【2024年】特定技能12分野(14業種)を解説!職種一覧・受け入れ状況まとめ
日本の深刻な人手不足が加速するなか、労働力として注目されているのが在留資格「特定技能」です。
本記事では、特定技能の分野や外国人が働くことができる職種、どのような業務に従事できるのかなどの特徴、特定技能の試験情報などを徹底解説します。
自社では特定技能外国人の雇用が可能なのか、確認のためにもぜひご覧ください。
▶特定技能外国人材の採用は実績豊富&ワンストップで対応できるマイナビグローバルにお任せを。資料請求はこちらから。
目次
閉じる
特定技能とは?
「特定技能」とは、人手不足が深刻とされる12分野において外国人の就労を認めた在留資格です。
また、これらの外国人の受け入れを目的とした制度を「特定技能制度」と呼び、2019年4月に創設されました。
特定技能には、1号と2号の2種類があり、2号は11分野となります。
特定技能の特徴は、単純労働を含む幅広い業務が可能という点です。単純労働のみ行うことはできませんが、付随的にであれば可能なため、日本人と同じように業務に従事できます。例えば外食業分野であれば、調理もフロアーでの接客もどちらも可能です。技能実習のように1つの作業区分しか対応してはいけない、といった制限はありません。
特定技能制度が創設される以前は単純労働を認める就労ビザはありませんでした(身分系在留資格を除く)。しかし人手不足が深刻な分野において、単純労働を含む労働力が不足していることから、特定技能制度が創設されたという背景があります。
特定技能で就労が可能な分野は「特定産業分野」といい、現在の対象は12分野(旧14分野)で、今後は16分野に増える予定です。
介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
分野ごとに在留資格の要件が異なり、特定産業分野以外の分野で就労することはもちろん、取得した分野以外の分野で就労をすることはできません。
× 特定技能「宿泊」分野の外国人 ⇒ 飲食店の調理の仕事をする
× 特定技能「農業」分野の外国人 ⇒ 人材派遣会社の営業事務の仕事をする
〇特定技能「介護」分野の外国人⇒ 介護施設で介護の仕事をする(介護士)
また、特定技能の特徴には、学歴が在留資格の要件として求められないという点も挙げられます。試験合格をもって在留資格申請の要件を満たすことができるため、さまざまな分野に挑戦しやすいです。
特定技能の概要や在留資格の申請要件については、ちらの記事をご覧ください。
特定技能の対象に4分野が追加
以下の4分野の追加が2024年3月に決定しました。受け入れ開始時期はまだ未定です。
人手不足の対象分野は多く、待望の対象拡大となりました。情報が公開され次第、この記事にも反映していきます。
特定技能2号の試験が本格的にスタート
特定技能2号の試験が2023年秋から各分野順にスタートしており、航空分野以外の10分野で国内試験を実施済です。試験合格は、2号の在留資格を申請するための要件の1つです。年間での実施回数や会場の数などは分野ごとに異なります。
受験にも分野ごとの要件があり、受験者には管理・指導の実務経験が求められる場合もあります。
また、試験申し込みは外国人個人ではなく企業の担当者が行わねばならない分野があるなど、1号よりも申請要件が厳しくなっていることに注意しましょう。よく要件を確認しておくことをおすすめします。
特定技能2号の概要と、分野ごとの詳しい申請要件については以下の記事にまとめています。ぜひ参考にご覧ください。
▶ 特定技能2号とは?取得条件や試験情報を解説
特定技能の12分野(旧14分野)|業務内容と雇用形態を総まとめ
ここからは、各分野の概要と・受け入れの現状についてご紹介していきます。
<< 特定技能を雇用できる?チャートで簡単診断【ダウンロードはこちら】 >>
1.介護
【概要】
介護と介護に付随する業務が可能で、任せられる業務は入浴介助・食事介助などの身体介護などと、それに付随する支援業務となります。
職業としては、介護士、看護助手です。
訪問系サービスはできません。
ただし、訪問介護における人手不足が深刻であることから、今後、訪問系サービスでも就労可能になります。
【現状】
2024年6月末時点、特定技能「介護」で日本国内に在留している外国人は36,719名です。
特定技能「介護」の試験は非常に進んでおり、日本国内のほかフィリピンをはじめとした海外でも実施。合格者数は2024年6月末時点で87,371人となっています。日本国内も海外も積極的に試験が実施されており、海外は12か国、特に近年はインドネシア国籍の増加が顕著です。
介護は唯一、特定技能2号が存在しない分野です。
特定技能1号を修了後に引き続き介護分野で就労したい場合は、在留資格「介護」へステップアップするのが一般的です。この場合、特定技能1号の在留期間中に介護福祉士の資格を取得する必要があります。
▼特定技能「介護」について更に詳しく解説!
▼インドネシアの特定技能候補者たちはどんな人たち?現地取材の様子を紹介
2.ビルクリーニング
【概要】
ビルクリーニングは、事務所や学校、興行場、店舗など、不特定多数の人が利用する建築物の内部を清掃します。場所、部位、建材、汚れ等の違いに応じた洗剤や用具の使い分けなどの専門知識を持っているとされます。
特定技能「ビルクリーニング」分野では日常清掃、定期清掃などの清掃業務のほかに、付随的な業務として、一定の範囲であればホテルの客室ベッドメイク作業にも従事できます。そのため、ビル清掃だけでなくホテルでの雇用も可能です。ただし、この付随的な業務に従事してもらうには、通常、日本人が従事している関連業務でなければなりません。
【現状】
2024年6月末時点でビルクリーニング分野で在留する特定技能1号外国人は4,635人で、他分野と比べて在留者はそこまで多くありません。
ビルクリーニング業界は全国的に人材確保が困難で、厚生労働省発表の資料によると、ビル・建物清掃員の2022年度の地域ブロック単位の有効求人倍率は最も高い北陸地方が 3.76 倍、最も低い南関東地方が 2.04 倍※です。これは定められた衛生管理・清掃等を行わなければならない「建築物衛生法」の対象となる建物が年々増えているからと予想されます。清掃作業を効率化するためのロボットの開発や、賃上げに向けた取り組み、女性・高齢者の活用等も推進されていますが、それでもなお人手が不足しており、特定技能外国人の受け入れによって人材を補填することが急務となっています。
在留資格申請の要件となるビルクリーニングの特手技能評価試験ですが、特定技能1号試験に合格した外国人は2024年6月末時点で9,101人でした。1号は海外でもインドネシアなど5カ国で試験が実施されています。
特定技能2号試験を受験したい場合は、現場管理の実務経験2年以上を証明する書類が必要となります。また、試験の申し込みは外国人個人ではなく、受入れ企業から行う必要があります。
※出典:ビルクリーニング分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針|出入国在留管理庁
▼特定技能「ビルクリーニング」について更に詳しく解説!
3.工業製品製造業(2022年に3分野統合)
いわゆる製造業分野です。もともと3つの分野に分かれていましたが、2023年統合し、2024年に分野の名称も変更となりました。
素形材区分
【概要】
金属、プラスチック、ファインセラミックス等の素材に、熱や圧力を加えて加工したものを「素形材」といいます。その素形材を部品・部材などに加工する業務に従事します。
【現状】
2022年12月末現在、受け入れ人数は統合した総数で27,725人です。
産業機械製造区分
【概要】
事務所や工場内で使用される産業用の機械全般(農業、工業、木工機械など)を製造。
【現状】
2023年までの受け入れ見込み人数は5,250人、実際に受け入れられているのは2022年3月末時点で6,021人と見込みを超えました。そのため、2022年4月1日より、新たな在留資格認定証明書の発行を停止しています。
最も多くの外国人労働者を受け入れている国内産業は製造業であり、技能実習生が多く訪日していることから、特定技能への切り替えが活発になっていることも一因です。現在の特定技能人材は、この切り替え人材が殆どとなっています。
▶ 参考:特定技能「産業機械製造業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置等について|出入国在留管理庁
電気・電子情報関連産区分
【概要】
電子機器の組み立てやめっき、機械加工など。
【現状】
電気・電子情報関連産業では、2022年3月末時点で、3,258人が受け入れられています。
4.建設業
【概要】
建設分野は、建築大工の他、内装や左官などの仕事に従事できます。業務区分は、土木、建築、ライフライン・設備の3つに分かれています。区分ごとに従事できる業務が違い、試験内容も異なるのでよく確認する必要があります。
建設の業務区分は19区分(18試験区分)でしたが、これを技能実習対象職種を含め、建設業に係る全ての作業を3つの特定技能業務区分に再編しました。詳細は以下をご覧ください。
▶ 業務区分の統合に係る関係資料【特定技能制度(建設分野)】|国土交通省
【現状】
建設分野で働く特定技能1号の外国人は、2024年6月末時点で31,853人(全体の12.7%)、12分野中4番目に多い分野となっています。
これは、技能実習から特定技能に在留資格移行(変更)した技能実習生が多くいたからです。
特定技能1号の試験合格者は2024年6月時点でわずか1,853人、在留者数の約5.8%です。つまり、現在建築分野で働く特定技能外国人は、ほとんどが在留資格「技能実習」から在留資格変更した人材ということがわかります。技能実習から在留資格変更する際は、移行対象分野であれば受験不要で在留資格変更できるからです。
在留者数を区分ごとに見てみると、土木が18,850人、建築が11,065人、ライフライン・設備が1,938人です。一般的に建設業は「建築」をイメージする人が多いかもしれませんが、実際に特定技能外国人が多く活躍しているのは「土木」の区分です。
2022年4月に全国で初めて、岐阜県の中国籍男性が、建設分野の特定技能2号に認定されたことが発表されました。技能検定1級を取ったことや、建設キャリアアップシステムのシルバー判定取得、現場の責任者を務めたことなどが認められての2号認定です。
現在は2号の評価試験が実施されており、試験に合格することで2号の取得が可能となります。
▼特定技能「建設」分野について更に詳しく解説!
5.造船・舶用工業
【概要】
造船・舶用工業分野では、船を製造するための様々な工程の業務を行うことができます。
区分は「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」「溶接」「塗装」「鉄工」「仕上げ」「機械加工」「電気機器組立て」の9つです。
【現状】
この分野で働く特定技能1号外国人は2024年6月末で8,703人で、「溶接」が4,861人と過半数を占め、圧倒的に多いことが特徴です。
1号の評価試験は集合形式で行われます。海外でも実施されていますが、フィリピン1カ国のみです。
2号の試験は「溶接区分」のみ実施していて、2024年6月末85人の合格者がいます。要件として、造船・舶用工業において複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者としての実務経験2年以上が必要になります。
6.自動車整備
【概要】
特定技能「自動車整備」では、自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備などの業務に従事できます。
また、これらの業務に付随すると考えられる関連業務(例えば、「整備内容の説明及び関連部品の販売」「自動車板金塗装や下廻り塗装作業」「洗車作業」「車内清掃作業」など)も担当することができます。
【現状】
自動車整備分野における特定技能1号の外国人は、2024年6月末時点で2,858人が受け入れられています。他の分野と比較してそこまで多い数ではありません。
技能評価試験は国内外で実施されており、海外はフィリピン、ベトナムの2カ国にとどまっています。
特定技能1号の試験合格者は2024年6月末時点で3,365人です。
特定技能2号の試験はほぼ毎日実施されており、今後の在留者数の変化に注目です。
▼特定技能「自動車整備」について更に詳しく解説!
7.航空
【概要】
特定技能「航空」分野は、「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2区分があります。
空港グランドハンドリングは、航空機の誘導や移動、貨物の搭降載などの業務を、航空機整備では航空機のメンテナンス業務などを行います。
【現状】
2024年6月末時点で受け入れられている特定技能1号外国人はわずか959人で、内訳は「空港グランハンドリング」が953人、「航空機整備」がわずか6人となっています。ほとんどが「空港グランハンドリング」です。
1号の特定技能評価試験は、他の分野と比較すると実施回数は多くありません。2024年6月末の試験合格者数は3,066名です。海外ではフィリピン、インドネシア、ネパール、モンゴル、スリランカの5カ国でも試験が実施されています。
対象者がいないことから、2号の試験は未実施です。
8.宿泊
【概要】
特定技能「宿泊」の外国人は、ホテルや旅館において、フロント、企画・広報、接客やレストランサービスと幅広い業務に従事することができます。
ただし、簡易宿所や下宿、風俗営業法に規定されている施設では、特定技能外国人を受け入れることができないため注意してください。また、風俗営業法に規定されている「接待」業務にも従事することもできません。
注意点は、宿泊分野はベッドメイキングをメインの業務にすることはできないということです。
「その業務に従事する日本人が通常従事する業務については可能」とされており、あくまで付随業務となります。ベッドメイキングの業務を中心に働いて欲しい場合は、特定技能「ビルクリーニング」の外国人を雇用しましょう。またホテル併設のレストランで受入れたいのであれば、特定技能「外食業」の外国人も選択肢になります。
ホテルで雇用される多くの外国人は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格ですが、業務の幅は特定技能外国人ほど広くありません。例えばフロント業務をしながら料理の配膳を行うことはできません。さまざまな業務に従事して欲しい場合は、特定技能の外国人雇用が適切です。
【現状】
特定技能「宿泊」で在留する特定技能外国人は、2024年6月末時点で492人で、 全12分野で最も少ない在留者数となります。
しかしながら試験合格者数は多く、2024年6月末時点で6,694人です。受験してみたものの別分野で就職したり、「技術・人文知識・国際業務」などの別の在留資格を取得して就労している外国人が多いものとみられます。
特定技能2号の評価試験受験の要件には「宿泊施設において複数の従業員を指導しながら、フロント、 企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に2年以上従事した実務経験」が必要とされています。業務内容はフロントだけでは満たせず、企画・広報、レストランサービスなども満遍なく経験していなければなりません。
1号で就労する外国人がごく少数であることからこれらの要件を満たせる人材は少なく、2号の受験者は非常に少ないのが現状です。
旅館やホテル側の特定技能外国人雇用が遅れている点が課題でもあります。
▼宿泊業界の人手不足はどう解決する?宿泊施設で雇用できる在留資格などを紹介!
▼特定技能「宿泊」分野についてもっと詳しく知る!
9.農業
【概要】
農業の業務内容は「耕種農業」と「畜産農業」の2区分があります。耕種は「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」の栽培、畜産は「養豚」、「養鶏」、「酪農」が該当します。また、関連業務として、農畜産物の製造・加工、運搬、販売の作業、冬場の除雪作業などが付随的に従事可能です。
「耕種農業」と「畜産農業」はそれぞれ別の試験が設けられており、合格した区分のみ就労可能です。どちらも就労したい場合は2つの試験に合格する必要があります。
雇用形態に派遣も認められている点が特徴です。
【現状】
特定技能「農業」は、受け入れ規模が大きく、1号は、2024年6月末時点で27,786人(全体の11%)が在留。これは特定技能全12分野中5番目に多い人数です。もともと、農業分野は技能実習生の受け入れも盛んなため、外国人採用・雇用については先進的な業界です。
特定技能1号の試験には、2024年6月末時点で56,555名が合格しています。1号の試験は海外12カ国で実施されており受験機会が多く設けられています。
特定技能2号の試験も既に実施しており、回数を重ねるごとに合格者が増加している状況です。試験の必要書類については、企業から提出する必要がありますが、試験の申し込み自体は外国人個人で行うことが可能です。
農業分野で外国人を雇用する方法はコチラの記事をご覧ください。
▶ 外国人が農業で働ける在留資格は?労働者数や雇用方法を詳しく紹介
特定技能「農業」分野についてもっと詳しく知る!
10.漁業
【概要】
漁業は、「漁業」と「養殖業」の2種類に区分され、それぞれ別の試験が用意されています。合格した区分でしか就労はできず、両方の業務に従事したい場合は2つの区分の試験に合格する必要があります。繁忙期や閑散期が対象とする海産物によって異なることから、派遣雇用が認められています。
【現状】
漁業分野の特定技能外国人は2024年6月末時点で3,035名と比較的少ない在留者数です。内訳は「漁業」が1,988名、「養殖業」が1,047名と「漁業」が多めです。
特定技能1号の試験の合格者数は、2024年6月末時点で1,403名です。
特定技能2号の申請要件として、日本語能力試験N3合格以上が求められるため、日本語のスキルが求められる分野となっています。
11.飲食料品製造業
【概要】
酒類を除く、飲食料品の製造、加工、安全衛生まで、飲食料品製造全般に従事できます。在留者数が多く、求職者からの人気が高い分野であることがうかがえます。
対象となるのは、以下の7業態です。
- 食料品製造業
- 清涼飲料製造業
- 茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
- 製氷業
- 総合スーパーマーケット(ただし食品製造を行うものに限る)
- 食料品スーパーマーケット(ただし食品製造を行うものに限る)
- 菓子小売業(製造小売)
- パン小売業(製造小売)
- 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(ただし豆腐・かまぼこ等加工食品の製造を行うものに限る)
参考:農林水産省|飲食料品製造業分野特定技能1号技能測定試験について:PDF
以前はスーパーマーケットでの就業はできませんでしたが、2024年3月の閣議決定により上乗せ基準告示の改正が決まり、総合スーパーマーケットや食料品スーパーマーケットがバックヤードで食料品製造を行う場合に限り、対象となりました。
【現状】
特定技能「飲食業品製造業」で在留する外国人は、2024年6月末時点で70,202人、特定技能外国人全12分野で一番多い在留者数です。
1号の試験合格者数は2024年6月末時点で68,713名で、以前は技能実習生からの移行が多い傾向でしたが、今は試験合格者が大半を占めています。
2号の試験も実施中です。受験の申し込みは企業からのみで、外国人個人の申し込みはできません。
また受験の要件として、飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験2年以上が必要です。
▼特定技能「飲食料品製造業」分野についてもっと詳しく知る!
12.外食業
【概要】
外食業分野では飲食物調理、店舗管理から接客まで、幅広い業務ができます。飲食店のフロアーはもちろん、ホテル併設のレストランで配膳業務などを依頼したい場合も、この在留資格で可能です。
これまで外国人が一般的な飲食店で幅広く働くことが認められた「就労ビザ」はなかったため、待望の在留資格といえます。
【現状】
外食業分野の特定技能外国人は、2024年6月末時点で20,308人です。新型コロナウイルス対策による外出自粛がなくなってから、人手不足が加速していることや、外国人観光客の増加でインバウンド対策としての需要も増えています。全12分野中6番目に在留者数が多い在留資格で、日本語を活かして働きたい外国人に人気の分野です。
特定技能1号の試験合格者数は2024年6月末時点で71,615名と非常に多くなっています。外食業分野は技能実習からの移行対象の人数が非常に少ないため、ほぼ試験合格による在留資格取得となります。
特定技能2号の試験については既に実施されています。受験の要件にはマネジメント経験や店舗管理の補助経験が必要です。また、試験申し込みは企業のみ、外国人個人からはできません。2号の在留資格申請には日本語能力試験N3以上合格が必須で、他分野よりも日本語能力が求められる点が特徴です。
<< 特定技能「外食業」について詳しく解説した記事はコチラ >>
特定技能の試験について
「特定技能1号」の試験制度は、①各分野の業務に関連した技能の試験と、②日本語能力に関する試験という2本立ての試験制度になっています。
①は技能評価試験といい、12職種の分野ごとに用意されている技能試験です。日本語能力試験は日本語能力試験(JLPT)N4以上または、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-basic)200点以上のどちらかの合格が必要です。
「特定技能2号」の試験制度は、①各分野の業務に関連した技能の試験、②外食業と漁業の2分野は日本語能力試験N3合格 が在留資格申請に必要です。
②に関しては、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-basic)は認められていません。
また、申し込みに必要な書類や手続き方法なども分野ごとに異なるので注意が必要です。外国人個人の申し込みができない
詳細については以下の記事をご覧ください。
特定技能の12分野について、雇用形態と従事できる業務を一覧表にまとめました。
特定産業 分野 | 雇用 形態 | 従事できる業務 | 試験の種類数 (試験区分) |
---|---|---|---|
介護 | 直接 | 身体介護および付随する支援業務。訪問系サービス不可。 | 1 |
ビル クリーニング | 直接 | 建物内部の清掃業務。 | 1 |
工業製品製造業 | 直接 | ①素形材産業 鋳型製造業(中子を含む)、鉄素形材製造業、非鉄金属素形材製造業、作業工具製造業、配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)、金属素形材製品製造業、金属熱処理業、工業窯炉製造業、弁・同附属品製造業、鋳造装置製造業、金属用金型・同部分品・附属品製造業、非金属用金型・同部分品・附属品製造業、その他の産業用、電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)、工業用模型製造業 ②産業機械製造業 機械刃物製造業、ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業、はん用機械器具製造業(素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)、生産用機械器具製造業(素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)、業務用機械器具製造業(ただし、以下に掲げられた業種に限る)、管理、補助的経済活動を行う事業所(27業務用機械器具製造業)、事務用機械器具製造業、サービス用・娯楽用機械器具製造業、計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具製造業、光学機械器具・レンズ製造業 ③電気・電子情報関連産業 電子部品・デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業(ただし、内燃機関電装品製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)、情報通信機械器具製造業 | 3 |
建設 | 直接 | 型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、 土工、屋根ふき、電気通信、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ /表装、 とび、建築大工、配管、建築板金、保温保冷、吹付ウレタン断熱、海洋土木工。 | 18 |
造船・ 舶用工業 | 直接 | 溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立て。 | 6 |
自動車 整備 | 直接 | 自動車の日常点検整備・定期点検整備・分解整備。 | 1 |
航空 | 直接 | 空港グランドハンドリング (地上走行支援業務,手荷物・貨物取扱業務等) と、 航空機整備(機体,装備品等の整備業務等)。 | 2 |
宿泊業 | 直接 | フロント・企画・広報・接客・レストランサービス等の 宿泊サービスの提供。 | 1 |
農業 | 直接・ 派遣 | 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)。 畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)。 | 2 |
漁業 | 直接・ 派遣 | 漁業 (漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、 水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵,安全衛生の確保等)。 養殖業 (養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理・ 収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等)。 | 2 |
飲食料品 製造業 | 直接 | 飲食料品製造業全般 (飲食料品(酒類を除く)の製造・加工,安全衛生。総合スーパーマーケット(ただし食品製造を行うものに限る)なども含む) <採用事例> | 1 |
外食業 | 直接 | 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)。 <採用事例> | 1 |
なお、表に記載の「試験区分」とは、在留資格「特定技能」を取得するための試験の種類のことを言います。例えば、介護は1試験区分しかありませんが、従事する業務によって、試験内容が異なることが特徴です。
まとめ
国内の少子高齢化にともなう労働力不足は各所で起きており、特定技能は今後ますます増加すると考えらえます。
また、特定技能2号の試験が開始し、4分野が新たに追加となることも追い風となるでしょう。
2号を取得できれば、家族帯同や在留期間の更新が無制限、永住権を取得するための要件を満たせる可能性があり、長く日本で就労したい外国人にとって目指しやすい在留資格となりました。
特定技能外国人は、職種や従事できる業務が幅広いことから、様々な業種の企業にとって戦力にしやすいと考えられます。 特定技能外国人を採用し、企業の戦力としてはいかがでしょうか。