技能実習生の受け入れに不可欠な「監理団体」とは?その役割と正しい選び方を徹底解説

「技能実習制度」を利用して海外から実習生を受け入れる多くのケースでは、技能実習生や受け入れ先に対する指導や監査などを行う「監理団体」と呼ばれる非営利団体によるサポートが必須となるのをご存知でしょうか。

今回は、技能実習制度を正しく利用するためにも欠かせない監理団体の基本情報、また選ぶ際のチェックポイントについて詳しく解説します。

監修:古田 晶稔(サポート行政書士法人)

在留資格(ビザ)申請に携わると共に、技能実習に関する手続きも担当。 人材不足に悩む中小企業へ向けた外国人活用に関するコンサルティング業務をメインとして活躍。 行政書士(愛知県行政書士会所属 /第16190330号)

監理団体とは?

技能実習生の受け入れを検討する企業などからの依頼に基づき、海外での技能実習生の募集や受け入れに関する調整や各種手続きを行うことや、受け入れ先に対する指導や受け入れ後の監査などを行う組織として、主務大臣(法務大臣、厚生労働大臣)によって認められた非営利の団体です。

外国人技能実習制度ってどんな制度?

日本で培われてきた技術を発展途上の国や地域に移転することで、同地の経済発展を支えることを目的に、1993年に創設された制度です。

近年ではこの制度で外国人技能実習生の受け入れ先となった企業や団体による労働基準法違反などの不祥事が相次いだことで、一部には「低賃金で海外の労働者を雇用するための制度」という誤った認識も広がっていますが、それは正しくありません。

技能実習生に関しても、実は日本人を雇用する場合と同様、最低賃金を順守する必要があります。また、採用後も教育費や監理団体への監理費(年会費のようなもの)などが生じますので、人件費を削減するという目的に適したものではありません。あくまでも正しい手順で海外から実習生を迎え、その育成を通じて国際貢献したいと考える企業や団体が活用するための制度です。

技能実習生の受け入れには、ふたつのタイプ

技能実習生の受け入れ方には、「企業単独型」と「団体監理型」というふたつのパターンがあります。

企業単独型

技能実習生を受け入れたい日本の企業や団体が、海外の取引先や現地法人、合弁企業など、独自につながりを持つ組織から直接、技能実習生を迎え、受け入れる方式です。

団体監理型

監理団体が海外で技能実習生を募集し、実習生受け入れを希望する企業などで技能実習を行う方式です。

監理団体への加盟が必要なのは団体監理型

監理団体による支援やサポートが必須となるのは、団体監理型で技能実習生を受け入れるケースです。その場合は、事前に任意の監理団体に加盟する必要があります。ちなみに2018年時点では、日本国内にいるうちのおよそ97%が団体監理型で入国した技能実習生(※)ですので、多くのケースで監理団体が関わっているといえるでしょう。

(※)上記本文の数字はJITCO(公益社団法人国際人材協力機構)を参考にしています。2018年末時点では受入れの97.2%が団体監理型、残りの2.8%が企業単独型となっています(技能実習での在留者数ベース)。

監理団体の役割や主な業務

監査の様子

次に、監理団体の果たす具体的な役割や業務について詳しく見てみましょう。

監査業務(定期監査・臨時監査)

実習生を受け入れる企業などが事前に提出した「技能実習計画」に沿って実習が行われているか、その進め方に問題がないかなどを確認するための業務です。3ヶ月に1回行う定期監査のほか、実習が適性に行われていないと判断される場合には臨時監査を行うこともあります。

訪問指導

定期監査とは別に行う指導です。監理団体職員が日本入国初年度の外国人技能実習生がいる受け入れ企業を訪問し、技能実習の状況の確認や、当初の計画通りに実習を実施するための指導などを行います。

入国後講習の実施

入国後、企業に配属される直前の技能実習生に対して、日本語や日本での生活全般に関する指導、入管法や労働基準法などの説明、現場見学といった、これからの暮らしや業務をサポートするさまざまな講習を行います。

技能実習計画の作成指導

実習生の受け入れを検討する企業は、外国人技能実習機構から認可を得るためにあらかじめ技能実習計画を提出する必要があります。その作成に関する指導も監理団体の役割です。

外国の送り出し機関との契約、求人・求職の取次など

技能実習生を送り出す現地機関との契約の取り交わしや現地での求人活動、面接同行などです。

技能実習生の保護・支援

技能実習生が母国語で相談できる生活相談の窓口業務や、その内容に応じた対応など、実習生が安心して暮らせる環境整備全般です。

監理団体の探し方

外国人技能実習機構のHPには、現在認可されている全ての監理団体に関する情報が掲載されています。ここにはそれぞれの監理団体が扱うことができる国や職種、作業内容なども記載されていますので、目的に適した監理団体を探す際にも便利です。

また、外国人の就業支援などを行う人材紹介会社や監理団体紹介会社などから、目的にあわせた優良な団体を紹介してもらうというのも、監理団体探しにおいては一般的な方法とされています。

監理団体の選び方とそのポイント

技能実習生として工場で働く人のイメージ

2021年3月現在、監理団体として認められている非営利団体の数は日本全国で3,245に上ります。監理に関する能力や取り組みは、監理団体によって大きく異なります。監理団体の中にはいわゆる「ペーパー団体」とも呼べるような実体のない団体も一定数存在すると言われています。昨今、さまざまな問題が取り沙汰される技能実習制度ですが、実習生を受け入れる企業が、違法にならないための監視や指導をきちんと行ってくれる監理団体を選べていないこともその理由のひとつです。また、監理団体が提携している送り出し機関の質が低い場合は(違法に本人から金銭を徴収する等)、技能実習生の日本語能力が低かったり、失踪したりするリスクがあります。

しっかりと役割を果たすことができる監理団体を選び、その助けを得ることは、制度を正しく、安全に活用するために最も重要なことといえるでしょう。

監理団体を選ぶ際に必ずすること

では、実際に監理団体を選ぶ際には、どのようなことを意識するべきなのでしょうか。まずお伝えしたいのは、ひとつの監理団体だけではなく、必ず複数にアプローチし、それぞれの情報を十分に比較検討することをしてください。最初は知識がなくとも、いろんな団体を比較することで、費用の相場やそれぞれの団体が果たすことができる役割なども次第に理解できるようになります。上述したように、監理団体には多くの実績を持つ団体からペーパー団体までさまざまなものが存在しますので、複数団体を比較・検討した上で、その実態をしっかりと見極めるようにしましょう。

監理団体選びで最低限チェックすべきことは?

ここでは、監理団体選びの際にチェックすべき具体的な項目についてお伝えします。

監査業務がきちんと行われている?

これまで触れたように監理団体の中にはきちんとした監査や指導を実施しない、あるいはできない団体も存在しています。技能実習制度では、労働基準法違反などで摘発される企業が後をたちませんが、故意に違反する企業だけでなく、監理団体がきちんと機能していないために知らず知らずのうちに違法行為をしてしまっているような企業もあります。不祥事を未然に防ぐ意味でも、きちんと役割を果たしてくれる監理団体を選びましょう。

希望する国や地域の実習生を扱うことができる?

どの国の現地機関とパイプを持っているかなどについては、監理団体によって全く異なります。実習生を募りたい特定の国や地域がある場合は、しっかりとチェックするようにしましょう。

希望の職種・作業の実習を監理できる?また実績がある?

監理団体によって指導や監査ができる職種や作業も異なります。可能であれば、実習生を迎え入れたい現場や作業に即した監理に実績を持つ団体を選ぶようにしましょう。

「一般監理事業」か「特定監理事業」を確認

技能実習には「技能実習1号」から「技能実習3号」までの区分があります。技能実習1号に認められる在留期間は半年または1年となり、その後、延長を申請し認められたら技能実習2号に、さらにそこからの再延長が認められた場合に技能実習3号となります。在留期間は2号なら3年、3号なら5年まで延長することが可能です。

一方、監理団体には「一般監理事業」を行うことができる団体と「特定監理事業」まで行うことができる団体があり、技能実習3号への移行を認められるためには、一般監理事業も担当できる監理団体のサポートを受ける必要があります。また、監理団体が一般監理事業を行うことができ、実習実施企業も優良と認められる場合には、受け入れることができる実習生の人数も倍になります。

できるだけ長く技能実習を実施したいような場合は、一般監理事業も行うことができる監理団体を選びましょう。

費用はどのくらい?

監理団体によってかかる費用は全く異なります。また、団体によっては実費(監査の交通費など)とそれ以外の経費を一緒にして提示してくる場合もあるため、それぞれを分けた上でしっかりと見比べてください。

あまりにも費用が安すぎる場合はペーパー監理団体の疑いもありますので、値段だけで選ぶのではなく、監査の中身などについてもあわせて確認してください。

監理団体は途中でも変更できる

ここまでの記事では正しい指導や監査ができる監理団体を選ぶことの重要性を説明してきましたが、実際に技能実習を実施している最中に何らかの不安が生じた場合には、途中で監理団体を変更することも可能です。幾度かの監査や指導を経て、少しでも監理団体への信頼が揺らぐようなことがあれば、あらためて情報を集めて選び直すのもひとつの手段です。

マイナビグローバルでは、「自分たちがお願いしている監理団体は大丈夫?」「どんな監理団体にお願いすればいい?」といったご相談にも対応していますので、お困りのことがありましたらお気軽にお問い合わせください。

まとめ

技能実習制度を正しく活用するためには、指導や監査をしっかりと行ってくれる監理団体を選ぶことが大切です。しかし、監理団体は数多く存在しますので、ペーパー体や悪質な団体を選んでしまわないようにするためも、まずは技能実習制度や監理団体の役割などについて、正しい知識を持つことを心がけてください。

また、監理団体選びに不安がある場合は、外部の意見を取り入れることも重要です。マイナビグローバルでも、適切な監理団体のご紹介サービスのほか、3ヶ月に1回の監査にも同行し、監理がしっかりと行われているかをチェックするサービスもご用意しています。技能実習生の受け入れに関しても入社前の日本語教育サービスなども提供していますので、技能実習制度の活用をお考えなら、ぜひお気軽にご相談ください。