外国人採用にかかる費用とは?ケースごとに具体的な費用を徹底解説!
労働人口が減りつつある今、人材確保のために「外国人材を雇用したい」と考えている企業の担当者の方も多いのではないでしょうか?しかし、「外国人材を雇用したいけれど、費用がどのくらいかかるの?」といった疑問もあるでしょう。
一言で「費用」といっても、外国人材の採用にかかる費用は「採用するための費用」、「入社における費用」、「入社後にかかる費用(管理費など)」、「給与」と多岐にわたります。
今回の記事では、外国人材を採用する際のコストについて整理し、「外国人材を1人採用するために、実際にはどれくらいの費用がかかるのか」をわかりやすく解説いたします。
また、記事の後半では、外国人材の採用費用を抑えるための方法もご紹介していますので、是非ご参考にしてください。
目次
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外国人採用の費用は採用ケースによって異なる
外国人採用においては、「在留資格」や「在住地(日本または海外)」に様々なパターンがあり、それによって採用費用が変わってきます。また、日本人の採用と同様に「中途採用か新卒か」、「首都圏での採用か、地方での採用か」といった違いによっても費用に差が出ることを理解しておく必要があります。そのため、外国人採用においては一言で「高い」、「安い」といった評価はできません。
本記事では、それぞれのケースごとにどのような費用がかかるのか、詳しく解説したいと思います。
外国人採用のルートは主に4種類
まずは外国人採用のルートを見てみましょう。採用ルートは大きく分けると海外在住者(現地)からの採用 と日本在住者からの採用の2種類です。
さらに、新卒採用とキャリア採用の2種類のケースが加わり、以下の4種類の採用ルートに分けることができます。
採用ルート
- 現地・新卒採用
- 現地・キャリア採用
- 日本・新卒採用(留学生からの採用)
- 日本・キャリア採用(在留資格あり)
外国人採用にはどのような費用がかかる?
では、外国人採用にかかる具体的な費用にはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく解説していきます。
1.現地求職者を集める費用
現地で面接会などを開催して外国人材を集める場合、会場費や準備費などがかかります。また、募集を広告会社に掲載してもらう場合、広告費用も必要となります。
2.日本語教育・文化教育費
外国人材の日本語レベル・日本文化の理解度によっては、日本語教育や日本文化の教育が必要になります。
国際交流会館などでは、かんたんなレベルの日本語教室を100円程度で受けられる所もありますが、意思疎通を図れるほどの日本語のレベルアップはあまり期待できないでしょう。スムーズに会話できるレベルの日本語を身につけるためには、日本語学校に通うのが効果的です。ただし、一般的に数十万円の費用がかかり、企業がその費用を負担するケースが多いです。
3.現地での手続き費用
在留資格を取得するための、現地での手続費用が発生します。また、日本で在留資格を取得するための書類には、現地から収集しなければならないものもあります。
例えば、学歴がない外国人を実務経験だけで採用する場合には、在職証明書が必要です。現地新卒・現地キャリアの場合、卒業証書や、修士、学士、職業能力を証明する書類が必要となります。
外国人材がこれらの書類準備や手続きを行うこともできますが、「どの書類が何部必要か」「何を書いて提出すればよいのか」などが複雑なため、本人に説明したとしても正しく手続きができるとは限りません。そのため、これらの手続きは現地エージェントに委託するケースが一般的です。委託費用は数万円程度かかります。
なお、卒業証明書を本人が発行する場合でも300円~500円の費用がかかり、英語圏以外の場合は、それらの書類の翻訳コストが4,000円〜6,000円必要となります。
4.渡航費等
企業が現地に赴いて面接を実施する場合や、外国人材を日本に呼び寄せる際に、渡航費用がかかります。
5.人材紹介会社への紹介手数料
人材紹介会社を利用して採用する場合、人材紹介会社へ支払う手数料が発生します。
費用は成功報酬タイプが多くなっており、現地採用の場合、金額の相場は理論年収の20%~30%です。
6.在留資格申請費用
在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の際の手数料として、4,000円(収入印紙代)がかかります。また、返信用封筒切手代392円なども必要です。なお、在留資格の申請手続きを自身で行うのが難しい場合は、申請取次行政書士といった専門家に依頼することもできます。
専門家に依頼した場合の費用の相場は、以下のようになります。
日本からの採用の場合
在留資格変更許可申請(留学ビザ⇒技人国ビザへ変更する場合)80,000円~100,000円+実費
海外からの採用の場合
在留資格認定証明書交付申請:100,000円~150,000円+実費
7.生活に関わる諸経費
外国人材の住居の仲介料や敷金は企業が負担するケースが多くなっています。
賃貸借契約時の保証や携帯電話の申込手続も、企業が行うケースが一般的ですが、これらの手続を代行会社に委託した場合には委託料が発生します。
採用ルートごとに費用を解説!
ここでは、採用ルートごとに必要となる費用を整理し、一覧表にまとめました。
現地求職者を 集める費用 | 日本語教育・ 文化教育費 | 現地の 手続き費用 | 渡航費 | 人材紹会会社 への紹介費 | 在留資格 申請費用 | 生活に関わる 諸経費 | |
現地 キャリア | 〇 | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
現地採用 新卒 | △ | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 〇 | 〇 |
日本在住 キャリア | △ ほぼない | △ | △ | △ | ◎ | △ | △ |
日本在住 新卒(留学生) | △ ほぼない | △ | △ | △ | △ ほぼない | 〇 | △ |
日本語教育費や生活に関わる諸経費などは、本人の日本語能力によっては支援が必要ない場合もありますが、現地の新卒採用などでは支援が必要な場合が多いでしょう。さらに、現地から採用する場合は、渡航費用や現地での手続き費用が必要となります。
一見すると費用面のメリットが少ない「現地採用」ですが、人手不足を補うためであれば、オススメの採用ルートです。なぜなら、現地採用は「日本在住キャリア」や「日本在住新卒」と比べて母数が多いため、人材を選考する余地があり、採用までのスピードも比較的早いためです。
また、「現地新卒採用」であれば給与水準も高くないため、長期的な雇用を検討したときに、一概に「費用面のメリットが少ない」とは言い切れない場合があるのです。
それぞれの採用ルートにおける採用難易度について、詳しくは後述します。
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実際にかかる外国人採用費用をケースごとに紹介
それでは、外国人エンジニアをキャリア採用するケースを例に、実際にかかる費用を見ていきましょう。
電子・機械エンジニア、土木作業員の現地キャリア採用の場合
人材紹介会社への手数料
金額の相場は理論年収の20~30%となっています。
(例)年収3500,000円 報酬700,000円~1050,000円
報酬の中には、現地求職者を集める費用、現地での教育費、現地の手続き費用が含まれています。
在留資格認定証明書の交付申請費用
必要書類取得費用、返信用封筒切手代392円
渡航費、住居費などの諸経費
電子・機械エンジニア、土木作業員の日本在住キャリア採用の場合
人材紹介会社への手数料
金額の相場は理論年収の30%~35%とされており、日本人と同等です。
(例) 年収3,500,000円 報酬1,050,000円〜1,225,000円
技術・人文知識・国際業務(ケースによっては高度人材)への在留資格変更費用
在留資格変更許可申請にかかる手数料4,000円(収入印紙代、採用予定の職に対応できる在留資格を所持していれば不要)、他返信用封筒切手代392円 等
このように、「現地キャリア採用」と「日本在住キャリア採用」を比較すると、「現地キャリア採用」の場合は渡航費などの費用がかかる一方で、人材紹介会社への報酬は「日本在住キャリア」に比べて低い相場となっていることが分かります。
外国人材の給与について
外国人材だから日本人よりも安い給料で雇えるということは決してなく、労働法規を守った適正な報酬を支払わなければいけない点は、日本人と同じです。そのうえで外国人材の給与設定をどうするかですが、例えば、東京在住の外国人材を地方でキャリア採用したい場合、東京価格に設定しなければ採用は難しいでしょう。
その点、海外在住の外国人材は、地方の給与価格が海外現地より高額なことも多く、地方価格の給与水準で採用できます。逆に、現地での給与が高い人材をそれより低い金額で採用することは、よっぽどの事情がないかぎり不可能です。
これらを踏まえて、給与設定および採用ルートを考えましょう。
日本在住キャリアの採用難易度は高い
先ほどご紹介したように、渡航費などが必要なく採用費用が抑えられるという点から、「日本在住キャリアの外国人材を採用したい」と考える方もいるかもしれません。しかし、日本在住の外国人材は現地に比べ人数が少なく、希望に合致する人材を探すこと自体が困難です。
また、キャリア採用の場合は、給与などの条件が比較的高くなる傾向にあります。日本語能力が高い場合は、さらに条件が高くなり、他の企業との獲得競争になることも。それらの事を考えると「採用しやすい」とは言えないでしょう。
一方、現地採用の場合は母数が多いため、自社が求める人材を採用しやすい傾向があります。このように、採用コストと採用難易度は反比例するということを理解しておきましょう。
【採用の難易度】
現地新卒採用>現地キャリア採用>日本新卒採用>日本キャリア採用
外国人材の採用費用を抑えるには?
最後に、外国人採用の費用を削減するために、企業が行える方法をご紹介します。
現地からの採用でかかる費用を抑える方法
現地の学校・日本語学校を訪問し、自らスカウトする
自ら赴いてスカウトをすれば、人材のミスマッチを防ぐことができます。紹介料はかかりません。ただし、担当者の時間と体力が必要です。また、現地の言語に精通していなければなりません。
人材紹介会社の活用
人材紹介会社の中には、現地での教育費などを含めた金額でサービスを展開している会社もあり、それらのサービスを利用することで全体的な費用を抑えることができます。
SNSでの求人募集
外国人がよく利用するSNSで求人募集をするのも一つの方法です。ただし、外国人によってよく使うSNSの種類も異なるので、国ごとの特徴をリサーチする必要があります。
日本からの採用でかかる費用を抑える方法
日本語学校や予備校、高校等へのアプローチ
日本語学校や大学等のキャリアセンターに、求人情報を掲載してもらうことができます。掲載料は基本的に無料です。
外国人ネットワークの利用
すでに入社している外国人社員からの口コミや紹介による採用も、よく行われています。採用コストを抑えられるだけでなく、人材とのミスマッチを防ぐ効果もあります。
日本文化の教室へのアプローチ
剣道や茶道などの日本文化教室には、日本文化に関心が高い外国人が集まります。それらの教室の主催者に求人の案内をすることで、紹介費などを抑えられる場合もあります。
まとめ
ここまで、外国人材の採用費用について網羅的に解説してきました。
外国人材の採用ルートには、「現地新卒」、「現地キャリア」、「日本新卒」、「日本キャリア」がありますが、一概に「採用費用が安い」ルートを選べば良いというわけではないことが、おわかりいただけたと思います。
また、外国人採用の費用について検討するときは、「採用するための費用」「入社における費用」「入社後にかかる費用」「給与」と分けて考える必要があるでしょう。
まずは、自社が求める外国人材の要件を明確にし、採用にかけられる費用や割ける時間を把握することが大切です。加えて、今回ご紹介したような採用費用や採用難易度も念頭に置いて、最適な方法で採用活動を行いましょう。
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