在留カード偽造に注意!見分け方や雇用前の確認方法を徹底解説

在留カードとは?偽造カードの見分け方などを解説
執筆者:

行政書士/武田敬子

適法で日本に在留する外国人は、必ず在留カードを所持しています。そして企業は外国人を雇用する際、その外国人が就労可能かどうか在留カードを確認する必要があります。
では在留カードのどこを確認すればよいのでしょうか?

本記事では在留カードの概要と確認方法を中心に解説します。

5分で解説!外国人採用入門BOOK

これ1つでわかる!外国人採用入門BOOK

外国人採用サポネット編集部が「これさえ知っておけば大丈夫」と思うポイントを厳選し、外国人を採用する際に欠かせない知識をわかりやすくまとめました。はじめての外国人採用をスタートする際にぜひお役立てください。

無料でダウンロードする

在留カードとは

在留カードは在留資格を持って日本に暮らす外国人のための身分証明書です

出入国在留管理庁(以後入管)長官が、3カ月以上在留する外国人(中長期在留者)に発行するため、3カ月以下の滞在者や短期滞在の在留資格の外国人には交付されません。

企業にとっては外国人を雇用する際、最も目にする機会が多いでしょう。なぜなら外国人が就労可能な在留資格か、企業は確認する必要があるからです。確認を怠ると企業が不法就労助長罪に問われる可能性があります。

在留の合法性、資格外活動の可否などを即時に把握できる唯一のツールですので、企業も在留カードの重要性を知っておくことはコンプライアンス上必須と言えるでしょう。

外国人採用はマイナビグローバルにお任せください

そもそも在留資格とは

どんな外国人でも希望すれば日本に来られるわけではありません。犯罪者や感染症を持つ人に入国してほしくないのはどの国も同じです。日本でも他国と同様に入国できる外国人の要件を定め、その要件に合う29の在留資格を定めています。例えば「短期滞在」、「留学」、「技能実習」などの在留資格があり、皆さんもご存知かと思います。

29の在留資格に該当しない外国人は日本に入国ができませんので、在留カードを所持していることは適法に入国した証と言えます。

在留資格一覧は、下記を参照ください。

外国人は在留カードの携帯が必須

入管法23条2項により外国人は在留カードの常時携帯が義務付けられています。同時に警察官などに在留カードの提示を求められたときは、これを提示しなければなりません。

携帯義務があるのに在留カードを持ってない場合、不法残留者とみなされ、また20万以下の罰金に処せられる可能性があります。また、在留カードの提示を拒んだ場合、10万円以下の罰金に処せられます。

在留カードに記載されている項目

在留カードに記載されている項目は以下のとおりです。

● 氏名
● 生年月日
● 性別
● 国籍
● 住所
● 在留資格
● 在留期間および在留期間の満了日
● 在留カード番号
● 交付年月日および在留カード有効期間の満了の日
● 就労制限の有無

など

また、資格外活動許可がある場合はその旨がカードに載ります(該当箇所、赤丸)。

注意しないといけないのは、在留期限と在留カードの期限が違う場合があることです。

一般的には在留カード上の有効期間 = 在留カードの有効期間ですが、在留期間満了日までに、在留資格変更許可か在留期間更新許可の申請をした場合、入管から申請の結果が来ない限り、表面の在留期間の満了日から2カ月を経過する日まで有効となります。

したがってこの場合、在留期限だけ見るとオーバーステイでは?と思うことがありますが、裏面に更新中などの記載があり2カ月以内ならまだ適法に在留している、ということになります。

また、永住者の方に在留期限はありませんが、在留カードの有効期限は7年ですので、在留カードの更新は必要です。

更新などの手続きは入管で行う

在留資格の変更、在留期間の更新、永住者の在留カードの更新は入管に申請します。

住所変更は市区役所で行いますが、住所以外の在留カードの変更や紛失などの申請もすべて入管に申請します。

▼在留カードの更新申請については、以下の記事をご覧ください

在留カードの確認方法

外国人を雇用する際は、以下の4点を確認してください。

①在留カードの氏名・顔写真
⇒ 他人の物を借りている可能性もあるため、本人かどうか確認
②在留期間満了日
⇒ 在留期限内かオーバーステイかを確認
③就労の可否
⇒ 就労資格でない外国人を働かせることはできないため、可否を確認
④資格外活動は可能か
⇒ ③は不可でも週28時間以内なら働ける可能性があるため、確認。裏面に記載有り

偽造カードでないかの確認方法

警視庁が押収した偽造在留カードのうち、約8割が入管発行の正規の番号と在留期間満了日が記載されていたという報道発表もあります。

在留カードがあるからと安心しないで、偽造でないかどうかもしっかり確認しましょう。確認する際は、次の3つの方法で行います。

1.偽変造を目視で確認

「MOJ」の透かし文字が入っている、カードを傾けるとカードの左端の色が変化するなど、偽変造防止対策が5つ施されています。

2.アプリケーションで偽変造されていないか確認

入管庁の「在留カード等読取アプリケーション」で、在留カードのICチップの内容を読み取り、その情報が偽造・改ざんされたものでないことを確認することができます。このアプリケーションは、入管庁の下記Webページからダウンロードが可能です。

在留カード等読取アプリケーション サポートページ|出入国在留管理庁

3.WEBサイトでカード番号が失効していないかを確認

入管庁のWebサイト「在留カード等番号失効情報照会」で、在留カードの番号などを入力すると、カード番号が失効していないかを確認することができます。

在留カード等番号失効情報照会|出入国在留管理庁

就労制限の有無についての確認方法

就労制限の有無は在留カードの表面に記載されていますが(上の図の①)、資格外活動許可がある場合は裏面に記載されます(図の②)。資格外活動許可がある場合、週28時間、風俗営業を除く仕事はできますので、裏面を確認することを忘れないでください。

特に在留資格「留学」、「家族滞在」の人はほぼ資格外活動の許可を持っています。詳しい確認方法はこちらでも確認できます。

また、在留カードの表裏にこれらの記載がないのに、就労ができる場合があります。

それは、在留資格「特定活動」の場合です。「特定活動」は個々の活動を法務大臣が認めるものなので、人によって千差万別です。そこでどのような活動が可能か記載された指定書が、パスポートにホチキス止めされています。「特定活動」の場合は指定書の内容も確認するようにしましょう。

企業は在留カードの確認を怠ると罪に問われる可能性がある

在留カードを確認せず、外国人が働けると本人が言うのを鵜呑みにして就労資格がない外国人を働かせていると、企業は不法就労助長罪に問われる可能性があります。

「外国人が就労不可だとは知らなかった」「週28時間しか働けないとは知らなかった」といった言い訳は通用しません。入管法72条の2に「事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者」は「知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない」と定められているからです。

不法就労助長罪となった場合は、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金、またはこれらが併科されます。

不法就労助長罪の詳細は以下の記事からご覧ください。

マイナビグローバルでは在留資格の確認をきちんと行い、適切な在留資格の外国人材をご紹介します。外国人材サービスの詳細はこちら

企業が行うべき対策・注意事項

最後に、企業が偽装カード対策としてできること、また注意点について解説します。

偽造カードを発見したり不法就労の斡旋を持ち掛けられたりしたら……

各入管に通報を受け付ける在留管理部門がありますので、最寄りの入管に連絡してください。メール、電話、郵送でも受け付けています。偽造カードのコピーなど証拠をとっておくと入管も動きやすいでしょう。

紛失したことを相談されたら……

外国人は紛失した日から14日以内に在留カードの再交付を申請しなければならないと入管法で決められています。紛失届けを警察に出し、その届けなどを持って入管に申請に行くよう伝えてください。

在留カードの携帯は必ず原本

企業の担当者は、常時在留カード原本を携帯するよう外国人に伝えましょう。雇用している外国人が警察にたまたま声をかけられたとき、在留カードが手元になくて騒ぎになってしまった、という企業の例もあります。

スマホに在留カードを撮影した画像を保存しているという外国人もいますが、画像では誰の在留カードかわからず、警察は本人確認ができません。

採用する場合は在留カードのコピーをとる

外国人を採用することになった場合、必ず原本を確認し、在留カードのコピーをとっておきましょう。

企業が在留期限も管理する必要があります。

在留カードの偽造は増えましたが、パスポート偽造はあまり聞きませんので、パスポートのコピーも併せてもらうようにすると、偽造対策に有効でしょう。

在留カードでの再入国は1年以内

雇用している外国人が日本国外へ出張するとき、在留カードを出国時に提示すれば、同じ在留資格で再入国することができます。

これを「みなし再入国」と言いますが、出国日より1年間以内に再入国しないと在留カードが失効してしまいます。これを知らない外国人が多く、在留資格を取り直すことが多くあります。

企業も1年近く国外に出張してもらう場合は、必ずみなし再入国ではなく、再入国許可を取得してから出国するよう伝えてください。 1年以内に帰国する予定であったとしても、現地で事故に遭う、また、新型コロナウイルスのように感染症の急速な拡大や突発的な災害が起こる可能性もあります。再入国許可は入管で申請しましょう。

マイナビグローバルの人材紹介サービスの資料請求・採用の無料相談はこちらから

外国人採用基本のチェックリスト

始める前に確認して安心!外国人採用基本のチェックリスト

外国人採用で確認しておくべきことって何?そんな疑問に答えるチェックリストを無料で配布します。登録支援機関として在留資格申請のサポートもしているマイナビグローバルだからこと気が付いた確認項目もご紹介します。

チェックリストをもらう