自社支援で人材定着!いち早く特定技能外国人を受け入れた事業者に聞く、「外国人介護スタッフの迎え方」

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執筆者:

外国人採用サポネット編集部

「その方らしさに、深く寄りそう。」という事業理念のもと、介護や保育・学童などのそれぞれの分野で、人に寄りそった事業を展開している株式会社ベネッセスタイルケア。そんな同社が、懸念される介護分野における深刻な人材不足に備え、特定技能の在留資格制度に基づく特定技能外国人の採用を開始したのが2019年です。以来、段階的に24名もの特定技能外国人を迎え、それぞれの活躍を後押ししています。

一般的には外部に委託することが多い「事前ガイダンス」や「生活オリエンテーション」「住居確保・生活に必要な契約支援」などについても自分たちで行っているという同社。その背景には、どんな思いがあるのでしょうか?今回は、ベネッセスタイルケア海外人財開発部の岡田さんに、外国人材を迎えるまでの経緯から、気になるサポート方法まで、詳しくおうかがいしました。

【話し手】

岡田 真規子 さん 
株式会社ベネッセスタイルケア 海外人財開発部
外国人材の採用から受け入れ体制づくりまで一貫して担当。現場に入ったばかりの外国人材のサポートにも積極的に取り組み、それぞれの施設における支援方法の確立にも注力している。

育成の期間も考慮し、早めの特定技能外国人の受け入れを決断

―2019年に特定技能の在留資格を利用して外国人材の採用をはじめられたとのことですが、その背景についてお聞かせいただけますか?

岡田さん(以下、岡田):これからの時代、介護に従事する人材はどんどん少なくなると言われています。人材育成のプロセスが必要なことなども考慮すると、ご利用者様への安定したサービスを提供し続けるためには早いうちに対策しておくべきだろうということになりました。社内でさまざまな準備を進め、2019年に特定技能外国人の採用をスタートしました。

さまざまな在留資格があるなか、特定技能で外国人材を迎えられた理由についてお聞かせください。

岡田:当初、弊社が外国人の採用を検討した時点では、まだ特定技能の制度は始まっておらず、私たちも海外から「技能実習生」を迎えるという方針でした。ですが、主に現地での手続きや許認可などの面でさまざまな問題に直面して難航していたところ、2019年に特定技能の制度が新設され、介護分野でも外国人材の受け入れが可能になりました。

実は以前から日本人新卒を対象とした採用募集に日本国内在住の留学生から多数の応募を頂いていましたが、介護分野で活躍頂ける在留資格が存在せず入社頂くことが出来なかった経緯がありました。そこで採用対象の在留資格を特定技能に切り替え日本国内の留学生を対象とした採用活動をスタート、2020年に最初の特定技能外国人4名を採用することができました。

特定技能外国人の受け入れに関し、介護に従事されている現場の方々の反応はいかがでしたか?

岡田:実は2019年よりも以前から、永住権等さまざまな在留資格をお持ちの海外出身の方たちにご活躍いただいており、外国人介護士受け入れの経験や下地がありました。そのおかげもあって、現場からの反対や抵抗などはありませんでした。「多様性を受け入れる」のが本質の介護職ということもあり、どの施設でもみんな新しい外国人材の仲間を温かく受け入れてくれました。

特定技能外国人を受け入れて感じる制度の特徴とメリット

特定技能の外国人材を迎えられて以降は、その後も特定技能「介護」で人材を迎えられているのは、どのような理由からですか?

岡田:当社で迎えた特定技能外国人は、留学や技能実習などですでに日本に在住していた方がほとんどです。日本の生活にもある程度慣れているうえ、日本語でのコミュニケーションも比較的上手な方が多いので、とても助かりました。海外現地からしか受け入れができない技能実習・EPAと違い、国内在住者から人材を確保できることも、特定技能の大きな利点といえると思います。

また、制度的な縛りが少ないことも、私たちには魅力的でした。今は変わっていますが、当初は外国人材を迎えられるのは社会福祉法人に限られていたEPAなどと比べても、特定技能「介護」は多くの介護事業者にとって活用しやすい制度だと感じています。私たちもこの制度の「自由度の高さ」から、さまざまな恩恵を得ています。

それはどのような部分でしょうか?

岡田:人材育成のための研修内容を計画できるのが、一番大きいですね。技能実習では、研修のスケジュールや内容は細かく指定されていますが、特定技能の場合は、外国人介護士に受けてもらう研修の内容からそのスケジュールまで、自分たちで計画できるため、外国人材の人となりや施設の方針に合わせて育成することができます。

当社では、スタッフが外国人材か日本人かに関わりなく、介護士の採用では、介護技術だけではなく、介護に対する考えや姿勢も大切にしています。独自の研修を通じて介護において最も大切な“思い”などもしっかりとお伝えできることは、とてもありがたいですね。

研修以外にも、外国人介護士の採用に関し、独自に取り組まれていることなどありますか?

岡田: 海外の方に介護の仕事について知っていただくための説明会を実施しています。海外には、高齢者のお世話はその家族がするのが当たり前という国が、今も少なくありません。そんな国の出身の方に、日本における介護の考え方や、人を支える仕事のやりがいなどをお伝えすることで、興味を持っていただきたいというのがその主な目的です。

当社では2020年以降、技能実習期間の満了後も、新型コロナウイルスの影響で母国に帰国できず、特定技能に切り替えて日本で働き続けることを希望していた外国人スタッフ数名を新たに迎えています。そのメンバーたちのほとんどは技能実習では農業や製造業など、介護ではない職種で働いていましたが、説明会を通じて介護の仕事に興味を持ち、当社で働くことになりました。

「自分たちで支援」にこだわる理由

特定技能外国人の受け入れにあたり、受け入れ側では複数の支援を行うことが義務付けられています。この支援については、外部の登録支援機関に委託する施設や事業者が多いなか、ベネッセスタイルケア様ではあくまでも社内での支援にこだわられています。それはどのような理由からですか?

岡田:特定技能外国人の支援は、制度で定められた事業者の義務があると同時に、実際に顔を合わせながらお互いの信頼関係を築いていくことが大切です。手間も時間もかかりますが、登録支援機関ではなく自社で行うことで、外国人介護士と私たちの距離を縮めていけます。またそうすることで、当社が最も大切にしている“思い”を共有することにもつながっています。

このプロセスにおけるさまざまなコミュニケーションを通じて、外国人スタッフそれぞれの得手不得手や介護への思いを理解し、どんな些細なことでも気軽に相談してもらえる関係性を築くことができたので、自分たちで取り組んでよかったと思っています。今では、困ったときは些細なことであっても私たちに相談してくれるようになりました。

相談やコミュニケーションのための環境づくりなどに関し、とくに重視されている支援などはありますか?

岡田:特定技能制度の義務的支援の一つである定期面談を重視しています。 これは基本3ヶ月に1回、定期的に実施する面談なのですが、外国人介護士だけではなく、ホームの責任者や受け入れ担当者も対象とすることで、今どんな悩みがあるかなど、双方の思いをできるだけ把握できるようにしています。

外国人介護士への日々のフォローはそれぞれのホームで行っていますが、新たに入社する外国人材については、私たち海外人財開発部のメンバーも現場に同行し、一人ひとりにどんなサポートが必要かを判断したり、各ホームの担当者とも話し合い、支援方法を決定したりするようにしています。そのほか、事前ガイダンスや生活オリエンテーションなど、職場や日本の暮らしに馴染んでもらうための支援も自社で行っています。

在留資格の申請なども自分たちで行われているということですが、大変ではないですか?

岡田:当社の場合、本社に外国人材の採用やサポートを専門で対応する海外人財開発部をつくり対応してきたため、これまでのところは対応することができています。しかし、現場で活躍する外国人材の人数が今後さらに増えたら、体制の強化や支援方法の見直しは必要だと思います。今後、外国人介護士たちが経験を積み、一人前の介護士として活躍できるようになるころには、今度は彼らが外国人材の支援における大きな力になってくれると想像しています。近い将来、そんな体制を実現していくというのが今の大きな目標です。

サポートに関し、気をつけていることはありますか?

岡田:外国人材には真面目な方が多く、一つひとつのルールなどについても必要以上に厳密に捉えられてしまうことがありますので、その点は気をつけるようにしています。普段から仕事や生活に関わる相談に乗ったり何でも話せる関係性を構築したりすることで、ただルールを押し付けるのではなく、その目的や意味を一緒に考え行動につなげることが大切だと思っています。

外国人材が介護施設にもたらした変化とは?

外国人介護士に対する施設利用者の反応についてはいかがでしょうか。

岡田:外国人介護スタッフは多くのご利用者様に好感を持って受け入れていただくことができ、反応はいずれの施設でも温かいものでした。もともと、海外出身で日本の永住権を持つメンバーがいた施設はもちろんですが、そのほかの施設においても「外国人だから不安」といった声などはあまりありませんでした。

日本語でのコミュニケーションに問題はありませんか?

岡田:当社では、採用選考の過程で日本語会話能力を重要な採用基準の一つとしていることもあって、これまで日本語能力が大きなネックになったようなケースはありません。ご利用者様からはむしろ、「日本人の介護士よりもゆっくり話してくれるので、とても聞きやすい」とおっしゃっていただいたこともあります。

そのほか、外国人介護スタッフを迎えたことで変わったことはありますか?

岡田:先ほどもお話しましたが、私たちが特定技能外国人のスタッフを迎えるようになったのはコロナ禍の2020年です。ご存知の通り、新型コロナウイルスはとくに高齢者にとって大きな脅威になりますので、その流行の前後で介護方法の見直しも余儀なくされました。私たち介護をする側も、それ以前にはなかった大きなプレッシャーのなかで仕事をすることになりましたが、ご家族との面会も難しくなったご利用者様のなかには、そんな私たち以上に大きなストレスを抱えられてしまった方も少なくありませんでした。みんなの気持ちが沈みがちなそんな状況を明るくしてくれたのが、外国人介護スタッフたちの存在です。

新人外国人スタッフに施設や日本の文化などを積極的に教えてくださるご利用者様がいらっしゃったり、逆に、日本とは異なる国の生活や文化の話を聞いたりといった、新たな交流が生まれたことで、どのホームからも「雰囲気が良くなった」という声がありました。そのほかにもご利用者様と外国人介護スタッフ間のさまざまな温かいエピソードを聞いています。外国人材の採用を進めてきた立場として、これ以上嬉しいことはないですね。

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これからの課題、そしてこれから外国人介護士を検討する施設へのアドバイス

株式会社ベネッセスタイルケアの岡田真規子さん

ー現在までのところ、ベネッセスタイルケア様の施設では何名の外国人材が活躍されていますか。

岡田:24名です。全員、特定技能外国人です。今ではそれぞれのホームにとって欠かせないメンバーになっています。

介護士 フイさん(右)
介護の仕事で一番楽しいのは、ご利用者様と一緒に話をして、それぞれの生活をサポートできることです。現在は、日本語の上達とご利用者様それぞれの情報をきちんと把握できることを目指して頑張っています!
ホームの責任者 髙橋 昌さん(左)
フイさんを施設に迎えることができたおかげで、ご利用者様やスタッフの笑顔が増えました。彼が持っている独特の雰囲気が、自然とそうさせるようです。また、業務の面でも、より相手に伝わりやすいOJT方法などについてあらためて考えるいい機会になりました。フォローという面では、母国以外で働くフイさんの良き理解者になれるよう努めています。具体的には、仕事だけでなく、プライベートな話もしたりしながら、互いを知ることを大切にしていますね。

これまで迎えられた外国人材について、一人の離脱者もいないとうかがいました。その理由と、定着してもらうコツについてお聞かせください。

岡田:特定技能は新設された制度ですので、私たちは今まさに、外国人スタッフたちとともに新しい道を手探りでつくっているところです。サポート体制含め、まだ道半ばではありますが、今後、彼らの多くが介護福祉士となり、採用活動などにも参加してくれるようになれば、海外出身の方々にとってより働きやすい、また働きがいのある施設を実現していけるのではないかと思っています。定着の理由やコツは、説明会などで入社前から情報をきちんと提供することや、相談できる関係性を構築したり、一人ひとりとの対話を通じこれからの夢や目標を共有することかなと思います。

今後の課題としては、どのようなものがあるとお考えですか?

岡田: これまでは、介護未経験の方をお迎えしてきましたが、今後は、他の施設などでの介護経験を持つ外国人介護士を迎えるケースなども増えると思います。介護に関する一定の考えやスタイルが身についている方に対し、当社の理念やホームの方針を理解していただくためには、これまで未経験者を受け入れていたのとは異なる研修支援や採用基準が必要になるかもしれません。

また、外国人介護士受け入れするホームやエリアを少しずつ広げていきたいと思っています。そのためにも、支援体制や受け入れ態勢はさらに充実させていきたいですね。

外国人材の受け入れを検討中の介護事業者や介護施設の方に、今、お伝えしたいことはなんですか。

岡田:もともとは技能実習での受け入れを検討したうえで最終的には特定技能での受け入れとなりましたが、結果としては、自分たち主導で育成や支援を進められることからも、私たちにとっては特定技能制度が合っていたように思います。外国人材の受け入れでは、自分たちの方針に合った制度や在留資格を選ぶことが大切だと思います。

受け入れした上で実感したことも多かったのですが、当社の場合、外国人介護士の受け入れは、さまざまなポジティブな影響もあったと考えています。例えば、現場で忠実に業務に取り組む外国人介護士たちの姿勢に刺激を受けて、日本人のスタッフたちもあらためて介護の基本に立ち返ることができたり、外国人介護士も活躍しやすい環境やサポートが結果的に日本人にとっても働きやすい職場となると、自分たちの職場のあり方を見直すきっかけになったりしています。

これから外国人介護士の受け入れを考えている施設があれば、人手不足を補うということだけでなく、自分たちの介護をより充実したものにする機会にしていただきたいですね。

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