外国人介護士と「伝わる」コミュニケーションをとる3つのポイント

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執筆者:

馬淵敦士

「外国人」というイメージから、外国人介護士に対して「コミュニケーションをとるのは難しいのでは」「言葉が伝わらないのでは」と先入観を抱いていませんか?ちょっとしたポイントをおさえれば、コミュニケーションをとることは難しいことではありません。

今回は、外国人介護士に伝わるコミュニケーションについて、3つのポイントを紹介します。

▼前回の記事はこちら

外国人介護士とのコミュニケーションは難しい?

上のデータが示すとおり、一般的に、外国人労働者には「コミュニケーションがとりにくい」というイメージがあるようです。

介護業界でも、言語の違いなどにより「外国人介護士とはコミュニケーションが難しそう」という先入観はあります。現場の介護職員も、外国人介護士に対して「どのようにコミュニケーションをとればいいのか」「利用者に対して正しいコミュニケーションがとれるのだろうか」と不安を抱いていることは事実でしょう。

しかし、外国人介護士は一定の日本語教育を受けてきているはずですので、全く日本語がわからないということはないと考えます。

実際に外国人労働者の雇用経験がある企業のアンケートでは、7割以上がコミュニケーションに不満はないという結果が出ています。イメージと比較すると、外国人労働者の満足度は高めである、といえるのではないかと思います。

しかし、外国人介護士と同じ職場で働く中で、コミュニケーションをとりづらい場面に出くわした場合、どう対処すればよいのでしょうか。

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【ポイント1】Yes/Noを誤解のない言葉で、はっきり伝える

日本語には、文脈によって「Yes」とも「No」とも受け取れるような、良くも悪くも「あいまいな」表現が多くあります。英語などはYes/Noと表現がはっきりしていますので、この「あいまいさ」に戸惑ってしまう外国人介護士は多いようです。

【例1】
外国人介護士から「後片付けをしてもいいですか?」と聞かれたので、「いいよ」と返答したところ、後片付けがされていなかったそうです。
外国人介護士に確認すると、「いいよ、と言われたので、しませんでした」と返答されました。

このケースでは、「してもいいよ(Yes)」と返事をしたつもりでしたが、外国人介護士には「しなくていいよ(No)」と伝わってしまい、適切な業務を行うことができませんでした。

介護の現場で、指示があいまいになってしまうと、利用者に迷惑をかけてしまう可能性があります。特に「Yes/No」に関しては正反対の意味になるので、はっきりと伝わる言葉を用いましょう。上の例の場合は「はい。片付けておいてください」などと答えるとよいですね。

【例2
外国人介護士が利用者に「お茶はいりますか?」と聞いたところ、「結構です」と返答が。お茶を持っていったところ、「いらないと言っただろう!」と怒られてしまいました。

「結構です」には、「それでよいです」という意味もあるので、外国人介護士は「お茶がいる」という意味と捉えてしまったのでしょう。日本語のあいまいな表現でコミュニケーションが相違することがあるため、はっきりと「Yes/No」が伝わる言葉を選択することが重要です。

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【ポイント2】伝わる言葉に置き換える

言葉が理解できない外国人のイメージ

外国人介護士は「話す」だけではなく、「読み」や「書き」についても学んでおり、介護用語についても一定の知識は習得しています。しかし、現場で使用する「専門用語」をすべて理解しているわけではないことも。

実際、介護職員が記載した記録に書かれている内容を外国人介護士が理解できず、業務に支障が出たケースはあるようです。そんなときは、専門用語を「伝わる言葉」に置き換えてみましょう。

例えば、「仙骨部→おしり」「褥瘡→床ずれ」「要確認→しっかり見てください」というように、平易な日本語に置き換えると伝わりやすくなります。

このように伝わる言葉に置き換え、用語の意味を理解してもらった上で専門用語を覚えてもらうよう指導していくと、外国人介護士のスキルアップにもつながります。こんな言葉は伝わらなかったといったなどの指導のやりとりを記録しておくと、今後新しい外国人介護士が入職してきた場合にもマニュアルとして利用できるでしょう。

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【ポイント3】言葉以外のコミュニケーションの活用

ここまでは「言葉」のコミュニケーションのポイントをお伝えしてきましたが、言葉以外のコミュニケーションも活用していきましょう。実際の介護現場ではこんな場面がありました。

例】
利用者が外国人介護士に対して一生懸命なにかを話していますが、伝わりません。そこで利用者がお茶を注ぐしぐさをしたところ、外国人介護士はすぐにお茶を持ってきました。

言葉で「お茶をちょうだい」といっても伝わらなかったのですが、お茶を注ぐジェスチャーで利用者の要望が伝わったというケースです。コミュニケーションをとる方法は言葉のみではなく、ジェスチャーでも十分伝わります。むしろ、ジェスチャーの方が伝わりやすいケースもあるでしょう。

また、笑顔で挨拶をするだけでも利用者とのコミュニケーションにつながります。「あなたの笑顔素敵ね」と利用者に声をかけられ、モチベーションがとても高まったという外国人介護士もいました。

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まとめ

外国人介護士を受け入れたいと思っていても、「コミュニケーションが難しそう」と断念している施設もあるかと思います。しかし、工夫をこらして受け入れに成功している施設も多くあります。

まずは「コミュニケーションが難しそう」という先入観を捨て、外国人介護士に「伝わる」コミュニケーションのポイントをおさえて指導していきましょう。

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