台湾のインターン生を受け入れる上での注意すべきこと

台湾人大学生

私が勤務する台湾の実践大学応用日本語学科は、9年に渡ってインターン生を日本に派遣してきました。インターンシップ先の企業やエージェントの協力のもと、インターンシップの実施において起こる問題を解決し、今では年間135名以上の学生を日本に送り、実習をさせています。これは台湾の大学の中では最大級です。
この長年の経験を活かし、インターン生を受け入れる企業が知っておかなければならない注意点を、教師の立場から説明していきます。

台湾のインターン生の受け入れ業界・職種

インターンシップを行う業界や職種には基本的に制限はありませんが、前回もお話しした通り「授業の一環」であるため、学生の将来に資する何かを学べる仕事でなければなりません。低賃金の肉体労働や水商売・風俗などはご法度となります。短期滞在の学生に重要な仕事は任せにくいため、補助的な仕事が中心になります。

例えば、ホテルや旅館ですと接客やベッドメイキング、フロントの補助や食事の準備などです。その他にもスーパーのレジや商品の出し入れ、生産関係では品質のチェック、企業での簡単な事務、航空会社では飛行場での地上勤務の補佐など多様な業界・職種で受け入れています。

割合は、観光地の旅館やホテル、遊園地や冬のスキー場などで接客に当たる仕事がその大半です。

台湾のインターン生を受け入れる上での注意点

インターンシップの実施時期

台湾の大学の学制は、9月中旬~1月中旬が「前期」2月下旬~6月下旬が「後期」となります。そのためインターンシップが始まる時期は、短期(2~3か月)の場合は6月下旬~7月中旬ごろ、長期(6か月)の場合は6月下旬~9月中旬ごろです。

本学では次の学期に食い込んでも融通を聞かせる制度になっていますが、あまり次の学期の授業に影響しないようインターンシップを行うのが原則です。

在留資格の申請時期

在留資格申請にかかる時間は通常大体3か月ぐらい見ていれば問題ないでしょう。

ただし、在留資格は発行日から3か月が有効期限ですので、あまり早く申請すると実習開始日より早く入国しなければなりません。7月上旬の出国目途の場合は、4月上旬ごろに行政書士を通して入管に申請をすれば良いでしょう。

※新型コロナウイルスの影響で期限が延長しています。詳細はこちら

業務内容と指導方法

先述の通り、業務内容はインターンシップの目的に準じた内容である事が大切です。

旅館やホテルの場合を例に挙げると、目的は言語の活用やおもてなし、接客マナー、企業文化の理解並びに日本での生活文化体験と言ったものですが、接客の仕事が全くなくベッドメイキングや清掃業務、皿洗いのみに偏った業務では、上記の目的を果たすことができません。接客も含めシフト制でいくつかの業務を体験させる方法が理想的です。

指導方法ですが、「指導員が業務に厳しい余りインターン生に対し罵声を浴びせてしまった」、「二人の指導員が同じ業務で違ったやり方を指導し、教えた通りにやっていないと叱り飛ばした」と言う例が見受けられました。訳も聞かずパワハラ的に叱ると言うことがないよう注意しましょう。

また、企業がベテランの中国人ばかりに指導を任せたことにより日本語を使う機会がなかったと言う例もありました。日本語を使用したり、聞きとったりする機会や業務はきちんと設けましょう。

勤務時間と休暇

急かを楽しむ女性

労働基準法を元に、勤務時間は1日に8時間が原則です。学生ということを考えると2時間の残業が許容範囲と考えて良いと思います。

旅館業務では朝と夜の食事会場での接客もあり、残業が多く睡眠不足と緊張で病気になった例がありました。また、忙しさの余り食事休憩などの指示を与えずに働かせ続けておきながら、休憩時間分を学生の給与から差し引いていたり、タイムカードの時間が数分進んでいるにもかかわらず、点検を怠り、遅れたと言って30分ただ働きさせたりと言う例も見受けられました。

これらの対応はブラック企業と見なされても仕方がありません。詳しくは後述しますが、入管から「問題がある企業」とみなされると、その後は在留資格が得られず、外国人の受け入れができなくなることがあります。休憩時間はしっかり取らせ、報酬は契約に基づき正確に計算し、支払うようにしてください。

シフトの入れ方ですが、こちらも労働基準法をベースに週2日の割合で休暇を取るのが理想的です。休みがとりにくい繁忙期は5日に1日は休ませ、後日休暇を補充すると言った方法もあります。

ちなみに正午から翌日正午までを1日休暇とする職場もありますが、学生は身体を癒すことができません。教師の立場から言いますと、できれば丸1日を休暇としていただきたいと思っています。

入管への申請

入管に申請した企業以外で働かせるのは違法行為となります。例えば、派遣資格の無いA企業が入管に申請を出し、A企業に清掃業者として入っている下請けのB企業と勝手に業務提携をして、学生をB企業で働かせていたことがありました。これは違法行為にあたりますので絶対にやめましょう。

学生の生活

Wi-Fiのイメージ

用意いただけると嬉しいのが、Wi-Fiの設備です。初めての日本生活で調べものも多くなるため、Wi-Fiがあると便利です。

また、日本での生活体験も学習の一つなので、大学としては休日の外出も推奨しています。勤務場所によっては交通の不便な所もあるため、自転車や送迎バスが使えるとよいでしょう。

次回以降のインターンシップがスムーズに許可されるように、学生の生活管理をすることも大切です。入管では、過去のインターンシップで学生をきちんと管理できていたか、トラブルがなかったかも審査されます。学生が遠出や外泊をする場合は届け出の提出、定時の連絡、週に1度は生活に問題がないかなどを確認しておきましょう。

労働条件と報酬

入管では労働条件や報酬も審査の対象です。日本人と同等の待遇であることが原則です。各地域の最低賃金法を守り、報酬の支払いは第三者を通さず、学生の口座へ振り込むか直接手渡すようにしてください。

問題が起きた際の解決方法

学生の勤務状況や生活面あるいは病気、事故などで対処に困る事態が発生した際、まずはエージェントに報告を入れましょう。場合によっては大学も含めて三者で協議をし、解決することになります。

所得税

日本と台湾は中国とは別に日台租税協定「日台民間租税取り決め」が結ばれています。中国(香港・マカオを含む)の学生には所得税が課せられないため間違えやすいのですが、台湾の学生には約21%の所得税が課せられます。

翌年以降もインターン生を受け入れる為に大切な事

ビザ

企業がインターン生の受け入れを持続することで、大学は毎年の派遣計画を立てることができ、企業も毎年一定人数の人材を確保できます。その為に最も大切なことは、入管の審査を通過することです。

日本国の関連法規を順守するのはもちろんのこと、労働条件も審査の対象なので整えておく必要があります。先ほども述べた通り、違法行為を行った企業は、悪質な場合5年間外国人の受け入れができなくなります。

ただ、これらを守ることで必ず入管の審査にパスするかと言うとそうでもないようです。入管は不許可になった理由について詳しく教えてはくれませんが、「インターンシップはあくまでも勉強である」と言う大前提を忘れてはなりません。

ほぼ毎年審査にパスしている企業を例に挙げると、エージェントとの協力の下、地域のお祭りや出店に学生を参加させたり、毎週学生に簡単な業務日記を書かせ、そこに企業が返信を書き込んだり、月に1度反省会をしたり、文化体験に連れて行ったりといろいろな方法で学生に対応しています。また、これらの記録は審査時に提出されているそうです。

終わりに

台湾からのインターン生と学校の先生と、職場の社員

企業の皆さん、ここではインターン生を受け入れる上での注意点や体験談をお話してきました。実際にこれらを順守することはそんなには難しいことではなく、また、随時発生する大小さまざまな問題も、大学とエージェントとの協力によって難なくこなせるものがほとんどです。 台湾のインターン生を受け入れることにより企業が活性化され、毎年一定の人材を確保することもできます。台湾の大学とインターンシップ協定を結び、台湾の学生の受け入れを始めてみませんか