特定技能1号と2号の7つの違いを徹底比較!取得要件や在留期間に注目
2019年4月に在留資格「特定技能」が創設されました。昨今では特定技能2号の分野追加の動向についてニュースでも多く取り上げられ注目が高まっています。しかし特定技能2号は1号とどう違うのでしょうか?
今回は、「特定技能1号」と「特定技能2号」の違いについて、取得方法なども含めて詳しく解説します。
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目次
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特定技能とは?
特定技能は、深刻化する人手不足をうけて、労働力が特に不足している特定産業分野において人材を確保することを目的に創設された在留資格です。これに関する制度を「特定技能制度」と言います。2019年4月に創設されました。
他の就労可能な在留資格との違いは、就労可能な範囲が広いことです。
単純労働をメインに就労することはできないものの、単純労働を含む業務が可能なので、活躍してもらいやすい在留資格と言えます。
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特定技能は1号と2号の2種類
対象となる産業分野ですが、特定技能1号は12分野(旧14分野)、特定技能2号は11分野(旧2分野)で、介護分野が2号対象外です。
2022年までは建設と造船・舶用工業の2分野のみでしたが、2023年に9分野で追加されています。介護分野は他に移行可能な在留資格があることから、対象から除外されています。
<<特定技能の職種詳細はこちら⇒ 【2024年】特定技能12分野(14業種)を解説!職種一覧・受け入れ状況まとめ>>
特定技能2号は2022年以前は「建設」と「造船・舶用工業」の2職種しかありませんでしたが、特定技能1号は通算5年までという在留期限があり、2019年初期から特定技能で在留している外国人の期限が迫っているため2023年に対象分野を拡大させています。また「介護」分野については在留資格「介護」などの別の移行先があることから2号の創設は見送りとなりました。
今後、2号取得のために1号を取得して働きたいと考える外国人が増加することが考えられます。そこで採用競争が激化する前に、今、採用の検討を始めるのがおすすめです。
特定技能2号の全分野に関する情報は以下の記事で徹底解説!併せてご覧ください。
特定技能1号と2号の違いは7つ
特定技能1号と2号の違いは以下の通りです。
特定技能1号 | 特定技能2号 | |
---|---|---|
①在留期間 | 1年・6カ月・4カ月ごとの更新 (通算5年まで) | 3年・1年・6カ月ごとの更新 (更新の上限なし) |
②永住権の取得 | できない | 要件を満たせる可能性がある |
③技能水準 | 相当程度の知識又は経験を必要とする技能 | 熟練した技能 (各分野の技能試験で確認) |
④外国人支援 | 必須。支援計画の策定実施は義務 | 支援計画の策定実施は不要 |
⑤家族の帯同 | 不可 | 条件を満たせば可能 |
⑥日本語能力水準試験の有無 | ある | ない |
⑦試験の実施状況 | 国内外で実施中(2023年4月現在) | 2023年から実施(一部分野未実施) |
内容について、以下詳しく解説していきます。
1.在留期間の上限の違い
特定技能1号の場合は通算5年まで、特定技能2号の場合は更新する限り上限なく在留できます。
つまり、更新し続けられれば実質永住することも可能ということです。※就労ビザなので雇用されていることが前提となります。
2.永住権の要件を満たせる可能性がある
特定技能2号は永住権の取得要件を満たせる可能性があります。1号は出来ません。
これは出入国在留管理庁のサイトに記載されている永住許可に関するガイドラインです。永住権の申請の要件の一つに原則として10年間の在留が必要とありますが、技能実習と特定技能1号で在留した期間はその10年にカウントされません。
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
出入国在留管理庁|永住許可に関するガイドライン(令和5年4月21日改定)
先ほど説明した通り、特定技能2号は在留期間の更新に上限がありません。取得してから10年を超えると永住権の申請が可能になります。
他にも満たすべき要件はありますが、そのほかの永住権取得要件や、永住権の詳細は、以下の記事を併せてご覧ください。
3.求められる技能水準の違い
特定技能1号よりも2号の方が高いレベルの技能水準が求められます。
例えば建設分野では、以下のような違いがあります。
- 1号……「配管(指導者の指示・監督を受けながら配管加工・組立て等の作業に従事)」
- 2号……「配管(複数の建設技能者を指導しながら、配管加工・組立て等の作業に従事し、工程を管理)」
同じ「配管」の分野であっても、特定技能2号では、他の建設技能者を指導したり、工程を管理するなどの指導的な経験が求められます。
4.外国人支援の必要性の有無
特定技能1号では、外国人支援が必須です。
過去2年間外国人社員が在籍していない場合は「登録支援機関」へ支援を委託しなければなりません。
また、過去2年間に外国人社員が在籍していたとしても、多くの中小企業では人材面、費用面などの理由で自社による支援が難しいことから、「登録支援機関」への委託が必要になります。
一方、特定技能2号では、支援計画の策定および実施は不要になります。
5.家族帯同の可否
特定技能1号については、基本的に家族帯同が認められていません。
一方、特定技能2号については、配偶者と子であれば要件を満たすことで本国から呼び寄せることが可能です。その場合、配偶者と子については在留資格が付与され、日本で生活することができます。
6.日本語能力の確認試験があるかどうか
特定技能1号では、技能試験と併せて日本語能力を確認するための試験が設けられています。
今のところ、特定技能2号の取得要件に日本語試験はありませんが、2023年の対象分野拡大を受けて変更になる可能性はあります。
7.試験の実施状況の違い
特定技能1号の試験は、分野によって実施頻度が異なりますが、国内外で定期的に実施されています。
海外の試験実施国は二国間の協力覚書を締結している国となりますが、新型コロナウイルス感染拡大後は、実施していなかったり中断していたりする国もあるため注意しましょう。海外現地で試験が実施されていない場合は、短期滞在ビザなどで来日して受験することで要件を満たすことも可能です。
一方、特定技能2号の試験はほとんどの分野で試験が開始しています。しかし、国内のみで実施されている分野もあれば、まだ試験情報も出ていない分野もあります。最新の動向は管轄する各省庁のサイトで確認が可能です。また、申し込みは特定技能外国人本人ではなく、企業が行うとする分野もありますので、注意が必要です。
特定技能1号の試験実施状況について、詳しい情報は過去の記事をご覧ください。
特定技能1号と2号の取得方法
特定技能1号と2号の在留資格の取得方法について、要件や試験などについて解説します。
特定技能1号の取得方法
特定技能1号の場合は、特定技能測定試験に合格する方法と、技能実習から移行する方法の2パターンがあります。
パターン1:特定技能測定試験
12職種の分野ごとに用意されている技能試験と、日本語能力試験の2つの試験に合格する必要があります。
試験内容や移行方法については過去の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
パターン2:技能実習から移行
以下の要件で移行をすることができます。
- 技能実習2号を良好に修了していること
- 技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められること
また、技能実習を良好に3年間終了し(技能実習2号まで)、職種と作業内容が移行する特定技能1号の業務に関連性が認められる場合は、技能試験と日本語試験が免除されます。技能実習時と異なる業務を行う場合でも、技能実習2号を良好に修了している場合は日本語試験が免除されます。
特定技能2号の取得方法
特定技能2号の取得方法は、該当の2号の試験に合格することです。
特定技能2号の取得はもともと特定技能1号からの移行のみでしたが、2023年秋以降はそのほかの在留資格からでも移行が可能となっています。1号から移行する場合も、その他の在留資格の場合も、試験の合格が必要になります。
1号と違う点は、日本語試験についての言及がないことです。
また分野によっては、「班長としての一定の実務経験」「日本国内の企業で該当分野の実務経験3年以上」「管理職相当の実務経験を証明する書面の提出」「試験の申し込みは企業が行う」などの追加条件があり、これらを踏まえると特定技能1号で就労していなければ難しい分野もありそうです。
2023年秋に2号の対象となった分野の試験は、2023年12月現在、情報非公開・未実施も多いため、不確定要素が多い状況です。最新情報は各管轄省庁のサイトで確認することをお勧めします。公表され次第、記事も更新していきます。
特定技能2号の創設が注目されています
今回は、特定技能1号と2号の違いについて解説しました。
特定技能1号は職種が多く、国内外で定期的に試験が実施されている分野もあり、受け入れも少しずつ進んでいます。
一方、特定技能2号は介護分野以外の11分野に対象が拡大し、2023年秋からは一部の分野で試験が実施されています。多くの分野で家族帯同や無制限の在留期間更新が可能になり、今後は永住権の取得も視野に入ってくるでしょう。
末永く雇用したいと考えている企業では、特定技能1号から特定技能2号へ移行することを見据えた採用・人材育成を行うことも検討してみてください。
特定技能2号の対象分野が増えたことで、今後はより特定技能の取得を目指す外国人が増えるはずです。