ミャンマー人を採用したい!求人募集のステップや雇用のメリットを徹底解説!

執筆者:

外国人採用サポネット編集部

日本で働く外国人労働者といえばベトナムや中国が注目を集めがちですが、近年その2カ国の人数は横這いで、いま大きく伸びているのはミャンマーやインドネシアなどの東南アジアだということをご存知でしょうか?いま注目されている理由や、採用に向けて知っておくべきことなどをまとめました。

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ミャンマーの基本情報

まずはミャンマーの基本情報を見てみましょう。ミャンマーはインドや中国、バングラデシュ、タイなどに囲まれた国です。1984年にイギリスから独立するまではビルマ連邦という名前でした。

地図:ミャンマー
【ミャンマー連邦共和国の基礎データ】

面積:68万平方キロメートル(日本の約1.8倍)
人口:5,114万人 ※2019年推計(ミャンマー入国管理・人口省発表)
首都:ネーピードー
民族:ビルマ族(約70%)、その他多くの少数民族
言語:ミャンマー語(公用語)、シャン語、カレン語など
宗教:仏教(90%)、キリスト教、イスラム教等

▶出典:ミャンマー基礎データ|外務省

2021年2月1日にミャンマー国内で国軍によるクーデターが発生し、当時の国家顧問アウン・サン・スー・チー氏やウィン・ミン大統領、国民民主連盟の幹部などが国軍によって拘束されました。ミャンマーは大統領を元首とする共和制国家でしたが、クーデター以降、国家行政評議会議長を国家指導者とする軍事政権となりました。これに対する抗議デモや武力衝突が起こり、軍による民主派勢力への弾圧は激しさを増しています。 また、諸外国からの経済制裁により国内の失業者が増加。物価の急上昇により、もともと給与水準が低かったミャンマー国内には貧困層が増加している状況です。

ミャンマー人の就職事情

ミャンマーはもともと出稼ぎが盛んな国です。ジェトロによると、ミャンマーの2018年の海外派遣実績は23万4,000人、さらに増加を続けており、2019年は1~9月の実績で24万8,000人と既に2018年通年を上回っています(以降の実績は不明)。

さらにクーデター以降、ミャンマー国内は失業者が増加している状況で、ミャンマー国外へ避難したり出稼ぎに行ったりする人が増えています。抗議デモや武力衝突から一般市民の死亡事案が起きたり、弾圧や空爆により村が消滅したりと情勢は不安定で、仕事だけでなく教育格差が発生するようになってしまいました。

今後は更に国外へ働き先を求めるようになるのではないかと言われています。

▶ 出典:技能実習生の輩出大国となるポテンシャル秘めるミャンマー|JETRO

日本在住のミャンマー人の人数

厚生労働省が発表する「外国人雇用状況の届出状況(令和5年10月末現在) 」によると、外国人労働者のうちミャンマー国籍をもつ外国人労働者は、2023年で71,188人。外国人労働者全体の2.6%を占めています。

対前年増加率はインドネシアの56.0%(77,889人から121,507人)についでミャンマーは49.9%37.7%(47,498人から71,188人)と2番目に高く、今後も大きく伸びていくと予想されます。ミャンマー人にとって日本は就職の選択肢の一つになりつつあるといえます。

また2023年1月から約2カ月停止していたミャンマーにおけるパスポートの発行が再開、海外渡航希望者が更に増加しています。

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在)|出入国在留管理庁

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ミャンマー人が日本で働きたい理由とは

ミャンマー国外への出稼ぎが多いミャンマー人ですが、なぜ日本を選ぶのでしょうか。以下、詳しく見ていきましょう。

理由①:賃金

日本の賃金の高さがミャンマー人が日本を選ぶ理由の1つです。円安とはいえミャンマー国内で働くよりも日本で働く方が高い収入を得ることができ、その差は約10倍程度あります。日本で働いたお金を母国の家族に仕送りしている人も多くいます。

理由②:ミャンマーの情勢が不安定

先述の通り、クーデター以降のミャンマー国内は情勢が不安定なため、ミャンマーに住む人々は治安の良い日本で安定的に働きたいと考えています。クーデターからは2年以上が経過し、日本のニュースなどでは報道が少なくなっていますが、いまだにミャンマーの抗争は治まっていません。いつ安全な状態になるかの見通しも立っておらず、雇用環境は悪化し、失業率は2019年、2020年は共に約4.0%、以降の数値はありませんがさらに上昇していると言われています。

このような事情から、ミャンマー人は治安の良い国に長く滞在し、より良い仕事に就きたいと考えています。

参考:ミャンマー連邦共和国(Republic of the Union of Myanmar)基礎データ|外務省

理由③:親日で日本の文化が好き

ミャンマー人は親日派です。イギリスの植民地であったころ、日本は、アウン・サン・スー・チー氏の父でありビルマ建国の英雄と呼ばれるアウンサン将軍に軍事訓練を施すなど、独立に大きく貢献したことが影響しています。また、日本から毎年多額のODA(政府開発援助)を行っていることも親日派である理由の1つです。

加えて日本のアニメや漫画などもミャンマーでは人気があり、これらの経緯から、ミャンマー人は日本に対して親しみや憧れを持っています。

ミャンマー人採用のメリット

ではミャンマー人を採用するメリットはどんな点でしょうか。

ミャンマー人の性格は日本人との親和性が高い

ミャンマー人の性格は温和で控え目です。また、素直で指示をまじめにこなそうとします。チームワークを好む傾向にあり、助け合ってチームで仕事を進めることの多い日本の働き方にマッチしやすいでしょう。日本人と性格が似ており、一緒に働くには相性が良いと言えます。

若い人材が豊富

ミャンマーは少子高齢化の日本とは逆に若者が多い人口比です。若者が多いにも関わらず国内の失業率が高いので、国外へ働き先を探しており、若い人材を獲得しやすい傾向にあります。今後はさらに増えていくため、将来的にはもっと採用できるようにあるでしょう。

できるだけ長く働いてほしいと考えている日本の企業にとってはまさに理想的です。

年上を敬う文化 介護やサービス業向き

おだやかで優しく、年上を敬う文化を持つミャンマー人は、年配の方と接する介護の仕事や顧客と対面する業務が主になる飲食店やホテル・旅館などのサービス業とは、特に相性が良いでしょう。基本的にはどの業務に就いても、まじめに従事する傾向にあります。

日本語を習得しやすい

ミャンマー語と日本語は構文が同じ並びのSOV型で、尚かつ発音の構成数が日本語より多く、似た発音もあります。英語の勉強で感じる人も多いと思いますが、構文が違うと習得に労力がかかりますが構文が同じであれば文章を組み立てやすいため、日本語が習得しやすいというわけです。

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ミャンマー人の仕事観と注意点

一緒に働くにあたって知っておきたい仕事観や価値観をご紹介します。

年上や年配者を敬う

ミャンマー人は敬虔な仏教徒なので慈悲深く、思いやりが強いと言われています。善い行いを積むことがとても大切で、年上や年配者をよく敬う国民性です。年上の方から頼まれたことなどを素直に忠実に実行しようと努力します。一方、不満に思っても内に溜め込んでしまうこともあるので、気にかけてあげることも必要でしょう。

家族のなかでも特に両親を大切にする

東南アジアは「家族が最優先」という文化で、ミャンマー人も家族でよく支え合います。また家族に含める人の範囲が日本人よりもずっと広く、遠い親戚も家族の一人に数えるほどです。

加えて、両親との絆が特に強く、「親の言うことが第一」である点も大きな特徴です。進学や就職などにも両親の意見が反映されることが多く、強い影響力を持っています。

仕送りのために働いている

ミャンマー人の場合、家族への仕送りのために働いている人も多いため、まじめに業務に従事します。その分、可処分所得(手取り金額)などを重視する傾向です。

仕送りのために渡航してきている外国人の場合、賃料や食費などで可処分所得がほとんど残らない額の場合、応募が集まりにくくなる場合があります。

注意をするときは慎重に

ミャンマーでは他人から注意を受けたり叱られたりする文化がありません。注意をするのは、両親と先生の役割です。そのため、人前で叱る行為などは驚いてショックを受けてしまいます。ミスを指摘する際は優しい口調で行い、予防策や解決方法などを提示してフォローしてあげると良いでしょう。

ミャンマー人の採用方法

ここからは採用方法を見ていきましょう。

採用ルートは2つ

採用ルートは2つです。「日本国内に在住する外国人を採用する場合」と、「海外現地在住者を採用する場合」です。どちらもメリット・デメリットがあるため自社に合っている方をお勧めしますが、ミャンマー人の現地採用の場合は、国の情勢を考慮する必要があります。

2023年6月現在、外務省が指定するミャンマーの危険レベルは、多くの地域でレベル2「不要不急の渡航は止めてください」またはレベル3「渡航中止勧告」です。 このことからも現地へ赴いてミャンマーの様子を見ることなどは難しい可能性が高いでしょう。ミャンマーから日本への入国は可能ですが、ミャンマーで採用した人を日本へ呼ぶには入国のための準備期間が必要なため、入社までに時間がかかります。しかし、日本国内で募集が集まらない場合は海外現地での採用も選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

※レベルは1~4まで。2023年6月末時点では、空爆やテロが絶えないウクライナやアフガニスタンであれば危険レベル4(退避勧告)、ロシアなどが危険レベル3です。

▶参考:海外安全ホームページ|外務省

求人募集のかけ方

外国人の募集方法は大きくわけて3つあります。

1つ目は「自社サイトなどに求人を掲載する」、2つ目は「人材紹介会社に依頼する」3つ目は「すでに採用している外国人社員から知り合いを紹介してもらう」です。


【外国人採用における募集方法】

①自社サイトやSNSなどに求人を掲載する

②人材紹介会社に依頼する

③すでに採用している外国人社員から知り合いを紹介してもらう

①と③の場合は費用を押さえることができる点がメリットですが、在留資格や雇用のための手続きなどの知識が必要となるため、初めて採用する場合は採用方法や手続きなどについてノウハウを持つ人材会社や行政書士などに依頼することをお勧めします。

①の場合は、ミャンマー語を扱える人材が社内にいない場合は大変かもしれません。また、日本に在住するミャンマー人は増えているものの、まだまだ少ないのが現状です。時間をかけても募集が集まらない可能性が高いため、②か③の方法をお勧めします。

こちらの記事も併せてご覧ください。

在留資格「特定技能」での雇用がおすすめ

ミャンマー人に日本人と同様に働いて欲しい場合は、「特定技能」の在留資格を持つ外国人の採用がお勧めです。特定技能は1号と2号があり、技能実習よりも幅広い業務を行うことができるだけでなく、2号の外国人においては熟練のスキルを持った人材であるため即戦力としての活躍が期待できます。

また、在留期間の更新に上限がなくなるなどの大きなメリットがあります。経験を積んで長きに渡って就労が可能な在留資格と言うことです。法務省は、ミャンマーの情勢不安を理由に日本への在留を希望するミャンマー人については緊急避難措置として在留や就労を認めていますが、緊急避難措置は就労ビザではないため就労がいつまで認められるのか、さらには在留期間もどれだけ延長できるのか不透明です。できるだけ長く働いてもらいたい場合、今後を見据えて就労ビザである特定技能を選択すると安心ではないでしょうか。


【特定技能とは】
特定技能は2019年に創設された、単純労働を含む幅広い業務に取り組むことができる在留資格です。


【対象分野】
介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業 
※1号と2号があるが、2号は建設、造船・舶用工業のみ。2023年秋には介護分野以外にも拡大。

【特定技能の特徴】

◆一定の専門性と技能を有し、即戦力として働ける

◆1号と2号がある

◆1号の在留期限は通算5年まで、2号は更新に上限なし(永住可能)

◆2号は家族帯同が可能

◆1号は受入れ機関または登録支援機関によるサポートが義務付けられている

◆取得には技能水準と日本能力を測る試験に合格する必要がある

◆技能実習2号から特定技能1号へ移行することも可能

ミャンマー人採用の注意点

特定技能のミャンマー人雇用は以下のフローで手続きします。

入管とのやり取り以外にも、ミャンマー大使館などとの手続きが必要です。

海外現地在住者を採用する場合は、以下の注意が必要です。

ミャンマーから日本に呼び寄せて採用する場合、ミャンマー政府から認定を受けた現地の送出機関を通じて人材の紹介や雇用契約の締結をする必要があります。それ以外の送出機関から人材の紹介・採用をしてはいけません。直接送出し機関とやりする際は注意しましょう。人材紹介会社を使う場合は、認定送り出し機関を通して紹介してるかどうか確認してみると良いでしょう。日本在住のミャンマー人を雇用する場合、この対応は必要ありません。

また、 特定技能外国人として来日予定のミャンマー人は、海外で就労する場合にはMOLIPにOWIC( Overseas Worker Identification Card )の申請を行う必要があります。

認定送出機関のリスト

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外国人労働者の雇用に活用できる助成金

外国人の雇用には助成金や補助金が適用できます。国はもちろん、地方自治体も積極的に支給していますので、活用してみると良いでしょう。

国からの助成金については以下の記事で解説しています。

地方自治体の助成金、補助金の情報は以下の記事で常時更新しています。

4月~5月に多く公募案内が出る傾向です。見逃さないようにチェックしてみてはいかがでしょうか。

外国人採用の困った!をご相談ください

ここまでミャンマー人の採用について解説しました。日本人と非常に相性がよく、一緒に働く仲間として非常におすすめです。しかしながら、出国手続きや在留資格取得にミャンマー情勢の影響を強く受けるため不安定なこと、求職者の大量確保が難しいことなどから、採用対象国としてはハードルが高い面もあります。

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