【随時更新】「育成就労制度」とは?技能実習制度廃止でどう変わる?詳しく解説

育成就労制度とは?
執筆者:

外国人採用サポネット編集部

技能実習制度の問題点が社会問題となり、海外からも批判を受けたことからあらたな「育成就労制度」に変更されることとなりました。
技能実習制度を廃止し、育成就労制度に切り替わるといわれていますが、実態としては制度の変更と言っても差し障りないでしょう。

育成就労制度は外国人材の労働力としての育成と確保を目的としています。
いままで技能実習生を受け入れていた企業にとっては今後どうなるのかが気になっているのではないでしょうか。

育成就労制度はまだまだ議論中の制度ですが、現在の時点で分かっていることをまとめました。

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育成就労制度とは?技能実習は廃止になる?

育成就労制度は、新しく追加される予定の 在留資格「育成就労」の根拠となる制度です。

国際貢献のための人材育成を主眼にした技能実習制度から、育成就労制度は日本の発展のための人材育成と人材確保を目的とした制度になる予定です。

具体的には、外国人材を3年間の育成期間で特定技能1号の水準にすることを目標にしています。このため、特定技能制度は育成就労制度に合うよう調整される予定です。技能実習制度の廃止と表現されることが多いものの、実態としては制度の変更となります。

では、なぜ技能実習制度が育成就労制度に変更になるのでしょうか。その背景をご説明します。

【技能実習制度が育成就労制度に変更になる背景】

  1. 技能実習制度の目的と実態の違い
    技能実習制度の目的は、技能の移転による国際貢献として創設されたものですが、現実には国内の労働力として重用されており、目的と実態が乖離していることが問題となっています。
  2. 技能実習生の立場の弱さ
    技能実習生の立場の弱さが社会問題として取り上げられることもあります。受け入れ企業や、技能実習生を支援する立場であるはずの監理団体による技能実習生の人権を侵害する行為、またそれが原因と思われる技能実習生の失踪など、数多くの問題があります。

2023年11月、技能実習制度と特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告書が法務大臣に提出されました。見直しに当たって、「外国人の人権保護」「外国人材のキャリアアップ」「安全安心・共生社会」の3つの視点に重点が置かれることが決定しています。

ここからは、育成就労制度に関する以下7つのポイントについて、詳しく解説します。

  1. 施行予定時期
  2. 育成就労制度の受入れ対象分野と職種(技能実習との比較)
  3. 条件つきで本人意思の「転籍」が可能、やむを得ない場合の「転籍」に関しては明確化、対応の柔軟化
  4. 在留資格「育成就労」の日本語要件
  5. 企業が受け入れるための要件
  6. 監理団体は監理支援機関へ名称変更
  7. 悪質なブローカーに対応するために不法就労助長罪を改正

施行予定時期

育成就労制度が施行される時期は2027年を目標としています。

育成就労制度の受入れ対象分野と職種

育成就労制度の受入れ対象分野と職種は、特定技能制度の受入れ対象分野の設定分野、いわゆる「特定産業分野」に限定される予定です。現在、技能実習は90職種(165作業)での実習が可能ですが、これらも変更となる見込みとなります。

【技能実習制度と育成就労制度 職種の比較】

技能実習制度育成就労制度
対象分野90職種(165作業)特定産業分野に限定される予定
可能な作業細かく限定的特定技能と同じで、幅広い

ちなみに、育成就労制度の創設と関係はないものの、特定技能制度の対象職種が増加します。これまでの12分野から、鉄道・林業・木材産業・自動車運送業が加わり、特定技能制度の対象は16分野となります。

「転籍」が可能、しかし……

現行の技能実習制度では原則不可能な「転籍」は、育成就労制度では可能になる予定です。

  • 「やむを得ない事情がある場合の転籍」の範囲を拡大、明確化。手続きの柔軟化。
  • 「本人の意向で別の職場で働きたい場合の転籍」も可能

やむを得ない場合の転籍は、技能実習制度でも認められています。例えば受け入れ先の企業が倒産してしまい実習を続けられなくなってしまった場合などです。しかしこの「やむを得ない事情」に関して明確化されていなかったため、範囲を決めたり、手続きが煩雑にならないよう調整する予定です。

また、本人意思での転籍もできるようになります。こちらについては以下の要件が定められる予定です。

  • 同一機関での就労が1~2年を超えている ※年数は分野によって異なる予定
  • 技能検定試験基礎級等の合格
  • 日本語能力に係る試験の合格(A1~A2相当)
  • 「転籍」先の適正性
  • 同一業務区分であること

現在の技能実習制度では「転籍」は原則できません。

実習先が過酷な環境の場合であっても転籍などで逃げることができないことから技能実習生が失踪してしまうことが問題となってきました。育成就労制度では「転籍」が可能となる予定ですが、ハードルは緩和されるもののまだ高いといえます。

在留資格「育成就労」の要件

在留資格「育成就労」には就労開始時点の日本語能力に関する要件があります。

就労前に日本語能力A1相当以上試験に合格(日本語能力試験N5レベルの日本語能力)または相当の日本語学習を受講することが定められています。

入管法(出入国管理及び難民認定法)における変更点としては、在留資格「技能実習」は廃止になります。新しく創設される在留資格「育成就労」が、在留資格「技能実習」に代わるため、同じような条件になると予想されます。

企業が受け入れるための要件

育成就労の外国人を企業が雇用するための要件は、国で決められた「特定産業分野」に該当する業種・職種であることです。それ以外についてはまだ詳細はわかっていません。

受け入れ見込み人数に関しては、対象分野ごとに受け入れ人数を設定し、受け入れ上限数として運用する予定です。

また、技能実習制度で求められていた受け入れ企業の要件である国際貢献に由来する要件は撤廃されますが、昇給や日本語能力向上のための要件が求められることになります。現在の特定技能制度における分野別協議会への加入などの要件も、受け入れ企業には求められる見込みとなっています。

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監理団体は監理支援機関へ名称変更

これまで技能実習制度において、技能実習生や技能実習の受け入れ企業のサポートをしてきた監理団体は、「監理支援機関」へと変わり、独立性のある組織を目指す予定です。

悪質な監理団体の存在を踏まえて、国は育成就労制度における監理団体の許可要件を厳格化し、外部監査人の設置を義務付ける予定です。この義務付けによって、不法就労や人権侵害などの問題への対応はしやすくなるでしょう。

現在の監理団体は、「監理支援機関」になるために改めて申請しなおす必要があります。具体的な審査に関しては、まだ詳細が決まっていません。続報に注目する必要があります。

悪質なブローカーに対応するために不法就労助長罪を改正

外国人を不法就労させた際に成立する「不法就労助長罪」も、育成就労制度に併せて改正されます。

厳罰化される予定で、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金」に処せられることになります。これは、転籍が可能になることから、悪質なブローカーが増加する可能性がありこれを防ぐためです。

また、「不法就労助長罪」改正の注目すべきポイントとして、外国人労働者が来日前に現地の送り出し機関に対して支払う費用を、受け入れ企業が負担する仕組みを導入する点も挙げられます。この仕組みの整備により、外国人労働者の金銭的負担が減り、また受入れ企業も外国人を貴重な人材として保護しなければ損をすることになるでしょう。

育成就労制度と技能実習制度の違いとは

育成就労制度と技能実習制度は、どのように違うのでしょうか。まず、技能実習制度の概要を振り返りましょう。

【技能実習制度のポイント】

  • 途上国への技術継承が目的で、労働力ではない
  • 技能実習生の保護を図る体制が確立された環境で行わなければいけない

上記の技能実習制度のポイントを踏まえて、育成就労制度と技能実習制度を比較してみましょう。

【育成就労制度・技能実習制度 比較表】

育成就労制度技能実習制度
目的我が国の人材確保・人材育成国際貢献・途上国への技術継承
受入れ可能な職種特定技能と同じ職種 (16分野)90職種(165作業)
在留期間3年が基本1号が1年、2号が2年、3号が2年(通算5年間)
転籍同一企業で1年以上働いたのち、可能原則不可
保護・支援外国人技能実習機構を改編、 外部監査人が入る監理支援機関など外国人技能実習機構、国際人材協力機構、監理団体との連携
在留資格育成就労技能実習
特定技能への移行移行分野・職種が一致し、試験に合格すれば可能移行分野・職種が一致していない場合は不可
民間の職業紹介業者の介入不可可能

技能実習制度では、実質的には労働力として技能実習生を受け入れていました。しかし、それが問題だったことから、育成就労では実習をしながらも、労働力として期待できるよう育成するための制度になったことが、大きな違いです。

育成就労制度は、育成就労から特定技能への在留資格移行がスムーズになるように職種を整えたり、問題点であった転籍が可能になったりしていることがわかります。

また、重要な内容である3つのポイントについては、次で詳しく解説します。

  • 育成就労制度への移行でなくなる可能性のある分野
  • 育成就労制度への移行で企業が被るメリット・デメリット
  • 当分の間は民間の職業紹介事業者は関与できない

技能実習では対象だったが育成就労制度でなくなる可能性がある分野

技能実習制度では対象だった職種が、育成就労制度では一部なくなる可能性があります。

まず、育成就労制度で対象となる見込みの16分野を見てみましょう。

【育成就労制度で対象となる見込みの分野】

介護ビルクリーニング素形材・産業機械・ 電気電子情報関連製造業(製造)建設
造船・舶用工業自動車整備航空宿泊
農業漁業飲食料品製造業外食業
鉄道林業木材産業自動車運送業

一方、技能実習制度では以下の職種・作業が対象となっています。

技能実習制度 移行対象職種・作業一覧(90職種165作業)|厚生労働省

こちらの図のように、技能実習制度の職種・作業は非常に細分化されています。現時点では、どの分野が対象外になるのか、明言することは難しいといわざるをえません。しかし、まだ変更となる可能性もありますので、続報に注目する必要があります。

企業にとって育成就労に変更となるメリット・デメリットは?

技能実習から育成就労制度へ制度が変わることは、企業にとって、それぞれメリット・デメリットがあります。

まず、メリットとしては以下の3つが挙げられます。

  • 就労目的の在留資格として働いてもらうことができる
  • 育成就労から特定技能への移行がスムーズになり、長く働いてもらうことができる
  • 日本語能力が技能実習より高くなる(在留資格「育成就労」取得のためには日本語能力試験を受ける必要があるため)

一方、デメリットとして以下の2つが挙げられます。

  • 採用にかかる費用が技能実習以上にかかってしまう(渡航費や送り出し機関に支払う手数料などを受け入れ機関と外国人で分担する仕組みを導入予定)
  • 技能実習では3~5年在籍だったが、育成就労では1年で転籍(退職)してしまう可能性がある

また、デメリットではありませんが、不法就労助長罪が厳罰化することも覚えておきましょう。不法就労助長罪は外国人本人ではなく受け入れ企業や人材紹介会社などが対象となります。過失であっても受け入れ企業が罰せられる場合があるので注意しましょう。

民間の職業紹介事業者の関与は当分認めない

育成就労制度では、民間の職業紹介事業者の関与は原則として認めない方向で議論が進んでいます。

育成就労制度では、一定の条件を満たせば転籍が認められます。悪質なブローカーが転籍をあっせんしないよう、育成就労制度では新たに監理支援機関と、外国人育成就労機構そしてハローワークが連携して転籍支援に取り組むことになりました。

これにより、悪質なブローカーや職業紹介事業者が、転籍をあっせんすることは難しくなるでしょう。

育成就労と特定技能制度の関係は?移行できる?

特定技能へスムーズに移行するために育成就労制度を整えた、と捉えてよいでしょう。そのため、育成就労と特定技能の関係は非常に近いものです。

育成就労は、外国人が日本における労働力になるように、人材育成を目的とした制度だといえます。

技能実習制度では職種・作業が細分化されており、技能実習で経験を積んでも、職種・作業が特定技能では移行対象外だった場合がありました。このようなズレを失くし、特定技能への移行を前提とした育成就労制度に整備することで、外国人を長く働いてくれる労働力として育成できるようになりました。

育成就労制度はまだ施行前

育成就労制度について、2024年6月末時点現在で分かっていることを解説しました。

育成就労制度は特定技能への移行をスムーズにするための制度であり、技能実習制度を変更したものだといえます。対象の職種・分野は特定技能の分野と一致させることで、現在・将来の労働力となる人材確保のために整備されます。

在留資格は「育成就労」となり、3年間の在留が認められます。

まだまだ施行前で主務省令作成途中の制度なので、細かい部分は定まっていません。情報が分かり次第、随時更新します。

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