何が違うの?特定技能と技能実習6つの違いを解説【在留資格比較】
2019年4月に制定された特定技能制度ですが、「特定技能実習生」といった誤った名称が使用されていることからもわかる通り、技能実習制度と名称が似ていて違いがわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では間違いやすい2つの制度・在留資格を比較し、特定技能外国人と技能実習生の違いや在留資格の選び方を解説します。
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目次
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【おさらい】在留資格「特定技能」とは?
特定技能とは、2019年4月に創設された、人手不足が深刻とされる特定産業分野(12分野+4分野追加予定)において外国人労働者を受け入れるための在留資格です。現在は特定技能1号と2号があります。2号は過去2分野でしたが、現在は介護を除く11分野に対象が拡大しました。
特定技能については以下の記事で詳しく紹介していますので、気になった方はぜひこちらも併せてご覧ください。
では、以前からある技能実習制度と、2019年に新設された特定技能にはどんな違いがあるのでしょうか。押さえておくべき6つの大きな違いを見ていきましょう。
【違いその1】制度の目的と背景
「特定技能」と「技能実習」では制度の目的が違います。これが非常に重要です。
「技能実習」といえば、昨今の報道の影響で「就労」のイメージがありますが、本来は、開発途上国への協力という「国際貢献のための制度」として設けられた在留資格です。日本で学んだ技能を母国に伝えることを目的としています。
一方、特定技能はまさに「就労」のため、人手不足を補うために設けられた在留資格なのです。
在留資格 | 施行 | 目的 |
---|---|---|
技能実習 | 1993年 | 技能移転を通じた、開発途上国への国際協力 |
特定技能 | 2019年 | 人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、 一定の専門性・技能を有し、戦力となる外国人を受けて人手不足を解消する |
まずはこの創設目的の違いを理解しましょう。この前提が、それぞれの在留資格における違いに大きく影響します。
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【違いその2】就業可能な業務や業種
特定技能と技能実習では就業可能な分野や業種が違います。
特定技能は12分野(+4分野追加予定)、技能実習は85職種(156作業)あり、技能実習は業務内容が非常に細かく分かれています。
特定技能は技能実習に比べて業務を幅広く行うことができます。
技能実習生は、一定の条件を満たすと特定技能に移行することができるので勘違いしやすいのですが、技能実習にあって特定技能にはない区分や分野があり、その逆もまたあります。よって、技能実習で在留していても特定技能へ移行できない場合もあるのです。
<<技能実習から特定技能への移行方法は「【行政書士が解説】技能実習から特定技能への移行は可能?手続き方法は?」をご覧ください>>
【違いその3】在留期間
「技能実習」と「特定技能」では在留できる期間が違います。
特定技能は在留資格の更新することによって、通算5年まで在留可能です。また、2号に移行すれば在留期間の更新回数に上限はありません。
技能実習は3号まで変更することで最長5年まで在留できますが、実習生が技能評価試験を受け、合格することが必須です。2号移行は学科と実技、3号は実技の試験が実施されます。入管の審査によって更新できる特定技能とは手段も違ってきます。
特定技能 | 技能実習 |
---|---|
1号:通算5年 2号:上限なし | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内(合計で最長5年) |
特定技能創設以前は、実習満了後の技能実習生は帰国する道しかありませんでした。それは、技能実習設立の目的が「日本で学んだ技能を母国に伝えること」だったからです。しかし、特定技能創設後は、技能実習から特定技能への切り替えが可能になり、引き続き日本に在留できるようになりました。技術や日本語を習得した実習生が、経験を活かして引き続き日本で働けるということです。
特定技能への移行は、技能実習2号から可能です。
【違いその4】転職可能かどうか
技能実習は労働が目的ではないため、転職という選択肢は原則存在しません。就業先が変わる場合は「転籍」となります。
特定技能は就労資格なので、日本人同様に同一の職種であれば転職が可能です。
また、技能実習から特定技能への移行の際は、転職も可能になります。
特定技能 | 技能実習 |
---|---|
転職可能 | 原則不可 |
【違いその5】受入れ方法と受け入れ人数の制限
受入れ方法
技能実習生は海外の送り出し機関と提携している監理団体からの紹介しか、受入れることができません。
特定技能にはとくに制限はありませんので、受入れ企業自ら採用を行ったり、紹介会社を利用したり選択することができます。
特定技能 | 技能実習 |
---|---|
制限なし | 海外の送り出し機関と提携する、監理団体からの紹介のみ |
受け入れ人数
特定技能は原則、人数枠がありません。
対して、技能実習には細かい人数枠の制限があります。企業で適切な指導ができる人数に、予め制限されています。希望する人数だけ、受け入れることができるわけではありません。
特定技能 | 技能実習 |
---|---|
人数枠なし(介護、建設分野を除く) | 人数枠あり(常勤職員30名以下の企業は3名、優良企業は6名まで等) |
【違いその6】家族帯同の可否
外国人労働者にとって、家族帯同ができるかどうかは、長く働けるかどうかを決める重要な項目です。一緒に暮らすことができれば、日本で長く働く選択肢になります。逆に「母国に家族を残しているので帰国します」となることもあるわけです。
制度上、帰国が前提の技能実習生は、家族帯同はできません。
特定技能においては、1号は基本的に認められていませんが、2号は配偶者とその子であれば可能です。
特定技能 | 技能実習 |
---|---|
1号:不可2号:要件を満たせば可 | 不可 |
特定技能と技能実習の比較まとめ
ここまで、特定技能と技能実習の制度の大きな違いを見てきました。制度の創設目的が違うことがわかると、2つの制度の違いの理由がわかると思います。
ここまでの比較及び、それ以外の細かい違いは下記の表を参考にすると良いでしょう。
どちらの在留資格の求職者を選べばいいのか
ここまで2つの在留資格の違いを見てきましたが、どちらの在留資格もそれぞれにメリットデメリットがあり迷ってしまうかもしれません。
【一番重要なポイント】働いてほしい業務が可能な在留資格を選ぶ
「特定技能」「技能実習」に限らず、まずは該当の業務、職種で働くことが可能な在留資格を選ぶことから始めてください。
就労が認められていない在留資格では雇用してはいけません。許可されていない業務で働かせることは、不法就労助長罪にあたり、雇用主が懲役や罰金を科される場合があります。
技能実習の場合は、業務が非常に細かく分かれています。ちょっとした作業であっても範囲を超えた業務を行うことはできません。幅広く単純労働の業務をしてほしいと考えている場合は、特定技能での雇用をおすすめします。
そのほかにも就労可能な在留資格はありますので、以下の記事を参考にしてみてください。
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