ミャンマー人ってどんな人?特徴7選を紹介!うまく付き合うための方法や国の情勢・宗教も解説
軍事クーデター以降、情勢が不安定になっているミャンマー連邦共和国ですが、日本で働くミャンマー人が増加していることはご存知でしょうか。また、日本へ避難してくるミャンマー人もいます。
ミャンマー人とはどんな特徴や性格なのでしょうか。基礎情報から国内の状況までわかりやすく解説します。
目次
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ミャンマー基礎情報
まずは、ミャンマーの基本的な情報を見てみましょう。
面積:68万平方キロメートル(日本の約1.8倍)
人口:5,114万人 ※2019年推計(ミャンマー入国管理・人口省発表)
首都:ネーピードー
民族:ビルマ族(約70%)、その他多くの少数民族
言語:ミャンマー語(公用語)、シャン語、カレン語など
宗教:仏教(90%)、キリスト教、イスラム教等
▶出典:ミャンマー基礎データ|外務省
東南アジアのインドシナ半島西武にあるミャンマー連邦共和国(通称ミャンマー)は、国土は縦に長く、日本の約2倍の大きさを有し、中国、インド、バングラデシュ、タイなどに囲まれています。 1948年にイギリスから独立し、1989年まではビルマ連邦という名前でした。
ミャンマーの現在の首都はネーピードーです。ミャンマーの首都はヤンゴンというイメージが強いかもしれませんが、移転しています。外資系企業や民間系企業の多くは未だにヤンゴンを拠点としており、国内最大都市として賑わっています。
ミャンマーの情勢と現状
2021年2月1日にミャンマー国内で国軍によるクーデターが発生し、当時の国家顧問アウン・サン・スー・チー氏やウィン・ミン大統領、国民民主連盟の幹部などが国軍によって拘束されました。アウン・サン・スー・チー氏は非暴力民主化運動の元指導者であり、2016年からミャンマーの政権を率いている事実上のミャンマー政府のトップでした。クーデター後、スー・チー氏は懲役と禁錮を合わせて33年の判決が出ています。
以降、ミャンマー国内の政治・治安は非常に不安定になってしまいました。
これまでは大統領を元首とする共和制国家でしたが、クーデター以降は国家行政評議会議長を国家指導者とする軍事政権に代わっています。これに対する抗議デモや武力衝突が起こり、軍による民主派勢力への弾圧は激しさを増しました。
諸外国からは経済制裁を受けており、国内経済は大きく停滞、物価の急上昇によりもともと給与水準が低かったミャンマー国内には貧困層や失業者が増加しています。
日本ではミャンマー情勢に対する報道が減っていますが、終息には遠く、今も紛争が続いています。
ミャンマーの人口
外務省の基礎情報によると、2019年時点でのミャンマーの人口は5,114万人です。
以降の正確な人口は不明です。国軍によるクーデターが発生したことで、抗議デモや武力衝突による一般市民の死亡事案、弾圧による村の消滅などが起きており、犠牲者が多数発生しているとみられます。また新型コロナウイルス感染拡大が医療崩壊を起こしており、これも大きな影響となっています。
このような情勢から、国外に移住するミャンマー人も増えています。
▶参考:ミャンマー基礎データ|外務省
日本へ避難し働くミャンマー人が増加中
2023年1月末に厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況によると、47,498人のミャンマー人が日本で就労しています。
就労者数が最多であるベトナムが462,384人であるのと比較するとまだまだ少ないですが、対前年増加率は37.7%と非常に高く、インドネシアに次いで2番目に高い増加率でした。
先ほども解説した通り、ミャンマー国内では失業者が増加しており、国外で働くミャンマー人が増えていることが要因でしょう。また命の危険から日本へ避難してくるミャンマー人も増えています。
【対前年増加率が高い3カ国】
- インドネシア 77,889 人 (前年比 47.5%増) 〔前年 52,810 人〕
- ミャンマー 47,498 人 (同 37.7%増) 〔同 34,501 人〕
- ネパール 118,196 人 (同 20.3%増) 〔同 98,260 人〕
ベトナム人の在留者数が横這いとなるなか、新たに上記3カ国の在留者数の増加が顕著です。ミャンマー人労働者の在留資格のなかでは技能実習が多くなっています。
▼外国人労働者の最新動向を解説した記事
ミャンマー人は緊急避難措置が利用できる
2021年5月28日以降、ミャンマーにおける情勢不安を理由に日本への在留を希望するミャンマー人については、緊急避難措置として在留や就労を認めています。2022年12月末までに9,527人に適用されました。
▶出典:令和4年における難民認定者数等について|出入国在留管理庁
ミャンマー人の特徴・性格7選
ではミャンマー人はどんな特徴を持ち、どんな性格なのでしょうか。5つの特徴を紹介します。
①温和で自己主張が少なく控えめな国民性
基本的に温和で、人前で怒ることはほとんどありません。これはミャンマー人の9割が仏教徒であるため、徳を積むとよいことがあるという考え方を持っているからです。また、怒りを表すことはよくないとされ、穏やかさが尊ばれます。
素直でまじめな性格の人が多く、言われたことを忠実に実行する傾向で、同じくまじめで自己主張が少ないとされる日本人との相性は非常に良いです。
②親日派である
ミャンマーは過去の歴史から「親日派」であると言われています。イギリスの植民地であったころ、日本は、アウン・サン・スー・チー氏の父でありビルマ建国の英雄と呼ばれるアウンサン将軍に軍事訓練を施すなど、独立に大きく貢献したことが影響しています。また、日本から毎年多額のODA(政府開発援助)を行っていることも親日派である理由の1つです。
加えて日本のアニメや漫画などもミャンマーでは人気があり、これらの経緯から、ミャンマー人は日本に対して親しみや憧れの印象を持っています。
③家族を大切にする
多くのミャンマー人は家族を非常に大切にしています。親を敬う心が強く、これも仏教の影響を受けていると言われています。特に家族内での両親の立場が強く就職先を決める際など、両親の意向で最終的に決めることも多いようです。
④叱られることには慣れていない
先ほどお伝えした通りミャンマー人は穏やかで怒ることが少ないため、怒られることに慣れていません。
さらに、叱ることに関しても両親や教員以外は行いません。そのためミャンマー人は職場できつく叱られてしまうと驚き、ひどく傷ついてしまいます。間違いがあった際は優しく指摘し、フォローしてあげると良いでしょう。
また、これは多くの東南アジア諸国において言えることですが、ミャンマー人も人前で叱責を受けることに慣れていません。ミスを諭す際は1対1で話せる場所に移動するなど注意が必要です。
⑤挨拶の習慣がない
ミャンマー語にはもともと挨拶の言葉がなかったことから、ミャンマー人には挨拶をする習慣があまりないそうです。日本に来たばかりで不慣れなころはなかなか挨拶をすることが難しいかもしれませんが、悪気があるわけではありません。日本の挨拶の習慣を教えてあげると良いでしょう。
⑥慈悲深く、目上の人を敬い大切にする
ミャンマー人は慈悲深く、また、目上の人をよく敬うと言われていますが、これはミャンマー人の多くが仏教徒であることが影響しています。
ミャンマー人の慈悲深さについては、世界の寄付指数ランキング※にも表れており、ミャンマー人は2014~2017年の4年間、119カ国中で第1位を獲得、2022年は国内の情勢が不安定な中にも関わらず6位です。
ちなみに日本は118位、ほぼ最下位となっています。
※参考:World Giving Index|Charities Aid Foundation
⑦寂しがりな人が多い
日本で数年生活をしている場合はその限りではありませんが、家族に囲まれて育つミャンマー人は基本的には日本での一人暮らしや職場で孤立することなどを非常に寂しく感じます。来日したばかりだと日本在住のミャンマー人の友人がいない場合もあり、職場や学校などに同じミャンマー人の先輩や同僚・同期がいると安心します。
ミャンマー人に限ったことではありませんが、声をかけたり相談にのってあげたりするとよいでしょう。 ミャンマー人を孤立させないことが、日本での定着へと繋がります。
ミャンマーの教育制度
ミャンマーの教育制度を見てみましょう。ミャンマーでは主に、初等教育、中等教育、高等教育の3つに分かれます。
5歳から1年間幼稚園に通い、その後、小学校に5年間通います。義務教育は小学校の5年のみです。 さらに中等学校に4年間、高等学校に3年間、ここまでで13年間教育機関に通います。
その後は高等教育という、大学や大学院などがあります。
平等に教育を受けられる環境 初等教育~中等教育まで無償化
2010年~2011年度に初等教育は無償化され、その後、中等教育前期は2013年~2014年度に、中等教育後期が2015年~2016年度に無償化されました。また無償化にあたり、政府は制服1着・教科書・6冊の練習帳・12本の鉛筆分の代金を支給しています。 ミャンマーにおける初等学校の就学率は84.6%ですが、基本的には、貧富に差に影響されず教育を受けられる環境が整えられています。
しかし2021年にクーデターが発生して以降、軍からは初等学校へ通うように通達が出ているものの、空爆や戦闘により教育の機会をなくした子供たちが増加。ヤンゴンやマンダレーなど大都市の学校は再開していますが、それ以外の地域との格差が発生しています。戦闘が続く地域では学校に通うことができません。
この状況が続くと、ミャンマーの教育水準はいずれ低下していくと予想されます。
ミャンマー人と宗教
基礎情報でも述べた通り、ミャンマー人の9割は仏教を信仰している敬虔な仏教徒です。
日本人も仏教徒ではありますが、ミャンマー人はもっと熱心で、戒律を守ったり毎日瞑想のために参拝するといったことを日常的に行っています。日本人の仏教徒をイメージしてしまうと、認識にズレが生じてしまうかもしれません。
黄金に輝く寺院で有名な「シュエダゴン・パゴダ」は、かつて首都であったヤンゴンの中心部にあります。釈迦などの菩薩3人分の遺体の一部が納められていると信じられていることから、重要な聖地とされています。パゴダはミャンマーの至る所にあり、多くのミャンマー人が参拝のために訪れます。
ミャンマー人にしてはいけないこと
先ほどお伝えしたように、ミャンマー人は叱責されたり、怒られたりすることに慣れていません。そういった文化がないため、怒られることへのショックが大きく、強く怒られると離職したり学校に来なくなったりしてしまうこともあります。
例えば業務や授業で誤ったことをしてしまった場合、本人のためだとしても、人前で強く注意をすることは避けます。他の人が周りにいない場所で、叱責するのではなくミスの事実を冷静に伝え、どうすればいいのかをフォローしてあげると良いでしょう。
我々が日本で就職したミャンマー人にヒアリングすると「ミスに対して優しくフォローしてもらって嬉しかった、この企業でずっと働きたい」という声は少なくありません。
ミャンマー人は日本語を習得しやすい?
ミャンマー人は日本語を習得しやすいと言われています。実際に同僚のミャンマー人は非常に日本語が上手であることはもちろん、発音やイントネーションも流暢です。 これにはきちんとした理由があります。
ミャンマー語と日本語は構文が同じ並び
ミャンマー語は日本語と同じでSOV型(主語-目的語-動詞)の並びです。つまり日本語の単語を覚えてミャンマー語と同じように組み合わせていけば日本語で会話ができるようになっていきます。ちなみに、英語や中国語などはSVO型(主語-動詞-目的語)です。
また、ミャンマー語の発音の構成数は日本語よりも多く、日本語と似ている音もあることから発音も流暢であるようです。
ミャンマー国内に日本語学習者の数が多い
実はミャンマー国内には日本語を学習しているミャンマー人が多く存在します。日本語能力試験の応募者数推移を見ると、2013年を境に増加。受験者数は60,000人を超えるほどです。
このように日本語の学習に意欲的なミャンマー人が多く、ミャンマー語と日本語に共通点があることから、来日の際に日本語能力があまり高くなかったとしても、学習を続けることで上達しやすいと言われています。
日本での在留者数の割合は低いが、今後も増加が見込まれる
ここまでミャンマー人の文化や特徴、国の情勢などを見てきました。日本におけるミャンマー人の在留者数は今後も増加していくことが見込まれます。ミャンマー人は日本人と非常に相性がよく、また日本語の上達に関しても向上が見込まれ、労働者としても留学生としても活躍が期待できるでしょう。
ただ、ミャンマー国内の状況は依然不透明です。現在は国内の治安が悪化していることから、同僚のミャンマー人社員はミャンマーへの帰国・一時帰国も考えていないと言います。日本へ避難した人、日本で働きミャンマー国内に残る家族を支えたいと考えている人、さまざまな方が日本で長く暮らしたいと考えているのは間違いないでしょう。
ミャンマー人の特徴や文化などを知って、互いに楽しく安心して暮らせるといいですね。