【事前ガイダンス虎の巻】特定技能外国人に行うべきガイダンスと注意点を紹介
特定技能外国人を雇用する際、必須の支援があります。今回はその必須支援のひとつである事前ガイダンスについて解説していきます。
実施方法、行うべき内容、実施の際に注意しなければならないことを詳しく紹介した虎の巻になっていますので、受け入れを検討している企業担当者の方は、参考にしてみてください。
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監修:行政書士/近藤 環(サポート行政書士法人)
在留資格に関するコンサルティング業務を担当。2019年に新設された「特定技能」も多数手がけ、申請取次実績は年間800件以上。 行政書士(東京都行政書士会所属 /第19082232号)
事前ガイダンスとは?
事前ガイダンスについて説明をする前に、まずは特定技能の支援制度について説明しましょう。
特定技能制度で外国人材の受け入れを行う場合には、特定技能所属機関(受け入れ機関)である企業が、外国人支援計画を立て、外国人材が業務や日常の生活をスムーズにおこなえるよう支援を行う義務があります。
支援について、出入国管理庁には以下のように記載されています。
1 受入れ機関が外国人を受け入れるための基準
① 外国人と結ぶ雇用契約が適切(例:報酬額が日本人と同等以上)
② 機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
③ 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
④ 外国人を支援する計画が適切(例:生活オリエンテーション等を含む)2 受入れ機関の義務
新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組|出入国在留
① 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行(例:報酬を適切に支払う)
② 外国人への支援を適切に実施 → 支援については,登録支援機関に委託も可。全部委託すれば1③も満たす。
③ 出入国在留管理庁への各種届出
(注)①~③を怠ると外国人を受け入れられなくなるほか,出入国在留管理庁から指導,改善命令等を受けることがある。
外国人支援に関しては、上記の1の③④、2の②が該当します。外国人支援を行う計画は「1号特定技能外国人支援計画」と言います。支援については、自社ではなく登録支援機関に委託をすることも可能です。
この支援計画に含めなければならないものの1つが「事前ガイダンス」です。事前ガイダンスでは、特定技能外国人に対して、雇用契約や活動内容・日本に在留する際の注意点・入国や在留資格の変更に関する事項の説明や確認などを行います。
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事前ガイダンスの実施方法
事前ガイダンスは、対面またはWEB会議ツールやテレビ電話などで本人確認を行って実施する必要があります。メールや文書などは認められません。また実施後には、外国人材が事前ガイダンスの確認書にサインをする必要があります。
確認書は以下のURLから取得できます。
義務的支援と任意的支援とは
この事前ガイダンスを含む特定技能外国人の支援には「義務的支援」と「任意的支援」の2つがあります。文字通り、必ず行わなければならないものが義務的支援、行うことが望ましいとされるものが任意的支援です。
事前ガイダンスは義務的支援の一つです。更に事前ガイダンスの中にも「義務的支援」と「任意的支援」の2種類があります。
これらは1号特定技能外国人支援に関する運用要領に定められています。
では、事前ガイダンスで説明しなければならない義務的支援と、行うことが望ましいとされる任意的支援にはどんなものがあるのでしょうか。
義務的支援の事前ガイダンス
特定技能外国人に対して、説明と確認を行うべき事前ガイダンスの義務的支援は以下の内容です。
業務内容や報酬額、どの他の労働条件に関する事項の説明
雇用形態や業務内容、就業場所や給与、労働条件などを、丁寧に説明します。雇用条件書の内容を説明すると考えてください。
日本語能力によっては会社名や勤務地などの基本的なことが覚えづらいことがあるので、特定技能外国人が十分に理解できる言語で丁寧に説明しましょう。
日本で行うことができる活動内容についての説明
行うことができる活動内容とは、取得した在留資格で可能な業務のことです。特定技能で行える業務とできない業務などを説明します。許可されていない業務をおこなうことは、不法就労になり、企業も罰せられることがありますので、きちんと説明をしましょう。
新規入国または、在留資格変更にあたって必要な手続きに関する説明
海外から日本へ来る場合は入国前の手続きを、すでに日本国内在住の場合は在留資格変更の手続きを行う必要があります。必要な手続きは出入国在留管理局での在留資格認定証明書の交付申請やビザの申請、在留資格変更許可申請、在留カードの受け取りなどです。
在留資格認定証明書の申請方法は以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
また、在留資格の変更手続きについては下記の記事で詳しく解説しています。
保証金の支払い、違約金契約は不可であることの説明
現在時点で保証金や違約金等に関わるような契約をしておらず、今後もしてはいけないということを説明・確認します。受け入れ企業はもちろん、仕事の斡旋などをおこなった会社との契約もしてはいけないことを説明します。例えば、契約期間より早く退職をした場合に違約金を払う、などです。
入社のための準備費用や申し込み取次ぎ機関などに費用を支払う場合は、内容や金額を了承しているかの確認
特定技能外国人が、自国の送り出し機関などに、仕事の紹介料などとして金銭を支払っている場合があります。その場合、支払い内容の詳細や日付を確認し、本人が本当に了承したのかを確認します。
支援の費用を、特定技能外国人に負担させることはできないことの説明
特定技能の活動に関わる義務的支援の費用は、外国人本人ではなく企業が負担をしなければなりません。これは決められていますので、本人にも説明をします。
入国時は、到着した空港や港から、居住地または職場までの送迎がサポートされることの説明
すでに日本に在住している場合(在留資格の変更を行う外国人材の場合)、上記は必要ありません。
受入れ機関に、仕事上や日常生活等に関する相談や苦情の申し出ができることの説明
受入れ機関は、特定技能外国人が仕事や日常生活などに関して、相談・苦情を言うことができる窓口設置の義務があります。このような窓口があること、相談方法や連絡先、受付時間などについて特定技能外国人に説明をします。
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任意的支援の事前ガイダンス
特定技能外国人に対して、行うことが望ましいとされる、事前ガイダンスの任意的支援は以下の内容です。
日本の気候や季節にあった服装についての説明
日本の四季や、それにあった服装などを説明します。日本のように四季がない国もありますので、これから生活していくうえで必要な情報です。
本国から持参可能な物と持参してはならない物の説明
母国では問題ないものでも、日本に持ち込んではならないものがあります。知らずに持ち込もうとして、空港等で拘束されてしまわないように注意が必要です。
当面の間、必要となる費用と金額についての説明
当面必要になる費用をあらかじめ説明します。例えば、住居の契約をする場合の費用などです。
受入れ機関から支給される物についての説明
例えば制服や作業着など、入社後に支給され、自分で用意する必要がないものについて説明します。
事前ガイダンスの注意点
事前ガイダンスを行うにあたって、注意する点がいくつかあります。
特定技能外国人本人が、きちんと理解できる言語で説明を行う
事前ガイダンスは、特定技能外国人本人にきちんと理解してもらう必要があるため、本人の言語能力にあわせて行う必要があります。日本語を十分に理解できない場合、母国語で説明をおこなわなければなりません。
社内でその言語に精通した担当者が説明を行うか、通訳を用意する必要があります。
事前ガイダンスは3時間以上の実施が必要
上記同様、特定技能外国人に内容をきちんと理解してもらう必要があるため、3時間以上の実施が義務付けられています。時間を短縮してはいけません。また、特定技能の在留資格認定証明書交付申請を行う際、きちんと実施されているかの確認が行われます。
海外から入国する人材と、日本在住の人材では説明事項が異なる
来日して日本で働こうとしている特定技能外国人と、すでに日本に住んでいて在留資格変更で働こうとしている特定技能外国人では、説明・確認すべき事項が変わります。
例えば手続きについてであれば、新規入国では在留資格取得の手続きの説明ですが、国内在住者の場合は在留資格変更の手続きについて説明しなければなりません。住居サポートについても必要ない場合があります。
このように、特定技能外国人の状況にあわせて適切な説明と支援を計画し、実施しましょう。
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まとめ
今回は、事前ガイダンスとその内容について解説しました。
事前ガイダンスの義務的支援については、正しく確実に行う必要があります。これは義務だからというだけでなく、確認を行うことでトラブルを回避するためにも重要な役割を持っています。
日本の法律や制度、文化に詳しくない外国人材に対して、適切な説明を行わない場合、思わぬトラブルが起こってしまうことがあります。トラブルによっては離職や帰国を余儀なくされることもあるでしょう。
外国人材と良好な関係を築き、長く働いてもらうためにも、事前ガイダンスはきちんと実施していきましょう。
マイナビグローバルは登録支援機関として、人材のご紹介と併せてこれらの支援を行うことができます。母国語を使用しての実施も可能です。
過去に外国人雇用の実績がない、支援体制が整っていないなど、お困りの際はぜひご相談ください。