ワーキングホリデー台湾人の採用競争激化!人材獲得するポイントとは?

執筆者:

張聖豪

2009年から開始した日台ワーキングホリデー制度を利用し、日本でアルバイトをする台湾人が年々増えています。深刻な人手不足に陥る事業者の中でも、ワーキングホリデーで日本を訪れる台湾人を積極的に採用する企業が多くなってきました。特にインバウンド関連のホテル・旅館業、飲食業、小売業などではワーキングホリデーで来日する台湾人が重宝されています。
筆者は台湾で人材紹介事業に携わり、ワーキングホリデー台湾人と日本企業のマッチングを行っております。最近では、ワーキングホリデーで来日する台湾人を募集しても、予想より応募が少ないという声が増えてきました。その原因は、ワーキングホリデーで日本に来る台湾人の採用の競争が激化していることにあります。

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ワーキングホリデーで来日する台湾人の数

※参考:公益財団法人 日本台湾交流協会

2009年に導入された日台ワーキングホリデー制度は、年間のビザの発給枠が決まっています。台湾人へのビザ発給枠数は、2009年当初は年間2,000名、2014年には年間5,000名まで拡大されました。それでも発給枠を上回る申請数があったため、2019年にはその倍の10,000名にまで拡大しました。実際、2019年の発給数を調べると、約7,500件でした。前年比の1.5倍です。

台湾人に日本でのワーキングホリデーが人気な理由

日本でのワーキングホリデーが台湾人に人気な理由は、主に2つあります。ひとつめは、日本旅行の経験です。台湾人の訪日客は8割以上がリピーターで、何度も日本を訪れる人が多いです。日本が大好きで、日本を旅行するだけではなく、日本で生活してみたいという人も多いです。ふたつめは、日本語学習者が多いからです。日本語を勉強していて、もっと上達したいと思い、留学以外の選択肢としてワーキングホリデーを選ぶ人も多いです。

ワーキングホリデーで滞在する台湾人雇用のメリット

なぜワーキングホリデーで来日する台湾人が多くの企業に求められるようになったのでしょうか。理由は主に以下の4点が考えられます。

企業側で在留資格、ビザの申請手続きが不要

外国人を雇用したいが、在留資格、ビザなどの要件がよく分からない、若しくは申請手続きが面倒に感じられる方も多いのではないでしょうか。ワーキングホリデーの場合、応募者本人がすでに台湾側でワーキングホリデービザを取得しているので、雇用企業側で在留資格やビザ申請の手続きが一切必要ありません。

職種や勤務時間の制限がない

手続が不要という利点の他、職種、勤務時間の制限もありません。風営法に定められる業種以外、日本での就労・労働が認められます。留学ビザや就労ビザと比べても、実に柔軟性があります。例えば、ワーキングホリデーだと勤務時間に制限はありませんが、留学ビザの資格外許可での勤務時間は週28時間以内の上限が設けられています。

また、就労ビザの申請には仕事の内容と本人の専門知識や職歴との適合性が問われます。一方、ワーキングホリデービザの場合、フルタイムの仕事でも、語学力不要の業務でも、問題なく勤務が可能です。

繁忙期の人員対策

ワーキングホリデーで日本に来る台湾人は短期間の雇用にも最適です。ワーキングホリデービザの期間は最長1年ですが、せっかく日本に行くのだから、一ヵ所だけではなく、複数の仕事や地域を経験したいという人が多いためです。3ヶ月~6ヶ月など、繁忙期のみでの雇用も可能です。

日本語力と日本文化への理解

台湾の人口に対する日本語学習者の割合は世界一と言われ、諸外国の中でも日本語レベルは比較的高いです。さらに多くの人が英語も堪能です。そしてなにより、とても親日的です。台湾のテレビでは日本番組専門チャンネルもあり、また飲食店、小売業などの日本企業も多く進出していて、日頃から「日本」に触れているため、日本文化への理解がとても深いです。

また、ワーキングホリデーから正社員を目指す人も多く、仕事に対して意欲的です。

なぜワーキングホリデーで滞在する台湾人の採用が激化しているのか

インバウンド需要による求人急増

2009年の年間訪日観光客は約679万人でした。その中で、中華圏(中国、台湾、香港)は約250万人です。2019年は全体の訪日観光客数が3,188万人に対して、中華圏は半分以上の1,677万人に達しています。10年間で中華圏の訪日観光客は6.7倍になっています。中華圏の中、日本ワーキングホリデー制度が導入されているのは台湾と香港のみです。香港は年間発給枠が1,500名で、台湾と比べると人数が少ないです。言語対応など、インバウンド対応に追われている観光業界にとって、ワーキングホリデー中の台湾人はとても重宝される存在になりました。ちなみに、中国と日本の間はワーキングホリデー制度がありません。

求職者が仕事を選べる時代へ

日台ワーキングホリデー制度がスタートした当初はインバウンド客が増え始めた頃でした。当時、外国人雇用はまだ定着していなく、外国人客の多いホテル、旅館など観光事業者以外、台湾人を雇用する企業は多くはありませんでした。ワーキングホリデー中の台湾人にとって仕事の選択肢が少なかったため、企業は最低賃金水準でも採用することができましたが、今は違います。都市部の飲食店、コンビニなど、日本人・外国人問わず、求人がたくさん出ている時代です。求職者にとって、仕事は選べる時代になりました。優秀なワーキングホリデー台湾人を獲得するためには、採用条件が非常に重要です。

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ワーキングホリデー台湾人を獲得するための5つのポイント

採用条件において、ワーキングホリデーで来日する台湾人が重要視するのは大きく2点あります。

  1. 生活しやすい環境か
  2. 日本語が活用できるか

具体的には以下が挙げられます。

給与

ワーキングホリデーで日本に滞在する台湾人の時給は、地方の場合900円~、都市部は1,000円~が相場です。

また、ワーキングホリデービザの場合、「非居住者」に該当しますので、源泉所得税率が20.42%です。社会保険料も控除されます。それ故に、少しでも高い時給を求める傾向にあります。

住居(寮、社宅の提供)

滞在期間1年未満の外国人にとって住む場所を探し、家具家電など生活道具を揃えるのはとても大変です。都市部の場合は外国人可のシェアハウスも多くありますが、地方や郊外ですと個人で住まいを探すのはほぼ不可能です。そのため、地方の求人は住居の提供が必須となります。また、前述のように源泉所得税の負担が大きく、収入に対する手取が少なくなるため、個人負担の家賃は高くても月3万円以内が妥当でしょう。家具家電付の住居、食事無料提供の求人は人気が高いです。

住居・職場の周辺環境 (スーパー、コンビニ、最寄駅など)

地方に憧れる人もいますが、やはり都市部を選ぶ人が大多数です。主な理由は、都市部の方が生活環境が整っているためです。ワーキングホリデーで来日する人は車を持たないので、郊外だと移動範囲がかなり限られます。そのため、地方や郊外の場合は徒歩圏内にスーパー、コンビニがあるかどうか、最寄駅までの距離など、住居・職場の周辺環境が仕事選びの決め手となります。住居から仕事場の距離がどうしても徒歩圏内にない場合、送迎車の利用可など、少し配慮する必要があります。

雇用期間

ワーキングホリデービザの期限は1年間ですが、雇用契約期間は3ヶ月~6ヶ月を希望する人が多いです。なぜなら、初めて日本で働く人が大多数で、いきなり1年契約と言われると不安を感じるからです。また、日本のいろんな場所を体験したい、旅行したいという考えもあります。もちろん、最初は3ヶ月~6ヶ月の契約で、その後契約を延長し、最終的に1年間働き続けるケースもあります。

日本語を活用できる仕事内容

日本語の上達を目的に来日する人が多いです。日本語能力試験N1~N3レベルの人は実際に日本語を使って仕事をしたいという考えが強く、仕事で日本語を使えるかどうかを重要視しています。仕事自体は日本語不要だが、社内でのコミュニケーションは日本語なのでN3、N2レベルはあってほしいという企業側の声はよくあります。しかし、日本語の出来る人材は日本語を使わない仕事に興味を持ちません。業務では日本語を使わない場合、日本語レベルの採用条件を緩めてN4、N5にすることが望ましいです。

求人募集から入社までどれくらいの期間が必要か

ビザ申請の手間がないとはいえ出発までの準備期間も必要ですので、内定から入社までは1ヶ月が目安です。募集と選考期間も考えると入社予定日の3ヶ月前からの募集が無難でしょう。もちろん、すでに候補者が日本滞在中の場合、すぐにでも入社可能です。

台湾のワーキングホリデー希望者に人気の職種

職種については、求人数の多い接客系の仕事が人気です。ホテルのフロント、ショップの店員など、お客様と対面する職種です。一方、求職者のニーズが高いものの、求人数が少ない職種は事務系です。ワーキングホリデーで来日する求職者は新卒よりも既卒の社会人が多いです。なかには、日本語・中国語・英語の3ヶ国語を話せるトリリンガルなど優秀な人材もいます。自分の職歴を活かせる書類作成、翻訳などデスクワークは、求職者に非常に人気です。

まとめ

人手不足が深刻化する今、ワーキングホリデーで日本に来る台湾人の採用を選択肢の一つとしておすすめします。

優秀な人材を確保するためには、上記で述べたような待遇面や仕事内容など募集条件が非常に重要です。人手不足に悩む方やワーキングホリデーで来日する台湾人の採用を検討中の方に、本記事の内容が少しでもご参考になれば幸いです。

 

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