就労ビザの更新に必要な書類や条件を確認しよう!在留資格更新にかかる費用や不許可事例もご紹介

在留資格・就労ビザ更新解説記事メイン画像
執筆者:

行政書士/井手清香

外国人が日本で働くためには、就労が可能な在留資格(就労ビザ)が必要です。在留資格の期限が切れてしまえば不法就労となってしまうため、必ず更新しなければなりません。
就労ビザの更新・変更手続きの方法や必要書類の解説だけでなく、どのような場合に在留資格が更新できないのか、企業が更新手続きをしても良いのかなどの疑問にお答えします。

なお、本記事内の「就労ビザ」の表記は、技術・人文知識・国際業務を指します。その他の在留資格は含みません。

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就労ビザの更新は2パターン

就労ビザとは、一般的に「働くことを目的に取得する在留資格」のことを指します。

詳しくは以下の記事で紹介していますので、ご覧ください。

この就労ビザの申請時に許可される在留期限は、企業や職種、年収によって異なるため、更新時期も個々人によって異なり、一律で何年間と決まっているわけではありません。4月に更新する人もいれば、来年も更新申請をしない人もいるということです。そのため更新時期には注意が必要です。

毎日忙しく業務をこなすうちに、気がついたら在留期限ギリギリになってしまったり、在留期限を過ぎて不法滞在になってしまったりする可能性もあります。

外国人を雇用している企業は、「いつの間にか在留期限が切れて不法滞在になってしまった」ということがないように、外国人労働者の在留期間の把握と管理を行いましょう。

就労ビザの更新は主に2パターンがあります。詳しく見ていきましょう。

在留期間のみを更新する【在留期間更新許可申請】

在留資格の更新は、正確には「在留期間更新許可申請」と言います。
勤務先や業務内容に変更が無い場合の手続きで、比較的スムーズに更新許可を得ることができます。

申請先は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署です。申請書は、法務省のホームページからダウンロードできますので、必要に応じて利用してください。

申請者は原則本人ですが、法定代理人や取次者も申請することができます

会社が代理で申請する場合の詳細は後述します。

転職や業務変更により在留資格を変更する【在留資格変更許可申請】

勤務先や業務内容に変更がある場合は、在留資格の更新ではなく、「在留資格変更許可申請」をおこないます。

同じ職場ではなく転職の場合は、新しい勤務先での業務内容・給与などについての審査があります。

職務内容を変更する場合は、就労ビザを取得するときと同じ審査があり、審査期間は2週間から1か月程度かかります。本来の在留資格に基づく活動を行なっていない場合は、在留資格そのものを取り消されてしまう場合がありますのでご注意ください。

申請先は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署です(在留期間の更新の場合と同じ)。

申請書は、法務省のホームページからダウンロードできます。在留資格の変更も、申請者は原則本人ですが、法定代理人や取次者が申請することも可能です。詳細は後ほどご紹介します。

▶申請書 ⇒ 【在留期間更新許可申請】 【在留資格変更許可申請

期間の更新も、在留資格の変更も、申請は1か月程度前に行いましょう。また繁忙期によってはそれ以上の期間を必要とする場合があります。審査にかかる期間などについては下記の記事で詳しく紹介していますので、ご確認ください。

就労ビザ更新の審査のポイント

ここでは、就労ビザを更新する際にどんなところに気を付けたらいいのかなどの、審査のポイントについてご説明します。

審査のポイント(更新される際の条件)

就労ビザの更新では、これまでの在留状況と、今後の生活状況を踏まえて審査が行われ、以下のような点を見られます。

◆ 現在の活動と在留資格の活動内容が合っているかどうか
◆ 上陸許可基準と滞在中の活動が適合しているかどうか
◆ 滞在中の行動で、違反行為などの素行不良がかなったか。
◆ 生計を立てられているか。
◆ 雇用・労働条件が適正であるか。
◆ 税金の未納はないか
在留カードを紛失したり更新を忘れたりしていないか

在留資格の変更や、在留期間の更新については、法務大臣が適当と認める場合にのみ許可されています。どのような基準で許可が下りるのかについては、出入国在留管理庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」に詳細が掲載されています。更新の申請をする前に、一読することをおすすめします。

就労ビザ更新が難しくなる場合

就労ビザの更新が難しくなる場合とはどんなケースでしょうか。

罪を犯し、刑事罰に処されてしまったケース

「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」には、「素行については、善良であることが前提となる」と記載されています。退去強制事由にあたるレベルの犯罪行為や、不法就労の斡旋を受けるなど、出入国在留管理行政において見過ごせない行為があった場合には素行不良と判断されます。

在留カード紛失・再発行していない

在留カードは、もし紛失してしまったら再交付申請をしなければいけません。再交付申請の義務を怠ったと見なされれば、就労ビザの更新が難しくなります。「うっかり在留カードを紛失して、そのままになっている」のだとしても、更新が難しくなる可能性が高いです。

資格外の活動をする

在留資格で認められている活動以外を行うと、不法就労となります。文字通り違法行為なので、更新が難しくなります。

税金を滞納している、もしくは滞納していたことがある

納税義務を履行していなかったとしてマイナス評価になります。留学生が納税をしておらず更新不許可になることは、よくおこる事例です。

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在留期間更新許可申請の流れ

では、在留資格を変えずに、期間だけ延ばしたい場合の手続きはどのように行うのでしょうか。

「在留期間更新許可申請」の流れをご紹介します。

必要な書類

申請に必要な書類は以下の通りです。

◆ 在留期間更新許可申請書 ※日本人の配偶者がある人や、日系人の配偶者などの場合は身元保証書が必要。

◆ 本人の写真1枚(申請書に添付)

◆ 日本での活動内容に応じた資料
・四季報の写しまたは日本の証券取引所に上場していることを証明する文書の写し
・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) など
※勤務先によって書類は異なる。詳細は法務省の「技術・人文知識・国際業務」をご覧ください。

在留カード(提示。本人以外が申請する場合は、在留カードのコピーを提示)

◆ 旅券又は在留資格認定証明書
(提示)

必要な費用

申請が許可された際に収入印紙4,000円が必要です。

申請の期限

在留期間の満了する日以前とされています。6か月以上の在留期間を有する場合には在留期間の満了するおおむね3か月前から申請が可能です。ただし、入院、長期の出張等特別な事情が認められる場合は3か月以上前から申請を受け付けることもあります。

▶参考:法務省|在留期間更新許可申請

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在留資格変更許可申請の流れ

現在の在留資格(就労ビザ)に指定されている職務以外のことをしたい場合や、勤務先が変更になる場合は、「在留資格変更許可申請」が必要です。就労ビザ更新のタイミングで変更が必要な場合は、これまでの資格を放棄して、別の在留資格をとる流れになります。

必要な書類

申請に必要な書類は以下の通りです。申請書は、在留資格に応じて使用する様式が異なりますのでご注意ください。

◆ 在留資格変更許可申請書 ※日本人の配偶者がある人や、日系人の配偶者などの場合は質問書と身元保証書が必要。

本人の写真1枚(申請書に添付)

日本での活動内容に応じた資料 
・四季報の写しまたは日本の証券取引所に上場していることを証明する文書の写し
・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)など
※勤務先によって書類は異なる。詳細は法務省の「技術・人文知識・国際業務」をご覧ください。

在留カード(提示。本人以外が申請する場合は、在留カードのコピーを提示)

旅券又は在留資格認定証明書(提示)

必要な費用

申請が許可された際に収入印紙4,000円が必要です。

必要な期限

在留資格の変更の事由が生じたときから在留期間満了日以前までに申請を行なってください。

企業が手続きを行ってもよい場合や費用について

本人が忙しくてなかなか在留資格の手続きにいけない場合は、会社が代わりに手続きをしてもいいのでしょうか。また、在留資格の更新には費用がかかりますが、本人と会社のどちらが負担すべきなのでしょうか。

申請取次の承認を受ければ可能

在留資格に関する手続きは、申請人本人のほか、法定代理人と取次者が行うことができます。申請取次の承認を受ければ、本人を雇用している企業の職員がおこなうことも可能です。

申請取次の研修会のスケジュールは要確認

申請取次の研修会は公益財団法人入管協会が実施していますが、今年の研修会については、新型コロナウイルスの影響により中止が相次いでいるので、最新情報をホームページで確認してください。

在留資格の更新費用は会社持ち?本人負担?

「在留資格の更新費用を会社と本人のどちらが持つべきなのか」という点については、特に法律の定めがあるわけではなく、会社の方針によって対応が異なります。会社が雇用継続を期待して外国人に在留資格の更新手続きを命令する場合には会社負担も妥当と考えられるでしょう。

マイナビグローバルでは、「技術・人文・国際業務」で働ける外国人材を紹介しています。採用にあたっての就労ビザ更新についてもサポートします。

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まとめ

今回は、在留資格(就労ビザ)の更新方法についてご紹介しました。在留期間の更新のみで済む場合と、在留資格の変更が必要になる場合がありますので、確認が必要です。
在留資格更新における審査のポイントは、在留資格の範囲内での活動を行なっているかという基本的なチェックポイントと、これまでの行動、これからの生活などがチェックされます。日本で果たすべき義務を果たし、平穏に暮らしてきたかが重要な点です。犯罪歴があるなど、素行が悪いことを原因に更新できないこともあります。

また、更新には時間がかかるので、期限ギリギリではなく、余裕を持って申請をおこなってください。

雇用している会社の職員が申請取次の認定を受けていれば、外国人労働者の代わりに申請することができます。