飲食店の人手不足の理由は?データによる分析と対策方法を紹介

飲食店の人手不足を一刻も早く解消する方法とは
執筆者:

外国人採用サポネット編集部

飲食店の人手不足の話題は、新型コロナウイルス感染拡大による行動制限の緩和以降、非常によく聞かれるようになりました。
もともと人手不足であった外食・飲食業界ですが、新型コロナウイルス感染拡大によって、人手不足における別の問題が生まれています。客足は戻り、飲食店ではいままで以上に人手不足対策が必要です。

本記事では飲食店の人手不足の現状から、今できる対策を詳しく解説します。

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飲食業界をとりまく現状と人手不足の背景

飲食店の人手不足は、コロナ禍の行動制限が緩和されて外食市場が回復傾向になって以降、頻繁に耳にするようになりましたが、実際はコロナ禍以前から不足しています。

帝国データバンクの調査によると、飲食店では非正社員の人手不足割合が非常に大きく、2024年7月時点で67.5%、2025年7月時点で61.8%と改善しつつあるものの、業種別でみるとワースト2位の人手不足となっています。
また、人手不足の割合が7割以上となっているのは、旅館・ホテルと飲食店のみです。

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飲食店の正社員の人手不足の割合は55.9%と非正社員と比較して低い数値ですが、充足しているとは言い難い状況です。

また、マイナビキャリアリサーチラボが2025年7-8月のアルバイトの不足感上位の業種」について調査した結果、「飲食・宿泊」が56.7%と最も高くアルバイト人員の確保に苦慮している様子がうかがえます。

Q. 2025年7-8月 アルバイトの不足感上位の業種

【図5】<2025年7-8月>アルバイトの不足感上位の業種/マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2025年7-8月)」
マイナビ非正規雇用に関する企業の採用状況調査|マイナビキャリアリサーチラボ

コロナ禍以前の飲食店における人手不足の要因の多くは、休みや勤務時間が不規則であったり、営業時間外の業務が多かったりといった労働環境でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大以降は別の要因もさらにプラスされてしまい、非常に厳しい状況です。

ここまで人手不足が加速してしまった要因とはいったい何でしょうか。ここからは人手不足の要因について詳しく見ていきましょう。

人手不足の原因:離職率が高い理由とは

飲食店の人手不足の要因には、新型コロナウイルスの感染拡大が起きる以前から問題視されていたものと、感染拡大後に新たに発生したものとがあります。主に以下の内容です。

【飲食店の人手不足の原因】

■ 賃金が低い
■ 従業員の離職率が高い
■ 新型コロナウイルスの影響で他業界へ人材が流出
■ パート・アルバイトの103万円の壁

内容を詳しく見ていきましょう。

賃金が低い

2025年9月度の同レポートにおいても引き続き飲食・フードの全国平均時給は1,176円とワースト3位となっており、一番時給が高い職種「教育(1,656円)」との差は480円となっています。

【調査期間】2025年9月1日~2025年9月30日

【集計対象データ】弊社アルバイト情報サイト『マイナビバイト』に掲載された求人情報から、除外対象データを除き集計。

※除外対象:給与区分が時給以外、給与金額が3,001円以上、雇用形態がアルバイト・パート以外。

飲食店では非正社員が約8割を占めていると言われ、多くの人が低賃金で勤務していたことになります。現在は更に深刻な人手不足により、飲食店アルバイトの賃金は上昇しています。詳しくは後ほど見ていきましょう。

従業員の離職率が高い

従業員の離職率が高いことも人手不足の大きな要因です。

2025年10月に厚生労働省が発表した新規学卒就職者の離職状況によると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が 37.9% (前年比-0.5ポイント)、新規大学卒就職者が33.8% (前年比-1.1ポイント)でした。産業別で見てみると「宿泊業・飲食サービス業」は新規高卒者が64.7% (前年比-0.4ポイント)%、新規大学卒業者が55.4% (前年比-1.2Pポイント)でトップとなっており、他の業種と大きな差が出ていることがわかります。他業種に比べて新規採用者の離職率が高いことが伺えます。

新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業
 ( )内は前年差増減 ※「その他」を除く

高校 大学    
宿泊業・飲食サービス業64.7% (▲0.4P)宿泊業・飲食サービス業55.4% (▲1.2P)
生活関連サービス業・娯楽業61.5% (+0.5P)生活関連サービス業・娯楽業54.7% (+1.0P)
教育・学習支援業53.6% (+0.5P)教育・学習支援業44.2% (▲2.4P)
医療,福祉49.2% (▲0.1P)医療、福祉40.8% (▲0.7P)
小売業48.3% (▲0.3P)小売業40.4% (▲1.5P)
( ) 内は前年比増減  ※「その他」を除く

『新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者) 』|厚生労働省

『新規高卒就職者の産業別就職後3年以内の離職率』|厚生労働省

3年以内に半分近くが離職し、入れ替わりが多いことから、宿泊業・飲食サービス業ではノウハウが定着しにくい環境であることが想像されます。

他業種に比べて人手不足になるだけでなく、新人教育などが頻繁に起これば、業務効率も低下してより仕事が回らなくなり、悪循環が起こりやすくなるでしょう。

クレーム対応によるストレス

サービス業、接客業ではどうしてもクレーム対応をしなければならならい場合がありますが、これも離職の大きな要因です。特に、すでに人手不足であった場合、慌ただしい時間帯の苦情対応は大きなストレスであると共に、さらなる業務負荷、業務負荷からのミスによるクレーム発生など負の連鎖となりがちです。

こうした環境での業務遂行に心理的負担を感じて離職を希望するようになります。

コロナの影響で他業界へ人材が流出、倒産も……

新型コロナウイルスの感染拡大によって新たに発生した要因もあります。

感染拡大対策として行動などを制限する「緊急事態宣言」および「まん延防止等重点措置」が発令され、世間では外食控えが起こりました。緊急事態宣言は感染拡大の度に発令され約1年半もの間、継続しました。これにより飲食店では時短営業や休業が発生し、従業員の削減が必要になったり、雇用を維持できなくなったりしました。

東京商工リサーチによると、 2024年度の飲食業の倒産は1989年度以降、最多更新となりました。アフターコロナ、インバウンド需要などで客足が戻っていますが、各種支援策が終了したことや物価高が続き、厳しい状況が続いています。

解雇された従業員や経営不信から離職した人材は、安定した別業種を探して転職・流出しており現在も戻ってきていない状況です

▶出典:「飲食業」は客足とインバウンド需要で明暗分ける 2024年度の倒産は1989年度以降、最多更新へ

パート・アルバイトの103万円の壁

2022年から現在進行形で発生している賃上げラッシュにより、所得税控除内でパート・アルバイトが働ける時間が減ってきています。これは一番直近で発生した人手不足の要因を加速させる要因です。

日本企業で続々と起こっている賃上げは、人材確保が大きな理由です。今までの賃金では他との採用競争に負けてしまうため、上げざるを得ないという状況です。しかし賃金が上がることによって、別の問題が起きることになります。

それが家族の扶養に入りながら働く人々の所得税控除のボーダーライン「103万円の壁」です。

年収103万円を超過するとその分に所得税がかかり、控除の恩恵を受けることができません。また、場合によっては今までより手取り金額が減ってしまう場合があります。

そのため収入を103万円以内に納めたいと考えているパート・アルバイトで働く人たちは、勤務できる時間が減少してしまうのです。飲食店などではその分さらに人手が必要となってしまいました。現在この103万円の壁について法改正などが検討されていますが、それにはまだ時間がかかりそうです。

人手不足の解決策3選

では、人手不足に対して飲食店ができる対策にはどんなものがあるでしょうか。大きくは3つで、「労働環境の改善」「IT化・DX化による業務効率改善」「外国人の採用」が考えられます。

【人手不足の対策方法】

① 労働環境の改善
② IT化・DX化による業務効率改善
③ 外国人の採用

詳しく見ていきましょう。

賃金などの労働環境改善

労働環境についての改善は真っ先に行うべき対策です。環境を整えないまま雇用すると入社してもすぐに離職してしまい、結果として採用費用もかさんでしまいます。例えば以下のような改善が考えられます。

■ 有給休暇を取得しやすい環境に改善
■ 残業時間・業務量の見直し
■ 給与額の見直し

シフト制が多いため勤務時間が不規則な点ついては調整が難しい部分もあるかと思いますが、有給休暇の取得をしやすくする、残業時間の調整などができる仕組みを整えるだけでも違うでしょう。

また給与についてですが、飲食・フードの平均時給は改善しつつあるものの、他業界で見るとまだ低い現状です

長く働いてもらうためには現在の給与設定の見直しも必要かもしれません。

ITツールやAIの導入によるDX化で業務を効率化

人手不足は人材の採用によって補うだけでなく、別の視点からも並行して行うことも必要です。その一つとして、業務効率化のためのIT化・DX化があります。

■ セルフレジやセルフオーダーのシステム、ロボットによる配膳
■ モバイルオーダーシステムの導入
■ 予約管理業務を一元管理化する
■ 勤怠管理システムの導入

セルフレジやセルフオーダー、ロボットによる配膳、予約システム、など接客業務の効率化が進んでいます。またウーバーイーツなどのデリバリーが人気となったことでモバイルオーダーシステムの導入が進んだ店舗も増えました。

勤怠管理システムの導入なども盛んになっています。個人店でも導入可能な低価格のアプリなども普及し、利用しやすくなったことも大きな理由でしょう。

外国人やシニア層を採用する

足りない人数分を補充できればそれが一番の人材不足対策になることは明らかですが、採用競争が激化している中では難しいのが現状です。そこでシニア層などの採用を積極的に行うことが有効と言えます。

それでも人口減少を考えると、日本人を採用するだけでは今後の採用が難しくなっていくことは既定路線と言えます。そこで期待されるのが「外国人採用」です。すでに飲食店ではアルバイトなどでは外国人留学生が活躍しており、馴染みがある方も多いかもしれません。外国人にとって飲食店は「しっかり稼げる」という理由で人気の就職先になっています。

最新の外国人採用に関する情報が気になる方は以下の資料で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

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外国人であれば誰でも雇用できる?

外国人雇用は誰でも良いわけではなく、決まった「在留資格」を持った外国人を採用しなければなりません。

在留資格とは、外国人が日本に滞在して行う活動の範囲が決められているもので、外食分野で就労が可能な在留資格は限られています。

飲食店で働くことができる主な在留資格は、正社員であれば特定技能「外食業」、「留学(資格外活動許可)」、身分系(日本人の配偶者等)、技能です。それぞれの在留目的、就労に関する制限・注意点は以下の通りです。

在留目的就労に関する制限・注意点
特定技能「外食業」即戦力となる外国人労働者の雇用就労のための在留資格のため、日本人と同様の労働基準法範囲内で働くことが可能
留学(資格外活動許可)就学・本来、就労は認められていないため、別途入管から資格外活動許可を受けなければならない
・勤務時間は掛け持ちアルバイトも含め、計週28時間以内の制限がある
身分系日本人の配偶者等日本人と同様の労働基準法範囲内で働くことが可能
技能外国料理専門の店舗で調理師として働くこと一般的な日本の飲食店では雇用できない

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特定技能外国人は日本人同様に働くことが可能

飲食店で、日本人同様に就労できる在留資格は特定技能「外食業」です。特定技能は2019年に創設され、近年在留人数が増加しています。

下で詳しく解説します。

特定技能「外食業」とは?

特定技能は人手不足解消を目的として創設された「外国人が日本で就労するための在留資格」です。「特定技能」で受入れている分野は16分野あります。

外食」は16分野のうちの1つで、レストランなどの接客業務から調理・盛り付けなどの外食業とその関連業務に従事できる、外食専門の在留資格です。企業側の細かな要件はありますが、基本的には個人店でも全国展開をするチェーンでも雇用することは可能です。意外と知られていませんが、特定技能「外食業」ではデリバリー業務も主業務でなければ可能です。

ウィズコロナとなって飲食店が営業再開した2022年12月末時点で5,159人。2025年6月末時点では36,281人と3年間で7倍もの増加となり、今後もさらに加速していくことが想定されます。

必読! 特定技能「外食業」採用マニュアル

「外食業」で外国人採用を考えたら…
要チェック!特定技能採用マニュアル

外食業で特定技能外国人を雇用するために必要な情報を、1冊にまとめました。採用方法や手順、注意点も徹底解説。
これがあれば、初めての雇用でも安心です。

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▶特定技能「外食業」とは?飲食店で雇用する方法や業務を解説

留学生と特定技能の違い

飲食店やコンビニなどでアルバイトとして就労している外国人留学生は、もはや日本にとって欠かせない労働力となっていますが、勤務は週28時間以内と制限があることから、現在の人手不足をすべてまかなうことは難しいでしょう。

特定技能は基本的には正社員雇用、フルタイムならアルバイト雇用も可能です。日本人と同様に幅広い業務に対応を任せられます。

留学生は基本的に昼間は授業があるため、働けるのが夜になります。特定技能は基本的には正社員なので日本人の正社員と同じように働くことが可能です。

また特定技能外国人の在留期間は1号で最大5年、2023年に追加された2号を取得すれば、以降は在留期間の更新回数に上限なく日本で働けます。そのため、業務のスキルや店舗におけるノウハウを蓄積し、戦力となってもらうことが可能です。

単発的に人手が欲しければアルバイト雇用できる留学生、ノウハウをためながら中長期的に働く人材が欲しければ正社員雇用の特定技能の人材を雇用するとよいでしょう。

在留資格特定技能「外食業」留学
就労時間日本人と同等
(労働基準法は適用される)
上限28時間/1週間(掛け持ちアルバイト全ての合計)
昼間は授業、夕方~夜にかけてのみ働ける
勤務形態正社員・契約社員アルバイト・パート
レストランなどのホール業務から調理スタッフなど外食業とその関連業務に従事就労のためには「資格外活動許可申請」を法務省へ行う

特定技能「外食」が現在の深刻な人手不足において、非常に理にかなった在留資格であることがわかるのではないでしょうか。実際の採用事例などは、以下の資料に掲載しておりますのでぜひご活用ください。

外食業界 外国人採用成功事例集

飲食店の外国人採用事例集

どんな条件や業態で採用できるのかわからない……という方必見!地方の飲食店から大企業まで、特定技能を採用した理由や抱えていた課題、業務内容や採用のポイントがわかる事例集です。人手不足を解消するヒントにお役立てください。

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求人の募集方法

求人の募集方法は主に3つあります。

1つ目は、自社サイトや求人サイトに掲載をして募集をかける方法、2つ目は外国人紹介を扱う人材紹介会社へ依頼する方法、3つ目は既に雇用している外国人社員や知人の外国人から紹介してもらう方法です。

【求人の募集方法】

①自社サイト・求人サイト・SNSに掲載
②外国人紹介を扱う人材紹介会社に紹介してもらう
③外国人社員や外国人の知人から紹介してもらう

①の場合、募集の流れなどは日本人と変わりませんので難しい点がないこと、比較的、費用も押さえられます。ただし、採用後は自社で入管への手続きを行ったり、行政書士の手配をしたりする必要があります。

②の場合は費用はかかるものの、手間がかかる外国人特有の手続きや、日本語での意思疎通が難しい求職者とのやり取りを人材紹介会社にフォローしてもらうことができます。また、任せたい仕事に合致する在留資格や外国人のスペックの情報、求職者を集めるノウハウなども教えてもらえるでしょう。注意すべき点としては、信頼のおける紹介会社を選択するということです。残念ながら違法な就労を斡旋する会社も存在します。また、違法だと知らなかったとしても、紹介会社と共に不法就労助長罪で企業が摘発されてしまう場合があります。

③の場合、手続きなどは①同様に自社で行わなければなりませんが、既に知り合いの外国人が働いていることで定着しやすかったり、知人の紹介であることから事前に人となりを把握できたりします。在留外国人同士はSNSなどのコミュニティーが活発なため紹介してもらいやすい点もメリットです。

人材獲得競争は一刻も早い動き出しが重要

ここまで飲食店の人手不足の背景・原因から対策方法までを解説してきました。昨今の飲食店の人手不足は、一刻も早く解決しなければならない問題です。労働環境やIT化・DX化を進めることはもちろんのこと、人材の確保も早急に対策していきましょう。

他業種に人材が流出してしまった現在、日本人の採用には時間がかかります。外国人材なども視野に入れながら採用を始めていくことがお勧めです。

また、特定技能「外食業」の外国人の雇用をする飲食店が増加していることから、雇用が一般化した頃に初めて雇用を検討しても間に合わないことが想像されます。

外国人は就職先を決める際に外国人の同僚がいるかを重視する傾向にあります。海外で働くことをイメージすれば、似た境遇の人が職場にいたほうが困った時に相談しやすく、働きやすいことは想像に難くないでしょう。外国人材を早めに雇用し日本人従業員が外国人と働く土壌を早めに整えることで、継続的な採用や大量採用もしやすくなります。今がまさに始めどきです。