バングラデシュ人の仕事選びの条件とは?日本で働くことの魅力や理由を解説

執筆者:

上田代里子

隠れたIT大国として注目されはじめているバングラデシュ。前回の記事では、そんなバングラデシュ人の特徴や性格、文化についてご紹介しました。今回の記事では、バングラデシュ人がどんな仕事や企業に興味を持ち、仕事選びにはどんな条件を好むのか等、解説していきます。

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バングラデシュとは

アジア最後の新興国と言われているバングラデシュ人は、日本の4割程度の国土に、約1億6000万人が暮らしています。

人口はアジアで4位、1平方キロメートルに1,127名が暮らし、日本と真逆で若い人材が豊富です。

バングラデシュの首都ダッカの様子

公用語はベンガル語ですが、多くの人がネイティブ・ビジネスレベルの英語を話すことができます。英語が話せる人材が豊富なことから、IT外資系企業がオフショア拠点を置き始めている、注目国です。この辺りについては前回の記事で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。

バングラディシュ人が日本で働く理由

さて、弊社はこれまで100名以上のバングラデシュエンジニアの日本就職支援をしてきました。多くのバングラデシュ人にとって、日本就職は「LIFE TIME DREAM(生涯の夢)」のような憧れがあります。

長くバングラデシュに住む私からすると当然のように思えますが、日本企業様から「どうして日本で働きたいのですか?」とよく質問されるので、今回はその背景と理由についてご紹介したいと思います。

1)先進国日本で得られる給与

バングラデシュの通貨

まず、なによりも「経済力」は彼らにとってとても強い動機になります。世界有数の途上国であるバングラデシュと世界有数の先進国である日本。バングラデシュ経済が伸びているとはいえ、未だ通貨価値は7~8倍の違いがあります。ホワイトカラーの一般的な初任給が2〜3万円のバングラデシュと比べると、日本で働くことで得られる給与はとても大きな意味を持ちます。

高度IT人材のようなホワイトカラーの仕事をする彼らでも、母国の家族・親族に送金をしていない人は一人もいません。母国の家族からすると、日本で働く彼らの給与は、非常に大きな意味を持ち、この送金で兄弟姉妹が学校に行けたり、親族が病気になったときに診察できたり、また田舎に家を建てることが出来たり、あたらしい事業を始めることが出来たり……と日本で働く本人以外の人生に多様な選択肢を与えることができます。

また、バングラデシュの最高峰ダッカ大学のような国立大学出身のエンジニアたちは、出身が農村で本当に貧しい家庭の人たちもとても多く存在します。彼らは、日本で稼いだお金を農村にいる家族親兄弟だけではなく、母校の後輩たちの奨学金として寄付しています。この奨学金は、貧しい家庭出身ながら心意気と地頭の良い後輩たちが学業に集中することを再びサポートします。

私達が日本就職を支援してきたエンジニアの中にも、ダッカ大学やダッカ工科大学といった、国公立トップ校出身の人達がいます。彼らを支援することは、巡り巡って、次世代を担う彼らの後輩たち(そしてその家族)の未来を切り開くことにも繋がりますので、本当に社会的意義が大きい仕事だと思っています。

2)IT大国としての日本

次に、日本はテクノロジー先進国なので「母国でエンジニアの仕事をするよりも圧倒的に身につく技術やキャリアが高くなるから」という理由があります。例えば、AI、ビックデータ、ブロックチェーン、クラウド基盤、DXなど、日本でバズワード になっている領域は、技術調査や技術開発の粋をとっくに越えてすでに各産業の中で実用化され、プロダクトやサービスが多く輩出されています。この領域では大手企業からスタートアップまで数々の企業が開発を進めています。

他方、バングラデシュではIT産業が伸びているとはいえど、このような最先端領域でITエンジニアとして働ける機会はほんの一握りです。そのため、エンジニアとしての技術を学びたい、自分の経験値を伸ばし市場価値をあげていきたいと望むキャリア志向の強いエンジニアたちは、技術大国としての日本に憧れを抱くことが一般的です。

3) 親日国バングラデシュ

日本とバングラデシュの国旗

3つ目は「バングラデシュは超・親日国だから」という理由があります。

バングラデシュは元々、インドから独立したパキスタンが独立戦争を起こし、1971年に生まれた国ですが、独立戦争後国内は退廃し、地理的に不利な土地だったということもありとても貧しく、ライフラインも乏しい非常に厳しい状態でした。

日本は国際社会が独立宣言を認めていない72年からいち早く、バングラデシュを独立国家として支援し、その後も食料やインフラ関係で多大なる援助を行ってきました。独立から50年たった今も、日本はバングラデシュ初となるメトロ建設のサポート、ロヒンギャ難民支援、コロナパンデミックの支援金など、様々な形で国家間の支援を行っています。バングラデシュに行くと、道路や橋、様々なところに日本の旗を見つけることができます。

この日本とバングラデシュの親交の歴史は、世代間にわたり引き継がれていて、特に大学の学長、企業の社長などのシニア世代は非常に日本に感謝し、尊敬している人たちが多いです。この世代の人たちが、自分たちの子供・生徒となる若い世代に、日本人がいかに自分たちの国に貢献してくれたかを語り継ぐため、日本人がバングラデシュに来ると「日本人であるから」という理由1点のみにおいて、感謝の言葉を言われたり、良く対応してくれる人たちで溢れています。

それほどに、バングラデシュ人は日本に対して特別な感謝と尊敬、そして憧れの念があります。ご存知かわかりませんが、バングラデシュの国旗は日本の国旗ととてもよく似ており、そこには親日の念が込められているという説もあります。

このように、「経済面で魅力的」「高い技術が学べる」「日本が好き」という3つの理由が、彼らが日本で働きたい動機となっています。

バングラデシュ人が仕事を選ぶ時に気にする条件

バングラデシュ人は、比較的「日本で働くことができたらどんなエンジニアの仕事でも良い」と思っている傾向が強いのですが、強いて言えば、「どんなプロダクト・プロジェクトをしている会社か」「どのくらい日本語力が必要か」「初任給はいくらか」を気にすることはあると思います。

しかしながら、よほど特化型の強い専門性を持つスペシャリストタイプの経験者エンジニアでない限りは、気にはしても強くこだわることはないでしょう。

また初任給も日本人と同等の給与水準で大きく問題になったことはありません。むしろ、どんな会社であっても、持ち前の人懐っこさと楽観的な気質で、馴染んでいくことができるのが彼らの特性と思っています。周りの方々に馴染んで可愛がれてるうちに、コミュニケーション力を発揮し、日本語もどんどん上手くなっていきます。

まとめ

バングラデシュ人の仕事選びの条件と、日本で働く理由を紹介しました。

このように、バングラデシュ人は、日本で働くことに対してポジティブな姿勢を持っています。競争相手がまだ少ない現在であれば、優秀で魅力的な人材の確保が比較的容易となります。海外人材の採用を考えているのであれば、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。


バングラデシュ人採用について興味をもった方は、こちらの記事も併せてご覧ください。