採用活動実施中の企業は約3割。これからの人材獲得に向けた「外国人材の採用」を考える

厚生労働省が発表した「令和元年版 労働経済の分析」によると、正社員の有効求人倍率は1.16倍(2019年)。ただし、この結果はあくまでも公共職業安定所(ハローワーク)を対象とするもので、民間の求人情報誌や転職情報サイトの情報は含まれていません。いずれにしても多くの企業において、若手人材を中心に人材不足が顕著であり、多くの企業が人材不足対策を迫られる状況にあります。こうした課題を解消するうえで、ひとつの検討材料になるのが「外国人労働者」の採用でしょう。これまで外国人労働者を雇用したことがない企業に向けて、実際に採用・活用している企業への調査結果から、その実態をお伝えします。

外国人材を採用する?しない?

2018年12月、外国人の在留資格「特定技能」の新設を含む「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立。外国人が日本で働くために必要な在留資格が広がりました。同時に、冒頭で紹介した「令和元年版 労働経済の分析」においても、人手不足企業の取り組みのひとつとして「外国人労働者」の採用を積極的に拡大する傾向が示されています。

出典:第2部第1章我が国を取り巻く人手不足等の現状||令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-|厚生労働省

人材不足がますます高まる国内において、専門的な知識や経験を持つ外国人労働者の雇用は労働生産性の向上に大きな期待を抱かせます。とはいえ、これまで外国人労働者を雇用してこなかった企業にとっては、情報不足がゆえに不安視してしまうこともあるでしょう。

マイナビグローバルは、「外国人雇用」に関する独自のアンケート調査を実施し、現状における企業の実態をまとめました。本調査は、20~69歳(男女)の人事・採用担当者を対象とし、約5000件のスクリーニングを経た結果となっています。実際に、外国人材の採用を検討する企業の状況について、その結果を見てみましょう。

外国人材を採用している企業は3

本調査において、「現在、外国人の採用活動を行っている」と回答した企業は全体の約3割でした。また、「採用活動していない」とする企業のうち、約14%が「今後の採用を検討している」と答えています。また、「採用に積極的」と回答した企業は全体の12%。外国籍の人材を採用する企業は、今後確実に増えていくことが予想されます。

職種によって異なる採用人数

具体的に、職種別の動向を見てみましょう。現在、すでに外国人労働者の採用を行っている職種は、「生産・製造技術」が最も高く、全体の25%。次いで「サービス職(16%)」、「販売職」「営業職(国内)」と続いています。また、採用・活用の人数は0~3名と小規模となるところが多い一方で、「飲食・飲料サービス業」は多くの採用数を予定とする回答が多く見られました。

すでに採用活動を行っている業種においても、トップとなるのは「飲食・飲料サービス業」で33.5%。採用実績の高い「製造(32.9%)」を超える結果となりました。一部の業種においては、人材確保に向けた取り組みとして、外国人労働者の採用に動き出していることがわかります。

採用した外国人の国籍は「アジア圏」が9割

外国人労働者といっても、その国籍はさまざま。雇用において文化や習慣の違いが課題となるなか、すでに採用されている外国人の国籍を調査しました。

外国人材の出身国

これまで「外国人を採用したことがある」と答えた企業によると、採用国籍は「アジア圏」がダントツトップ。内訳としては、「中国(約44%)」が最も多く、次いで「ベトナム(約30%)」、「韓国(約20%)」、「フィリピン(約18%)」、「台湾(約13%)」、「タイ(約13%)」、「インドネシア(約10%)」となっています。
業種によって在留資格も異なり、「小売」「飲食・飲料サービス」「旅館・ホテル・レジャー」においては、留学生のアルバイト雇用が多く、「建設」「製造」では技能実習生が多くを占めています。一方で、専門分野の在留資格を持つ就労ビザによる正社員雇用をしているのは「ソフトウェア」「製造」で多く見られます。

採用予定の対象となる外国人材も、やはりアジア圏

一方で、外国人を採用したいと考える企業側も、優先したい国籍を検討する傾向があります。

外国人労働者の採用予定を考えている企業に対して求職者の条件を調査したところ、多くが「日本国内在住のキャリア採用」を希望しており、特に台湾・香港・インド国籍の人材が8~9割を占めています。その理由は「まじめ・勤勉なイメージがあるから」が最も高く、次いで「すでに採用実績がある国籍だから」「現地拠点のある国だから」「採用ターゲットが多い」という結果になりました。今後、外国人の雇用が広がるなかで、アジア圏の求職者に絞った採用活動が広がる可能性も考えられるでしょう。人材不足が顕著な「旅館・ホテル・レジャー業」や「製造業」においては、海外在住者を狙う動きもあります。

8割が意図的に外国人材を採用

外国人材の雇用が拡大する背景には、国内での人材不足があります。同調査においても、「日本人労働力が集まらない(57.9%)」という回答がトップでした。なかでも、「若手層(34歳以下)」が不足していると回答したのは全体の約61%となり、続いて「ミドル層(35~55歳)」の不足が約43%。特に、旅館・ホテル・レジャー業の80%以上が「若手層」の不足を挙げています。

外国人材の採用理由

こうした人手不足に陥った原因として、「十分な人数を採用できない」、「優秀な人材が少ない」といった回答が多く、その対策のひとつとして、「外国労働者の採用」が挙げられました。また、単なる人材確保にとどまらず、「外国労働者採用で組織を活性化したい」と考える職種もあり、グローバル化する事業発展を狙う動きも見られます。
外国人材を雇用した企業のうち、「たまたま外国の人が応募した」とする回答は22.6%。一方で、インバウンド需要を念頭とした「外国労働者ならではの業務がある(16.6%)」といった回答もあり、約80%が意図的に外国人材を雇用しているようです。

人材紹介から採用した際の単価傾向

外国人労働者を雇用する募集方法については、さまざまな選択肢がありますが、成功報酬型となる人材紹介からの採用単価は、「日本人と変わらない」という回答が68%。

また、賃金の支払いについては、「日本人とほぼ同一」が約53%と過半数以上となっています。基本的に、外国人労働者であっても、最低賃金法や職業安定法といった労働関連法が適用されることを理解しておきましょう。

約8割が外国人材の採用後の活躍を評価

外国人材の入社後の評価

すでに採用している企業にその活躍度を調査したところ、「普通」も含めると83%が外国人材の活躍をポジティブに評価していました。そのうち、29.9%は「十分に活躍している」12.9%は「予想以上に活躍している」という回答であり、外国人材を採用した企業の多くが活躍ぶりを高く評価しているといえるでしょう。

気になる外国人材採用の課題

生産性の向上に期待が持てる外国人労働者の採用ですが、一方で、外国人材採用を不安視する原因になっているという課題もあります。

現在、外国人材を採用していない企業が外国人材の採用を採用しない理由として「トラブルが心配」「定着率が悪そう」「管理が煩雑」を挙げており、外国人材にネガティブなイメージを持っていることがうかがえます。一方で実際に外国人を採用する企業が課題として感じている点を調査したところ、「日本人より早く離職する」は17.5%にとどまりました。

外国人材の採用にネガティブなイメージを持つ企業がある一方、すでに採用している企業の約83%が採用後の外国人材の活躍を評価しており、ネガティブな印象が足かせとなって外国人材の採用を躊躇していることがうかがえます。また、外国人材を採用する際の手続きは社内制度を整えれば解決できるので、外国人材の採用に消極的な理由の多くは解決できる可能性が高いものです。ネガティブなイメージだけにとらわれないことが、今後の人材獲得に向けた大きな一手となるかもしれません。

外国人材の雇用を視野に入れてみよう

外国人の採用にはさまざまな課題もありますが、今回の調査結果から、今後の生産性向上への大きな期待がふくらみます。外国人材を採用しない理由はネガティブな印象が先行しているものが多い一方、採用後の評価は高い結果となりました。労働力人口が減少し続ける今、国内だけでの人材確保はますます厳しくなることが予想されます。長期的な視点で、雇用対象を広げることも検討してみてはいかがでしょうか。