駐在員が紹介!インドネシア人採用のおすすめ業界

働くインドネシア人社員
執筆者:

宮本和佳

みなさんこんにちは、インドネシア駐在員の宮本です。
新型コロナウイルスの影響で日本に一時帰国をしていましたが、ようやくインドネシアに戻ることができました。インドネシアでも現在感染者数は増加しており、一層、対策に気を付けながら過ごす日々です。

さて、これまでの記事では、インドネシア人の方々の性格や、仕事観などについて書いてきました。
今回は、インドネシア人と日本で親和性が高そうな職種や業界についてピックアップして記事を書いてみたいと思います。外国人採用を検討中の方はぜひ、参考にしてみてください。

経営者必見!外国人採用で成功する企業と失敗する企業の違い

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マイナビグローバルが多数の企業様の採用活動を支援するなかで、外国人採用で成功する企業と失敗する企業それぞれの特徴が見えてきました。外国人採用に踏み切るか迷っている経営者・人事責任者の方は必見です。

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インドネシア人採用のおすすめポイント:素直でやさしい性格

インドネシア人採用のおすすめポイントは、彼らの多くが素直でおおらか、優しい性格であるということです。

これは一年中暖かいインドネシアの気候に起因すると思われます。また、日本人への印象もポジティブですから、一緒に働きやすいと思います。(インドネシア人の性格や価値観については過去の記事をご覧ください)

人件費の安さなども採用する企業にとってメリットとなりえますが、職種や経験・スキルによっては日本人と変わらない、もしくは日本の平均給与よりも高いこともありますので、一概におすすめとも言えません。

異文化を受け入れてグローバルに成長したい、人手不足を解消したいなど、企業によって課題は様々ですので、適切な外国人材の採用によって課題を解決するということが一番大切ではないでしょうか。そのような考えをもった日本企業が増えてくれば、より、外国人材の活躍と日本企業の発展が望めると思います。

おすすめ業界その1:介護

外国人介護士に介護される高齢者

そんなインドネシア人材で今もっともおすすめしたいのが、介護業界です。インドネシアの介護事情とそこで働くインドネシア人材の現状は、日本が直面している課題と最も親和性が高いのではないかと考えています。

インドネシアと日本の介護事情

日本では、2025年には65歳以上の高齢者が約4,000万人になると予測され、その割合は全人口の約30%を占めます。そのうち75歳以上の後期高齢者は2,000万人を超え、認知症や医療ニーズを併せ持つ要介護高齢者の増大が見込まれています。

その一方、日本の若い世代の人口は減少しており、2025年には約30万人の介護人材が不足するとの見通しが示されています。インドネシアでは毎年約30,000人が看護師養成校を卒業していますが、病床数が非常に少ないため看護師の需要はまだ低く、在学中に学んだ知識を生かすことができない潜在的人材が多く存在します。

日本の病床率とインドネシアの病床率を比較してみると、インドネシアは人口1,000人に対して1.0の病床しかなく、対して日本は13.1病床もあります。その差は約13倍となり、日本ではそれだけ医師、看護師、助産師、介護士などの医療従事者が必要な状況といえるでしょう。

参考:総務省|統計からみた我が国の高齢者

参考:総務省統計局|統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-

参考:厚生労働省|インドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて

参考:J-STAGE|インドネシア共和国の保健医療の現状

在留資格「特定技能」の注目が高まる

介護されると高齢者

インドネシアでは現在、主にEPA制度(※) や高度人材ポイント制、技能実習制度、特定技能制度(※2) などの外国人在留資格取得が多く、EPA制度では毎年約300人、技能実習制度では毎年約5,000人、高度人材ポイント制では毎年約15名のインドネシア人が日本で働いています。その中でも、2019年より始まった特定技能制度が今、注目を浴びています。従来の技能実習制度は3~5年の間、働きながら日本の技術を学び、給与も支払われますが、基本的には技術や知識習得のための勉学が主要目的で、『学生』に近い位置づけです。

しかし、特定技能制度は、技能実習と高度人材の中間的な位置づけで、単純労働が可能な外国人材であり、日本の労働人口減少問題の解決において大きな役割を担うと着目されています。介護業界でこの特定技能試験の活用が進めば、日本とインドネシアの両国間においてメリットを生めると思いますが、現在、仲介・斡旋業者を挟んでのマッチングが禁止されており、思うように進んでいないのが現状です。

特定技能はまだスキーム自体が開始されたばかりで、整ってくれば急速に発展することが予想されるため、今後の両政府の動きには要注目です。

※EPA…Economic Partnership Agreementの略で、日本語では「経済連携協定」という。これに基づいて国家資格の取得を目指す看護師、介護福祉士候補者を海外から受け入れる制度のこと

※2…ぞれぞれの在留資格については、記事『在留資格の基礎知識|外国人を雇用する前に知っておこう!』をご覧ください

おすすめ業界その2:IT

働くITエンジニア

次におすすめする業界は、インドネシアのITエンジニアです。

皆さんご存知だとは思いますが、昨今、ITエンジニアの需要は世界中で上昇し続けています。日本も例にもれず、経済産業省の調査によると、2018年時点で日本ではIT人材は約22万人不足しており、これが2030年になると、約50万人、多ければ約80万人にも膨れ上がると予測されています。

世界中の産業構造が、ITを主軸に広がっており、世界各国でITエンジニアが不足し続けています。需要と供給のバランスが崩れており、日本のとあるメーカーでは新卒エンジニアに3,000万円のお給料を出すというニュースが話題になりました。

競争激化によりインドネシアのITエンジニア人材は優秀

授業に参加するインドネシアの女性

インドネシアのITエンジニアの採用をおすすめする理由は、人口2億6000万人のインドネシアでは進学も就職も競争が激しく、その競争をくぐり抜けてトップ大学に進学した学生たちは、研究熱心で優秀な人が多いからです。

特に優秀なITエンジニア学生を抱える大学として有名なのは、バンドン工科大学でしょう。正直に言うと、日本語をマスターしている学生は多くはないですが、英語が話せるITエンジニアは多くいます。近年では日系人材企業も就職イベントや日本語授業などを開設しており、日本語が話せる優秀なエンジニアを囲い込もうと必死に働きかけています。

インドやアメリカなどのIT大国と比較すると、GAFA(※) などに代表される世界的なテックカンパニーがまだそれほど積極的に採用活動をおこなっていないため、優秀な理系人材を採用するチャンスは大きく残されているでしょう。

インドネシア国内で働くITエンジニアの新卒採用の給与は、日本円で約7万円と言われており、世界的に見ても安い金額で働いています。そのため日本企業の平均給与でも採用しやすく、日本語の壁さえクリアできれば、日本で働くインドネシア人エンジニアが今後増えていくのではないかと思います。

個人的な感想ですが、そうしたインドネシアのテック学生は、日本のアニメや漫画などのカルチャーに傾倒している学生が多いように感じますので、そういった面でも日本に住みたいと思ってもらえるかもしれません。

 

※GAFA(ガーファ)……IT業界4大企業のGoogle、Apple、Facebook、Amazonの頭文字をとった略称。

まとめ

楽しそうにはたらくインドネシア人

外国人材を採用する一番のメリットは、給与の安さだと考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、インドネシア人材の需要は世界中で高まっており、職種や経験・スキルによっては日本と同等か少し低いくらいの給与でなければ採用できなくなってきました。

これはインドネシアだけの話でなく、日本で需要が高い人材は、世界レベルでも需要が高く、争奪戦は必至です。日本の人手不足と人件費の問題は大変深刻ですが、利益追求のためだけに外国人材の採用を行うことはおすすめしません。

外国人を採用するということは、人材不足を補うだけでなく、新しい考え方や優秀なスキルで社内に変化をもたらすことに繋がります。言語の障害、文化の相違など受け入れる側に準備が必要ですが、ぜひ、前向きに外国人の採用を検討してみてください!

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