特定技能「ビルクリーニング」で外国人を採用する方法や評価試験を解説!ベットメイクは可能?

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日本ではますます少子高齢化が進んでいます。そこで2019年4月、政府は外国人の在留資格「特定技能」を設けました。
これは、特定の技能を持った外国人の就労制度を定めたもので、一定の技術を持つ外国人材が産業やサービスの現場で働けるようになりました。

「特定技能」には14業種ありますが、それらの中から今回は「ビルクリーニング」について解説していきます。

また、特定技能「ビルクリーニング」の業種において、外国人材を採用するために必要な評価試験や要件についても説明します。

監修:近藤 環(サポート行政書士法人)

在留資格に関するコンサルティング業務を担当。2019年に新設された「特定技能」も多数手がけ、申請取次実績は年間800件以上。 行政書士(東京都行政書士会所属 /第19082232号)

特定技能「ビルクリーニング」とは?

「特定技能」とは、深刻化する人手不足の解決をめざし、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れるために新設された在留資格のことです。2019年4月にこの制度を設けてから、全14業種で多くの外国人材が働けるようになりました。

ビルクリーニング分野も対象になっており、特定技能1号の在留資格を得た外国人は、最長5年間、要件を満たしたビルメンテナンス会社で働くことができます。

ビルクリーニングとは、事務所や学校、興行場、店舗など、不特定多数の人が利用する建築物の清掃業務のことです。

特定技能「ビルクリーニング」では、日常清掃、定期清掃などの清掃業務のほかに、ホテル客室のベッドメイク作業にも従事できるようになりました。

特定技能「ビルクリーニング」には1号と2号がある?

特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。

外国人材が保持する技能レベルに応じて、特定技能1号と特定技能2号に分けられます。しかし、14業種ある特定技能のうち、特定技能1号と特定技能2号の両方がある業種は、現時点(2021年8月現在)では、建設業と造船・舶用工業の2業種のみです。

ビルクリーニングでは「特定技能1号」のみが認められています。

「ビルクリーニング」分野の人手不足の現況

近年、ビルクリーニングは厳しい人材不足に陥っています。ビル・建物清掃員の有効求人倍率の推移を見ると、平成29年度には全国平均2.95倍にものぼります。

出典:厚生労働省「ビルクリーニング分野について」よりマイナビグローバルが作成

一方、ビルクリーニングが法律によって定められている特定建築物*1は、平成31年3月末で46,210件です。下図のように、年々右肩上がりで増加しています。

出典:厚生労働省「平成30年度衛生行政報告例」よりマイナビグローバルが作成

さらに、厚生労働省が公表している調査結果*2によれば、65歳以上の清掃従事者が、全体の37.2%も占めていることがわかっています。長期的な視野で考えれば、高齢の清掃従業者が約4割近くを占めているという現状は、今後の人材不足を加速させる要因となるでしょう。

人材不足によりビルクリーニングの業務が適切に行われなくなれば、建築物の衛生状態が悪化し、利用者の健康が損なわれるリスクがあります。そのため、政府は特定技能制度を設置し、外国人労働者の雇用を積極的に活用し、ビルクリーニング分野の衰退をストップしようと考えたのです。

興行場、百貨店、店舗、事務所、学校等の用に供される建築物で、延べ面積が3,000平方メートル以上 (小学校、中学校等は8,000平方メートル以上)のものを指します。わかりやすくお伝えすると一般の住宅ではなく、多数の人が利用する施設のことです。

*1特定建築物

*2参考資料:*厚生労働省が公表している調査(ビルクリーニング分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針

特定技能「ビルクリーニング」で外国人材が行うことのできる業務

特定技能「ビルクリーニング」では、建築物の内部を対象に、汚れの違いや、場所の用途、部位の特性などに注意しながら、適切にクリーニング方法や洗剤、用具などを選び、自らの判断によって清掃業務を遂行します。

具体的に、外国人材は以下の業務を担うことができます。

【主たる業務】【日本人が通常従事することとなる関連業務】※付随的な従事のみ
ビルクリーニング作業 (日常清掃、定期清掃、中間清掃、臨時清掃など)   客室のベッドメイク作業・資機材倉庫の整備作業 ・建物外部(外壁、屋上等) 洗浄作業 ・建築物内外の植栽管理作業 ・資機材の運搬作業(他の現場に移動する場合等) ・客室以外のベッドメイク作業 ・ベッドメイク作業を除く客室等の整備作業
※関連業務ばかりに従事することは認められていません

特定技能「ビルクリーニング」ではベッドメイク業務も可能に

「ビルクリーニング」というと、「清掃業務だけ」というイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、特定技能「ビルクリーニング」では、先程もお伝えしたようにホテルなどの宿泊施設のベッドメイク作業も業務として認められています。

宿泊業界もビルクリーニング同様、人材不足が深刻です。そのため、「宿泊業」も、特定技能制度が認められた14業種のひとつです。

ホテルでのフロント業務やレストランでの接客などは、特定技能「宿泊」の分野ですが、この分野ではベッドメイク業務のみに従事することはできません。ベッドメイク業務を主にする場合は、特定技能「ビルクリーニング」の分野となります。

特定技能「宿泊」について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。

特定技能1号「ビルクリーニング」を取得するには?

外国人材が特定技能1号「ビルクリーニング」を取得するには、どうすれば良いのでしょうか。取得するための要件と、取得方法について解説します。

「ビルクリーニング」分野特定技能1号評価試験に合格する

外国人材が特定技能1号「ビルクリーニング」を取得するには、二つの方法があります。一つ目は、「ビルクリーニング分野の特定技能1号評価試験に合格する」というものです。ビルクリーニングで特定技能1号の在留資格を取得するためには①技能試験(判断試験+ 作業試験)、②日本語能力試験の、両方の合格が必要となります。

①技能試験

試験名:ビルクリーニング分野特定技能業評価試験

実 施:公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会

実施国:日本(北海道/宮城県/東京都/愛知県/大阪府/広島県/徳島県/福岡県)、ミャンマー、フィリピン、インドネシア(予定)※2021年11月実施

申 込:公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会のホームページ

 

②日本語能力試験

 日本語能力試験は(1)(2)のどちらかの試験に合格する必要があります

(1)国際交流基金日本語基礎テスト

必要レベル:合格

申   込:個人受験予約の流れ|JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト

(2)日本語能力試験

必要レベル:N4以上

申   込:https://www.jlpt.jp/application/domestic_index.html

「ビルクリーニング」分野の技能実習2号からの移行

外国人材が特定技能1号「ビルクリーニング」を取得するための、二つ目の方法は、「ビルクリーニング分野の技能実習2号から移行する」というものです。

「技能実習2号」とは、1993年に導入された技能実習制度に基づき、一定の期間に技能実習を行い、要件を満たすことで取得できる在留資格です。今回、新しく「特定技能」の制度が整備されたことにより、外国人材は「技能実習生」から「特定技能」へ移行できるようになりました。この場合、ビルクリーニング分野の特定技能1号評価試験は免除されます。

「ビルクリーニング」分野特定技能1号評価試験とは?

ビルのエレベータを掃除する様子

外国人材が特定技能1号「ビルクリーニング」を取得するには、「技能評価試験」と「日本語能力試験」の、2つの試験で一定の成績をおさめる必要があります。

ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験

「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」は、受験者が技能水準を満たしているかを評価する技能試験です。ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験実施要領によれば、試験の水準は、「ビルクリーニング職種・ビルクリーニング作業の第2号技能実習修了相当の水準*」と定められています。

*場所、部位、建材、汚れ等の違いに対し、作業手順に基づき、自らの判断により、方法、洗剤および用具を適切に選択して清掃作業を遂行できるレベル。

受験資格

  • 試験日において、17歳以上の者
  • 国内試験の場合は、在留資格を有している方(「短期滞在」の在留資格も含む)

試験内容

試験は「判断試験」と「作業試験」により合否が決まります。

会場

2021年4月~5月に行われた第四回試験は全国8カ所(北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、徳島、福岡)で開催。そのほか、海外ではミャンマーとフィリピンでも開催。

定員

第四回試験の定員は累計750名。試験会場ごとに定員が決まっており、東京が300名、大阪が100名、そのほかの会場が50名ずつ。

日本語試験に合格する

「ビルクリーニング」分野の特定技能資格を取得するには、日本での就業や生活が可能な日本語能力を持っている必要があります。具体的には、日本語能力試験JLPTのN4以上、もしくは国際交流基金日本語基礎テストに合格しなければなりません。

「日本語能力試験」

日本語能力試験のレベルは5段階。基礎のN5から幅広い場面で使われる日本語のN1までがあります。「ビルクリーニング」分野の特定技能資格取得に際し、日本語能力試験を受験する場合は、N4以上が必要です。

N4は、「基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる」「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」というレベルです。試験は通常、年2回開催されます。

「国際交流基金日本語基礎テスト」

日本の生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定し、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定するテストです。試験は通常、年6回開催されます。(状況により変更される場合があります)

特定技能「ビルクリーニング」の外国人材を採用するには?

特定技能外国人を雇用する企業のことを、「特定技能所属機関(受入機関)」と呼びます。ビルクリーニング業で特定技能外国人を受け入れる特定技能所属機関(受入機関)は、次の条件をすべて満たす必要があります。

「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けている

特定技能「ビルクリーニング」の外国人材を採用するためには、以下のいずれかでなければなりません。

  • 建築物衛生法第12条の2第1項第1号に規定する建築物清掃業に登録している事業者
  • 建築物衛生法第12条の2第1項第8号に規定する建築物環境衛生総合管理業に登録している事業者

支援体制の義務を果たす

特定技能所属機関(受入機関)は特定技能外国人に対し、住居の契約の際に連帯保証人となるなど複数の支援をすることが義務付けられています。ただし、受入機関はこの支援業務を「登録支援機関に委託する」ことができます。

登録支援機関について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

ビルクリーニング分野の特定技能協議会への加入

厚生労働省が設置するビルクリーニング分野の業界団体、試験実施主体、制度関係機関その他の者で構成する「ビルクリーニング分野特定技能協議会」の構成員になることが義務付けられています。

また、特定技能所属機関(受入機関)は、ビルクリーニング分野特定技能協議会の行う調査及び指導に対しての協力が求められます。

まとめ

掃除をする外国人労働者

ビルクリーニング業界において、人材不足と高齢化は加速しています。ビル内の衛生管理は、利用者の健康に関わる重要な問題です。今後も、ビルの建設ラッシュが続くと予想される日本において、特定技能ビルクリーニング分野の果たす役割はますます大きくなると見込まれています。こうした制度を活用し、人材不足の課題解消に取り組んでみてはいかがでしょうか。