海外から外国人材を採用して日本で雇用するには?ビザの手続きやメリットを解説
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海外から外国人材を採用したいと考えている企業は年々増加の一途ですが、どのようにして採用すればいいのか、手続きや渡航、在留資格などはどうすればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、外国人材を海外現地から採用するために知っておくべき知識を余すことなく解説していきたいと思います。外国人材の採用を検討中の担当者必見です。
外国人材の採用は海外現地からのルートが急増中
外国人材の採用方法は、すでに日本に在留している外国人材を採用するパターンと、海外在住者を採用するパターンの2つがあります。以前は、留学生が卒業するタイミングで正社員として雇用したり、日本人の配偶者などの身分系在留資格を持つ外国人を雇用したりする方法が主流でしたが、現在は海外在住者を採用して日本に呼び寄せるパターンが増えています。
これは海外在住者のほうが圧倒的に母数が多いことが理由です。人手不足が加速したことにより、日本国内に在留する外国人材の採用は競争率が高く、以前ほど簡単に採用できなくなりました。
多数外国人材を採用したい場合は、海外現地に在住している日本就職希望者を選考して雇用するほうが採用しやすいのが現在の状況です。
どの国から採用すべきか?
どの在留資格の外国人材を採用したいのかにもよりますが、特定技能外国人であれば、いま最も増加している国がいいでしょう。
以下のグラフを見るとわかるように、インドネシアは特定技能外国人の在留者数の割合で大きくその数を増やしています。
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「技術・人文知識・国際業務」であれば、中国、韓国や台湾は日本語能力が高い人材が豊富です。これは日本語能力試験の結果からもわかります。
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▶現地取材!インドネシアの特定技能「介護」の外国人はどんな人材?
海外在住者を採用するメリット・デメリット
外国人材の採用方法として現地在住者を選択する場合、メリット・デメリットの両方があります。
メリット①:採用対象者の数が圧倒的に多い
メリット②:内定承諾率が高い
メリット③:地方企業も比較的採用しやすい
メリット④:特定技能の場合、最長5年働ける人材を採用しやすい
デメリット①:入社までに時間がかかる
デメリット②:日本文化やルールに慣れていない
デメリット③:各国に外国人採用ルールがあり、自社で求人募集をするのが難しい
メリット①:採用対象者の数が圧倒的に多い
東南アジアなどの国々では来日して働きたいと希望する人が多く、少子高齢化の日本とは対照的に出生率が高く若者が多いのが特徴です。また、海外へ出稼ぎに行くことに対するハードルが低い傾向があります。そのため、採用対象となる人材が豊富な点が大きなメリットです。
日本国内に在留する外国人材よりも、より多くの候補者から選考でき、人材の採用競争率も国内ほどは高くありません。
また、人材が多いことから計画的な採用も可能で、いわば国内の新卒採用にようにスケジュールを立てて雇用することができます。
メリット②:内定承諾率が高い
国内に在留する外国人材は、すでに日本の生活に慣れているため、すぐに内定を承諾せず、並行して他社の面接も受けていることが多くあります。より条件の良い企業を求めており、せっかく内定を出しても内定辞退となってしまう場合があります。
しかし先述の通り、海外在住者の場合は求職者の数が多いため、国内ほど採用競争率が高くありません。内定辞退も少なく、内定後そのまま承諾になりやすい傾向です。希望の人材を獲得しやすくなります。
メリット③:地方エリアでも比較的採用しやすい
メリットの3つ目は地方エリアでも比較的雇用しやすい点です。
特定技能での就労を希望する外国人材の場合、母国の賃金水準が低いため、地方の給与水準でも内定を承諾しやすいという点があります。
また、日本で生活したことがない方が多く、働く地域への要望はない方も少なくありません。初めての日本生活で都会に対して不安を感じる方もいます。そのため、求職者を集めることに苦戦している地方企業・法人には有効な手段といえます。
メリット④:特定技能の場合、最長5年働ける人材を採用しやすい
特定技能1号の外国人を採用する場合、海外からの採用であれば最長5年働ける人材を確保しやすい点がメリットです。
特定技能1号の在留期間は通算5年です。国内在留者の場合、現在は特定技能からの転職者が多く、残りの在留期間が短い場合があります。しかし、海外在住者の多くは特定技能で日本に滞在したことがないため、丸5年の残年数が残っており、より長い期間雇用することが可能です。
ちなみに、特定技能1号の外国人は特定技能2号などを取得しない限り、在留期間満了後は母国へ帰国することとなります。特定技能1号で通算5年を超えて日本に滞在することはできません。
デメリット①:入社までに時間がかかる
海外から外国人材を採用するデメリットは、入社までに時間がかかることです。
これは在留資格の取得に時間がかかるだけでなく、渡航や住まいの準備などが必要なためです。国内在留者はすでに日本で暮らしており、在留資格変更などの手続きは発生するものの、海外から採用するよりは早く入社できます。
どちらの場合であっても、「来週から働いてね!」と日本人を雇用するようにはいきません。
しかし、日本人の採用に苦戦している状況であれば、募集をかけてから応募が来るまでの期間は、日本人採用より早い可能性が高いです。そのため、「求人募集から入社までの期間は、外国人採用のほうが結果的に短かった」ということも少なくありません。
デメリット②:日本文化やルールに慣れていない
2つめのデメリットは日本文化やルールを教える手間がある点です。
たとえ日本が好きで日本に詳しい外国人材でも、日本のルールや文化は実際に住んでみないと理解しきれないでしょう。
日本での生活経験のない外国人材のほとんどは日本文化やルールに不慣れなため、受け入れ企業などが教えていかなければなりません。これらを知らない外国人材は無用なトラブルを起こしてしまうだけでなく、犯罪に巻き込まれてしまう可能性もあります。
特定技能外国人を雇用する企業では事前にオリエンテーションを行い、ルールなどを徹底させる義務がありますが、それだけルールや文化を知っておくことが重要ということです。
デメリット③:各国に外国人採用のルールがあり、自力で求人募集をするのが難しい
外国人材の採用・雇用には日本国内の法律やルールがあるだけでなく、採用する外国人材の在住国で定められたルールや手続きに沿って受け入れをしなければなりません。これらは必ず守らなければなりません。
特定技能外国人の採用の場合、国が認定した送り出し機関しか利用できなかったり、指定された書類の提出が求められたり、企業の代表が指定された機関に赴いて英語で面接を受けたり、その内容は国によってさまざまです。
このように複雑な現地ルールがあることから、海外在住の外国人材を採用する場合、自社の採用担当者がすべてを取り仕切ることは難しいといえます。
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海外から外国人を採用する場合の採用方法・手続き
海外在住の外国人材を採用する場合は、以下の方法で手続きを行います。
人材紹介会社や送り出し機関などから人材を紹介してもらう
自社で採用したいと思っている人材のスペック、人数、国籍、入社希望時期、予算などを整理し、人材紹介会社や送り出し機関などに連絡します。
その際、人材紹介会社はきちんとコンプライアンスを守っているか、自社が希望する国の外国人材の受け入れに対応できるのか(ルールを理解しているのか)を確認しましょう。違法行為をしている紹介会社と契約して不法就労に加担してしまった場合、最終的に企業も罰せられる可能性があります。
また、最初から1社に絞るのではなく、相見積もりをとりましょう。
面接等で内定後、雇用契約を結ぶ
面接を行い、採用を決めた場合は内定承諾を取り、その後、雇用契約を結びます。
技術・人文知識・国際業務や特定技能などの外国人採用の場合、選考の際の面接はWEBで行う企業が多いです。WEB面接では渡航費用を抑えることができますが、実際の雰囲気などを確認したい場合は対面での面接がおすすめです。
マイナビグローバルでは現地面接会を行っていますので、対象国などについてはお問い合わせください。
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▶ 外国人の雇用契約書のポイントを押さえてトラブル回避!サンプルも公開
就労ビザ(在留資格)の申請
外国人材の方は、日本へ渡航する前に在留資格を取得しなければなりません。現地で発行が必要な書類や企業が作成する書類などを集めたうえで、在留資格認定証明書を取得したら査証(ビザ)を発給してもらいます。入国審査を受け、在留カードを受け取った後、正式に入国します。
【流れ】
- 在留資格認定証明書交付申請・交付
- 査証(ビザ)申請・発給【大使館・領事館など】
- 入国審査【空港・港】
- 在留カード受け取り(在留資格を得る)【空港・港】
- 入国
<注意!在留資格とビザと査証>
「就労ビザ」「留学ビザ」など、在留資格を「ビザ」と呼ぶことがありますが、これは通称です。
本来「ビザ」は「査証」のことを指し、これは海外の国への上陸許可のようなものです。一方、「在留資格」は日本に合法的に滞在するための資格です。
在留資格の申請とビザの発給は別物なので、間違えないように注意しましょう。
事前に在留資格認定証明書交付申請を行う
査証(ビザ)申請をする前に、在留資格認定証明書の交付申請をします。
就労ビザなどの「中長期在留資格」と呼ばれる在留資格は審査に時間がかかるため、事前に申請要件を満たしているか、適した在留資格を申請しているかなどをチェックして、問題ないと認めたことを証明する書類です。
これを事前に取得しておくと、入国審査手続きが簡易化され、迅速に査証(ビザ)を発給できます。上陸条件適合者として扱われるため、上陸審査も簡易で迅速に行われます。また、入国の際に査証(ビザ)の発給ができない、というリスクも低くなります。
ちなみに、ビザ発給拒否となった場合、同一目的での査証(ビザ)申請は6カ月間は受理されません。そのため、入社時期に大きく遅れが出てしまいます。
在留資格認定証明書について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
▶【よくわかる】在留資格認定証明書とは?交付申請や有効期限を行政書士が解説
特定技能の場合は事前ガイダンスなどの義務的支援も済ませる
在留資格「特定技能」では、受入れ企業などが特定技能外国人に対して支援を行う義務が定められています。
義務的支援の中では、在留資格認定証明書交付の前までに事前ガイダンスを、入社前までに生活オリエンテーションなどを実施しなければならないため、順番を間違えないように対応しましょう。
ここをスムーズにできると入社までの時間をロスしないで済みます。
自社で対応が難しい場合は、登録支援機関へ委託することも可能です。
詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせて読んでおくと安心です。
▶人材を定着へ導く【登録支援機関】の業務とは?マイナビグローバルの支援サービスを公開
▶【事前ガイダンス虎の巻】特定技能外国人に行うべきガイダンスと注意点を紹介
▶特定技能の支援「生活オリエンテーション」の目安は何時間?注意点や重要ポイントなども解説
渡航準備
渡航の準備として、まずは住まいの確保、そして入居日が決まったら航空券の手配と渡航の際持っていく荷物の準備などを行います。
航空券の手配は企業も内容を確認しておきましょう。手配に慣れていないとトラブルが起こることがあります。実際にあった例として、国際線の乗り継ぎが発生するチケットを購入し、トランジットビザが必要なことが現地で判明したため乗り継ぎできず帰国した、というトラブルがありました。
住まいの確保は、外国人材本人が賃貸の住居などを直接借りることは非常に難しいため、企業による協力が不可欠です。保証人が日本にいないことや、外国人材に部屋を貸したくないという大家が少なくないからです。
詳しくは以下の記事で解説していますのでぜひご覧ください。
▶特定技能外国人の住居は誰が用意する?部屋の広さ・条件・ルール・家賃負担などの疑問を解決!
入国
ビザとパスポート、在留資格認定証明書を持って空港や港にて入国審査を受けます。問題がなければ在留カードが発行され、無事入国となります。
▶在留カード偽造に注意!見分け方や雇用前の確認方法を徹底解説
各種届出などを行う
入国後は住居のある市区町村にて行政関連の手続きを行います。
例えば、入居手続き、転入届などの書類提出、電気の開通、ガス・水道の開栓、銀行口座の開設、携帯電話の開通などがあります。また、住居の家具家電や当面の生活必需品の用意なども必要です。これらは外国人だけでは難しいことが多いため、受入れ企業などがサポートする必要があります。
特に交通の便が悪い地域の場合、自家用車を持たない外国人の方のためにサポートをしましょう。入居日から必要になる布団やカーテンなどは、事前に用意してあげると安心です。
併せて読みたい!
▶外国人雇用の入社前・入社後の手続き・必要書類を徹底解説!
▶外国人が銀行口座を開設するには?意外と難しい開設の注意点や手順を詳しく教えます!
就労開始
就労を開始したら、企業は「雇用状況の届出」をハローワークまたはオンラインで提出しなければなりません。これは義務となっているため、忘れると罰金が課せられる場合があるので注意が必要です。
雇用する外国人の方が雇用保険に加入する場合は、「雇用保険被保険者資格取得届」を出すことで「雇用状況の届出」の提出が不要となります。
併せて読みたい!
▶【出し忘れNG】外国人雇用状況の届出とは?記載内容と注意点を解説
海外在住者の採用注意点
海外在住者を採用して日本で雇用する場合に一番注意すべき点は、雇用に関する現地のルールや法律を理解することです。
理解していないとビザ申請ができなかったり、雇用できなかったり、最悪の場合は知らないうちに違法行為をしている場合もあります。ルールを順守して自社で手続きを行うことが難しい場合は、無理をせず、現地のルールに詳しい人材紹介会社を利用することをおすすめします。
特定技能の外国人を雇用する際に知っておくべき各国のルールは以下の記事で詳しく解説していますので、確認してみてください。
▶特定技能外国人はどの国・国籍から雇用できる?最新の各国法令・ガイドラインを解説
マイナビグローバルは海外現地在住者の採用にも対応しています。採用を検討中でしたら気軽にご相談ください。