【Q&Aで解説!】外国人介護士が働く中で起こりうる、文化ギャップやすれ違いの解決方法

執筆者:

馬淵敦士

はじめまして。「かいごの学校 ベストウェイケアアカデミー」学校長の馬淵敦士と申します。
普段は介護の資格取得に向けての指導、ケアマネジャー・介護福祉士の受験指導を行っています。また並行して、大学院等で「介護人材不足解消」に向けた研究をしています。

外国人介護士が介護施設で仕事をはじめるには様々なハードルがあり、その大きな要因が文化の違いです。
そこで、外国人介護士が働く介護施設において起こりうるギャップやすれ違いについて、事例などを交えてお伝えしたいと思います。
現在お悩みの方や、これから外国人介護士と一緒に働こうと考えている方に、ぜひ役立てていただければと思います。

外国人介護士とのすれ違いは、「文化の違い」からも生まれる

日本と諸外国では、時間の考え方や食事など、文化が違います。そのため、外国人介護士を受け入れた際に、外国人介護士が戸惑ったり、業務上でのすれ違いが生じたりすることがあります。

Q外国籍労働者が入社後に働くにあたって、課題となっている点はありますか。(複数回答あり)

「Q外国籍労働者が入社後に働くにあたって、課題となっている点はありますか」アンケート結果グラフ
2019年外国人採用に関する調査結果報告書|マイナビグローバル

マイナビグローバルが過去に調査したアンケートによると、コミュニケーションに苦労すると答えた人は全業種で36.8%、介護を含む「医療・福祉」の分野では46.7%が「はい」と回答しました。この「コミュニケーション」には日本語能力の問題だけではなく、文化の違いによるミスコミュケーションも多く含まれています。
まずは文化の違いによる「すれ違いがある」ということを認識し、それを減らす工夫をすることが、外国人介護士の受け入れを成功させるポイントだと考えます。

ここからは、外国人介護士の受け入れ施設に聞いたよくあるすれ違い事例を、Q&A形式でご紹介します。改善のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

受け入れ施設からの質問(1)時間編

約束の時間を忘れない!時計と付箋の画像
Q:業務やミーティングの開始時刻などに遅刻をしてくることがあります。その都度指導をしていますが、なかなか直りません。どのように指導すればいいでしょうか?

A:まずは時間に遅れてくる背景を確認しましょう。

世界には、時間を守る習慣がなく、30分以上遅れるのは当たり前という国もあります。そういった場合は悪気があって遅れてくるのではないということを、施設側が理解してあげましょう。これを理解せずに怒ってしまうと、ミスコミュニケーションになってしまいます。また、突発的な業務が発生したなどの理由で遅刻しているのかもしれません。まずは遅れてきた理由を優しく聞いてあげることも大切です。

なぜ時間を守るのか、守らないとどういった支障がでるのかといった理由を具体的に説明すれば、相手の理解を得ることができます。このとき、単に「遅刻はいけません。時間を守ってくださいね」などといった抽象的な指示では伝わらないので注意が必要です。

人の習慣を変えるのは難しいものです。毎日のスケジュールを随時確認する・時間前に声掛けをするという支援をしてみてください。

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受け入れ施設からの質問(2)日本語能力編

理解ができず困っている外国人のイメージ
Q:日本語がうまく話せない外国人介護士がいます。頑張って話をしようとしている努力はわかるのですが、私たちにも入所者様にも伝わらず困っています。

A: どのような方法ならコミュニケーションをとることができるかを考えましょう。

外国人介護士は一定の日本語教育を受けていますが、当然、数カ月の教育ではパーフェクトにはなりません。また、介護で使用される言葉の中には、日本人でも知らない用語が多くあり、外国人にはさらに難しいでしょう。「どのような方法ならコミュニケーションをとることができるか」その人に合わせて考えていきましょう。

例えば、イラストを活用することで、コミュニケーションロスの防止につながります。外国人介護士は入国時研修で日本語の介護用語を学ぶのですが、そこで使用した身体の部位のイラストを用いるとよいコミュニケーションにつながります。
例えば、「仙骨部(お尻にある骨)に発赤ができています」と記録する場合は、お尻のイラストを用いて仙骨部を赤く塗ることで伝えることができますし、その部分に「仙骨部(せんこつぶ)」と記入すると、外国人介護士の学びにもつながります。また、難しい言葉は、わかりやすい言葉に置き換える(例えば上肢→右腕や左腕など)といった工夫をしましょう。

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受け入れ施設からの質問(3)食事編

高齢者と食事の介助をする介護士のイメージ
Q:箸の使い方が難しいのか、利用者様への食事介助をしてもらえません。食事の時間は特に人員が少なくて困っているのですが…。

A:まず、できない理由を優しく聴いて対応しましょう。

食事は文化の違いが顕著に表れる部分かもしれません。まずは、なぜ食事介助ができないのかを聴き取りましょう。「お箸を使えないから」という理由であれば、お箸以外で食事介助をしてもらえば解決できます。また、「お箸の使い方講習会」を開催したり、慣れるまでは他の介助(移動や衣類着脱など)に携わってもらったりできないか、検討してみるのもよいでしょう。

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まとめ

外国人介護士を受け入れると、現場でどのように指導すればよいかわからず、そのまま問題が放置されてしまうケースも散見されます。しかし、外国人介護士の文化的背景に向き合って彼らから理由を聞くだけで、問題の根本が見えてきます。これを繰り返していくと、経験から解決に向けてどのようにすればよいか徐々にわかっていきます。
また、1人でも外国人介護士の受け入れが成功すると、次の外国人介護士を受け入れたときに指導者として活躍してくれる可能性もでてきます。

ひとときは大変ですが、長い目で見て外国人介護士の育成にも取り組んでいくと、人材不足解消につながっていくのではないでしょうか。

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