特定技能1号外国人は派遣雇用もOK?正社員雇用との違いを比較解説

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外国人採用サポネット編集部

特定技能外国人の受け入れを検討している採用担当の方にとって、気になることの一つは雇用形態でしょう。季節により繁忙期と閑散期のある農業や漁業関係者にとっては 特に知りたい方が多いのではないでしょうか。

人手不足を補うためにも特定技能の人材を雇いたいけれど、派遣形態でも雇用できるのか、それとも正社員として雇用しなくてはならないのかがわからないため採用に踏み切れていないパターンも多いのかもしれません。

そこで今回は、特定技能の外国人の雇用形態について詳しく解説していきます。

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監修:行政書士/近藤 環(サポート行政書士法人)

在留資格に関するコンサルティング業務を担当。2019年に新設された「特定技能」も多数手がけ、申請取次実績は年間800件以上。 行政書士(東京都行政書士会所属 /第19082232号)

特定技能とは?

まずは、「特定技能」とはどんな制度であるのかを説明します。

特定技能とは、日本の在留資格の一種です。近年の深刻な労働力不足解消のために設けられた制度で、一定の技能および日本語能力の基準を満たした外国人が取得できます。

よく似ていて間違われやすい資格に「技能実習」がありますが、二つの制度はそもそも目的が違います。

「特定技能」の目的は日本の人手不足解消ですが、「技能実習」は、開発途上国出身者に日本の高い技術を現場での実習により習得してもらい、母国に持ち帰ってもらうことを目的としています。

特定技能と技能実習の違い(目的・業務)

就労可能な業種や職種が異なるほか、受け入れの人数制限の有無も異なります。「技能実習」は目的が「技能移転」であることから、適切に指導するために受け入れ人数を制限しています。加えて、在留の目的が「就労」ではなく「実習」であることから、転職することができません。

また、「特定技能」と「技能実習」は従事可能な業務が異なります。「特定技能」では受け入れ可能でも「技能実習」では受け入れができなかったり、その逆の場合もあります。

例えば農業に関しては、在留資格「技能実習」の場合、受け入れ可能な業務は「耕種農業のうち施設園芸、畑作・野菜、果樹」「畜産農業のうち養豚、養鶏、作農」の2つとなりますが、在留資格「特定技能」であれば耕種農業全般および畜産農業全般の業務に従事可能です。

ただし、基本的に「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の業務を合わせて行うことはできません。

特定技能には1号と2号があり、前者は、日本語試験と技能試験に合格すれば取得できます。一部分野を除いて受け入れ人数に上限がなく、在留資格の変更は必要ですが、転職も可能です。特定技能1号の資格があれば最長5年間日本での就労が可能です。

特定技能2号は、2022年3月現在では、特定の分野でしか取得できない限られた資格です。1号からの移行が可能で、現在は他分野での創設も検討されています。

特定技能1号外国人は派遣で雇用できるのか

特定技能1号を取得している外国人の雇用形態は、原則フルタイムか正社員と決められています。派遣での雇用は認められていません。条件としては、週5日、30時間以上の勤務が必要とされています。

農業分野と漁業分野では派遣の雇用が可能

ただし、農業分野または漁業分野に限っては、例外的に派遣として雇用することも可能です

なぜこれらの分野においては派遣でも雇用可能かの理由としては、農業も漁業も、季節や地域によって繁忙期と閑散期があるためです。正社員として雇ったのに、仕事がない期間が発生したなどのデメリットがなくなります。

また、同じ地域で同じ作物を育てていたとしても、事業所ごとに、より多くの人手を必要とする期間も異なるので、短期派遣での雇用を充実させることが雇用側にとっては望ましいことも理由の一つです。

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派遣の場合も支援や協議会への登録は必要なのか?

特定技能外国人を雇用する場合、「特定技能外国人への支援」および「各分野の特定技能協議会への入会」が必要です。

では、派遣として雇う場合も雇用側にこの2つの義務が必要かというと、実は必要ではありません。その理由として、派遣を雇用する場合、外国人の受け入れ機関は派遣元の企業になるためです。そのため、支援義務を負うのも派遣元の企業となります。特定技能協議会への入会も同様で、入会するのは派遣元の企業です。

特定技能制度や協議会、支援に関する詳細は下記の記事をご覧ください。

派遣先事業とは?

農業または漁業の分野の事業所であれば、必ず派遣先になれるというわけではありません。特定技能外国人を派遣として雇用できる事業所となるためには、以下の4つの条件を満たしている必要があります。

1.労働,社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること。

2.過去1年以内に,特定技能外国人が従事することとされている業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていないこと。

3.過去1年以内に,当該機関の責めに帰すべき事由により行方不明の外国人発生させていないこと。

4.刑罰法令違反による罰則を受けていないことなどの欠格事由に該当しないこと。

参考:外国人材の受入れ制度に係るQ&A|法務省(PDF)

農業分野での派遣雇用のメリット

ここからは農業分野での特定技能外国人の雇用について詳しく説明していきます。

まず、農業分野において派遣として雇用するメリットは、人件費を削減できることです。通年ではなく繁忙期のみ働いてもらうことで、人件費を抑えることができるというわけです。

たとえば、これまで通年で3人の技能実習生を雇っていた場合に、通年受け入れるのは技能実習生2人に減らして、繁忙期のみ特定技能外国人を1人雇うことにすれば、年間通しての人件費は大きく変わってくるでしょう。

前述の通り、特定技能1号の資格があれば最長5年間は日本で就労することが可能ですが、繁忙期の派遣雇用であれば、外国人労働者は「閑散期には一時帰国して繁忙期に再度入国・就業」を繰り返しながら通算5年間働くことも可能です。こうした働き方を希望する人は、まだ家庭を持っていない20代の若い世代に多いため、力仕事が必要な作業であれば雇い主側にとっても、外国人労働者にとっても、双方にメリットのある関係になれるでしょう。

農業分野での正社員雇用のメリット

人材活用の効率が良い派遣ではありますが、特定技能は正社員雇用にもメリットがあります。

前述の通り、「特定技能」は「技能実習」とは異なり業務の幅が細かく決められていないため、手が空いたら別の関連業務をお願いすることができます。閑散期に仕事がなく手を余らせてしまうようなことはありません。

また、長く従事することで独自の作業方法や手順も覚えてもらえるため、毎回作業説明をする必要はありません。派遣の場合は都度説明が必要ですし、作業を覚えてもらう労力が発生します。

「技能実習」の資格取得には日本語能力の水準が設けられていませんが、「特定技能」は、生活に支障がない程度の会話力がないと取得できないため、コミュニケーションも比較的とりやすい人材です。長く働けばよりコミュニケーションもとりやすくなります。外国人労働者の雇用はコミュニケーションが対日本人よりはやはり難しい部分があり、短期間ですべてを理解してもらうことが難しい場合もあります。作業内容、従事してほしい業務など、雇用側の求める働き方にマッチした形態を選択することがおすすめです。

農業分野において、特定技能外国人を採用する方法や技能実習との違いについては下記記事でも詳しく解説しているので、こちらもぜひご確認ください。

加工製品や製造販売を行うなら、特定技能の「飲食料品製造業」も検討したい

自社で加工品の製造や販売まで手掛けている農業事業者であれば、農業分野の「特定技能」の在留資格ではなく、飲食料品製造業分野の「特定技能」として雇用することを選択するのも一つです。これから6次産業化に力を入れていきたいと考えている事業者にとっても有益です。

飲食料品製造業や6次産業については以下の記事で詳しく説明しています。

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まとめ

特定技能外国人の雇用メリットは大きいので、制度を上手に活用すれば、作業がスムーズになるだけでなく、新しいことにチャレンジする余裕が生まれてくることもあるでしょう。外国人の雇用で人手不足解消などの成果を得るためには、メリット同様に、デメリットについても理解しておくことが大切です。

前述の通り、在留資格によっては、日本語でのコミュニ―ションが難しい部分もあります。しかし、それを踏まえたうえでベストな雇用方法を選べば、雇用主・従業員のお互いにとって大きなメリットとなり得ます。

最初は手続きを理解するのが大変と感じることもあるかもしれませんが、本記事や参考となる情報などを確認しながら進めれば決して難しいことではありませんので、ぜひご検討してみてください。

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