登録支援機関の委託は必須か?役割・選び方・特定技能外国人の支援内容を解説

特定技能の外国人を受け入れるとき、「登録支援機関に委託すべきか?」、「どこまで委託すべきか?」という点に悩むご担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、特定技能における登録支援機関とはどのような役割を持つのかを説明するとともに、「委託は必須なの?」といった、登録支援機関に関する疑問にお答えします。

登録支援機関とは

まず、特定技能の制度には、「特定技能外国人」受け入れ機関特定技能所属機関)」「登録支援機関」の3つの主体が存在します。

受け入れ機関特定技能所属機関)」は、特定技能の外国人を受け入れる機関(企業)を指します。詳しくは後述しますが、受け入れ機関(特定技能所属機関)には、外国人が業務や日常生活を円滑に行えるように、支援することが義務付けられています。

「登録支援機関」は、企業(受け入れ機関(特定技能所属機関))に代わって特定技能外国人を支援するための機関で、出入国在留管理庁長官の登録を受けた事業者です。実態としては、支援体制が整った業界団体や、民間法人、行政書士、社労士など幅広い事業者が登録支援機関として活動しています。

特定技能外国人を受け入れる企業(受け入れ機関(特定技能所属機関))が支援すべき内容は多岐にわたり、専門的な内容も含まれるため、自社ですべての支援を行うことが難しいケースも多々あります。そのような際に、支援を委託できるのが、「登録支援機関」というわけです。

新たな在留資格「特定技能」について|厚生労働省

登録支援機関の義務

登録支援機関には以下の2点の義務があり、怠った場合は、登録取り消し処分となります。

  1. 外国人への支援を適切に実施
  2. 出入国在留管理庁への各種届出

受け入れ機関(特定技能所属機関)は支援計画を作成する必要がある

受け入れ機関(特定技能所属機関)は、外国人支援計画を立て、支援を適正に実行する必要があります。

支援計画については、登録支援機関に作成を依頼することはできませんが、作成のアドバイスといったサポートを依頼することはできます。

計画は1から決めるのではなく、指定様式にかなりの部分がまとまっており、日程や担当者など、必要な項目を記入していくようになっています。

参考:法務省|1号特定技能外国人支援計画書

特定技能外国人に対して行うべき支援とは

入管法では、受け入れ機関(特定技能所属機関)は特定技能1号の外国人に対して、支援計画を適切に実施することが定められています。これは義務であり、必ず実施しなければなりません。なお、特定技能には2号特定技能外国人もありますが、こちらへの支援は義務ではありません。

ここでは、具体的な支援内容を一覧表で解説します。

空港まで迎えに行ったり、日本人と交流の機会を作ったりするなど、かなり細かい支援が求められることが分かります。

特定技能外国人に必ず行わなければならない義務的支援

事前ガイダンス

業務の内容や労働条件に関すること、日本で行える活動の範囲などについて説明します。
外国人支援に関する支援について、外国人本人から料金を徴収しないこと、外国の機関に払っているお金についての確認などもします。

出入国送迎

入国の場合、到着空港から、特定技能所属機関(受け入れ機関)の事業所までの送迎を行います。出国する際は、出発空港の保安検査場の前まで同行し、入場を見届ける必要があります。

住宅確保

不動産業者、賃貸物件に関する情報提供の他、必要に応じて外国人に同行して住居探しを行います。
適切な連帯保証人がいない場合は、連帯保証人になることもありますし、受け入れ機関(特定技能所属機関)が緊急連絡先となるケースもあります。部屋の広さは、原則として一人当たり7.5㎡以上必要です。

生活オリエンテーション

金融機関、医療機関、交通ルールや生活ルール、生活必需品の購入まで、最低8時間以上の情報提供を行います。

公的手続き

外国人がしなければならない様々な手続きについて、必要に応じて同行・補助をします。所属機関に関する届け出、住居地に関する届け出、在留資格に関する手続き、社会保障や税に関する届け出等があります。

日本語学習

日本語教室や日本語学校の情報の提供を行います。自主学習のためのオンライン日本語講座や日本語教材についても同様です。また、利用契約の締結の補助や、入学手続きの補助を行います。

相談・苦情対応

外国人から相談や苦情を受けた場合は適切に対応し、必要な指導や助言を行います。また、必要であれば関係行政機関へ案内し、同行や手続きの補助を行います。

交流促進

地方公共団体やボランティア団体等が主催する地域の行事に関する案内を行います。必要に応じて現地に同行し説明もします。

転職支援

受け入れ機関(特定技能所属機関)が倒産などの事情により特定技能雇用契約を解除する場合、
次の受け入れ先を探す補助をします。

定期的面談

外国人と外国人の監督者(上司など)による、3か月に1回以上の定期的な面談。
生活オリエンテーションの内容を再確認したり、働いている環境を確認し、もし労働関係法令に違反していると思われる場合は、関係行政機関へ通報します。資格外活動や、在留カードの取り上げ等の問題が発生した時は、出入国管理局へ通報します。

一番大変な支援は「事前ガイダンス」

義務的支援のうち、もっとも手間がかかるのが「事前ガイダンス」です。具体的には、以下の3点が重要なポイントになります。

  1. ガイダンスは3時間程度実施する必要があり、それより短い時間であってはならない。
  2. 相手が理解できる言語で実施する必要があり、それ以外の言語でおこなってならない。
  3. 在留資格に関して、取り寄せる資料や手続きにかんする事項などを、外国人本人が理解できる言語で説明しなければならない。

なお、ガイダンスは必ず「対面」または「テレビ通話」によって実施する必要があり、郵送による文書での説明や、メールでの説明は認められていません。これらの点をクリアするためには、人材を揃えなくてはいけませんし、時間も手間もかかります。

特定技能外国人に行うことが望ましい任意的支援

事前ガイダンス

入国時の日本の気候、服装についての情報、受け入れ機関(特定技能所属機関)等から支給されるものの案内、入国後、当面必要となる費用についての説明など。

住宅確保

特定技能雇用契約が解除された後、次の受け入れ先が決まるまでの間、住居を確保すること。

日本語学習

支援責任者による日本語指導、日本語能力試験の受験支援や資格取得者への優遇措置を作ること、受講料の補助など経済的支援を行うことなど。

相談・苦情対応

相談窓口の一覧表を作ってあらかじめ渡しておくなど。

交流促進

外国人が交流イベントへ参加を希望する場合に、有給休暇をとりやすくしてあげるなど。

このように、外国人支援の内容は多岐に渡り、時間も費用も必要であることが分かります。

なお、企業としては、支援費用を労働者に請求したくなるかもしれませんが、費用を労働者側に負担させることは認められていません。

特定技能外国人への支援業務を登録支援機関に委託するか?自社で行うか?

特定技能外国人を受け入れる企業(受け入れ機関(特定技能所属機関))としては、登録支援機関にすべての支援を委託しなければならないケースと、委託の有無を選べるケースがあります。

①すべての支援を委託しなければならない場合

⇒直近2年間に外国人労働者の受け入れ実績がない、生活相談に従事した役員・職員がいない場合

そもそも、外国人労働者(労働系の在留資格によって就労した外国人)を直近の2年間で受け入れた実績が自社にない場合、特定技能所属機関(受け入れ機関)の要件を満たせません。また、支援責任者・支援担当者についても、直近の2年間に外国人労働者の生活相談業務に従事した経験がなければいけません。

加えて、先ほど紹介した「必ず行わなければならない義務的支援」をすべて実施できる体制も整える必要があります。

つまり、初めて外国人労働者を受け入れる会社の場合は、そもそも受け入れ機関(特定技能所属機関)としての要件を満たせないため、支援の委託が必須になるということです。

外国人に対して日常や業務に関する支援を行うにはそれなりの経験が必要です。また、支援計画を外国人の母国語などで説明してあげるだけの語学力も備えていなければなりません。

現実的に考えても、それだけの業務に対応できる職員を社内で確保できる会社は少ないのではないでしょうか。

参考:電子政府の総合窓口e-Gov|「平成三十一年法務省令第五号特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」

②自社で行うか、委託するか選べる場合

⇒支援実施体制・計画づくりといった条件クリアできる場合

外国人受け入れの実績があること、支援責任者・支援担当者の設置から、適正な支援計画の実施といった支援体制が整っている企業の場合は、委託するかどうかを選択できます。

すべてを登録支援機関に委託しても良いですし、自社で人手が足りない部分を委託するというのも一つの方法でしょう。

一部を委託する場合には、支援計画の中での委託範囲を明らかにしておく必要があります。

特定技能外国人への支援の内製化は可能か?

支援を内製化するには、過去2年間において外国人労働者の受け入れ実績があることが必要です。また、外国人との意思疎通のために通訳を雇う必要も出てくる可能性があります。多くの企業において、自社内でそれらの人材をアサインすることは難しいですし、通常業務と並行して行わなければならない点も現実的ではありません。

まとめると、企業が支援の内製化をするためには、以下の課題があるということです。

  1. 準備のための時間がかかる
  2. 言語対応できる人を用意する人的コストがかかる
  3. 義務支援の場合は法令に準拠して行わらなければいけない。きちんと理解しないまま実施すると、法令違反リスクがある

これらの手間や条件があるなかで、企業が内製化に対応することは難しいと考えられます。外国人受け入れの実績があり、支援を確実に継続できる企業以外は、内製化はおすすめできないと言えるでしょう。

登録支援機関を選ぶ際のポイント

ここでは、支援を委託する登録支援機関について、選び方のポイントをご紹介します。

登録支援機関になれる企業・団体、要件とは

特定の要件を満たせば、団体でも個人でもなることができます。登録要件を満たした上で出入国在留管理庁に届出を行います。

登録を受けるための基準
① 機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
② 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)

新たな外国人材の受入れについて(概要)

要件の詳細については下記URLから確認できます。

『新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組』P30 登録支援機関の登録拒否事由

登録支援機関の登録申請|出入国在留管理庁

営利法人でも申請に通れば、登録支援機関になることができます。たとえば以下のような企業・団体が登録支援機関になることができます。

  • 技能実習の監理団体
  • 人材紹介など人材関連事業者
  • 行政書士・社労士事務所などの士業
  • その他、外国人支援サービスが整っている業者、団体

また、【登録支援機関の登録拒否事由|出入国在留管理「在留資格「特定技能」について」】の「登録拒否事由」に該当しなければ、個人であっても登録が認められます。

登録支援をサービスメニュー化している支援機関を探す

登録支援機関の中には、きちんと支援の企画を作っているところと、そうではないところがあります。「登録支援機関として登録はしているものの、サービスとして確立されていない」ケースも少なくありません。

名前ばかりの登録支援機関ではなく、実際にサービスメニュー化されている登録機関を選ぶと安心です。

登録支援機関が外国人の母国語に対応できるかどうか

外国人の支援については、コミュニケーションの行き違いを防ぐため、できる限り外国人の母国語で対応できることが望ましいです。したがって、雇用する外国人の母国語に対応しているかどうかは、登録支援機関を選ぶ際のポイントになります。

さらに、以下の項目を検討してください。

  • 通訳・翻訳はどれくらいのスタッフがいて、どの範囲まで対応できるのか?
  • 受け入れる外国人と似たようなパターン(国、年齢、業務内容など)でのマネジメントやコミュニケーションの実績があるか?

費用が適正に設定されているか

特定技能外国人を受け入れる限り支出し続ける費用ですが、安ければいいというわけではありません。コンプライアンスを遵守しているかを第一に検討したうえで、適正な価格であるかどうかを考えてください。

費用自体は登録支援機関ことに様々ではありますが、複数の機関に見積依頼をすると平均価格がみえてくるでしょう。

最近では、外国人材の紹介と支援業務がセットになっていて、比較的安い価格でサービスを行うところもあります。

まとめ

今回は、特定技能外国人に対して、そもそもなぜ支援が必要なのか、支援を自社で行えるのか委託するべきなのか、といった点についてご紹介しました。

支援を内製化できる企業(受け入れ機関(特定技能所属機関))は、過去2年間に外国人受け入れの実績があり、さらに外国人支援にコストや職員を投入できる企業に限られるでしょう。外国人労働者の受け入れ実績がない場合や、内製化が不安な企業は、登録支援機関に全部を委託することで、外国人支援を適性に行っているとみなされます。登録支援機関を選ぶ際は、自社が採用する特定技能外国人の支援について、体制・実績面で十分可能なのか、費用は見合っているかなどを検討しましょう。

特定技能外国人の採用を考える際、登録支援機関は非常に重要です。ポイントを押さえ、自社にあった登録支援機関を選びましょう。