【2023年】特定技能12分野(14業種)を解説!職種一覧・受け入れ状況まとめ

執筆者:

行政書士/井手清香

日本の深刻な人手不足が加速するなか、労働力として注目されているのが在留資格「特定技能」です。
本記事では、特定技能の外国人が働くことができる職種や、どのような業務に従事できるのかなどの特徴、雇用することができる企業の分野などを徹底解説します。

自社では特定技能外国人の雇用が可能なのか、確認のためにもぜひご覧ください。

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特定技能とは?

「特定技能」とは、2020年4月からスタートした、人手不足とされる分野で外国人を雇用することができる新しい在留資格です。

特定技能では12の分野(旧14分野)があり、分野によって従事できる職種が決まっています。

例えば、同じ特定技能でも「宿泊業」の在留資格では「外食業」の業務をすることはできません。

特定技能の大きな特徴は、単純労働を含む幅広い業務が可能という点です。また、在留期間の上限は通算5年と定められていますが、在留資格の更新制限が外れる(永住権取得に至る)ルートもあります。なお、技能実習から特定技能への移行も可能です。

特定技能1号の対象分野を12へ再編

2022年4月政府の閣議で、特定技能1号の対象となる14の分野について、製造業の3分野(素形材産業・産業機械製造業・電気・電子情報関連産業)を統合し、12分野に再編をするという方針を決定しました。
また、産業機械製造業は受入れ見込み数を超えるため、新たな在留資格認定証明書の発行を停止しています。

特定技能「産業機械製造業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置等について|出入国在留管理庁
建設分野の業務区分変更

建設の業務区分は19区分(18試験区分)でしたが、これを技能実習対象職種を含め、建設業に係る全ての作業を3つの特定技能業務区分に再編しました。
3つの業務区分は、業務区分【土木】、業務区分【建築】、業務区分【ライフライン・設備】となります。

これにより、特定技能外国人が従事可能な業務範囲が拡大、柔軟に仕事ができるようになりました。いままでは区分が細かく分かれていたことから、従事できる業務の幅が狭かったため、これらを解消する形になります。

詳細は以下をご覧ください。
業務区分の統合に係る関係資料【特定技能制度(建設分野)】|国土交通省

特定技能の概要について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

2023年から特定技能2号の対象分野が11分野に拡大[NEW!]

特定技能は1号と2号があります。

1号と2号には6つの違いがあり、2号には家族帯同や在留期間更新の上限などが認められます。2022年以前は「建設」と「造船・舶用工業」の2分野しかありませんでしたが、2023年より「介護」分野を除く11分野に対象が拡大しました。

「介護」分野については、在留資格「介護」などの別の移行先があることから2号の創設は見送られています。

さらに詳しい情報は以下の記事をご覧ください。

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特定技能の12分野(旧14分野)|業務内容と雇用形態を総まとめ

ここからは、各分野の概要と・受け入れの現状についてご紹介していきます。

1.介護

概要】

介護と介護に付随する業務を行える在留資格ですが、訪問系サービスはできません

【現状

2023年12月末現在、全国で12,768名受け入れています。特定技能「介護」の試験は非常に進んでおり、日本国内のほかフィリピンをはじめとした海外でも実施、合格者数は2023年12月末時点で16,081人となっています。

海外で試験に合格した人材が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などによって入国せず待機しているケースもあります。現在も新規入国の人数には上限が設けられているため、これが自由に入国できるようになれば、介護分野はより受け入れが加速し人材は豊富になるでしょう。

唯一、特定技能2号が存在しない分野です。

特定技能の介護について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

▼介護分野で外国人材を採用した事業者の生の声をまとめました。

外国人材の面接での見極めポイント

外国人介護士の採用って実際はどうなの?
外国人採用状況の調査データを公開

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2.ビルクリーニング業

概要】

ビルクリーニング業は、建物の内部を清掃する業務で、場所、部位、建材、汚れ等の違いに応じた洗剤や用具の使い分けなどの専門知識が必要です。

現状】

ビルクリーニング業は人手不足が懸念されており、厚生労働省発表の資料によれば、2017年度の有効求人倍率は2.95と、高い状況が続いています。これは定められた衛生管理・清掃等を行わなければならない「建築物衛生法」の対象となる建物が年々増えているためです。

清掃作業を効率化するためのロボットの開発や、賃上げに向けた取り組み、女性・高齢者の活用等も推進されていますが、それでもなお人手が不足しており、特定技能外国人の受け入れによって人材を補填することが急務となっています。

ビルクリーニング分野の特定技能試験に合格した外国人は、5年間の受け入れ予定人数3,700人に対し、1,867人(2022年12月末時点)います。

3.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)

素形材

概要】

金属、プラスチック、ファインセラミックス等の素材に、熱や圧力を加えて加工したものを「素形材」といいます。その素形材を部品・部材などに加工。

現状

2022年12月末現在、受け入れ人数は統合した総数で27,725人です。

産業機械製造

概要】

事務所や工場内で使用される産業用の機械全般(農業、工業、木工機械など)を製造。

【現状

2023年までの受け入れ見込み人数は5,250人、実際に受け入れられているのは2022年3月末時点で6,021人と見込みを超えました。そのため、2022年4月1日より、新たな在留資格認定証明書の発行を停止しています

最も多くの外国人労働者を受け入れている国内産業は製造業であり、技能実習生が多く訪日していることから、特定技能への切り替えが活発になっていることも一因です。現在の特定技能人材は、この切り替え人材が殆どとなっています。

▶参考:特定技能「産業機械製造業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置等について|出入国在留管理庁

電気・電子情報関連産

【概要

電子機器の組み立てやめっき、機械加工など。

【現状】

電気・電子情報関連産業では、2022年3月末時点で、3,258人が受け入れられています。

4.建設業

概要】

建設分野は、建築大工の他、内装や左官などの仕事があります。

2022年、全国初の特定技能2号認定
2022年4月に全国で初めて、岐阜県の中国籍男性が、建設分野の特定技能2号に認定されたことが発表されました。技能検定1級を取ったことや、建設キャリアアップシステムのシルバー判定取得、現場の責任者を務めたことなどが認められての2号認定です。
建設分野の業務区分変更

建設の業務区分は19区分(18試験区分)でしたが、これを技能実習対象職種を含め、建設業に係る全ての作業を3つの特定技能業務区分に再編しました。

3つの業務区分はk以下の通り
◆業務区分【土木】
◆業務区分【建築】
◆業務区分【ライフライン・設備】

詳細は以下をご覧ください。
業務区分の統合に係る関係資料【特定技能制度(建設分野)】|国土交通省

現状】

建設分野で働く特定技能外国人は、2022年12月末時点で12、768人です。一般的にイメージされる建設業は建築大工が多いかもしれませんが、実際に特定技能外国人が多く活躍しているのは「建設機械施工」や、「鉄筋施工」といった区分です。

2022年3月時点で試験合格者はわずか627人しかおらず、技能実習からの切り替えがほとんどといえるでしょう。

国内試験と海外はフィリピン・ベトナムで行われおり、今後はさらに実施国・地域を拡大していくと予想されます。

5.造船・舶用工業

概要】

造船・舶用工業分野では、船を製造するための様々な工程において特定技能外国人を受け入れることができます。2号への移行も可能です。

【現状

この分野で働く特定技能外国人は、2022年12月末で4,602人となっており、「溶接」が圧倒的に多いことが特徴です。

なお、造船・舶用工業分野で国内初の特定技能1号試験(溶接)は、2020年12月に実施されました。試験は集合形式で行われます。

6.自動車整備業

概要】

自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備などを行います。なお、自動車の組み立ての場合は、製造業系の分野になります。

【現状】

2022年12月末時点で、1,738人の特定技能外国人が受け入れられています。

「技能及び業務上必要な日本語の能力評価」試験は「自動車整備分野特定技能評価試験」「自動車整備士技能検定試験3級」の2種類の試験のどちらかを選ぶことができます。

7.航空業

【概要

航空業は、空港グランドハンドリングと航空機整備の2区分があります。空港グランドハンドリングは、航空機の誘導や移動、貨物の搭降載などを行います。航空機整備では、航空機のメンテナンスなどを行います。

【現状】

2022年3月末時点で受け入れられている特定技能外国人はわずか167人。

特定技能評価試験は、他の分野と比較すると比較的少ない実施回数です。2022年3月末の試験合格者数は459名、海外でも試験が実施されています。

8.宿泊業

概要】

宿泊分野では、ホテルや旅館において、フロント、企画・広報、接客やレストランサービスに従事します。

「その業務に従事する日本人が通常従事する業務については可能」とされているので、ベットメイキングも可能ですが、メインの業務として従事することはできません。さらに、風俗営業法に規定されている「接待」に従事することも不可能です。また、簡易宿所や下宿、風俗営業法に規定されている施設では特定技能外国人を受け入れることができません。

現状

宿泊分野で在留する特定技能外国人は、2022年3月末時点で206人です。

しかし試験には3,417人が合格(2022年3月時点)しており、新型コロナウイルス感染拡大の影響で宿泊業界自体の採用が進まず、多くの外国人がこの分野では就労できていない状態が続いています。現状で特定技能外国人を受け入れているのはある程度の規模がある旅館やホテルが多いようです。

9.農業

【概要

農業の業務内容は、耕種農業と、畜産農業があり、それぞれ別の試験が設けられています。農業の特徴は、派遣が認められている点です。

現状】

農業は、ここ数年で外国人労働者数が増えている分野です。特定技能の受け入れ規模も大きく、2022年12月末時点で16,459人が在留しています。特定技能14種全体の12.6%を占め(2022年12月末時点)、徐々に受け入れが増えています。

2022年3月末時点で、18,304名が試験に合格しました。

「農業技能測定試験」については、2020年10月30日からベトナム語の試験予約が開始されました。

10.漁業

【概要】

漁業は、「漁業」と「養殖業」の2種類に区分され、それぞれ別の試験が用意されています。

現状】

漁業分野における就業者は1998年に27万7,000人でしたが、2017年には15万3,000人と、おおむね半減しています。さらに、雇われ就業者の2割を65歳以上の熟練の高齢労働者が占めており、今後の人材不足が見込まれています。

漁業は、同じ地域でも対象魚種・漁法等によって繁忙期や閑散期が異なるという特徴があり、さらに、零細な漁業経営主体が多いので、派遣が認められています。

漁業分野では、2022年12月末時点で1,638名の特定技能外国人が就労しています。国内試験と、海外試験はフィリピンで実施されています。

11.飲食料品製造業

【概要

酒類を除く、飲食料品の製造、加工、安全衛生まで、飲食料品製造全般に従事できます。

現状】

2022年12月末時点で、42,505人が就労、飲食料品製造業で働く外国人は、特定技能外国人全体の32.5%で14業種中1番多くなっており、技能実習生からの移行も増えています。求職者からの人気も高い分野であることが伺えます。

飲食料品製造分野は、機械化に限界があり、なおかつHACCPに沿った衛生管理への対応が求められています。人手が足りず、人材確保が急務となっているため、特定技能外国人を受け入れることで、人材の補充を見込んでいます。

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12.外食業

概要

飲食物調理、店舗管理、接客まで幅広い業務ができます。

例えば、飲食店のフロアー、ホテルのレストランでの配膳などもこの分野で可能です。

【現状】

外食業も、ホスピタリティとの兼ね合いから、完全な機械化が難しい分野です。外食業を含む「宿泊業、飲食サービス業」の欠員率は、2019年には6.1%となっており、人手不足が続いています。人不足の解消と同時に、インバウンドへの対応も求められていることから、特定技能外国人の受け入れが進められています。

外食分野の特定技能外国人は2022年12月末時点で5,159人です。新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けていることから受け入れ人数が伸び悩んでいますが、今後の状況で大きく変わっていくことが考えられます。

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特定技能の試験について

「特定技能1号」の試験制度は、①各分野の業務に関連した技能の試験と、②日本語能力に関する試験という2本立ての試験制度になっています。

①は技能評価試験といい、12職種の分野ごとに用意されている技能試験です。日本語能力試験は日本語能力試験 (JLPT)または、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)のどちらかの合格が必要です。

2号については2023年秋以降に試験の実施が告知されています。

詳細については以下の記事をご覧ください。

特定技能の12分野について、雇用形態と従事できる業務を一覧表にまとめました。

特定技能外国人の数は2022年3月末時点で64,730人となっており、このうち飲食料品製造業が最も多く、35.5%を占めています。

特定産業
分野
雇用
形態
従事できる業務試験の種類数
(試験区分)
介護直接身体介護および付随する支援業務。訪問系サービス不可。1
ビル
クリーニング
直接建物内部の清掃業務。1
素形材
産業機械製造
電気・電子情報関連産業
直接①機械金属加工
鋳造、ダイカスト、金属プレス加工、工場板金、鍛造、鉄工、機械加工、仕上げ、
プラスチック成形、溶接、塗装、電気機器組立て、機械検査、機械保全、工業包装

②電気電子機器組立て
機械加工、仕上げ、プラスチック成形、電気機器組立て、電子機器組立て、
プリント配線板製造、機械検査、機械保全、工業包装

③金属表面処理
めっき、アルミニウム陽極酸化処理
18
建設直接型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、
土工、屋根ふき、電気通信、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ /表装、
とび、建築大工、配管、建築板金、保温保冷、吹付ウレタン断熱、海洋土木工。
18
造船・
舶用工業
直接溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立て。6
自動車
整備
直接自動車の日常点検整備・定期点検整備・分解整備。1
航空直接空港グランドハンドリング
(地上走行支援業務,手荷物・貨物取扱業務等) と、
航空機整備(機体,装備品等の整備業務等)。
2  
宿泊業直接フロント・企画・広報・接客・レストランサービス等の
宿泊サービスの提供。
1
農業直接・
派遣
耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)。
畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)。
2
漁業直接・
派遣
漁業
(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、
水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵,安全衛生の確保等)。

養殖業
(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理・
収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等)。
2
飲食料品
製造業
直接飲食料品製造業全般
(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工,安全衛生)。
採用事例
1
外食業直接外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)。
採用事例
1
参考:特定技能ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~|出入国在留管理庁
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なお、表に記載の「試験区分」とは、在留資格「特定技能」を取得するための試験の種類のことを言います。例えば、介護は1試験区分しかありませんが、素形材産業については13試験区分あり、従事する業務によって、試験内容が異なることが特徴です。

まとめ

国内の少子高齢化にともなう労働力不足は各所で起きており、特定技能は今後ますます増加すると考えらえます。ただし、現状では新型コロナウイルス感染症の関係で、送り出し国から出て来られない人もいます。

また、就職口も一時的に減っていると考えられます。現実には、外国人労働者の多くが技能実習生となっている分野もあります。特定技能の試験制度も始まったばかりですので、航空業など、試験が定期的に実施されていない分野があるのも事実です。

特定技能外国人は、職種や従事できる業務が幅広いことから、様々な業種の企業にとって戦力にしやすいと考えられます。特定技能外国人を採用し、企業の戦力としてはいかがでしょうか。

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