バングラデシュってどんな国?親日の理由や特徴・文化を解説

執筆者:

上田代里子

「バングラデシュ人」と聞いても、バングラデシュ自体に馴染みがなくイメージしづらい方が多いのではないでしょうか。
今回はバングラデシュ在住歴7年の筆者が、バングラデシュ人の特徴的な性格や、バングラデシュの文化について解説します。

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バングラデシュとは

バングラデシュの首都・ダッカ

バングラデシュの場所・人口

バングラデシュはアジア最後の新興国と言われており、国土は日本の4割程度、約1億6000万人が暮らす国です。人口はアジアで4位、1平方キロメートルに1127名が暮らす世界一の人口過密国になります。

バングラデシュの公用語

公用語はベンガル語ですが、元インド(その前の宗主国はイギリス)だったため、多くの人がネイティブ・ビジネスレベルの英語を話します。大卒ホワイトカラーで英語が話せない人には、私はほとんど会ったことがありません。

実は隠れた“IT大国”

現在、バングラデシュには約4500社のIT企業があります。今は新型コロナウイルスの流行の影響を経済面でも受けていますが、経済は安定しており、ここ数年で毎年8%前後のGDP成長率を遂げています。一方で、バングラデシュのITエンジニアの平均給与は数万円前半ということもあり、オフショアとして注目を集めています。また、バングラデシュは国策として国内約100カ所の経済特区を設けて外資企業を誘致し、実質経済成長率を10%まで引き上げることを発表しています。

また、先ほど述べたように英語が話せる人材が豊富にいることもIT人材におけるバングラデシュの優位点であり、最近多くのIT外資系企業がオフショア拠点を置き始めている理由の1つかと思います。

バングラデシュ人の性格

バングラデシュの中学生たち

ハングリー精神の強い若者たち

次の新興国として経済成長を続けるバングラデシュでは、衣食住の基本的なニーズが満たされる中、中流所得層の厚みが増すにつれて教育にかける家庭の支出も増えています。そして家族の期待を一身に背負い、より多くの若者達がよりよい未来を目指して、大学進学を選択しています。

そのために、低所得者層から中間富裕層までほとんどの学生たちは、小学校を卒業したあたりから、ほぼ毎日塾や家庭教師をつけて勉強しています。

そんな中、国内トップレベルの人気校では毎年受験者が殺到しています。「バングラデシュの東大」と言われる国立のトップ校・ダッカ大学コンピューターサイエンス学部(プログラミング学科)は、60人しか入学できない中で毎年約80000人の全受験者が集まり、合格率0.07 % という考えられないほどの競争率です。数少ないチャンスを手にできる学生は、熾烈な受験戦争で死ぬほどの努力をしたか、または生まれつきの天才か、という状況です。よりより学歴・よりよい仕事・収入を目指して、多くの若者達が日々競い合っています。

“今この瞬間を生きている”バングラ人

もちろん全員がそうではありませんが、バングラデシュの人々は長期的視野より短期間視野で考える傾向が強いです。

実際に、経済が伸びていると言っても十分な貯蓄がある人はほとんどおらず、中間層であっても今月・今日をサバイバルしていると言ったほうが正しい表現だと思います。日本のように、政府の支援や制度もほぼ皆無のため、家族の誰かが病気になったら、親戚中からお金をかき集めて治療をする、足りなければ会社から借金をすることも多々あります。

家計が自転車操業であるだけでなく、国の状況も天候・治安・政治・道路事情等に日々多大な影響を受けます。そのため、明日、来週、1ヶ月後がどうなるか予想が立てられない状況です。確かな見通しをすることが難しいことも、彼らが短期的視野になる理由の一つです。例えば、雨季になれば主要道路は雨であふれて大洪水になってしまい、通行止めになります。どうしても道を横断したい場合は“ボート通勤”という荒業を使うしかありません。

政治の問題が発生するのも日常茶飯事です。野党がデモを起こせば、明日にでも主要道路はブロック、交通手段はストップ、オフィスはクローズする国です。バングラデシュは、長期継続的・計画的に物事を計画・実行してもコントロール外の何かが突発的に起こってすべてがチャラになってしまう、ということが当たり前の国です。「こうしたら、将来どうなる」という見通しをもって考えることが”割りに合わない”という潜在的意識が働くのかもしれません。

「インシャアッラー(アッラーの神が望めば叶うでしょう(意訳) )」という言葉をバングラデシュの人々はよく使いますが、私からすると「いやいや、全て神頼み?!ちゃんと計画して努力しようよ」と突っ込みたくなることも実際多々あります。

最後の追い込みに強い

バングラデシュの人々は計画的に物事を遂行することは苦手ですが、一方で目の前に差し出された課題、または急に発生したトラブル、期限が差し迫ったタスク、などを瞬発力と突破力を発揮して乗り越えるのは結構得意なようです。

私の会社の社員たちも、長期に渡るプロジェクト管理が苦手でタスクは日々遅延していくものの、最後の締切日には火事場の馬鹿力を発揮して、徹夜してでも辻褄をあわせて来るシーンを何度も見てきました。

そしてこれは、プログラマーのような、期日に間に合わせることが必須の職業であれば特に大事な資質かと、個人的には思っています。

フレンドリーで、懐に飛び込んでくる国民性

バングラデシュ人は、たとえ初対面であっても、かなりフレンドリーで人との距離感がとても近いです。大阪出身の私からすると、類似する性格をもっているようで、親近感がわきます。

道端を歩いているだけで話しかけてきたり、一緒に写真をとってくれと頼まれたりと、知らない人に話しかけること、友だちになることに彼らは全くためらいがありません。1回会って少し話をしただけでも、家に招待してくれたり、泊まらせてくれようとしたりと、当たり前のようにおもてなしを申し出てくれます。道端で知らない人に場所を聞くと、あっという間に周辺にいる関係ない人たちまで立ち止まって助けようしてくれます。最終的にたくさんの人に囲まれるので、傍から見たら何が起こっているのかと思いうくらい大ごとになっている時もあります。

バングラデシュ人と関わることに慣れていない最初の頃は、このフレンドリーすぎる距離感に疲れてしまう日本人も少なくないかもしれません。しかし、自分の困っているときにバングラデシュ人が何の躊躇もなく助けてくれるなど、サポートしてくれることも多いです。

一度、バングラデシュ人の家にホームステイしていたことがありましたが、入れ替わり立ち替わり人が部屋に入って話しかけてくるので、滞在中一度も孤独を感じることがありませんでした。

私の会社の日本語アカデミーの生徒もみんな話すことがだいすきなので、コミュニケーション力の発達が比較的早いように思います。

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バングラデシュの文化

バングラデシュの高校生たち

穏健派ムスリム国

国民の90%以上がイスラム教徒で、バングラデシュの国教はムスリムです。そのため、ムスリムの教えに従って普段お酒は飲まず、豚肉は食べません。

1日に5回は神様にお祈りをし、金曜はモスクに行きます。女性であれば体のラインが出ないようなヒジャブやブルカといった伝統的な服装を着ることが推奨されています。ラマダンと呼ばれる断食月には、日中は飲み物や食べ物を口にせず、日が昇ってから沈むまでムスリムの教えに従って断水・断食して過ごします。

しかし、中東などの本当に戒律の厳しいムスリム国に比べると、バングラデシュは人によって解釈が緩めであったり、お祈りをする人もいればそこまで熱心にお祈りしない人もいたりと戒律の厳しさは人によって様々です。そのため、バングラデシュは穏健派ムスリムと呼ばれています。

女性も、アラブ諸国のように、全身を覆い隠すようなブルカを着る人は減ってきており、インド由来のワンピースにスカーフ、といったファッションを楽しむ女性が多いです。

バングラデシュ人のエンジニアを採用いただいた企業様のなかには、最初は宗教面の違いで入社後に苦労をかけるのではないかと心配されることもありました。しかし、バングラデシュ人は適応力がものすごく高いです。いったん日本企業に入ると、バングラデシュ人の彼らのほうが日本の文化にアジャストしていくので、宗教文化の違いで大きな問題をこれまで聞いたことがありません。

バングラデシュは、とにかく「親日国」

日本はODA(政府開発援助)で、世界中の国々の中でバングラデシュを多く支援しています。

バングラデシュがパキスタンから独立した直後から、日本は、ODAで橋や道路、農業、教育、ITなど様々な分野やインフラで多くの支援をしてきました。その歴史は50年近くに渡ります。

そのため、現地では日本人というだけで、熱烈な歓迎を受けます。バングラデシュ人は外国人の中でも、特に日本人に対して、一定以上のリスペクトを持っているのです。

また、バングラデシュの有名な大学の学長や教授の多くが日本の大学を卒業しています。JETROの行った大学生向けアンケート調査では、日本は「大事な国」「好きな国」「旅行したい国」「勉強したい言語」すべての項目において上位1〜3位にランクインしていました。多くのバングラデシュ人が日本に好印象であることがわかります。

まとめ

基本的には、バングラデシュ人は穏やかで優しく、人懐っこい人が多いので、謙虚な日本人とも相性が良いかと思います。かつ、バングラデシュ人は日本に対して友好的なので、バングラデシュ人が日本で働くか他の国で働くかを選ぶ時に日本企業は有利だといえます。海外の人材の採用を検討しているIT企業の方はバングラデシュ人の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

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