出し忘れNG!外国人雇用状況の届出内容と注意点

手続きをし忘れると、最大30万円の罰金の可能性もある「外国人雇用状況の届出」。「短時間のアルバイトとしての雇用だし、雇用保険の適用外だからいいや」と軽く考えてはいけません。たとえ雇用する外国人労働者が雇用保険の被保険者にならない場合でも、外国人雇用状況の届出は必要です。今回は、雇用する外国人労働者が、雇用保険の被保険者とならない場合の外国人雇用状況の届出について解説します。

外国人雇用状況の届出を提出しなければならない理由

厚生労働省の発表によると、令和元年10月末現在で、外国人労働者は1,658,804人であり、昨年の同期と比べて13.6%増加しました。高度外国人材や、留学生の受け入れの増加、技能実習制度の活用が進み技能実習生の受け入れ数がのびたことにより、過去最高を更新したと考えられています。

外国人の雇用状況の届出の制度は、外国人労働者の雇用の安定と改善、再就職支援などを目的としています。平成19年より、外国人雇用状況の届出が義務化されました。

厚生労働省による「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」には、外国人雇用状況の届け出の制度とともに、雇用管理の改善と再就職支援も明記されています。外国人雇用状況の届出は事業主の義務ですが、外国人労働者の雇用管理の改善と再就職支援は努力義務とされました。外国人雇用状況の届出は、外国人の雇用管理を改善するための制度の中の一つです。日本社会の中で、外国人が在留資格の範囲内で就労し、能力を発揮できるように、事業主は制度の目的をよく理解して、義務を果たして行くことが大切です。

外国人雇用状況の届出の記載方法

外国人雇用状況の届出には、外国人に関することと事業所に関することが記載されています。届出用紙はハローワークで配布している他、厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます。

以下、厚生労働省のホームページから様式を印刷して届け出ることを前提にご説明します。

被保険者の場合

被保険者は取得届の提出(退職時は喪失届)し、在留カード番号記載様式(2020年3月1日以降) を提出すれば、外国人雇用状況の届出報告が完了します。今後、省令が改正され在留カード番号記載様式は、取得届と一体化することも議論されていますが、現時点では省令は改正されておらず、暫定的な運用として取得届と在留カード番号記載様式の2枚を提出することになっています(2020年7月16日時点)。

被保険者以外の場合

被保険者以外は、「様式第3号電子媒体」という名前のファイルを使い、外国人雇用状況の届け出を報告します。令和2年3月1日から様式が変更されています。必ず新しい様式を使用してください。申請用紙を用いて届け出る場合の注意事項として、「様式第3号電子媒体」は、1ページ目を表、2ページ目を裏に印刷します。1ページ目と2ページ目を別々の紙に印刷しないように気をつけてください。

書式に従って、上から順番に見ていきましょう。

まず、外国人の氏名、在留資格と在留期間、生年月日や性別、資格外活動許可などの事項を記載します。外国人の氏名は、ローマ字とカタカナのふりがなで表記します。ミドルネームは、氏と名の後ろに記載して下さい。

次に、雇入れ年月日を記載してください。最後に、届出年月日と雇用保険適用事業所番号など事業主・事業所に関する事項を書きます。2020年3月より在留カード番号の記載も必要になりました。

特に難しいことはなく、在留カードやパスポートなどから間違いなく記載事項を写していくだけです。

外国人雇用状況の届出の提出方法

外国人雇用状況の届出方法は、オンライン提出もしくは事業所を所轄するハローワークへの窓口提出です。

オンラインで提出する際はIDとパスワードが必要

オンライン提出の場合は厚生労働省の外国人雇用状況届出システムを利用します。オンライン提出する際は、IDとパスワードが必要です。

オンラインで提出する際の注意点は、以前に一度でもハローワークの窓口経由で外国人雇用状況の届出を行なった事業者の場合は、外国人雇用状況届出システムの新規登録ボタンからのID登録はできないということです。オンライン提出に切り替えることは可能ですので、希望する場合は以前に外国人雇用状況の届出を行なったハローワークに問い合わせてください。

被保険者の場合は外国人雇用状況の届け出は不要

雇用保険の被保険者になる場合は、雇用保険被保険者資格取得届が外国人雇用状況の届出を兼ねるので、別途外国人雇用状況の届出をする必要はありません。ただし、令和2年3月以降に雇用・離職した外国人については在留カード番号を提出しなければならなくなりました。取得届・喪失届を提出する際は「在留カード番号記載様式」も提出しましょう。

提出期限

外国人雇用状況の届出の提出期限は、雇入れの場合も離職の場合も翌月末日までです。

外国人雇用状況の届出の注意点

在留資格の種類に関わらず届出が必須

日本人の配偶者である外国人・永住者など、身分に基づく在留資格を持っている人を雇用した場合も対象となります。つまり、外国人を雇用する場合、ほとんどのケースで、外国人雇用状況の届出が必要ということです。留学生のアルバイトも対象に入ります。留学生の場合は、資格外活動の許可を持っているか確認してください。一方、対象に入らないケースとしては、特別永住者などの場合があります。正社員かアルバイトかなど、雇用形態に関係なく、外国人雇用状況の届出の対象になります。

届出を怠ると罰金の対象になる

外国人雇用状況の届出の根拠法令は「雇用対策法第28条」です。「外国人雇用状況の届出」は全ての事業主の義務と定められています。届出を怠ったり、虚偽の報告を行ったりすると30万円以下の罰金が科されます。万が一出し忘れてしまった場合は、早急に事業所を管轄するハローワークまで問い合わせて、指示を仰いでください。

外国人の離職時にも提出が必要

外国人雇用状況の届出(喪失届)は、雇用時だけではなく離職時にも提出が必要です。外国人を雇用した時だけでなく、離職した際も忘れずに提出しましょう。

外国人を雇用する際の本人確認書類について

個人情報の取り扱いに注意

外国人を雇用する際の本人確認書類は、外国人雇用状況の届出に関しては在留カードなどの写しは不要です。

ただし、ほかの手続きで確認することも多いのであらかじめ在留カードなどのコピーをとっておくと便利です。個人情報に当たるので、管理は厳密に行ってください。個人情報の管理については、紛失等のリスクに備えることも重要ですが、運用の仕方にも配慮してください。具体的には、個人情報を書面で取得する場合、個人情報保護法第18条第2項の規定により、利用目的を本人に明示する必要があります。在留カードのコピーを、何に使うのか事前に本人にはっきりと伝えておくことが大事です。

デジタルツールで管理

外国人を雇用する際の書類作成や本人書類の一括管理には、デジタルツールの利用もできます。書類がバラバラで管理がしづらい場合は、デジタルで管理することも考えましょう。スマホやタブレットなどで書類やカードを撮影すれば一元管理できるシステムのほか、身元確認(氏名・生年月日・住所など)、在留資格、就労制限を確認できるシステムもあります。

不法就労を防止するためにもきちんと届出をしよう

外国人雇用状況の届出は、期限があり面倒な手続きかもしれません。しかし、外国人を不法就労から守るために必要な届出であり、外国人を雇用する雇用主に課せられた義務ですので、必ず届出をしてください。外国人雇用状況の届出をするときには、在留カードの情報を見ながら記入していく場合がほとんどかと思いますが、在留期限についても注意しておくようにしましょう。

在留期限を見過ごして雇用してしまうと、不法就労を助長したとみなされることがあります。たとえ、うっかりミスによるものであっても不法就労を助長したとみなされた場合、雇用主も罪に問われることがあります。具体的には、在留期限が切れている場合はオーバーステイとなりそのまま就労すれば不法就労になりますし、資格外の活動をした場合も不法就労となります。

不法就労助長罪を犯すと、入管法第73条の2の第1項の規定により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。

届出義務をしっかりと果たすことが、外国人労働者だけでなく企業を守ることにも繋がります。

まとめ

今回は、外国人の雇用状況の届出の内容と注意点をご紹介しました。ミスなく正確に情報を記入し、期限内に届けましょう。外国人の雇用状況の届出は、平成19年以降義務化されたため、外国人を雇用する際は必須の手続きです。

雇用保険の被保険者となる外国人については、外国人の雇用状況の届出を雇用保険の被保険者資格の取得届又は喪失届に記載することで届け出ることができます。その際は、在留カード番号記載様式(2020年3月1日以降) を同時に提出してください。

したがって、雇用保険の被保険者となる外国人に関しては、別途外国人の雇用状況の届出をする必要はありません。

ルールに沿って外国人の雇用状況の届出義務を果たすことは、外国人労働者と企業にとってメリットがあります。外国人にとっては、事業主が届出を行うことで安心して働くことができますし、企業にとっては義務を果たすことが後々の不法就労のトラブルを予防することに繋がります。

特に難しい内容の届出ではありませんので、外国人の雇用状況の届出を必ず行いましょう。ハローワークまで行く時間がない場合は、インターネットを利用して提出することもできます。