一括りにするのは間違い!3つに分類される「外国人」の採用

外国人の採用に興味はあるけど何から検討すべきかがわからない、という採用担当の方は多いのではないでしょうか。「外国人採用」と言われると「どこの国が有力なのか」と考え始めてしまう方も多いかもしれませんが、まずは求職者が「日本に今いるか・海外にいるか」に分類できる、ということは意外と見落としてしまいがちです。日本にいる人材か海外にいる人材かによって採用メリットと注意点が異なります。それぞれの採用メリット・注意点を知った上で自社に合うのはどんな人材を見極めることが大切です。
今回は日本の企業が外国人の採用を強化している理由や採用における「外国人」の分類、そして日本にいる外国人の採用メリット・注意点について説明します。


外国人の採用が増加している理由

新型コロナ禍によって一時的に沈静化していますが、日本企業による外国人の採用ニーズは高まっています。コロナ禍が落ち着き、経済がいつ頃回復するかはいまだ不透明ではありますが、経済が回復したら再び外国人の採用ニーズは高まっていくでしょう。

日本人が採用できず苦しむ企業

経済が回復したら外国人の採用ニーズが再熱するのはなぜか。その理由は、外国人の採用ニーズが高まっていた最大の理由は「人手不足」だったからです。マイナビグローバルで2019年に国内企業を対象にアンケート調査をしたところ、外国人の採用活動を行なっている企業の58%は外国人を採用する理由に「日本人労働力が集まらない」をあげています。

人員不足を感じているレイヤーは「ミドル層」「若手層」が40%以上を占めており、また人手不足の理由としては人材の「質」「量」ともに課題感を持っている企業が多いようです。新卒採用をはじめ近年は「売り手市場」が続いていたので、事業を運営していくのに必要な人員を日本人だけでは確保できない企業が多かったことがわかります。

こうした背景から、人手不足を補うために外国人採用に力を入れたいと思う企業が増えています。また、まだ外国人採用を始めていない企業のうち、13.5%の企業が今後の採用を検討すると答えています。外国人就労者の採用は今後、ますます増えていくと考えて良いでしょう。

一括りにできない、採用における「外国人」

採用の場面において「外国人」と一言で言っても様々なパターンがあります。国籍や日本語習得レベルが様々なのは当然ですが、それよりも大きいのは求職者自身が日本に住んでいるのか・海外に住んでいるのかです。日本で生活しているか否かによって求職者の言語レベルや日本文化への理解度、そしてキャリアに対する意識が異なってきます。つまり、それぞれにおいて採用する際に意識するべきポイントは異なるのです。

3パターンに分かれる「外国人」

企業が採用対象にする”外国人”は、大きく三つに分類することができます。

1.現在日本に住んでいる外国人留学生(新卒採用)

2.現在日本に住んでいる外国人就労者(中途採用)

3.現在海外に住んでいる外国人

今回は、このうち1と2の「現在日本に住んでいる外国人」の採用メリット・注意点を留学生(新卒)と労働者(中途採用)に分けて解説します。次回は「海外に住んでいる外国人」について紹介しますので、合わせてご覧ください。

日本在住の外国人留学生(新卒採用)

まずは、現在日本に住んでいる外国人留学生の新卒採用について説明します。

留学生の採用メリット

日本在住の留学生採用における最大のメリットは日本語の習得レベルの高さと、日本文化に対して一定レベルの理解があることを期待できる点が挙げられるでしょう。また、採用フローにおいても日本人の新卒採用と同一で構いません。日本人学生の新卒採用を行なっている企業であれば、特に対策を講じなくても母集団の中に外国人留学生が入っていることも珍しくありません。そして「外国人だから」と特別なルート、対応をする必要もありません。日本には年々、海外からの留学生が増加しているので、今後も外国人留学生を採用する機会は必然的に増えていくでしょう。

来日している外国人留学生の大半はアジア人

では来日している外国人留学生はどの国から来ているのでしょうか?こちらは2019年の国内外国人留学生の国籍分布を示したものです。

ご覧の通り、80%がアジア圏、さらに約40%が中国からの留学生だということがわかります。また、中国や韓国、台湾からの留学生は日本に対して親近感を感じているケースが多いようです。日本のアニメや漫画といったカルチャーをきっかけに日本に関心をもち、来日して日本の文化を肌で感じながら日本語の習得を目指しています。この場合、ある程度裕福な家庭で育っているケースが多く、留学終了後は母国に帰国する学生も少なくありません。しかし、中には卒業後も残って日本で働きたい、という留学生もいます。日本で長く滞在するために、就労ビザを取得して日本で働きたいと考えるからです。

留学生を採用する時の注意点

日本にやってくる留学生は大卒・それ以外関係なく圧倒的に文系人材が多く、理系人材は少ない傾向にあります。また、上記の通り中国・台湾・韓国の出身者が圧倒的に多く、留学生の出身国は偏りがあります。そして、留学生がいるのはほぼ東京か大阪で、それ以外のエリアにはほとんどいません。

そのため、理系人材や東南アジア人の採用、また地方での採用活動を検討している場合、留学生の採用は必ずしもニーズが一致しません。

また、各国のトップ人材は北米に留学することが多く、日本はトップ人材の留学先候補としてなかなかあがってこないのも実態です。文部科学省が採択した日本への留学生増加施策「グローバル30」によって留学生が増加しました。その一方で、留学生の人数を増やすために日本への留学のハードル自体が下がっている現状もあります。こうした背景もあり、外国人留学生だからといって必ずしも日本語が堪能で成績が優秀とは限りません。留学中も同じ国の出身者とばかり交流し日本語が上達しなかった、という場合もあるでしょう。選考でしっかりと見極めるように注意が必要です。

留学生が就職できる幅が広がっている

ここまでは主に4年生大学の留学生の実態について説明しました。ここからは日本語学校や専門学校への留学生について触れていきましょう。

外国人留学生は、日本語学校や専門学校を卒業しても就労ビザが取れずに日本で就職するのは困難でした。就労ビザは学校での専攻と業務に関連性がないと取得できないからです。日本で就労ビザが取得できるのは4年制大学を卒業した場合、専門学校卒の場合は専門士や高度専門士を取得している場合です。ところが、2019年4月にできた特定技能在留資格制度により、対象となる職種の技術を学んでいる場合は日本で就労できる在留資格が取得できるようになりました。日本語学校の卒業生でも特定技能の試験に合格すれば日本で働けるようになり、留学生の就職の可能性は広がっています。

日本在住の外国人就労者(中途採用)

続いて、日本で既に働いている外国人労働者、つまり中途採用の場合について説明します。

日本在住の外国人就労者を中途採用するメリット

日本在住の外国人就労者の場合も留学生と同様、日本語習得レベル、日本文化への理解はある程度の期待ができるでしょう。それまでのキャリアを踏まえ、即戦力として活躍してもらえる可能性も高いです。留学生は学校を卒業してから、海外在住の外国人の場合はビザの取得が必要になり雇用まで時間がかかりますが、すでに日本に滞在しているので即時に採用することができます。つまり、日本人を中途採用する時と変わりはありません。採用フローも日本人の中途採用と同じで、転職サイト掲載やエージェントに依頼するのが一般的でしょう。

キャリアアップのために転職する可能性がある

ただし、外国人の中途採用の場合に注意しなければならないのは、キャリア観が日本人と異なる場合が多いということです。日本企業の終身雇用崩壊が叫ばれているとはいえ、日本人の人材流動性は海外に比べて高くありません。日本では「人材の定着」を前提に会社の中で昇進させる人事計画が多いですが、海外では転職することでキャリアアップを狙うことが主流です。そのため、企業の人事計画と中途採用した外国人のキャリア観とは合致しない可能性があります。彼らが転職する理由の多くはキャリアアップであり、外国人を中途で採用できたとしても、しばらくするとまた次のキャリアアップを狙って転職してしまう可能性があることは認識しておきましょう。

日本人と同等の賃金またはそれ以上でないと採用できない 

最後に、賃金について触れておきましょう。外国人だから安く採用できる、と思っている人もいますが、それは誤りです。日本語が堪能で、日本での就労経験がある外国人は一定数存在しますが、彼らはすでに日本で働いているので自分と同じ職種(スキル)の日本人の賃金がどれくらいなのか認識しています。

日本語ができてスキルがあるのに日本人より給料が低い、とわかれば当然就職したいとは彼らは思いません。賃金が安すぎると求職者は集まらず、日本人と同等の賃金、もしくはそれ以上である必要があります。つまり、賃金においても日本人の採用と変わらないのだ、という理解をしていた方が良いでしょう。

まとめ

採用において「外国人」と一括りにいっても、日本在住の留学生・日本在住の外国人就労者・海外在住の外国人の3つに分類できること、そして日本で暮らしている外国人を採用するメリットや気をつけるポイントをまとめました。

留学生は日本語習得レベルが高く日本文化への理解もあり、日本人の新卒採用とほぼ変わりません。また、特定技能在制度の創設により日本語学校や専門学校の留学生も日本で就職できるようになりました。

日本在住の外国人就労者も日本人の採用とほぼ一緒ですが、キャリア観が日本人とは異なる可能性には留意しましょう。また、外国人は安く雇える、という考えは誤りです。同一のスキルなら日本人と同額の賃金を払いましょう。

次回は海外現地に住む外国人を採用する場合について解説します。