特定技能「外食」について徹底解説!デリバリー業務はできるの?

飲食店で働く人

今回は、特定技能「外食」の外国人が対応できる業務について解説するとともに、申請方法や雇用するまでの流れ、雇用するときに注意したいポイントについてもご紹介します。
また、特定技能「外食」の外国人は、新型コロナウイルスによって現在需要が伸びつつあるフードデリバリー業務に従事できるのか、といった疑問にもお答えします。

特定技能「外食」とは?

飲食店でコロナ禍も働く外国人

外国人が日本で働くためには、就労ビザが必要です。就労ビザには複数の種類がありますが、そのうちの一つが「特定技能」の「外食」分野(以下、特定技能「外食」)です。特定技能には、1号と2号がありますが、外食分野は1号のみです。

特定技能「外食」は、レストランのホール業務から、ラーメン店の調理スタッフなど、外食業とその関連業務をおこなうことができる在留資格です。

就労できる在留資格について、詳しい内容は過去記事を参照してください。

関連記事:在留資格の基礎知識|外国人を雇用する前に知っておこう!

また、特定技能の制度全体について、詳しい内容は過去記事をご覧ください。

関連記事:新在留資格「特定技能」についてわかりやすく解説。最新動向もチェック!

特定技能「外食」の制度ができた背景

日本の外食産業は、これまで人手不足の状況が続いてきました。厚生労働省のデータによると、平成30年の外食産業における有効求人倍率は「4.40」で、全産業の平均有効求人倍率である「1.62」と比べて大幅に高い数字であると言えます。

引用:外⾷業分野における新たな外国⼈材の受⼊れについて|令和2年7⽉ 農林水産省P1

この人手不足を解消するためには、外国人労働者の活躍が期待されています。しかし、現状、外食業に携わっている外国人は、永住者等を除くとほとんどが「専⾨的・技術的分野」または「留学⽣」のアルバイトです。これらの資格は取得難易度が高く、就労できる業務内容や時間数に制限があるため、より柔軟に対応できる資格が必要とされ、特定技能「外食」の制度が作られました。

特定技能「外食」の需要は拡大中

引用:特定技能在留外国人数の公表 _ 出入国在留管理庁令和2年12月末概要版P2

出入国在留管理庁の統計によれば、特定技能「外食」の外国人は2020年12月時点で累計998人となっており、今後も拡大していくと思われます。

参考:特定技能在留外国人数の公表 _ 出入国在留管理庁

現在、外食関連の求人数は例年よりも減っているものの、これはコロナウイルスの影響によるものと予想でき、一時的な落ち込みでしょう。外食産業は、本来求人数の多い業界であるため、コロナウイルスの収束にともなって求人数が回復した場合には、また人手不足に悩むことになる可能性があります。

特定技能「外食」で対応できる業務とは?

特定技能「外食」の外国人は、外食業に関わるさまざまな業務をおこなうことができます。

一例として、調理や接客、店舗管理や原材料の仕入れなどの業務全般をおこなうことが可能です。ホール業務もできますし、ホテル内のレストランや、病院などの給食施設で働くこともできます。

特定技能「外食」は、」他の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)のように、業務内容についての制限がほとんどありません。つまり、日本人を雇用する場合に近しい仕事ができるということです。

特定技能「外食」でフードデリバリーは可能?

特定技能「外食」の外国人が、業務内容のうちの一つとして、デリバリー業務を行うことは可能です。調理も接客もないデリバリーのみの業務に従事することはできません。

ちなみに、2021年現在、外国人にフードデリバリー業務のみをさせることは、その他の就労ビザにおいても不可能です。

参考:外食業分野における外国人材の受入れについて|農林水産省

幅広い仕事をこなせる特定技能「外食」は期待値が高い資格

外食に関わる様々な業務に対応でき、他の就労ビザに比べて申請のハードルが低い特定技能「外食」は、期待値の高い在留資格といえます。

実は、一般的なレストランやカフェなどで外国人をホール業務やデリバリーに従事させられる就労系の在留資格は、特定技能「外食」に限られます。

在留資格「技能」も外食業には従事できますが、外国料理の専門店などが対象であり、日本料理店では働けません。また、調理以外の業務にも基本的には従事できません。さらに申請のハードルもかなり高く、10年分の在職証明書が必要になることに加えて、職歴の中身も審査されます。

上記のような業務内容の制限がほとんどなく、幅広い仕事に従事でき、申請のハードルが比較的低いビザが、特定技能「外食」です。実際、そこまで難易度の高い調理ができなくても問題ない職場はたくさんあるでしょう。そのような職場では、むしろ特定技能「外食」の外国人の方が受け入れやすいと考えられます。

また、先述の通り、新型コロナウイルス感染拡大の影響でフードデリバリーの需要が増加しています。「新しい生活様式」が定着していくとともに、フードデリバリーの利用層は、今後も一定数以上あり続けるでしょう。

このような理由から、ホール業務もフードデリバリーも含めて幅広く対応できる特定技能「外食」は、今後も価値の高い資格となることが予想されます。

特定技能「外食」を取得する方法と雇用までの流れ

特定技能「外食」の在留資格を取得する方法と、雇用するまでの流れについてご紹介します。

「外食業特定技能1号技能測定試験」と「日本語能力試験」に合格する必要がある

特定技能「外食」を申請するためには、まず外国人本人が、以下の2つの試験に合格しておく必要があります。

①外食業特定技能1号技能測定試験(以下、技能試験)

技能試験は、「外食業」と「飲食料品製造業」の2種類に分かれており、このうち1つを選択して受験します。試験の内容は、外食業の仕事内容についての技能水準を問うものです。技能試験は、国内会場と、国外会場で実施されています。

②日本語能力試験

日本語能力試験に関しては、「日本語能力試験(N4以上)」または「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格することが必要です。

いずれの試験でも、実技試験はありません。試験の合格レベルについては、外食業で働くために必要な接客や調理、衛生管理についての知識と、業務に携わるうえで支障のないレベルの日本語能力が確認されたと考えてよいでしょう。

特定技能の試験制度全般については過去記事をで解説しています。

関連記事:特定技能の技能試験・日本語試験の合格者ができることとは?試験内容から能力・実態を解説 |

技能試験の合格率は?

特定技能「外食」の2020年度の国内試験(第2回)の結果によると、日本全国7都市合計で4,211名が受験し、1,979名が合格しており、合格率は47.0%となっています。

また、2020年から2021年1月までの国外実施試験については、1,024名が受験し560名が合格しました(合格率55%程度)。

合格率7割超え(海外実施試験は国によって異なるが合格率はおおむね5割以上)の特定技能「介護」と比べると、合格はやや難しい印象です。

特定技能「外食」の外国人を雇用するまでの流れ

ここでは、「海外にいる外国人を日本に呼び寄せて雇用する場合」における流れを説明します。なお、上述したように、外国人本人があらかじめ試験に合格しておく必要があります。

「特定技能雇用契約」を締結する

企業はオンライン面接などを行い、採用する外国人を決め、「特定技能雇用契約」を結びます。

「1号特定技能外国人支援計画」を作成する

「1号特定技能外国人支援計画」は、外国人がスムーズに業務に従事し、問題なく日常生活を送れるように、企業が外国人に対して実施するサポートを計画したものを指します。作成した支援計画書は外国人本人に写しを交付し「十分に理解した」という署名をもらいます。そのため、内容は外国人本人が理解できる言語で説明する必要があります。

事前ガイダンスを実施する

企業が外国人に対してテレビ電話などにより事前ガイダンスを実施し、健康診断を受診させます。

在留資格を申請する

企業が在留資格認定証明書交付申請書を提出し、特定技能「外食」を申請します。提出先は、管轄の出入国在留管理庁となります。この際、健康診断の診断書も必要です。

「在留資格認定証明書」を外国人に郵送する

審査が通ると、「在留資格認定証明書」が交付されますので、交付されたら海外にいる外国人本人に郵送します。

外国人が現地で査証(ビザ)を申請する

外国人が「在留資格認定証明書」を現地の日本大使館などに提出し、「査証(ビザ)」を申請し、受け取ります。

外国人が来日し、就労スタート

外国人が査証と在留資格認定証明書を持って来日し、就労する流れになります。在留資格認定証明書の有効期限は、発行から3か月以内です。

特定技能「外食」の外国人を雇用するために企業がすべきこと

特定技能「外食」の外国人を雇用するために企業がすべきことは、まとめると以下の通りです。

  • 食品産業特定技能協議会へ加入すること
  • 外国人の支援を登録支援機関に委託する(または支援を自社でおこなう)こと
  • 1号特定技能外国人支援計画を策定すること

このほかに必要な条件は、過去の記事で解説しましたので、参考にしてください。

関連記事:新在留資格「特定技能」についてわかりやすく解説。最新動向もチェック!|外

違法にならないために注意すべきこと

特定技能「外食」の外国人を雇用するときには以下の点に注意しましょう。たとえ知らなかったとしても、違法になってしまうことがあります。

特定技能「外食」で従事できない業務・形態がある

特定技能「外食」の外国人は、直接雇用する必要があり、派遣では雇うことができません。

また、風俗営業法に規定される店の場合、接待はもちろん不可ですが、調理業務、接客もできないため、そのような店では外国人を雇用することができません。

特定技能「外食」の外国人の賃金は日本人と同等である必要がある

報酬は、日本人と同等でなければならなりません。日本人と同じ業務であるにもかかわらず「外国人だから」という理由で安い給料を設定することはできません。

外国人の賃金について注意すべきポイントをまとめた記事がありますので、参考にしてください。

関連記事:【解説】違法?外国人労働者の賃金で注意すべきポイント|最低賃金・税金|外国人採用サポネット マイナビグローバル

まとめ

日本の外食産業は慢性的な人手不足の状況にあり、外国人材の需要が非常に高いことが特徴です。コロナウイルスの影響によって一時的に求人数は減っているものの、「新しい生活様式」の定着に伴って、デリバリーの需要が増えることも予想されます。そのため、デリバリーを含むさまざまな業務に従事できる特定技能「外食」は、今後も重宝される資格と言えるでしょう。

飲食店のスタッフとして外国人を雇用し、調理やホール業務、デリバリーなどの幅広い業務を任せたいのであれば、特定技能「外食」を検討してみてはいかがでしょうか。

また、特定技能「外食」の外国人を飲食店で雇用したい場合、違法にならないために、雇用形態や業務内容・給与の水準に注意しましょう。