外国人採用の負担軽減!外国人雇用に関連する助成金・支援制度一覧

日本を訪れる外国人が増えるなかで、自社の戦力となる外国人を採用したい企業は多いでしょう。ところが、「外国人を雇用したい」と思っていても、なかなか一歩を踏み出せないのも事実ではないでしょうか。そこで、今回は国が用意している助成金や支援制度を紹介します。

助成金は厚生労働省、補助金は経済産業省

「助成金」や「補助金」などは、返済の必要がない給付金であるという意味で同じように使われますが、助成金と補助金は財源が違います。

助成金は厚生労働省、補助金は経済産業省の管轄です。

厚生労働省と経済産業省のそれぞれで、外国人雇用に対する支援策を打ち出しています。

なお、自治体の取り組みは外国人の生活を支えるものが多く、日本語の教育などに予算がつけられていることがあります。

外国人の雇用に使える厚労省助成金の一覧

厚生労働省の各種助成金を使うための条件は、雇用保険に加入している事業所であることです。このほか、賃金台帳などの整備が必要になります。申請に必要な書類やその整備の方法については、社会保険労務士にお尋ねください。

外国人の雇用に使える厚生労働省助成金は以下の通りです。国籍を問わず使える助成金が多く見受けられます。

キャリアアップ助成金は種類が多く、制度がわかりにくいので別項目で紹介いたします。

雇用調整助成金/中小企業緊急雇用安定

  • 概要:雇用を継続させることが目的の助成金です。
  • 条件:売上が下がって従業員を休業させなければいけない事業者で、計画的に休業させ休業手当を支給する事業主が対象になります。
  • 金額:従業員一人につき1日あたり8,330円が上限。原則として1年間で100日分、3年で150日分ですが、緊急対応期間中(令和2年4月1日~令和2年6月30日)に実施した休業については上限に参入しません。
  • 手続き方法:ハローワークへ来所、郵送、オンラインでできます。

 トライアル雇用助成金(一般コース)

  • 概要:ニートやフリーターなどを雇用する場合に受けられる助成金です。
  • 条件:若者雇用促進法に基づく認定事業主に認定されることが必要です。ハローワークや職業紹介事業者等の紹介後、一定期間試行雇用をした場合に助成金を受けることがでいます。
  • 金額:1人あたりの支給額が最大5万円(最長3ヵ月)を受給できます。
  • 手続き方法:管轄の労働局、ハローワークで申請。

 人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)

  • 概要:新たに労働者を雇い入れ、雇用管理改善をするための助成金です。
  • 条件:時間外労働等改善助成金の支給を受けた中小企業事業主が、雇用管理改善計画を作成し、都道府県労働局の認定を受ける必要があります。
  • 金額:計画を達成した場合:新たに雇い入れた労働者1人あたり60万円、(短時間労働者の場合40万円)。目標を達成した場合で、生産性要件を満たした場合、労働者1人あたり15万円、(短時間労働者の場合10万円)。
  • 手続き方法 管轄の労働局、ハローワークで申請。

人材開発支援助成金(特定訓練コース)

  • 概要:職務に関連した専門知識・技能の取得のための訓練中の賃金と経費を補助します。
  • 条件:訓練計画を作成し、労働局の確認を受ける必要があります。訓練開始日の1か月前までに計画を管轄労働局かハローワークへ提出してください。
  • 金額:最大で50万円を補助(中小企業、200時間以上の訓練の場合)。
  • 手続き方法:管轄の労働局、ハローワークで申請。

ものづくりマイスター・ITマスターによる実技指導

  • 概要:ものづくりマイスターによる実地指導を受けることができる。
  • 条件:中小企業や学校などが対象。
  • 金額:コーディネート費用は無料。ものづくりマイスターの派遣費用や指導に係る材料費は、規定の範囲内で、地域技能振興コーナーが負担します。詳しくは最寄りの地域技能振興コーナーへ問い合わせてください。
  • 手続き方法:最寄りの地域技能振興コーナーへ相談

外国人労働者の処遇改善に使えるキャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、パート・アルバイトや契約社員などの非正規雇用から正社員化するなど、処遇改善に取り組む企業を対象とした助成金です。処遇改善を目的とした助成金であり、正社員化以外の処遇改善の取り組みについても助成金の対象になります。健康診断の制度を作ったり、諸手当の制度を共通化したりといった取り組みも、処遇改善の一環として位置付けられています。

前提として、雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置き、キャリアアップ計画を作成、管轄労働局長の受給資格の認定を受ける必要があります。計画の期間内にキャリアアップに取り組んだ企業について、助成金が支給されます。

キャリアアップ助成金の特徴は生産性要件があること

キャリアアップ助成金の各コースについて、中小企業とそれ以外の企業、生産性の向上があった場合とそれ以外の場合について、助成金額が異なります。全体として、生産性の向上のあった中小企業が最も高い金額を受給できるように制度設計されています。支給額の高い順番としては、生産性要件を満たす中小企業、生産性要件を満たさない中小企業、生産性要件を満たす中小企業以外の企業、生産性要件を満たさない中小企業以外の企業という順番になります。

キャリアアップ助成金は外国人でも使える

キャリアアップ助成金には、国籍要件がありません。したがって、外国人をパートやアルバイト、契約社員として雇用し、正社員化するとき等に使えます。賃金改定や、法定外の健康診断制度を創設するなど、外国人社員を含む、社内全体の制度を変更するときにも適用可能です。

キャリアアップ助成金の種類

キャリアアップ助成金は、大きく2つの種類があり、取り組み内容によってさらに細かく種類が分かれています。

まず、第一段階として以下のように分岐します。

  • 正社員化コース
  • 処遇改善関係コース(正社員化コース以外)

処遇改善関係コースはさらに6種類に分かれます。

  • 賃金規定等改定コース
  • 健康診断制度コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 諸手当制度共通化コース
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース

各コースの助成金額については、厚生労働省の発表している資料をご覧ください。

出典:キャリアアップ助成金のご案内|厚生労働省 

押さえておきたい!生産性向上要件とは

より金額の大きいキャリアアップ助成金の受給を目指すために、生産性向上要件を満たすことが重要です。キャリアアップ助成金における生産性とは、次の計算式で計算される数値です。

生産性=付加価値÷雇用保険被保険者数(日雇労働被保険者や短期雇用特例被保険者を除く。)

*付加価値(企業会計基準に基づく)=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課

助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」の向上は以下の条件を満たす場合に認めます。

  • その3年度前に比べて6%以上伸びていること
  • その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること(この場合は金融機関から一定の事業生評価を得なければならない)

さらに、生産性要件の算定の対象となった期間中は、事業主都合による離職者がないことが要件になります。

キャリアアップ助成金のまとめ

キャリアアップ助成金は、種類が多く、生産性要件も評価されることから、全体としてわかりにくく、細かい制度です。

基本的に、労働者の正社員化や処遇改善の取り組みについて、支援する制度です。

また、助成金の支給金額は、中小企業かそれ以外か、生産性向上要件を満たしているか、そうでないかによって差がつけられています。

より多くの助成金を受けるには、生産性の向上に取り組むことが重要です。

金額や、細かい支給要件などは厚生労働省のホームページ等でご確認ください。

外国人の雇用に使える経産省の支援制度

経済産業省の支援制度を使うための条件は制度にもよりますが、経済産業大臣の認定を受ける必要があるケースが見られます。

例えば、「製造業外国従業員受入事業」では「経済産業省の所掌に係る製造事業者は、当該事業者(特定外国従業員受入企業)の外国にある事業所の職員(特定外国従業員)へ特定の専門技術の移転等を実施するための計画(製造特定活動計画)を作成し、経済産業大臣の認定を受ける必要があります。

出典:製造業外国従業員受入事業(METI/経済産業省)

そのため、応募を検討する前の段階で、以下の事項について確認をしてください。

  • 指定の業種であること
  • 経済産業大臣の認定を受けるための書類を作成する必要があること(書類作成に人員を割けるかどうか、もしくは行政書士に代書・代理申請を依頼するかも含めて検討が必要)

経産省の支援制度の例

経済産業省が実施している主な支援制度例は以下の2つです。

  • 製造業外国従業員受入事業
  • 国際化促進インターンシップ事業

製造業外国人従業員受入事業とは

「製造業外国従業員受入事業」の目的は、以下の通りです。

  • 国内事業所と海外事業所の役割分担
  • 日本の製造業の空洞化を防止し、国際競争力を高めること

具体的には、外国にある事業所の職員(特例外国従業員)が、「特定活動」の在留資格によって、日本国内の生産拠点で働き、特定の専門技術を取得したのち、海外の事業所に戻ります。当該職員が帰国後に日本で身につけた専門技術を外国の事業所に普及させること(技術移転の促進)で、日本の事業所が研究開発機能を強化し、海外の事業所は日本の技術を使って生産をするという仕組みを実現しようというものです。

ただし、日本国内の生産拠点が海外に移転し、国内製造業の空洞化を助長する取り組みは対象外となります。又特定外国従業員は、帰国後1年間の解雇が原則として禁止されます。

国際化促進インターンシップ事業とは

次に、「国際化促進インターンシップ事業」についてです。この取り組みは、海外ビジネスの拡大、外国人と働くことによる意識改革や、社内の体制整備、海外大学との関係構築を目的としています。

新型コロナウィルス感染拡大の影響により、「国際化促進インターンシップ事業」については現段階で詳細はまだ公表されていません。最新情報に注意を払ってください。

参考までに、2019年度に実施された「国際化促進インターンシップ事業」では以下の支援がなされました。

  • 対象:海外から来日する開発途上国(OECD/DACリスト掲載国。中国を除く)の国籍を有する、高度な技術を持った外国人材
  • 募集人数:200名
  • 支援内容:生活や滞在にかかる費用として1日あたり4,000円が支給され、エコノミークラスの往復航空券、研修や研修に参加する際の交通費なども支援

まとめ

今回は、外国人雇用に関する国の支援について紹介しました。

外国人の採用には手間や時間がかかりますが、国による経済的な支援策や、情報提供などの支援制度をうまく使いこなせば採用時の負担を軽くすることが可能です。

外国人雇用の際には、国の助成金や補助金などの支援制度を活用しましょう。