在留資格変更手続きについて解説!「留学」から就労ビザへ切り替えよう

日本で学ぶ留学生のイメージ

留学生として日本で学んできた外国人を雇用する場合は、在留資格を変更しなければなりません。
今回は、留学ビザから、就労ビザ代表格の「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」へ切り替えるための手続きの方法や必要書類について解説します。

留学生を雇用するときは在留資格の変更が必要

外国人留学生のイメージ

留学生は、原則として留学ビザのままでは働くことができません。「資格外活動」の許可を受ければパートやアルバイトなどの短時間の労働はできますが、週28時間以内の上限があります。

つまり、留学生を正社員として雇用する場合は、在留資格を「留学」から、就労可能な在留資格に変更する必要があります。就労可能な在留資格の代表例としては、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などが挙げられます。

就労できる在留資格について、詳細が知りたい場合は過去記事を参考にしてください。
▶関連記事:在留資格の基礎知識|外国人を雇用する前に知っておこう!

なお現在、新型コロナウイルスの影響より、本国への帰国が困難になってしまった技能実習生や、特定技能への変更に時間がかかっているケースを考慮して、延長措置が特例的に行われています。現場では柔軟に対応されているようですので、従来の方法では支障がある場合は出入国在留管理局に問い合わせてみてください。

参考:新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた技能実習生の在留諸申請の取扱いについて|出入国在留管理庁

在留資格を変更するための手続きとは

在留資格変更の手続きイメージ

留学ビザから就労できる在留資格に変更するためには、「在留資格変更許可申請」を行います。

在留資格変更許可申請は、基本的には外国人本人が最寄りの地方出入国在留管理官署へ出向いて申請します。

申請するタイミングでは、お金はかかりませんが、在留資格の変更が許可される際に4,000円分の収入印紙が必要です。審査期間について詳しくは後述しますが、審査に時間がかかることに加え、企業側が用意すべき書類も多いため、4~5ヶ月くらい前から書類の準備をスタートしておく必要があります。

必要な書類は在留資格によって異なる

申請書は在留資格に応じて使用する様式が異なるため、変更したい在留資格に合わせた様式をダウンロードして使用します。

法務省の「在留資格変更許可申請書」のページからダウンロードすることができます。

【留学ビザ→技術・人文知識・国際業務】申請するための条件と必要書類

技術・人文・国際業務の在留資格で働く外国人のイメージ

ここでは一例として、「留学ビザ」から、就労ビザの代表例である「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合の要件と書類についてご紹介します。

技術・人文知識・国際業務に変更するために必要なこととは

在留資格の変更にあたって、押さえておくべき要件をまとめると以下のとおりです。

  • 職務に関連する学歴や職歴がある
  • 専門的な知識を必要とする業務内容である(単純労働をメインの業務として行うことは認められていない)
  • 給料は日本人と同じかそれ以上の水準である
  • 企業と外国人との間で雇用契約等が結ばれている
  • 企業の経営状態が安定していて安定的に外国人を雇用できる見込みがある
  • 外国人本人は犯罪などをしていないこと

技術・人文知識・国際業務の在留資格は、主に大学などの高等教育機関を卒業した外国人が、日本で専門知識や技術を活かしながら働くための在留資格です。そのため、外国人本人の学歴や学んできた内容と、これからする仕事内容が関連していることが必須となります。

用意する書類が多いので早めに着手を

在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更を申請するためには、外国人が学んできた内容と、予定している仕事の内容が関連していることを証明するために、企業側が多くの書類を準備する必要があります。

企業側が用意する書類

必須書類は以下のとおりです。

  • 4種類の企業カテゴリーのうち、自社がいずれかに該当することを証明するための書類

※企業カテゴリーの詳細はこちらから。

  • 【任意】雇用理由書
  • 労働条件通知書もしくは雇用契約書

上記の他に、企業のカテゴリーに応じて、追加で必要となる書類があります。詳しくは後述します。

また、「②雇用理由書」については任意ですが、審査に適合するための重要な役割があります。「なぜその会社がその外国人を雇用する必要があるのか」、また「外国人が担当する仕事の内容は本当に技術・人文知識・国際業務の在留資格に適合しているのか」を説明するためにとても有力な書類です。ぜひ添付することをおすすめします。

留学生側が用意する書類

  • 在留資格変更許可申請書 1通
  • 写真(縦4cm×横3cm) 1葉……無帽・無背景で鮮明かつ申請前3か月以内に正面から撮影されたもの。
  • パスポート及び在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含む。)を提示
  • (日本の専門学校を卒業した場合)専門士または高度専門士の称号が付与されたことを証明する文書 1通
  • 学歴および職歴など外国人本人の経歴を証明するための履歴書などの書類(学歴については、卒業証明書や卒業証書、学位証など、職歴の場合は在職証明書などのコピーを提出)

留学生側が準備する書類の中で、重要になるのが「⑤学歴などを証明する書類」です。たとえば卒業証明書を提出しても、学校で勉強した内容とこれから就く業務内容の関連性が認められないと、追加資料の提出を求められたり申請が不許可になったりすることがあるためです。

審査がスムーズになるように、「成績証明書」や、「カリキュラムがわかる書類(学校や専攻コースのパンフレットなど)」、「取得した資格の証明書」のコピーなども提出すると良いでしょう。特に決まった形式はありませんが、勉強した内容と業務内容とが密接に関連していることが、第三者の目から見て分かりやすい資料を集めてください。

参考:法務省|人文知識・国際業務

「企業カテゴリー」に応じた書類を用意しよう

技術・人文知識・国際業務の在留資格を申請するときの特徴の一つは、企業の規模などによってカテゴリー分けされており、それに応じて用意する書類が異なることです。一般的に、大企業や社会的に信頼されている団体などは、用意すべき書類の量は少なく、小規模企業や設立したての企業の場合ほど、用意すべき書類の量が多くなります。

まずは自社がどのカテゴリーに分類されるのかを以下の表で確認し、それに応じた書類を準備しましょう。

カテゴリー当てはまる企業必要な書類
カテゴリー1日本の上場企業や、国・地方公共団体、独立行政法人など。
イメージとしては、比較的大規模な企業や、
社会的信用のある団体、
日本政府から認定を受けている企業などが当てはまる。
◆カテゴリーを証明する書類
(その他の書類は原則不要)
カテゴリー2前年分の給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上ある企業や
個人、または在留申請オンラインシステムの
利用申出の承認を受けている機関。
イメージとしては、カテゴリー1に次いで規模の大きい企業。
◆カテゴリーを証明する書類
(その他の書類は原則不要)
カテゴリー3前年分の給与所得の源泉徴収票等が提出されており、
源泉徴収税額が1,000万円未満の企業や個人。
◆カテゴリーを証明する書類
  +
◆外国人本人の活動内容を証明する書類
◆外国人本人の学歴や職歴などを証明する文書
◆企業の事業内容を明らかにする資料
◆企業の登記事項証明書企業の決算文書の写し
カテゴリー4カテゴリー1〜3のいずれにも該当しない企業や個人。
イメージとしては、設立したばかりで、
社会的信用がまだ低い企業などが当てはまる。
◆カテゴリー3と同様の書類
(新設企業の場合は、決算文書のかわりに事業計画書を提出)
  +
◆ 前年分の給与所得の源泉徴収票等を提出できない理由を
 明らかにする書類
参考:法務省|人文知識・国際業務

カテゴリー3と4の企業の場合は用意すべき書類の量が多いので、準備期間を長めに見積もる必要があります。

カテゴリーを証明する書類とは?

カテゴリー1~4に共通する書類として「カテゴリーを証明する書類」がありますが、カテゴリーによって認められる書類が異なります。

  • カテゴリー1……四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)、主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)など
  • カテゴリー2……前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)、在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)
  • カテゴリー3……前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
  • カテゴリー4……なし

【留学ビザ→ 特定技能】申請するための条件と必要書類

特定技能「介護」で働く外国人のイメージ

次に、「留学ビザ」から「特定技能」へ在留資格を変更する場合の要件や、必要書類について説明します。

特定技能の基本知識について知りたい方は、過去の記事を参照してください。

▶関連記事:新在留資格「特定技能」についてわかりやすく解説。最新動向もチェック!

特定技能に変更するための条件とは

留学ビザから特定技能に在留資格を変更するためには、まず外国人本人が「①日本語試験」と「②技能面の試験」の2つの試験に合格する必要があります。試験に合格しない限り、手続きを進めることができません。

日本語試験は、「国際交流基金日本語基礎テスト」、もしくは「日本語能力試験」から選ぶことができ、技能面の試験については、各分野によって内容が異なります。

学歴要件や実務要件がないため採用がしやすい

特定技能は、技術・人文知識・国際業務と違い、学歴と業務内容との関連性が求められるわけではないため、採用がしやすいと言えます。留学生のなかには、最終学歴が日本語学校や、専修学校、専門学校で、業務内容とあまり関係のない専攻の場合なども考えられます。特に、ビジネス系の専門学校など、何を専門としているのかが漠然としがちな分野については、業務との関連性を証明することが難しくなります。

しかし、特定技能であれば最終学歴は関係なく、該当分野の試験に合格していれば良いため、これまで技術・人文知識・国際業務としては在留資格を取りづらかった留学生も採用の視野に入れることができます。

特定技能に変更するための必要書類

特定技能の場合は、「外国人支援」に関する書類や、「試験合格を証明する書類」が必要になることが特徴です。以下に、必要となる書類をまとめました。

会社側が用意する書類

留学生側が用意する書類

  • 在留資格変更許可申請書 1通
    • 写真(縦4cm×横3cm) 1葉  無帽・無背景で鮮明かつ申請前3か月以内に正面から撮影されたもの。
    • パスポート及び在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含む。) 提示
    • 技能試験の合格証の写し
    • 日本語試験の合格証の写し
    • 履歴書
    • 健康診断個人票など

また、税金の納付状況について確認できる資料の提出も求められることがあります。外国人本人が用意する書類について、詳しくは、出入国在留管理庁が公開している「「特定技能」への在留資格変更許可申請に係る提出書類一覧(留学生用)」をご確認ください。

基本的には新規の申請と同じ流れになる

特定技能の在留資格に変更する場合は、新規で申請する場合と基本的には同じ流れになります。事前ガイダンスといったイベントがあるため、申請するまでの流れを確認しておきましょう。

  1. 特定技能の試験に合格する(技能試験と日本語試験)
  2. 企業と雇用契約を締結する
  3. 健康診断を受診する
  4. 事前ガイダンスを企業から受ける ⇒ 企業側支援業務を行う※企業側は登録支援機関に委託も可
  5. 在留資格の変更を申請する

※「建設分野」の場合は上記の流れとは若干異なります

特定技能の場合、在留資格の変更申請をする前に、「試験合格」や「企業による事前ガイダンスの実施」がある点に注意が必要です。

在留資格を変更する際に注意すべきポイント

注意点のイメージ

ここからは、留学ビザから在留資格を変更する際に、注意すべきポイントをご紹介します。

申請の混みあう時期は避けよう

4月入社に合わせた1月~3月の時期は、毎年申請がかなり混雑します。余裕をもって12月には申請しておくことがおすすめです。審査にかかる時間を考えると、在留資格変更許可申請は1月末までがギリギリのラインです。2月以降は、4月入社に間に合わない可能性が高いと考えましょう。

審査には50日程度かかる

在留資格変更許可申請は、その外国人について一から審査しなければならないため、申請から結果が出るまでには50日程度かかります。万が一不備があった場合の修正や、追加の書類提出に要する時間を考えると、90日(約3ヶ月)程度は見込んでおいた方がいいでしょう。

トータルでかかる期間は、「書類の準備期間+審査期間」で考える必要があります。書類集めが1ヶ月で済んだとしても全体で4~5ヶ月程度かかることを見込んでスケジュールを立てましょう。場合によってはもっと時間がかかる可能性もあります。

在留資格変更許可申請にどれくらいの時間がかかるのかは、過去記事の該当部分を参照してください。

▶関連記事:就労ビザの在留期間は何年?審査には何日必要?

違反や税金の滞納などがあると、さらに審査に時間がかかる

通常の審査期間は50日程度ですが、例えば税金を滞納したことがあったり、スピード違反などの法令違反があったりすると、審査が遅くなる場合があります。留学生だったときに、資格外活動の許可する範囲を超えてアルバイトをしていたことが発覚した場合にも、審査が遅くなったり、場合によっては在留資格の変更ができなかったりする可能性があります。

まとめ

専門学校卒業の人が、特定技能の製造業で働くイメージ

今回は、留学ビザから就労ビザ(代表例として技術・人文知識・国際業務と特定技能)へ変更する手続きについてまとめました。

それぞれの在留資格によって必要な書類が異なります。
「そもそも、どの在留資格を選んだらいいのか分からない」という場合は、まずは「どのような仕事をさせたいのか」という点から考えてみましょう。その業務で取得可能な在留資格が限定されるはずです。在留資格の選択に迷ったら、ビザに詳しい行政書士に相談することをおすすめします。

在留資格の変更には時間がかかるので、遅くとも変更の3ヶ月前くらいには申請が必要です。また、申請が混み合う時期についても注意し、余裕を持ったスケジュールを立てておきましょう。