ベトナム人の仕事への考え方とは?雇用の際の注意点も紹介

執筆者:

ヂョンマンホウン

こんにちは。ベトナム駐在員のヂョンマンホウンです。
前回の記事はなぜベトナム人が日本で働きたいと思うか、仕事を選択する上でどんなポイントに注目しているかについて解説をしました。今回は、ベトナム人が一体どんな価値観を持っているのか、仕事文化・考え方の違いについて駐在中のエピソードを交えながらお話したいと思います。

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ベトナム人はなぜ海外で働くのか

以前にもお話した通り、毎年約100万人増えていますが、大卒を含めた15~24歳の若年層の失業率は7%台に上り、大学を卒業しても就職に困る若者が増えています(日本全体の失業率は2020年8月現在3%※総務省)。

また、ベトナムはアジア近隣国と比べると、まだ非常に低所得です。2018年のベトナムの一人当たりGDPは約2,551 USD、日本はこの15倍(39,304 USD)、韓国は13倍(33,320 USD)となります。日本の新卒月給は約18~25万円ですが、私が見た限りではベトナムの初任給は3万円前後です。

そこで、国内で就職チャンスを見つけられない若者たちが海外での就労機会とより良い給与を求めて海外へ働きに出るのです。詳しくは以前の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

ベトナム人はなぜ就職先に日本を選ぶのか

理由は以下の4つです。

①親日国 ②技術力の高い先進国日本で知識を学びたい ③生活環境の良さ ④給料の格差

ベトナムには日本製品や日本の漫画・アニメが浸透していたり、国際援助が多かったりすることから、日本へ好印象を持つ人が多いです。そしてベトナムより優れた労働環境・生活環境・技術力・給料という条件から、日本での就職を選択しています。

ベトナム人の仕事観・考え方

①ベトナム人にとって家族は一番大切

前回の記事でも少し触れましたが、ベトナム人にとって一番に優先していることは家族です。

ここでいう「家族」は自分の家庭はもちろん、親、兄弟、祖父母、親族まで含めます。例えば、ベトナムの都心で働いていても、祖父母の命日には仕事を休み、地方の実家へ帰省することは珍しくありません。仕事を最優先している多くの日本の方にとっては理解しがたいかもしれませんが、ベトナム人と一緒に仕事する上ではこの価値観を理解し、「家族」に纏わるイベントや出来事を配慮してあげる必要があるように思います。

ベトナム人は日本で就職してからも、この価値観が変わることはあまりありません。例えば親や兄弟が入院したら、会社からの許可が降りない場合は仕事を辞めてでも帰国し、家族の面倒をみたいと考えています。この話題について友人と話したことがありますが、彼から言われたのは「仕事を失くしても次の仕事を探すことができるけど、家族を失くせば次はない」という言葉でした。

②空気が読めるようになるにはトレーニングが必要。曖昧な指示は避けてできるだけ明確に!

日本で働いて自分が感じているのは、曖昧に指示を出しがちということです。日本に来て「本音」と「建て前」という言葉を始めて知りましたが、日本語の理解に苦労している外国人にとって、空気を読んだり言葉の裏側を察したりすることは非常に難しいことです。そのため、外国人と仕事する場合は明確で丁寧な指導と、理解力を高めるトレーニングが必要不可欠となります。

言語が理解できる人でも、海外のお笑い番組を見て一緒に笑えるようになるには時間と知識が必要なように、外国人が空気を読むためにはトレーニングと時間が必要なのです。

③フレキシビリティがある職場環境を好む。成果主義の個人プレーが多い

日本企業での仕事は合議制が多いため、会議回数も多く、外国人から見ると決定スピードが遅いと感じます。また勤務時間厳守の徹底、残業時間が多い印象があります。近年では働き方改革でフレキシブルな時差出勤、ノー残業デー、有給取得促進などが行われているようですが、人手不足のためか対応できていない企業も多いように思います。

ベトナムの場合は規律性は低いかもしれませんが、フレキシビリティがある職場環境が好まれます。特にITエンジニア、クリエイティブ系の職種では非常に重要視されています。

ベトナムに来たことのある方は、日中の勤務時間にカフェで話している人が多くいる風景を見たことがあるのではないでしょうか。ただお喋りだけしている人も多いかもしれませんが、その中には仕事の打ち合わせ、ミーティングをしている人も少なくありません。ベトナムに駐在している私も、会議の際にカフェへ行こうと誘われる回数が多くあります。

また、チームワークの概念は当然ありますが、まだまだ成果主義の個人プレーが多いように見受けられます。これは向上心が強く、野心の大きさの現れかもしれませんが、ベトナム人の弱点でもあります。そのため、チームワークの意味、重要さ、実施方法などを教えて、トレーニングしていく必要性があります。

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ベトナム人を雇用する際の注意点やポイント

①家族を大切にする気持ちを尊重する

繰り返しになりますが、ベトナム人は家族をとても大事にしていますので、一年に一回程度の帰国休暇に理解を示したり、休暇制度を設けたりすると喜ばれます。また、そういったことが会社での働きやすさに繋がります。帰国用のチケットを支給する企業もあるようです。
また、一般的になかなか難しいことですが、内定を出した後に求職者のベトナムの家族訪問やご両親との食事会を開催している企業もあるようです。企業側が求職者の家族構成を理解する意味が強いですが、親側が子を預けるにあたって安心感が持てるよう行っている側面もあります。

②家族のようなアットホームな付き合い方をすることで親睦を深める

ベトナム人は、会社の同僚とは家族のような距離感で大切に付き合います

そこで、会社内、部署内での交流会、懇親会を定期的に開催するなどして親睦を深めていくと非常日喜ばれるでしょう。またこのような付き合い方をしていくと、ベトナム人は職場を大切にし、定着にも繋がっていくと思います

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まとめ

日本では「郷に入っては郷に従え」という言葉があり、自分も非常に賛成しています。ベトナム人を始めとした外国人は日本という「郷」に入って、日本語、日本文化、日本企業で働く際のビジネスマナーなどを勉強し、周りの環境に馴染むよう「郷」に従う努力をしています。

彼らだけでなく、採用する側・一緒に働く側も、彼らの価値観、仕事文化を十分理解し、互いに働きやすいように職場環境の改善、制度の見直し、指導方法の工夫をしていくことが大切だと思います。