【2021年】外国人雇用で使える助成金・支援制度一覧|採用の負担を軽減!

日本を訪れる外国人が増えるなかで、自社の戦力となる外国人を採用したい企業は多いでしょう。ところが、「外国人を雇用したい」と思っていても、なかなか一歩を踏み出せないのも事実ではないでしょうか。そこで、今回は国が用意している助成金や支援制度を紹介します。
目次
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助成金と補助金の違いとは?
「助成金」や「補助金」などは、返済の必要がない給付金であるという意味で同じように使われますが、これらは明確に違いがあることをご存知でしょうか?
助成金は厚労省、補助金は経済産業省が管轄
「助成金」と「補助金」の違いは財源です。助成金は厚生労働省、補助金は経済産業省の管轄となります。外国人雇用に対する支援策は、厚労省、経済産業省それぞれで打ち出されていますので、外国人材採用にあたって有効活用できるとよいでしょう。
また、自治体の取り組みは外国人の生活を支えるものが多く、日本語の教育などに予算がつけられていることがありますので、こちらもよく確認しておくことをお勧めします。
外国人雇用のための助成金の一覧
厚生労働省の各種助成金を使うための条件は、雇用保険に加入している事業所であることです。このほか、賃金台帳などの整備が必要になります。申請に必要な書類やその整備の方法については、社会保険労務士にお尋ねください。
外国人の雇用に使える厚生労働省助成金は以下の通りです。国籍を問わず使える助成金が多く見受けられます。
雇用調整助成金/中小企業緊急雇用安定
- 目的:雇用を継続させること
- 対象者:売上が下がって従業員を休業させなければいけない事業者で、計画的に休業させ休業手当を支給する事業主。
- 金額:従業員一人につき1日あたり8,330円が上限。原則として1年間で100日分、3年で150日分ですが、緊急対応期間中(令和2年4月1日~令和2年6月30日)に実施した休業については上限に参入しない。
- 手続き方法:ハローワークへ来所、郵送、オンライン。
トライアル雇用助成金(一般コース)
- 目的:職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者を雇用する場合。過去に就職経験がない方、フリーターの方など。
- 対象者:若者雇用促進法に基づく認定事業主
- 条件:ハローワークや職業紹介事業者等の紹介後、一定期間試行雇用をした場合に助成金を受けることができる。
- 金額:1人あたりの支給額が最大5万円(最長3ヵ月)を受給。
- 手続き方法:管轄の労働局、ハローワークで申請。
人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)※2021年3月31日廃止予定
- 目的:新たに労働者を雇い入れ、雇用管理改善をするため。
- 対象者:時間外労働等改善助成金の支給を受けた中小企業事業主
- 条件:雇用管理改善計画を作成し、都道府県労働局の認定を受ける
- 金額:計画を達成した場合、新たに雇い入れた労働者1人あたり60万円、(短時間労働者の場合40万円)。目標を達成した場合で、生産性要件を満たした場合、労働者1人あたり15万円、(短時間労働者の場合10万円)。
- 手続き方法:管轄の労働局、ハローワークで申請。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
- 目的:外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行うため。外国人労働者の職場定着のため経費の一部を助成。
- 対象:事業主
- 条件:外国人労働者に対する就労環境整備措置を新たに導入し、外国人労働者全員に対して実施。就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後、外国人労働者の離職率が10%以下であること等。
- 金額:生産性向上の取り組みを支援する「生産性要件」が設定されており、これを満たしている場合は助成金が増額します。支給対象経費の2/3(上限額72万円)、満たしてない場合は支給対象対象経費の1/2(上限額57万円)です。
- 手続き方法:管轄の労働局、ハローワークで申請。
人材開発支援助成金(特定訓練コース)
- 目的:職務に関連した専門知識・技能の取得のための訓練中の賃金と経費の補助。
- 条件:訓練計画を作成し、訓練開始日の1か月前までに管轄労働局かハローワークへ提出。
- 金額:最大で50万円を補助(中小企業、200時間以上の訓練の場合)。
- 手続き方法:管轄の労働局、ハローワークで申請。
キャリアアップ助成金(正社員化コース・処遇改善コース)
- 目的:非正規雇用から正社員化をするなどの処遇改善に取り組むため。国籍に関する条件はありませんので、外国人社員にも適用可能で、賃金改定や、法定外の健康診断制度を創設、社内全体の制度の変更目的で申請可能です。
- 対象:事業主
- 条件:雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置き、キャリアアップ計画を作成、管轄労働局長の受給資格の認定を受ける必要があります。計画の期間内にキャリアアップに取り組んだ企業について、助成金が支給されます。
- 金額:コースによって異なる。生産性向上の取り組みを支援する「生産性向上要件」を満たすと助成金額が増額します。生産性が向上した中小企業が最も高い金額を受給できるように制度設計されています
キャリアアップ助成金の種類
①正社員化コース
②処遇改善関係コース
正社員化コース以外のコースをまとめて上記のように呼びます。
- 賃金規定等改定コース
- 健康診断制度コース
- 賃金規定等共通化コース
- 諸手当制度共通化コース
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
各コースの助成金額については、厚生労働省の発表している資料をご覧ください。
受給のポイント
より金額の大きいキャリアアップ助成金の受給を目指すために、生産性向上要件を満たすことが重要です。キャリアアップ助成金における生産性とは、次の計算式で計算される数値です。
生産性=付加価値÷雇用保険被保険者数(日雇労働被保険者や短期雇用特例被保険者を除く。)
*付加価値(企業会計基準に基づく)=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課
助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」の向上は、以下の条件を満たす場合に認めます。
- その3年度前に比べて6%以上伸びていること
- その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること(この場合は金融機関から一定の事業生評価を得なければならない)
さらに、生産性要件の算定の対象となった期間中は、事業主都合による離職者がないことが要件になります。
ものづくりマイスター・ITマスターによる実技指導
- 目的:ものづくりマイスターによる実地指導を受ける
- 対象:中小企業や学校など
- 金額:コーディネート費用は無料。ものづくりマイスターの派遣費用や指導に係る材料費は、規定の範囲内で、地域技能振興コーナーが負担。※詳しくは最寄りの地域技能振興コーナーへ問い合わせてください。
- 手続き方法:最寄りの地域技能振興コーナーへ相談
外国人雇用のための支援制度
経済産業省の支援制度を使うための条件は、経済産業大臣の認定が必要になる傾向があります。
例えば、「製造業外国従業員受入事業」では「経済産業省の所掌に係る製造事業者は、当該事業者(特定外国従業員受入企業)の外国にある事業所の職員(特定外国従業員)へ特定の専門技術の移転等を実施するための計画(製造特定活動計画)を作成し、経済産業大臣の認定を受ける必要があります。
そのため、応募を検討する前の段階で、以下の事項について確認をしてください。
- 指定の業種であること
- 経済産業大臣の認定を受けるための書類を作成する必要があること(書類作成に人員を割けるかどうか、もしくは行政書士に代書・代理申請を依頼するかも含めて検討が必要)
経産省の支援制度の例
経済産業省が実施している主な支援制度例は以下の2つです。
- 製造業外国従業員受入事業
- 国際化促進インターンシップ事業
製造業外国人従業員受入事業とは
支援の目的
- 国内事業所と海外事業所の役割分担
- 日本の製造業の空洞化を防止し、国際競争力を高めること
具体的には、外国にある事業所の職員(特例外国従業員)が、「特定活動」の在留資格によって、日本国内の生産拠点で働き、特定の専門技術を取得したのち、海外の事業所に戻ります。当該職員が帰国後に日本で身につけた専門技術を外国の事業所に普及させること(技術移転の促進)で、日本の事業所が研究開発機能を強化し、海外の事業所は日本の技術を使って生産をするという仕組みを実現しようというものです。
ただし、日本国内の生産拠点が海外に移転し、国内製造業の空洞化を助長する取り組みは対象外となります。又特定外国従業員は、帰国後1年間の解雇が原則として禁止されます。
国際化促進インターンシップ事業とは
目的:海外ビジネスの拡大、外国人と働くことによる意識改革や、社内の体制整備、海外大学との関係構築
※2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、インターンが来日することなく海外にある事務局指定のワークスペースでインターンシップを行う、オンラインインターンシップとなりました。2021年度についてはまだ発表されていませんのご注意ください。
参考までに、2019年度に実施の「国際化促進インターンシップ事業」では以下の支援がなされました。
- 対象:海外から来日する開発途上国(OECD/DACリスト掲載国。中国を除く)の国籍を有する、高度な技術を持った外国人材
- 募集人数:200名
- 支援内容:生活や滞在にかかる費用として1日あたり4,000円が支給され、エコノミークラスの往復航空券、研修や研修に参加する際の交通費なども支援
まとめ
今回は、外国人雇用に関する国の支援について紹介しました。
外国人の採用には手間や時間がかかりますが、国による経済的な支援策や、情報提供などの支援制度をうまく使いこなせば採用時の負担を軽くすることが可能です。
外国人雇用の際には、国の助成金や補助金などの支援制度を活用しましょう。