在留資格認定証明書は何に使う?手続きや有効期限を行政書士が解説

在留資格認定書とは。何に使用する?メイン画像
執筆者:

行政書士/近藤環

在留資格認定証明書は、外国人のビザの発給や在留資格の取得において必要になるものです。
外国人本人が管理をするのはもちろん、外国人を雇用する企業が知っておくことでスムーズに在留資格申請ができ、その後のトラブルなどを防ぐことができます。

知っておくべき知識や注意点、在留資格認定証明書交付申請の流れなど、詳しく解説します。

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在留資格認定証明書とは

『在留資格認定証明書』は、日本に入国しようとする外国人が、日本で行おうとする活動内容がいずれかの在留資格 ※ に該当するかなどの条件に合っていることを証明するためのものです。

英語では、Certificate of Eligibility(COE)と言います。

※「短期滞在」、「永住者」を除く

誰が使用するもの?

在留資格認定証明書は、日本に中長期滞在する外国人が使用します。

観光や親族訪問など、短期滞在ビザは在留資格認定証明書交付の対象となっていません。短期滞在ビザが必要な場合は、申請人の方が外国にある日本の大使館/領事館へ申請します。

在留資格認定証明書はなぜ必要?いつ使う?

外国人が日本に入国する際、観光目的などの短期滞在の場合は、空港などにある出入国在留管理局の支局で入国審査が行われます。

しかし、就労目的など3カ月以上の長期滞在の場合は、審査にとても時間がかかります。そこで、あらかじめ「日本への入国を許可するかどうか」の審査を日本でおこない、審査に通れば、「後日(日本に入国する際)に、正式な在留資格を与えますよ」という証明として、在留資格認定証明書を発行する流れをとっています。

在留資格認定証明書が発行されたら、入国前に申請人が居住する国にある日本の大使館/領事館にて在留資格認定証明書を提示し、査証申請(ビザ申請)を行います。

新型コロナウイルス感染症に関する在留資格認定証明書交付申請の取り扱いについて

在留資格認定証明書の有効期限が過ぎてしまった場合はどうしたらいいでしょうか?新型コロナウイルス感染症に関する特例を紹介します。

在留資格認定証明書には有効期限があり、有効期限を過ぎてしまった場合は、もう1度申請し直して交付してもらうしかありません。本来は、すべての書類を準備しなおさなければなりませんが、新型コロナウイルス感染症の影響で、在留資格認定証明書の有効期限までに入国できなかった場合の再申請は、提出書類が少なくなり、また審査も早くなる制度がありました。ただし、この制度は2023年1月31日をもって終了していますので注意が必要です。

また、出国中に日本に戻れなくなり在留期限が切れてしまった場合にも特例があります。

もともと日本の在留カードを持っていた方で、再入国許可(みなし再入国許可を含む)の入国期限が2020年1月1日から2023年4月30日までの人については、提出書類が少なくなり、審査も早くなります。この制度を利用するためには、2023年4月30日までに申請が必要です。

なお、この制度を利用する場合でも、再度認定証明書交付申請が必要になりますので、注意しましょう。

在留カード、在留資格との違いは?

日本に中長期的に滞在する資格が在留資格で、その在留資格を持っていることを証明するのが、在留カードです。

先述の通り、在留資格認定証明書は在留資格取得前の査証申請(ビザ申請)をする際に使用します。査証申請の条件に合っていることを証明するためのもので、在留資格や在留資格を証明するものではありません。

【在留資格とは】

外国人が日本に在留する間、仕事をする、会社を経営する等の特定の活動を行うことや、日本人の妻や家族などの一定の身分や地位を持つ人としての活動を行うことができることを示す、「入管法上の法的な資格」のこと。また、ビザ(査証)と在留資格は本来別物です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【在留カードとは】

日本で中長期の滞在をする外国人の在留資格を証明するものです。3カ月を超える在留期間で在留する外国人に交付され、短期滞在の場合や、3カ月の在留期間の外国人には交付されません。在留カードには、氏名・在留資格・在留期間・就労制限の有無などが記載されます。

在留資格認定証明書の提出先や配布場所について

在留資格認定証明書の取得は、受入機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理局に行います

在留資格認定証明書交付申請は外国人本人が日本に来て申請するか、受入機関(企業)などが日本国内で代理申請をします。どちらの方法でも良いですが、外国人本人がわざわざ日本に来るのは難しいため、受入機関(企業)などが日本国内で代理申請するケースが多いです。行政書士に申請を依頼することも可能で、特定技能ビザの場合は登録支援機関の職員も申請ができます。

身分系在留資格の場合は在日親族が申請をします。

申請後、1~3カ月程度で在留資格認定証明書が申請者の元に郵送で送付されますので、外国人本人に送付してください。

外国人本人が受領できたら、外国人本人が居住する国にある日本の大使館/領事館にて在留資格認定証明書を提示し、査証申請を行います。

有効期限、返納しなければならないケースは?

在留資格認定証明書を申請する際には、有効期限などに注意しましょう。

在留資格認定証明書の有効期限は3カ月で、発行されてから3カ月以内に日本に入国しなければいけません。

また、在留資格認定証明書が交付された後に内定取り消しや内定辞退など入国を取りやめる場合、在留資格認定証明書を返納しなければいけません。その場合、在留資格認定証明書と返納の理由を簡単に記載した理由書を入管に提出します。

在留資格認定証明書を取得するには

在留資格認定証明書を取得するには、上記でも述べたように、受入機関または在日親族の方が管轄の出入国在留管理局に交付申請を行う必要があります。

必要な書類や流れなどを解説します。

交付申請の必要書類

交付申請に必要な書類を、就労ビザを例にご紹介します。

技人国ビザや特定技能ビザでは、会社の規模によって「カテゴリー」が異なり、カテゴリーによって必要な書類が変わります。自社の企業が当てはまるカテゴリーの書類を用意しましょう。

  • カテゴリー1 → 日本の証券取引所に上場している企業などの条件を満たす企業
  • カテゴリー2 → 前年度の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計票の源泉徴収税額が1,000万円以上の企業
  • カテゴリー3 → 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)
  • カテゴリー4 → 上記に該当しない企業

技術・人文知識・国際業務ビザ(以下技人国ビザ)に必要な書類

全カテゴリー共通書類● 在留資格認定証明書交付申請書
● 顔写真
● 返信用封筒
● 学歴または職歴を証明する書類
カテゴリー1必要書類● 四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
● 主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
● 上記「一定の条件を満たす企業など」であることを証明する文書(例えば、認定証などの写し)
カテゴリー2、3必要書類● 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
カテゴリー3、4必要書類● 労働条件通知書(雇用契約書)など ・登記事項証明書 ・直近年度の決算文書の写し
カテゴリー4必要書類● 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料(例えば、源泉徴収に対する免除証明書など)  

特定技能ビザに必要な書類

申請人に関する書類● 表紙 ・特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
● 在留資格認定書交付申請書
● 特定技能外国人の報酬に関する説明書
● 特定技能雇用契約書の写し
● 雇用条件の写し 

※別紙 賃金の支払い ・雇用の経緯に係る説明書 ・徴収費用の説明書 ・健康診断個人票 ※別紙 受診者の申告書 ・1号特定技能外国人支援計画書 ・登録支援機構との支援委託契約に関する説明書 ・二国間取決において定められた遵守すべき手続きに係る書類 など
所属機関に関する書類

※前述したカテゴリー1の一部企業の場合、下記は不要
● 特定技能所属機関概要書
● 登記事項証明書
● 業務執行に関与する役員の住民票の写し
● 特定技能所属機関の役員に関する誓約書
● 労働保険料納付証明書
● 社会保険料納入状況回答票または健康保険
● 厚生年金保険料領収証書の写し
● 税務署発行の納税証明書
● 法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近1年分) など
カテゴリー1の企業の場合● 四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
● 主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し) など
● 書類省略の誓約書

その他にも分野ごとに試験の合格証(申請人)や協議会の加入証明書(企業)などがあります。

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在留資格認定証明書交付申請から日本入国までの一般的な流れ

必要書類を揃えて在留資格認定証明書交付申請を行ってから入国までの流れを紹介します。

【日本国内】

①在留資格認定証明書交付申請:日本の地方出入国在留管理局へ、本人または代理人が行います。

 ※特定技能の場合、交付申請を行う前に事前ガイダンスが必要です。

②在留資格認定証明書交付:地方出入国在留管理局より代理人に認定証明書が送付されます。

【日本国外】

③在外日本公館にて在留資格認定証明書を提示:本人または指定代理機関が申請

④在外日本公館にてビザ発給

【日本国内】

⑤日本へ入国(在留資格認定証明書交付日から3か月以内に行う)

来日時の空港にてパスポート、在外日本公館から発給されたビザを提示、在留資格認定証明書を提出し、パスポートに上陸許可の証印を受けるとともに、在留カードの交付を受けます。一部の空港では、在留カードは即日交付されず、入国後に市区町村に届け出た住所(居住地)宛てに郵送されます。

在留資格認定証明書交付申請書の記入例

初めて申請書を作成する方にとっては、何を書いたらいいのか分からない部分が多いと思います。ここからは、技人国ビザの場合によく質問を受ける項目について紹介します。

書類への記載は外国人本人ができる場合は本人が行い、できない場合は企業や登録支援機関、行政書士でサポートしながら作成しましょう。

【申請人など作成用1】記入例

在留資格認定証明書【申請人など作成用1】

【申請人など作成用2】記入例

在留資格認定証明書【申請人など作成用2】

<注意>署名はシャーペンや消せるボールペンは不可!

【所属機関など作成用1】記入例

在留資格認定証明書【所属機関など作成用1】

【所属機関など作成用2】記入例

在留資格認定証明書【所属機関など作成用2】

申請から承認されるまでの期間は?

在留資格認定証明書交付申請を行ったら、通常1~3カ月で在留資格認定証明書が交付されます。

その後、在留資格認定証明書を在外公館に提示してビザ申請を行えば、通常5営業日程度で発給を受けることができます。

ただし、4月入社に合わせて1月~3月は地方出入国在留管理局が混み合い、在留資格認定証明書の交付に時間がかかる場合があるため、余裕をもって準備・申請をしましょう。

オンライン申請も可能

在留資格認定証明書交付申請はオンライン申請が可能です。オンライン申請の場合、窓口に行く必要がなく、自宅やオフィスで申請が終わる、24時間利用が可能などのメリットがあります。

在留申請オンラインシステムの利用者や対象となる在留資格が拡大されたほか、利用申出の見直しなどが行われています。また、マイナンバーカードと公的個人認証サービスを活用し、外国人本人や受入機関、行政書士などがオンライン申請を行うことができます。

詳しくは以下をご覧ください。

在留申請のオンライン手続|出入国在留管理庁

認定証明書が不交付になった場合の対応

在留資格認定証明書交付申請が不交付になった場合は、不交付になった原因を解決し、再度申請しましょう。

虚偽の申告をしている、日本への上陸を拒否されているなどの場合に申請は不許可となります。

不交付の理由は出入国在留管理局に聞きに行くことができるため、確認したうえで原因を解決することをおすすめします。

また、再申請の際は、在留資格認定証明書交付申請をした時と同じ書類を収集・作成する必要があります。

日本国大使館での査証申請が不許可になった場合の対応

万が一、査証申請が不許可になった場合、再度、出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請をする必要があります。また、その際に個別に不許可の理由を聞くことはできません。

在留資格認定証明書は、ビザの発給を保証するものではありません。前述の通り、入国審査手続きの簡易迅速化と効率化を図ることを目的として、外国人が上陸審査の際に日本で行おうとする活動が虚偽のものでなく、かつ、出入国管理及び難民認定法上のいずれかの在留資格に該当する活動であるなどの上陸(入国)の条件に適合していることを法務大臣が証明するものです。

ビザ審査の過程で、ビザの発給基準を満たさないことが判明した場合には、在留資格認定証明書が発給されていても、ビザは発給されない場合があります。

▶参考:外務省

紛失・有効期限が切れた場合の対応

在留資格認定証明書を紛失したり、在留資格認定証明書の有効期限が切れてたりしてしまうと、再発行ができず、最初から手続きをやり直さなくてはいけません。

在留資格認定証明書が交付されると、海外にいる外国人本人に送付する必要があります。その過程の中で在留資格認定証明書を紛失すると、再発行ができません。実際に、企業の担当者が在留資格認定証明書の送付を忘れていて有効期限が切れてしまったり、多くの書類を外国人に送付するためわからなくなって紛失してしまうということもあります。紛失・有効期限切れの場合には最初から手続きをやり直さないといけないため、追跡が可能な郵便などで送るのが安心です。

まとめ

今回は、在留資格認定証明書についてご紹介しました。在留資格認定証明書交付申請は、外国人が日本で就職するためには必須の手続きです。

取得後は、有効期限や紛失に気を付け、大切に扱いましょう。

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