施設への満足度が重要。外国人介護士の離職を防ぐポイントを解説!

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執筆者:

馬淵敦士

「仕事が長続きするポイント」はなんだと思いますか? 重要視するポイントは人それぞれだと思いますが、日本で働くみなさんも、多くの人が「働きやすい環境」を求めるのではないかと思います。ましてや、外国人介護士にとっては、異国の地。職場環境に満足しないと、長く働くことは難しいでしょう。
逆に、施設への満足度が高ければ、継続して働きたいと考える外国人介護士は増え、離職も防げると考えられます。

今回は、外国人介護士へのアンケート結果をもとに、施設の就労条件や外国人介護士への支援について解説します。

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就労条件の満足度を高めよう

図1:就労条件満足度(※)と将来の希望

図1は、外国人介護士へのアンケートをもとにした、就労条件の満足度と、5年後・10年後の就労希望の関係性を示したデータです。

注目すべき点は、5年後・10年後ともに、就労条件の満足度が高いほど、「日本で介護関連に限って就労したい」と希望している割合が高くなる傾向がある、ということです。

例えば、5年後のデータを見ると、就労条件の満足度が「低い」と回答した人のうち、「日本で介護関連に限って就労したい」と希望している人は43.9%。それに対して、満足度が「高い」と回答した人のうち、「日本で介護関連に限って就労したい」と希望している人は63.1%となっています。これは外国人介護士の離職予防において、見逃せないポイントとなります。

また、満足度が高いほど、「日本で職種限定せず就労したい」という割合は減っているため、「日本」という国で働くということよりも、「介護」という職種に魅力を感じていることがわかります。そして職場環境の満足度が高いと、「このままこの施設で働きたい!」という気持ちも強くなることが想像できます。

このように、就労条件の満足度を高めることが、離職の予防策になるでしょう。

では、どのようにして就労条件の満足度を上げていけばよいのでしょうか。就労条件の満足度を示す項目について、それぞれ解説していきます。

給料

給料については、当然のことながら適切に支払わなければなりません。金額の問題だけではなく、外国人介護士が労働に見合った対価と感じているか、ということもポイントです。

施設の職員との関係

業務を進めるにあたり、外国人介護士と日本人介護士は、コミュニケーションがとりづらい場面も出てくるでしょう。漢字が読めない外国人介護士がいる場合はふりがなを付ける、難しい言葉は簡易な言葉に言い換えて伝えるなど、外国人介護士が理解しやすいようなコミュニケーション方法をとっているかを振り返ってみましょう。

また、外国人介護士に、コミュニケーションで困っていることがないか、常に聞き取りを行うことも重要です。対策をとったうえで、職員同士の関係性向上に努めましょう。

外国人介護士とのコミュニケーションについては、こちらの記事を参考にしてください。

休みの取りやすさ

外国人介護士に限定せず、全ての職員が適正に休みを取れているか確認しましょう。また、やむを得ない事情で急に休みが必要になった場合に、シフト変更など柔軟に対応でき、休みを取りやすい体制を整備することも大切です。

労働時間

労働基準法に沿った労働時間を順守するのは当然ですが、休憩時間などはしっかりととれているでしょうか。介護現場では利用者の介助に集中するあまり、なかなか休憩時間がとれない場合があります。適切な人員配置をし、各自が十分な休憩時間をとれる環境が整備されていることもポイントです。

利用者との関係

外国人介護士と利用者の信頼関係を構築するための、フォロー体制は整っているでしょうか? 利用者との関わり方を正しく指導しているか、関わり方が適切であるか定期的にチェックができているか、確認していきましょう。

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支援の満足度を高めよう

図2:施設からの各種支援満足度(※)と将来の希望

上の図は、外国人介護士へのアンケートをもとにした、施設からの支援の満足度と、5年後・10年後の就労希望の関係性を示したデータです。5年後をみると、各種支援の満足度が「高い」層は、「日本で介護関連に限って就労したい」と希望している割合が最も高くなっています。

外国人介護士の施設への満足度を高めるためには、就労条件だけではなく、支援も大切だといえます。施設からの支援の満足度を示す項目について、それぞれ解説していきます。

日本語の勉強への支援

日本語の勉強への支援は、利用者や日本人介護士とのコミュニケーション力を向上させるために必要なもの。一般的な日本語を教えるだけではなく、介護現場でよく使用される言葉や、対人援助職で求められる敬語など、必要な日本語教育がされているか確認しましょう。

利用者から求められる介護士像をイメージして、日本語教育を行う必要があります。

介護の技術・能力を高める研修・支援

介護技術は、言葉のみの説明では伝わりにくい部分が多くあります。言葉をかみ砕く・動作をシンプルにするなど、伝わりやすさを工夫して指導できているかチェックしましょう。

画一的な研修に参加するだけではスキルアップにはなりません。一人ひとりのレベルを常に把握し、各個人に応じた指導を心がけましょう。

将来のキャリアに関する説明・支援

特定技能や在留資格の取得について、正しく理解できているか随時確認する必要があります。また、外国人介護士がどのような将来像を描いているかヒアリングし、それに寄り添った支援をしていきましょう。

まわりの日本人と交流する機会

介護現場では、業務が多忙なため、人間関係づくりが疎かになってしまう傾向があります。外国人介護士の孤立を防ぐなどを目的とした交流の場を積極的につくることで、コミュニケーション力の向上にもつながります。ただ仲良くなるだけではなく、困ったときに助け合ったり、相談できるような関係性を築いたりするために必要なものです。

また、職場内の交流のみとどまらず、地域の方と交流する機会も設けましょう。

自分の国や文化を教える機会

外国人介護士に自国や自国の文化の紹介をしてもらう、自国の料理を作ってもらうなどのイベントを開催してみましょう。

ここでのポイントは、「外国人介護士への理解を深めること」です。人となりを知ることができれば、雑談などのコミュニケーションも生まれます。

また、介護現場では、外国人介護士にはある程度日本の文化になじんでもらう必要がありますが、押しつけてしまうと業務に支障が出てしまいます。外国人介護士の自国の文化を理解したうえでコミュニケーションをとると、相互理解が深まり、日本文化も納得して受け入れてもらえるでしょう。

外国人介護士には、やむを得ない離職理由もある

悩んでいる外国人介護士

図2の10年後の結果を見ると、各種支援への満足度が高い層は、「日本以外で介護関連に限って就労したい」と考えている割合が最も高くなっています。この場合は、「母国に帰って介護職として働くことを希望している」と考えられます。

外国人介護士には、以下のようなやむを得ない離職理由も存在します。

在留期間の問題

在留資格は多くが「在留期間」という有効期限があり、期間を更新できる場合とできない場合があります。また、もともと帰国が前提の在留資格もあります。例えば、「技能実習」は「特定技能」に移行しない限り3年(最長)で帰国しなければなりませんし、EPAで来日した外国人介護士なども、帰国が前提となっています。

本人の希望に関係なく、離職せざるを得ません。

母国に帰って働くための技術を取得することが目的で来日した

留学や技能実習・EPAなどの場合、日本で学んだスキルを自国に持ち帰って活かしたいという目的で来日していることも多いものです。そうなるとどんなに満足度の高い支援を提供しても、引き留めることは難しく離職となります。

対策としては、外国人介護士の採用時に、来日の目的や将来の希望をヒアリングしておくことです。外国人介護士が希望する将来像を把握しておけば、前もって新たな採用の準備ができるでしょう。

まとめ

外国人介護士ができるだけ長く働くことができる環境をつくることは必須であり、外国人介護士もそれを望んでいるでしょう。そのためには、施設への満足度を向上させることが重要です。

また、外国人介護士の満足度を上げるには、現場の日本人介護士の協力も必要となります。日本人介護士にもきちんと目的の共有と異文化理解を深めてもらいましょう。

今回解説したポイントを確認し、満足度向上のための環境づくりを進めてみてはいかがでしょうか。

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