ワーキングホリデーで来日する外国人を雇用する3つの注意点とは?

休暇を主な目的として、18~30歳(一部を除き)の人が取得できるワーキングホリデー。日本でも、年間約1万5千人の外国人がワーキングホリデーを利用して来日しています。休暇だけではなく、滞在中に働くことができるのがこのビザの特徴です。ほかの在留資格とくらべて、ワーキングホリデー中の外国人を雇うのに複雑な手続きは必要ありません。ただし、滞在期間や所得税率、社会保険など、雇う側が理解しておくべきポイントがあります。
ここではワーキングホリデー中の外国人の雇用にあたり、注意するべき点と必要な手続きをまとめました。

採用前に在留カードとパスポートを確認

ワーキングホリデー中の外国人の採用が決まったら、在留カードとパスポートの2つを確認します。どこをチェックするのか具体的にみてみましょう。

ワーキングホリデーの在留資格名は「特定活動」

ワーキングホリデーで日本に滞在する外国人の在留資格は、「特定活動」と呼ばれます。

  • 特定活動:法務大臣が個別に滞在目的を任命する在留資格。ワーキングホリデーのほか、インターンシップ、大学卒業後の留学生の就職活動、アマチュアスポーツ選手等が該当します。

通常、外国人の在留資格の種類を確認するのは「在留カード」です。しかし、ワーキングホリデー中の外国人の在留カードは、在留資格の種類は「特定活動」とだけ記載されており、ワーキングホリデーで滞在しているどうかまでは確認できません。「特定活動」の在留資格のなかには、就労できないものもあります。そのため、在留カードとあわせてパスポートも確認しましょう。パスポートに添付された指定書にワーキングホリデーで滞在している旨が記載されているはずです。

滞在期限もチェックする

ワーキングホリデーで外国人が滞在できるのは、基本的に入国から1年です。決められた滞在期間を超えてワーキングホリデーで働くことはできません。

採用する予定のワーキングホリデーの外国人が、いつまで働けるのか、かならず滞在期間をチェックしましょう。期限が終了して、新たな在留資格を申請せずに日本に滞在している場合は、不法滞在となります。また、そのまま働いていると不法就労となり、雇用主にも3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられるので注意が必要です。

ワーキングホリデーの外国人の所得税率は20.42

ワーキングホリデーで滞在する外国人は日本での滞在できる期間が1年未満のため、ほとんどのワーキングホリデー中の外国人は税法上「非居住者」に分類されます。彼らが日本国内で稼いだ収入にかかる所得税率は20.42%です。日本国内で得た収入の多い・少ないに関わらず税率は一律です。通常の累進課税の税率は適用されないので注意しましょう。

【ポイント】

  • 1年未満滞在のワーキングホリデーは、非居住者の扱い
  • 非居住者の所得税率は42%

ワーキングホリデー中の外国人は社会保険に加入する?

外国人を雇用する場合の社会保険の手続きは、基本的に日本人と同じルールが適用されます。国籍ではなく、働く時間や雇用形態で加入義務を判断します。ただし、ワーキングホリデー中の外国人は「就労」ではなく「休暇」を目的としているため、一部通常ルールが当てはまらない手続きもあります。ワーキングホリデー中の外国人を雇用したとき、どのような社会保険の手続きを行えばよいのか、説明します。

社会保険とは

まず、社会保険についておさらいしましょう。人事の領域で「社会保険」という場合、ここでは「厚生年金保険」「健康保険」「労災保険」「雇用保険」の4つが含まれています。

  • 「厚生年金保険」→老後の生活のための保険制度
  • 「健康保険」→医療機関を病気やケガで受診する際、医療費の一部を負担するだけで治療を受けられる補償
  • 「労災保険」→仕事中や通勤途中のケガに対する補償
  • 「雇用保険」→失業や、一時的に働けなくなったときに給付を受けられる制度

外国人も社会保険の加入基準は原則日本人と同じだが、雇用保険だけ注意

「厚生年金保険」「健康保険」「労災保険」はワーキングホリデーで滞在する外国人も日本人とおなじ加入基準が適用されます。在留資格に関係なく条件を満たす場合は加入する必要があるので気をつけましょう。

原則、雇用保険は外国人を雇用した際も日本人と同様に適用されます。しかし、ワーキングホリデーに関しては来日する目的が「就労」ではなく「休暇」のため、雇用保険の対象とはなりません。

【ワーキングホリデーの外国人の社会保険】

厚生年金保険 健康保険 労災保険 雇用保険
日本人と同じ基準で加入手続きを行う 適用対象外

厚生年金保険と健康保険が適用対象外になる場合も

厚生年金保険と健康保険については、条件を満たしていたら日本人と同じくワーキングホリデー中の外国人も加入しなければなりません。しかし、場合によっては加入しなくてもよいケースがあります。それは、アルバイトで労働時間数・労働日数が少ない場合と、外国人の母国と日本が社会保障協定を結んでいる場合です。

パート・アルバイトで働く外国人

アルバイトで働く外国人の週の労働時間・月の労働日数が一般社員の4分の3以下の場合は、保険適用の対象外になります。ただし、以下の条件をすべて満たす場合は労働時間と労働日数が一般社員の4分の3以下でも保険加入も対象になるので気をつけましょう。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 雇用期間が1年以上見込まれる
  3. 賃金の月額が8万円以上
  4. 学生でないこと
  5. 常時501人以上の企業

社会保障協定

社会保障協定とは、外国人が母国と日本での保険料を二重で払うことを防ぐために二国間で結ばれた協定です。協定を結んでいる国の外国人は、厚生年金、健康保険などの支払いが免除されることがあります。

  • 協定を結んでいる国

ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国

どの社会保険制度が免除になるのかは国によって異なります。詳しくは、日本年金機構のページをご確認ください。

払った厚生年金が一部戻ってくる脱退一時金

外国人のなかには、厚生年金の支払いを好まない人もいます。1年未満の短期滞在であるワーキングホリデー中の外国人も、厚生年金は支払いたくないと主張する人もいるかもしれません。しかし、厚生年金と健康保険はセットであり、どちらかだけに加入することはできません。

ただ、厚生年金は支払った金額の一部が戻ってくる「脱退一時金」の制度があります。この制度自体を知らない外国人も多いため、雇用主側からぜひ教えてあげましょう。

労災保険への加入は外国人も強制

労災保険とは、仕事中にケガや病気で従業員になにかがあった場合、国が雇用主にかわって補償する制度です。労災保険は従業員が1人でもいれば、かならず加入しなければいけません。パート・アルバイトの雇用形態も関係ないため、もしワーキングホリデー中の外国人を雇った場合は、労災保険の加入は必須です。

労災保険の保険料は、全額雇用主が負担します。万が一、外国人を雇用しているにもかかわらず、保険料が未払いの場合はペナルティが課されるため、注意が必要です。

まとめ

ワーキングホリデーで来日する外国人を雇用する際は、在留資格や滞在期限を確認しましょう。また、所得税率が20.42%と通常のアルバイト従業員と異なる点に気を付けてください。雇用保険への加入は必要ありませんが、労災保険への加入は必須です。厚生年金・健康保険は、どのような場合に適用対象外になるのか、詳しく外国人従業員に説明しましょう。