外国人が日本で運転免許証を取得するには?外免切替とは?詳しく解説

執筆者:

外国人採用サポネット編集部

外国人が日本国内で自動車を運転する際は、日本の運転免許証もしくは国際運転免許証が必要です。仕事で車を扱う場合でも同様です。
特定技能に「自動車運送業」が追加されたこともあり、外国人の運転免許証のニーズは高まってきていると考えてよいでしょう。

そこで、外国人が日本で運転する方法を解説します。

外国人が日本で運転するための3つの方法

外国人が日本で運転するためには、以下のいずれかを行う必要があります。

  1. 海外の運転免許証を日本の運転免許証に切り替える
  2. 国際運転免許証を利用して日本で運転する
  3. 日本で新たに運転免許を取得する

在留資格「特定技能」に自動車運送業分野が追加されことで、運転免許証の取得は、今後、ニーズが高まっていくと予想されます。
順に説明します。

1. 海外の運転免許証を日本の運転免許証に切り替える

まず挙げられるのは、外国の運転免許証を日本の運転免許証に切り替える方法です。
「外免切替」と呼ばれています。

外免切替には、一定の条件を満たし、試験に合格する必要があります。詳細を解説します。

必要な条件と受験資格

必要な条件は、次の通りです。

  • 条件
    • 日本の運転免許を取得できる年齢を満たしていること。(一種普通自動車免許は満18歳以上、二種免許は満21歳以上で取得可能)
    • 取得している外国の免許が、申請しようとしている日本の免許と同等であり、有効期限内であること。
    • 必要書類として、外国の運転免許を取得した後その国に通算3カ月以上滞在していたことを示すもの。
      (出入国の証印のあるパスポートなど、滞在期間を証明する資料)
    • 必ず本人が申請すること。

      ▶参考:外国の運転免許をお持ちの方|警察庁

これらの条件に加えて、交通規則の知識確認と運転の技能確認が行われ、合格することで日本の免許に切り替えることができます。

知識・技能確認が免除される国・地域

外国人の国や地域によって、試験が免除される場合があります。
試験免除される国と地域は、以下の通りです。

【免許試験が免除される国】

アイスランド、アイルランド、アメリカ合衆国(オハイオ州、オレゴン州、コロラド州、バージニア州、ハワイ州、メリーランド州及びワシントン州に限る)、イギリス、イタリア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、スイス、スウェ-デン、スペイン、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェ-、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、ルクセンブルク、台湾
※アメリカ合衆国のインディアナ州では技能試験のみの免除

必要な書類と手続き

必要な書類は、以下の通りです。

  • 必要書類
    • 有効期間内の外国の運転免許証
    • 上記運転免許証の日本語による翻訳文(ただし、当該国の駐日大使館か日本自動車連盟(JAF)などが作成したもの)
    • 日本の運転免許証(現在および過去に受けたことがある人限定)
    • 本籍(国籍等)が記載された住民票の写し(コピー不可)
    • パスポートもしくは外務省の発行する身分証明書
    • (住民基本台帳法の適用を受けない場合)居住地に滞在していることを証明する書類
    • 運転免許を取得した国などに、運転免許を取得後、通算して3カ月以上滞在したことが確認できるもの(パスポート等)
    • 申請用写真

      ▶参考:外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切り替えるには|警視庁

手続き・受験の場所は、各運転免許試験場です。東京地域だと、府中運転免許試験場・鮫洲運転免許試験場が該当します。江東運転免許試験場は、上に挙げた免許試験が免除される29カ国に限って受験および手続きをすることができます。

都道府県によって外免切替の手続きができる場所は異なります。すべての運転免許試験場で手続きができるわけではないので、注意してください。各都道府県の警察署ホームページなどを確認しましょう。

2.国際運転免許証を利用して日本で運転する

日本では、国際運転免許証の利用が可能です。
ここでは、国際運転免許証について、詳しく解説します。

国際運転免許証の概要と利用可能条件

国際運転免許証とは、母国でなくとも自動車を運転できることを証明する運転免許証です。ジュネーブ条約締結国が発行し、同条約で定められた様式で発行されます。
ウィーン条約に基づく様式で発行される国際運転免許証も存在しますが、この様式の国際運転免許証では日本で運転することはできません。

日本での利用可能期間と注意点

国際免許証を利用して日本で運転する場合は、以下に挙げる①か②の期間のうち短いほうの期間で運転可能です。

  1. 国際運転免許証の発給から1年間(有効期間内)
  2. 日本上陸日から1年間
    例)国際免許証取得後に初上陸した場合:国際運転免許証発給から1年後まで運転可能
    初上陸後に、国際運転免許を取得した場合:上陸の日から1年後まで運転可能

国際運転免許証の有効期間は「発給日から1年間」で、更新制度はありません。

ただし、国際運転免許証を利用する際は「3カ月ルール」に気を付ける必要があります。
3カ月ルールとは、中長期在留外国人が海外で新たに国際運転免許証を取得して再入国した場合、海外滞在期間が3カ月未満であれば再入国日を上陸日とはせず、前回の上陸日を起算日とするルールです。

3.日本で新たに運転免許を取得する

日本で新たに運転免許を取得することもできます。

母国などの運転免許を持っていない場合はこの方法で取得します。運転免許試験(適性試験、学科試験、技能試験)を受けて、合格すれば、外国人でも日本人と同じ方法で運転免許を取得することが可能です。

日本の運転マナーや標識、規則違反や交通ルールを学ぶだけでなく、体感するためには教習所に入る方法などがあるでしょう。

 また、特定の職業に必要である二種免許(バスやタクシーの運転等に必要)の取得を考えている場合は、さらに専門的な知識と技術が求められます。
別途学科試験と技能試験に合格しなければいけないので、学科学習と実技練習が必須です。

日本での免許取得までの流れ

外国人が日本の運転免許を取得するまでの流れは、日本人と変わりません。
いきなり運転免許試験を受けることもできますが合格は難しいため、ほとんどの人は自動車教習所に通って実技や学科教習を受講したあとに受験しています。

AT限定の普通車コースに申し込むためには、相場で約30万円程度の費用がかかります。さらに試験費用、免許証発行手数料などもあるので、免許取得は多額のお金が必要です。
また、教習所に通った場合は免許取得のためにはだいたい1カ月~3カ月の期間がかかります。

時間の余裕がない場合や、費用を抑えたい場合は免許合宿を利用するという手もあります。免許合宿は、1カ月以内で学科や運転技能を集中的に学べるので、比較的安く運転免許を取得できます。

外国語に対応した学科試験の有無

免許取得のために必要な学科試験は、外国語で受けることも可能です。対応している言語は以下の20種類です。

第一種・第二種・仮免許試験(20言語)
英語スペイン語ペルシャ語韓国語
中国語ポルトガル語ロシア語タイ語
タガログ語ベトナム語インドネシア語クメール語
ネパール語ミャンマー語モンゴル語ウクライナ語
シンハラ語ウルドゥー語アラビア語ヒンディー語

注意したいポイントに、外国語での受験可能日が定められている都道府県があることがあります。
例えば長野県の北信・中南信運転免許センターでは火曜~金曜日で英語・ベトナム語・中国語・ポルトガル語で学科試験を受けることができますが、その他の言語では火曜か木曜にしか受験することができません。

外国語で受験できる日や実施している運転免許センターは都道府県によって違います。都道府県警察のホームページでチェックしておきましょう。

第二種免許は在留資格・特定技能「自動車運送業」の取得に必要

第二種免許とは、人や荷物を載せて車を運転する場合に必要な免許です。

2024年に特定技能「自動車運送業」分野が追加されましたが、在留資格申請の際に第二種免許が必要です。

自動車運送業分野の対象はトラック、タクシー、バスですが、在留資格申請に第二種免許が必要なのはタクシーとバスの場合です。
トラックの場合は、第一種免許で申請可能ですが、実際に運転する際にはトラックのサイズにあわせた免許が必要です(中型免許・大型免許など)

第二種免許試験を受験するためには、以下の条件を満たす必要があります。

しかし、これらの条件を満たすのはかなりの時間がかかります。 基本的には、普通車や準中型車免許を取ってすぐ二種免許などを取得することはできないことになります。
そこで、必要な免許保有期間や年齢を引き下げる制度があります。ここからはこの制度についても詳しく解説します。

▼特定技能「自動車運送業」について詳しく解説した記事はこちら

受験資格特例教習とは

受験資格特例教習とは、受講することで受験資格要件を引き下げられる制度です。

先述の通り、バスやタクシーなどの運転に必要な第二種免許や、大型免許・中型免許については、受験資格として一定の年齢と経験年数が設けられています。
第二種免許と大型免許については、21歳以上かつ普通免許等保有年数が3年以上、中型免許については20歳以上かつ普通免許保有年数が2年以上とされています。

これらの要件を、受験資格特例教習を修了することで、受験資格要件を19歳以上かつ普通免許等保有1年以上に引き下げることができます

車種年齢/免許期間 ※
特例教習受講の場合通常の場合
中型一種満19歳以上/通算1年以上満20歳以上/通算2年以上
大型一種満21歳以上/通算3年以上
普通二種
中型二種
大型二種

受験資格特例教習では、学科および技能教習を計36時限受講します。教習を修了したら、修了証明書が交付されます。
この教習は、外国人だけでなく日本人も受講できます。

日本の運転免許証の更新方法

日本の運転免許には有効期限があり、更新が必要です。外国人の場合も、運転免許の更新をしなかった場合は失効します。
免許の有効期限を過ぎてしまったにもかかわらず運転をしていた場合、免許は失効しているので「無免許運転」になります。この場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるので、気を付けてください。

ここでは、免許の更新方法について解説していきます。

更新の時期と必要書類

運転免許の更新時期は、年齢・運転経歴や違反内容によって変わります。
更新期間は、誕生日をはさんだ2カ月間で、この期間内に更新をしなければいけません。

運転免許の有効期間は年齢や運転経歴、違反内容によって決められ、3年または5年で人によって違います。いずれにせよ、誕生日近辺に更新時期となるので、覚えておきましょう。
更新期間に入る直前に、各都道府県の公安委員会から案内通知のはがきが郵送されます。更新手続き場所や受付時間、必要な物などの具体的な内容は、この案内通知に記載されています。

外国人の場合、必要な書類は以下の通りです。

  • 運転免許証
  • 更新用の写真
  • 在留資格を確認できる書類(在留カード、特別永住者証明書、個人番号が記載されていない住民票の写し、パスポート)
  • 申請手数料(3,000円~3,850円)※優良運転者や一般運転者、違反運転者なのかで申請手数料は変わります。

    ▶参考:更新手続一覧|警視庁

更新手続きは早めにすることをおすすめします。学生の夏休みや冬休み時期、祝日が近い場合は、混雑が予想されるからです。

更新時のよくあるトラブルと対処法

更新時によくあるトラブルを簡単に紹介します。

  • 更新を忘れてしまい、免許失効になってしまった
  • 引っ越し後に住所変更をしなかったので、免許更新の案内通知が届かずに気付かなかった
  • コンタクトレンズや眼鏡などを忘れてしまい、視力検査でつまずいた
  • 混雑時期に免許の更新に行ってしまう

これらのトラブルを防ぐためには、引っ越した際は必ず警察署で免許の住所変更を行い、案内通知に記載されているものを忘れずに持参するようにしましょう。万が一、このようなトラブルがあっても困らないよう、早めに更新手続きをしたほうが無難です。

運転免許取得後に注意すべきポイント

運転免許を取得した後に注意すべきポイントとしては、以下の通りです。

順に説明します。

  • 交通ルールが母国とは異なる

日本は左車線で、右ハンドルです。また道路標識は日本語で書かれています。「徐行運転」「一時停止」「通行止」などの漢字や、通行可能な時間が細かく書かれているものもあるので、日本語を理解できないと難しいかもしれません。
また、海外では右車線で、左ハンドルと定められている国のほうが多いので、運転の感覚が違う部分があります。注意してください。

  • 法律が異なる

日本は、飲酒運転や、スピード違反に対しての取り締まりが厳しい国です。もし免許停止処分や免許取り消し処分を受けた場合、1年以上免許の取得ができません。職業として運転免許が必要な場合、生活が立ち行かなくなってしまいます。
また、日本では歩行者優先です。交通事故の過失の割合も、歩行者は交通弱者となるため、車のほうに多く責任を問われます。歩行者優先ではない国もあるので、注意が必要です。

  • 車検や保険の決まりについて

日本では、自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責保険)に強制加入することが定められています。自賠責保険は対人事故のみの保障ですが、もし未加入で人身事故を起こすと、賠償金がすべて自己負担になります。
未加入で運転した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。交通違反と認定され、即座に免許停止処分となるでしょう。
また、車検で定期的に車の検査をしてもらうことも義務となっています。

▶参考:もしも、自賠責保険・共済に加入していないと|国土交通省

母国の免許の有無で、日本で運転できるまでにかかる期間は異なる

日本で運転免許を取得する際、母国で免許を取得しているかどうかで、日本での運転免許取得のためにかかる期間が違ってきます

国際免許、もしくは外国の免許証を持っている場合、外免切替を利用することで、短期間で運転準備を済ませることが可能です。また、第二種免許取得などに必要な免許保有期間についても海外分が含まれる場合があり、期間短縮が見込めます。

スタート地点がどこにあるかで、免許取得までにかかる期間は変わります。特に、特定技能で就労したい場合は注意が必要です。

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まとめ

今回は、日本で外国人が運転免許証を取得するための3つの方法を解説しました。日本で仕事をすることを考えている場合、免許取得が短期間かつ効率的に済むのが、外免切替の方法です。他の手段として、1年という期限付きですが国際運転免許証を取得する方法、そして日本で新たに運転免許を取得する方法があります。

外国人がどれを目的として日本で運転するかによって、免許取得のための期間と費用は変わります。外国人の免許取得を支援する日本人や企業は、この記事で取得方法を把握して、必要なサポートをしましょう。