはフォローが大変重要です。文化や言語の違いによるすれ違いが起きやすいため、日本語や日本文化の研修、日本生活のガイダンスや些細な事でも相談できるような体制があると安心して働いてもらえます。

また、在留資格の更新なども企業で把握しておくことをお勧めします。先述の通り、期限切れになると不法滞在となりますので不法就労助長罪として企業が罰せられる可能性があります。

特定技能外国人を受け入れる場合は、支援計画に沿った支援を行う義務があります。入社後の支援もありますので忘れずに行いましょう。

このように雇用管理を行うことは、外国人材の定着へもつながっていきます。

まとめ:外国人雇用のルールを守り、定着しやすい環境を整えましょう

今回は、なぜ外国人の雇用が進んでいる要因や、外国人を雇用するために企業がすべき手続き、環境面の整備などについてお伝えしてきました。外国人求職者の生活・職場環境を整えるためにフォローを行うことはもちろん、受け入れる職場や社員側の環境も整えていく必要があることを、お判りいただけたかと思います。

現在は、瞬間的に新型コロナウイルスの影響で停滞していますが、これからも外国人労働者は増え続けると考えられ、近い将来、企業における外国人労働者の受け入れは当たり前になるかもしれません。今回お伝えした外国人受け入れのポイントを押さえることで、外国人労働者をスムーズに雇用し、安心して働いてもらえるようなサポート体制を整えることができるでしょう。

外国人労働者が「働きやすい」と感じ、多くの外国人労働者から選ばれる企業になれば、企業競争力アップにつながることも期待できます。そのためにも、まずは外国人雇用に必要なことを整理し、「企業側が負担すべきこと」を明確にしてみてはいかがでしょうか。

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外国人採用基本のチェックリスト

採用を始める前に確認しよう!外国人採用基本のチェックリスト

外国人採用で確認しておくべきことって何?そんな疑問に答えるチェックリストを作りました。登録支援機関として在留資格申請のサポートもしているマイナビグローバルだからこと気が付いた確認項目も紹介します。

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※【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査期間:2019年6月
調査地域:日本全国
調査対象:20~69歳男女​ 「人事・教育」または「会社員(経営者)」または「正社員の採用担当」​
有効回答数:4,797名