就労ビザ申請の流れをわかりやすく紹介!必要書類や手続き方法も網羅
外国人労働者が日本で働くためには、就労に対応した在留資格、就労ビザが必要です。就労ビザは法律上、本人が申請しなければなりませんし、実際に申請書にサインをするのも本人でなければなりません。
しかし、外国人労働者が1人で準備・申請するには、複雑な点もあり、必要な提出書類を不備なく準備し、就労ビザをスムーズに取得するためには企業のサポートが不可欠です。
そこで今回は、企業の担当者として知っておくべき就労ビザの申請方法について、行政書士がわかりやすくご紹介します。
目次
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そもそも就労ビザとは?
一般的に就労ビザと言われているものは、就労可能な在留資格のことです。
本来的には、在留資格とビザは別のものですが、今回はわかりやすくするために就労可能な在留資格を「就労ビザ」と表現します。外国人が日本で働くためにはこの就労ビザで日本に在留している必要があります。2021年1月現在、就労内容に制限があるが、就労できる在留資格は19種類あります。身分系の在留資格(永住者など)については、就労に制限がありません。
ビザは上陸審査の時に使用するもので、正式には「査証」と呼ばれます。査証(ビザ)は、海外にいる外国人が日本へ入国許可を求めるためのもので、外務省が発行します。入国審査が済んだら無効です。
在留資格は、先ほども説明したように「日本での在留と一定の活動を認める資格」のことです。ざまざまな種類に分類され、活動などはそれぞれ制限がある場合があります。
このうち就労が可能な在留資格を『就労ビザ』と呼んでいるのです。
当サイトでも一般的な呼び名として使用します。
就労ビサと呼ばれている在留資格は主に以下の通りです。
就労ビザ以外で就労をする場合は、出入国在留管理庁から資格外活動許可を受ける必要があります。
詳しくは過去の記事を参照してください。
就労ビザの申請パターンと申請方法
就労ビザの申請パターンは3つに分かれます。まずはどのパターンに当てはまるのかを確認してみましょう。
就労ビザ申請における3つのパターン
就労ビザの申請パターンによって申請の流れや必要書類が異なるため、どれに当てはまるチェックしましょう。
パターン①:新規の申請
海外で外国人の方を採用をして来日してもらう場合は、就労ビザを新規に取得します。
パターン②:変更の申請1……在留資格に変更がなく勤務先を変える場合
就労ビザを元々持っている外国人を採用して、就労ビザを変えないまま勤務先を変える場合は、転職後14日以内に「所属機関等に関する届出」を出入国在留管理庁に対して行います。該当するのは「企業内転勤」「高度専門職」という就労ビザの2つで、これらは前職の会社で働くことを認められた就労ビザであるため、退職後に勤務先変更の申請が必要になります。
この際、「就労資格証明書」を取得しておきましょう。就労資格証明書とは、その外国人ができる就労活動について、法務大臣が証明した書類です。就労内容について具体的な記載がされており、取得できれば、転職後の就労先の会社と職務内容についての審査は事前に済んでいることになります。そのため、更新時に不許可になるリスクを低減できるのです。
パターン③:変更の申請2……在留資格が変わる場合
何かしらの在留資格は持っているが、現在の在留資格では対応できない業務を行いたい場合は、在留資格の変更が必要になります。例えば留学生を採用する場合、留学ビザは「就労ビザ」ではないため、資格外活動を認めてもらう、または就労ビザに切り替える必要があります。留学から、技術・人文知識・国際業務や特定技能などに切り替える場合、在留資格変更許可申請を行います。
今回は、主に①のパターンについてご説明します。
②と③のケースでは、求職者(外国人)本人が手続きを理解し、自分ですると考えられますが、①については、日本で働くための手続きについてきちんと理解していない人が主であるためです。
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就労ビザは誰が申請するのか?
原則、本人が申請する
就労ビザは、原則として本人が申請します。特に、パターン②と③の場合は求職者本人が書類をそろえて申請に行くことがほとんどです。
ただし、手続き全般を外国人本人が理解しているとは限りません。申請が通らないと働いてもらうことができませんので、企業側もフォローしてあげたほうがお互いに安心でしょう。日本語の理解力などに不安がある場合は、書類作成の部分から企業がサポートすることは必須です。
求職者が日本にいない場合は企業が申請する
新規に在留資格を取得する①の場合は、求職者が日本にいないので、申請代理人として企業が「在留資格認定証明書」を申請する必要があります。取得した「在留資格認定証明書」は海外にいる外国人本人に送り、その先の就労ビザ申請は外国人本人が行います。
就労ビザの申請フローと必要書類
就労ビザによっても申請フローや必要な書類は異なりますが、今回は「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」を例にとって紹介します。
新規に就労ビザを取る場合の申請の流れ
就労ビザを新規に申請する場合のフローをご紹介します。
- 在留資格認定証明書交付申請……日本の入国管理局(勤務予定地の管轄の地方入国管理局)へ申請します。外国人本人はまだ海外にいるので受け入れ先企業が代理人として手続きをします。標準処理期間は1〜3か月です。
- 在留資格認定証明書交付……日本にいる代理人(受け入れ先企業)に送付されます。
- 在留資格認定証明書を外国人本人に送付……海外にいる外国人本人に在留資格認定証明書を送付します。
- 在留資格認定証明書を在外日本公館で提示しビザ(上陸許可)を申請……外国人本人が行います。通常、申請受理の翌日から5業務日以内に発給を受けます。
- 在外日本公館にてビザ発給……原則として在留資格認定証明書交付日から3か月以内に日本に入国します。上陸港で在留カードを受け取れる場合もあれば、後日居住地に郵送される場合があります。
在留資格認定証明書とは?
在留資格認定証明書は、日本に在留する資格があることを法務大臣が証明した書類です。この書類があると、入国審査を簡単に済ませることができます。日本に到着してから入国審査を受けるとなると、何日もかかってしまい現実的ではありませんので、就労ビザをとる場合は在留資格認定証明書を取得しておくことが一般的です。
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在留資格認定証明書交付申請に必要な書類
在留資格認定証明書交付申請では、以下の書類が必要です。
- 在留資格認定証明書交付申請書(新様式)
- 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
- 返信用封筒(定型封筒に宛先を明記の上,404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの) 1通
- 日本での活動内容に応じた資料
「日本での活動内容に応じた資料」とは
在留資格認定証明書交付申請には、日本での活動内容に応じた資料が必要になります。具体的には、就職する先の会社に関する資料などが指定されています。審査では、日本でどのような仕事をするのか、どういった会社で働くのかなど細かく調べられます。
技術・人文知識・国際業務の場合
企業は規模によって4つのカテゴリーに分けられ、カテゴリーごとに提出する書類が違います。企業のカテゴリー区分とそれぞれの必要書類は以下の通りです。
カテゴリー1 | 日本の上場企業や、国・地方公共団体、独立行政法人など。 イメージとしては、比較的大規模な企業や、社会的信用のある団体、日本政府から認定を受けている企業などが当てはまる | カテゴリーを証明する書類 (その他の書類は原則不要) |
カテゴリー2 | 前年分の給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上ある企業や個人、または在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関。 イメージとしては、カテゴリー1に次いで規模の大きい企業が当てはまる。 | カテゴリーを証明する書類 (その他の書類は原則不要) |
カテゴリー3 | 前年分の給与所得の源泉徴収票等が提出されており、源泉徴収税額が1,000万円未満の企業や個人。 | カテゴリーを証明する書類 + 外国人本人の活動内容を証明する書類外国人本人の学歴や職歴などを証明する文書企業の事業内容を明らかにする資料企業の登記事項証明書企業の決算文書の写し |
カテゴリー4 | カテゴリー1〜3のいずれにも該当しない企業や個人。イメージとしては、設立したばかりで社会的信用がまだ低い企業などが当てはまる。 | カテゴリー3と同様の書類 (新設企業の場合は、決算文書のかわりに事業計画書を提出) + 前年分の給与所得の源泉徴収票等を提出できない理由を明らかにする書類 |
表からも分かる通り、規模が大きく、社会的信用があるカテゴリー1・カテゴリー2のような企業の場合は、提出する書類の数も少なくて済みます。一方、カテゴリー3やカテゴリー4に当てはまる場合は、準備すべき書類の量が非常に多くなるため、準備期間に余裕をもっておく必要があるでしょう。
「技術・人文知識・国際業務」に関する詳細は以下の記事でも解説しています。
特定技能の場合
会社の規模によって提出書類が変わることはありません。ただし、特定技能外国人本人やその支援に関係する書類が必要です。技術・人文知識・国際業務と違って、特定技能の場合は試験制度があります。
そのため、技能試験の合格証など技術に関することの他、外国人の支援を委託する場合は委託契約書の写しなどが必要になります。特定技能の場合でも、企業に関する資料は必要になりますが、カテゴリー分けはされていません。
特定技能の申請については下記の記事で更に詳しく解説していますので併せてご覧ください。
就労ビザの審査期間はどれくらい?技術・人文知識・国際業務の統計を紹介
在留資格認定証明書交付申請からスタートして、結局何か月後に日本に入国できるのでしょうか。単純に審査期間を合計するだけではなく、書類作成・収集期間もプラスして考える必要があります。
技術・人文知識・国際業務の審査期間について、出入国在留管理庁の実施した統計を、平成29年分から令和元年分まで調査し、平均値を算出して表にまとめました。
年間を通じた審査期間の平均値は、在留資格認定証明書交付申請が38.9日、在留期間更新申請は29.7日、在留資格変更許可申請は39.8日となっています。
また、在留資格変更許可申請については、だいたい年度のはじめにむけて1月〜3月に許可された分について、混む傾向が見られます。
就労ビザ申請にかかる期間について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ:有効期限や不法就労に注意
今回は、就労ビザの種類と申請方法、申請の流れ、取得方法についてご紹介しました。
在留資格の取得までには時間がかかります。審査期間が長期化する傾向にある期間を避けることはもちろんですが、在留資格認定証明書は有効期限が3カ月しかないため、交付を受けてから3カ月以内に入国しなければなりません。有効期限内に外国人本人がスムーズに入国できるよう、外国人本人に手続きをすべて任せるのではなく、企業としても積極的にフォローしていきましょう。
また、外国人が就労するために在留資格でその活動が認められている必要があります。
就労不可の外国人が働いてしまった場合は不法就労となり、企業は不法就労助長罪で罰せられる可能性があります。就労ビザかどうか、認められた活動の範囲であるかの確認は必ず行うようにしましょう。
詳しい確認方法は以下の記事で紹介していますのでご確認ください。
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