採用から就労まで徹底解説!外国人の雇用手続き一覧

外国人を雇用する際に必要な手続きには、日本人を雇用する場合と異なり気をつけなければいけない点がいくつかあります。
今回は、外国人を雇用する場合に注意すべきポイントを重点的に解説します。採用段階から、就労に至るまで順を追って解説しますので、これから外国人を採用する予定の企業の担当者の方は、手順を頭の中でシュミレーションしながら読んでください。

外国人を雇用するまでの手続き

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まずは手続きの全体を見てみましょう。

全体の流れとしては、在留資格を確認し、労働契約を締結、必要であれば在留資格変更許可申請などを行い、社会保険に加入、就労開始という流れになります。

1.在留資格を確認する

採用したい外国人の候補が上がったら、本人が持っている在留資格で就労ができるのかを確認します。できない場合は在留資格取得の見込みを確認してください。また、学歴や職歴などを調査します。
本人と面談をし、在留カードの原本を確認します。偽造の在留カードではないか、データの整合性がとれているかなど、念には念を入れてチェックしてください。
とはいえ、普段から在留カードを見慣れていない方にとっては、本物と偽物の区別がつきづらいでしょう。
出入国在留管理庁では、偽造在留カードの見分け方についてリーフレットを作成しています。偽造在留カードはホログラムがない、色が本物と違うなどの相違点がある場合があります。
また、データについては、「在留カード等番号失効情報照会」から検索することが可能です。
この時点で自信が持てないようであれば、在留資格に詳しい行政書士に相談するか、出入国在留管理庁に問い合わせをしてください。
現在持っている在留資格で就労が可能な場合は、そのまま労働契約の締結へ進み就労する流れになりますが、現在持っている在留資格では就労ができない場合は、労働契約の締結をした後に在留資格の変更を行うことになります。

2.労働契約を締結

労働契約を締結します。契約書には、在留資格が下りなかった場合について特約を入れましょう 。

労働条件通知書には、「停止条件」に在留資格が交付されなかった場合のことを記載しているケースが多いです。例えば、「在留資格認定証明書が交付され次第、雇用契約が有効となる」といった記載になります。停止条件の部分を明記しないと、万が一、在留資格が下りなかった場合にトラブルの原因になりますので、記載するようにしてください。

3.在留資格変更許可申請や就労ビザの申請

必要な場合は、在留資格変更許可申請や就労ビザの申請を行います。申請には数週間〜数ヶ月程度かかることもありますので、余裕を持ったスケジュールを組んでください。

4.社会保険に加入し就労開始

必要な在留資格を取得できたら、正式な雇用関係を開始します。社会保険に加入し就労する流れになります。

補足

申請から許可が出るまでは数週間から数ヶ月かかることがあります。この期間を使って、受け入れ準備(住居や日本語学校の手配など)を行うと、効率よく準備を進めることができます。

ケース別 外国人を雇用する際の在留資格の手続き

入国管理 - 日本のロイヤリティフリーストックフォト

外国人を雇用する場合、いくつかのパターンが考えられます。ここではケース別に、在留資格の手続きについて説明します。

外国人を現地で採用して日本で雇用する場合

現地で採用し、日本で雇用するケースです。内定を出したらすぐに入国管理局に申請します。

流れとしては以下の通りです。

  1. 企業が在留資格認定証明書を入国管理局に申請
  2. 在留資格認定証明書の発行
  3. 本人が現地の日本大使館へ就労ビザを申請
  4. 申請が許可されれば、就労ビザ取得(通常申請から1〜3ヶ月要する)

まず、企業が在留資格認定証明書を入国管理局に申請するところから始まります。在留資格認定証明書が発行されたら本人に送付し、本人が現地の日本大使館へ就労ビザを申請します。

通常、申請にかかる期間は1〜3ヶ月です。混み合っている時期は、3ヶ月程度の時間がかかってしまいます。

注意点としては、在留資格認定証明書は発行から3ヶ月以内に日本へ入国しなければ無効になってしまいます。採用のスケジュールに組み込んでおくようにしてください。

留学生を採用し日本で雇用する場合

留学ビザを、技術・人文知識・国際業務ビザへ変更する手続きが必要になります。4月入社の1〜3ヶ月ほど前場合、ら 在留資格変更許可申請ができます。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、出入国在留管理庁の資料では以下のように説明されています。

「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(この表の教授、芸術、報道、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の項に掲げる活動を除く。)」

出典 出入国在留管理庁|別紙①在留資格一覧表

手続きの流れは以下の通りです。

  1. 原則として雇用される本人が、最寄りの地方出入国在留管理局や出張所などで在留資格変更許可申請を行う。
  2. 申請が許可されれば、就労ビザへの変更完了(通常申請から1〜2ヶ月要する)

 

すでに日本で働いている外国人を雇用する場合

この場合、すでに日本で働いている外国人を雇用するので、なんらかの在留資格を持っています。上述したように、日本で就労する際に必要な在留資格は主に「技術・人文知識・国際業務」であり 、例えば「技術の在留資格で国際業務を行う」ことや、「技術の在留資格で、単純労働といった在留資格の範囲外の業務を行う」ことはできません。
すでに日本で働いている外国人を雇用する際には、「本人が今持っている在留資格で、転職先の仕事ができるのか」という点をしっかりと確認しましょう。
万が一、調べずに雇用してしまった場合、在留資格の更新ができなくなる可能性があります。

手続きの流れは以下の通りです。

  • 共通の手続き……就労資格証明書交付申請を行う。通常当日に発行されるが、勤務先を変えたことがある場合などは1〜3ヶ月程度かかることがある。
  • 前職と同じ職種の場合……在留資格関連の手続きは不要。
  • 前職と違う職種の場合……在留資格変更許可申請を行う。

 

提出先別 入社後の手続き

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外国人を雇用する場合の入社後の手続きについて、書類の提出先別に説明します。

【出入国在留管理庁】「中長期在留者の受け入れに関する届出


出入国在留管理庁へ、「中長期在留者の受け入れに関する届出」を行います。ただし、外国人雇用状況の届出をしていれば不要なので、提出しなければならないケースは限定的です。

届出期間は、中長期在留者の受入れを開始又は終了した日から14日以内です。届出は郵送のほか、インターネット(電子届出システム)でも可能です。なお、電子届出システムを使用する場合は、事前に地方入国管理署へ登録が必要です。

届出に記載する事項は、中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留カード番号に加えて、活動内容や、就労資格、受け入れを開始した日時などです。なお、届出は雇用される本人ではなく、企業の職員が行います。

【出入国在留管理庁】「契約機関に関する届出」「活動機関に関する届出」

雇用した外国人労働者が退職・転職した場合は、14日以内に出入国在留管理庁に届出を行わなくてはなりません。在留資格の種類によって、「活動機関に関する届出」なのか、「契約機関に関する届出」なのかが異なります。

なお、届出は本人がおこなう必要があります。

【ハローワーク】雇用保険加入の手続き

労働に関する法律や法令は外国人にも適用され、要件を満たす場合には雇用保険に加入する必要があります。

手続き期間は、被保険者となった日の属する月の翌月10日までです。

必要書類は、雇用保険被保険者資格取得届の他、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、他の社会保険の資格取得関係書類、雇用期間を確認できる資料(雇用契約書等)です。

雇用保険の加入対象でない場合は、外国人雇用状況の届出を行ってください。

【年金事務所】健康保険・厚生年金加入の手続き

被保険者資格取得届を、日本年金機構へ提出します 。

手続き期間は事実発生から5日以内です。必要書類は、健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届です。

外国人を雇用する際の注意点

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外国人を雇用する際の注意点を確認しておきましょう。

まず、可能な業務には制限があります。どんな業務でも行えるわけではないので、うっかり資格外活動にならないように注意しましょう。よくわからない場合は、出入国在留管理庁に問い合わせるか、在留資格に詳しい行政書士に相談してください。

在留資格の審査で見られる項目は、学歴や職歴、犯罪歴、会社の財務状況、給与等です。たとえば、母国で勉強してきたことと、日本で就労する際の業種が全く違うとなると問題ですし、犯罪歴があると場合によっては在留資格を更新できなかったり、取得できなかったりすることもあります。

在留資格が下りないと、内定を出しても働いてもらうことができません。労働契約は在留許可を申請する前に締結しますが、在留資格が取れなかった場合の内定取り消しについては必ず記載してください。

まとめ

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今回は、外国人を採用して雇用を開始するまでの手続きを紹介しました。雇い入れる前の手続きの鍵は、ビザです。「業務内容にあった在留資格を持っているか」、あるいは「これから取得できるのか」というところがポイントになります。

ビザの手続きには時間がかかるため、それを見越して早めの申請をしてください。

雇い入れた後は、各種届出を忘れずに行いましょう。転職者の場合は、本人が行う届出(「契約機関に関する届出」もしくは「活動機関に関する届出」)があるので、きちんと届け出たかどうかチェックすることが大事です。