【台湾人採用の教科書】在留資格や注意点・仕事観がよくわかる!

台湾の人々は親日家で、日本人との親和性が高いといわれています。しかし、台湾の人々の仕事への向き合い方や、そもそもの気質は日本人とは若干違うといっていいでしょう。
今回は、台湾人を採用する際に知っておくべき知識を説明します。台湾人の国民性や気質だけでなく、台湾の平均給与額や仕事観についても取り上げるので、ぜひ、採用の参考にしてください。
目次
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台湾人の性格・特徴
台湾は、日本の南方に位置している島です。
台湾人の性格や特徴としてまず挙げられるのは、明るくおおらかな南国気質だという点です。小さなことはあまり気にしない方が多く、時間に対してもおおらかです。
また、台湾では女性のほうが意見をはっきり主張する傾向にあり、男性は女性を尊重する文化です。家族を大切にし、旅行などの大きなイベントでは家族だけではなく親戚も同伴することは珍しくありません。彼氏や彼女が家族の集まりに参加することもあります。
親日家の人が多いことも、よく知られています。2024年に観光を目的に訪日した外国人のうち、台湾人が占める割合は17.1%の411万5255人です※。日本の文化がよく知られており、日本のテレビ番組が台湾放映されることもあります。
※出典:日本の観光統計データ 各国・地域別の内訳|JINTO
台湾の就職事情
台湾の就職市場には新卒採用の仕組みはなく、基本的には、経験者と同じ土俵で就職活動をします。そのため、大学などを卒業したあとは未経験でも採用してくれるところを探して入社し、経験を積んで転職をすることで、希望の職に就いたり、より高い給与を得ていきます。
そのような事情から、台湾では「台湾労働者定年退職金条例」という制度があります。
雇用主は毎月対象労働者(台湾国籍を有する人と一部の外国人労働者)の給与のうち最低6%を拠出し退職金を積み立てなければいけない、という制度ですが、この退職金は主務機関が管理する各労働者個人単位の専用口座に積み立てられ、労働者が転職した場合にもそのまま承継されるため、定年退職金の計算に影響が及ばない仕組みです。転職が当たり前となっている台湾だからこその制度といえます。
台湾の平均給与額は?
2022年の台湾の平均給与額は、年収が67万7,000台湾元(約300万円)、月収は約5万4,000台湾元(約23万7,000円)です。
しかし、昨今の半導体事業の台頭や、2020年頃から始まった製造業の国内回帰の加速により、台湾国内の理系の給与水準はこの平均給与より上昇しています。円安も重なり、金銭を目当てとして日本で就職するメリットは少なくなりつつあります。かつてのイメージで台湾人採用をするのは難しいのが現状でしょう。
※参考:104人材銀行
台湾の新卒給与
2022年台湾の新卒給与は、平均で約10万円程度です。これは日本の半分程度の額であり、台湾ではなんとか暮らしていけるレベルだといわれています。
理系院卒の採用の場合、台湾大手企業の年収が日本円で600~900万円程度といわれており、日本の給与水準では優秀な人材の獲得は難しくなってきています。
※参考:104人材銀行
台湾人が日本で就職を希望する理由
台湾人が日本で就職を希望する理由は、大きく分けて3つあります。
- 親日だから
- 地理的な距離が近いから
- 日本語学習者が多く、日本語を活かした仕事に就きたいから
順に説明します。
親日だから
台湾は親日家が多いことで有名です。日本台湾交流協会が2022年1月に台湾において実施した調査※では、「最も好きな国」として日本が60%に達しました。歴史的にも関わりが深く、アニメやドラマ、音楽などのカルチャーも浸透していることから、日本文化に親しみを持ちやすい環境が整っていると言えます。
地理的な距離が近いから
台湾は沖縄の近くに位置し、日本との距離は飛行機で3時間程度です。直行便も多く、一時帰国や友人・家族の来日も簡単にできるので、心理的抵抗が少ないです。日本との気候の差も少ないため、暮らしやすさもあるでしょう。
日本語学習者が多く、日本語を活かした仕事に就きたいから
台湾では日常的に日本語に触れることもあり、日本語学習者が多いです。2024年7月に海外で行われた日本語能力試験(JLPT)では、受験者数41万4,605人のうち、台湾での受験者数が3万2,900人でした。これは海外で行われた受験者の約8%にあたります。日本語学習者が日本語を活かした仕事をしたいと思うのは自然な発想です。
正規社員として就職しなくても、ワーキングホリデーで日本を観光しながら働く方も多くいます。ワーキングホリデーはコロナ禍に申請停止となってしまいましたが、2022年に再開しています。申請停止前の2019年にワーキングホリデーで入国した台湾人の数は4,618人、再開後の2023年は2,123人で、どちらも韓国に次いで2番目に多い人数です。
※参考:2024年第1回(7月)データ 実施国・地域別応募者数・受験者数|JLPT
台湾人を雇用するメリット
台湾人を雇用するメリットは、大きく分けて2つあります。
- 中国語を話せる+日本語学習者が多い
- 日本人と親和性が高い
順に説明します。
中国語を話せる+日本語学習者が多い
訪日観光客で大きな割合を占める中華圏の方への対応が可能です。また、日本語学習者が多く、語学が堪能なため、接客業やサービス業における親和性が非常に高いです。
日本人と親和性が高い
親日家で真面目なので、日本人との親和性が高いです。日常的にテレビ番組などで日本文化に触れているので、文化のギャップが少ないでしょう。
おすすめは文系人材で、日本語力を活かせる宿泊業など
先述の通り、理系人材の給与は台湾内で高騰しており、優秀な人材を日本の給与水準で採用することは難しくなってきました。
一方、文系人材の採用の場合は、日本との給与水準にあまり差がなく、いまだに採用しやすい状況です。先ほどもお伝えした通り、台湾の平均給与水準は日本円で、年収約300万円、月収は約23万7,000円であることからもお分かりいただけるかと思います。
業種については、日本語を活用する仕事の人気が高く、サービス業などで採用しやすい傾向です。例えば、ホテルのフロントや飲食店の接客業務などが該当します。
円安に加え、日本と台湾の間に給与水準の差がなくなってきたことから、日本で就労する目的は給与面ではなく「日本で暮らしてみたい、日本語力を活かした仕事がしたい」といった動機に変化してきています。
フルタイム雇用・正社員雇用は「技術・人文知識・国際業務」が中心
宿泊業と外食業それぞれで就労可能な在留資格は以下の通りです。
フルタイムでの勤務であれば、技術・人文知識・国際業務などが該当します。
- 宿泊業
- 技術・人文知識・国際業務:ホテルなどのフロント業務や企画などの業務が可能。単純労働にあたるベッドメイキングはNGなど、様々な制限があります。
- 特定技能「宿泊」:宿泊業務全般を任せることが可能。フロントのみならず、付随業務として配膳やベッドメイキングも可能ですが、台湾では試験など実施していないため特定技能で在留する台湾人は稀。
- 外食業
- 特定活動46号:外食業では外国人客へ通訳を兼ねた接客業務や仕入れ、企画などの業務が可能。単純労働のみは不可。日本語能力試験N1合格など、要件が高く、取得が難しい在留資格。
- 特定技能「外食業」:ホール・調理などの業務全般を任せることが可能。
- 技能:海外料理専門店などの調理の業務に限られますが、就労可能。
【在留資格の説明】
■技術・人文知識・国際業務
いわゆる高度人材の在留資格です。四年制大学などの学歴と業務内容に関連性が求められるため、単純労働は許可されていません。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
▶【職種一覧】「技術・人文知識・国際業務」の要件、不許可事例を徹底解説
■特定技能
人手不足が深刻な特定産業分野において外国人の就労を許可する在留資格で、単純労働を含む幅広い業務に従事することが認められています。
「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、1号は12分野、2号は11分野で許可されています。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
▶ 分野追加決定!特定技能とはどんな在留資格?制度や技能実習との違い、採用方法をわかりやすく解説
ワーキングホリデーで雇用することもできる
ワーキングホリデーで来日する台湾人を採用する選択肢もあります。
ワーキングホリデーとは、海外で休暇を楽しみながら就学や就労が可能な、自由度の高い制度です。日本と協定を結んでいるワーキングホリデーの対象国は全30カ国で、国ごとにひとり1回まで利用できます。アジアの対象国は韓国、台湾、香港で、この制度で来日する台湾人も多くいます。
ワーキングホリデーの外国人を雇用するメリット
ワーキングホリデーのメリットは、以下の3つです。
- 業種・職種の制限なし
- 勤務形態の制限なし
- 雇用側の在留資格申請手続きが不要
順に詳しく説明します。
業種・職種の制限なし
ワーキングホリデーでは、業種や職種の制限なく日本で就労可能です。他の在留資格では制限されている業種や職種の縛りは基本的にありませんが、風俗営業等に従事させることは禁止されています。昨今はインバウンドが回復していることで空港のグランドスタッフやホテルなどの求人が増え、人気です。また、IT系企業も文系人材が採用対象となっている場合は、人気が高いようです。
勤務形態の制限なし
アルバイトや契約社員など、様々な勤務形態で雇用できます。
雇用側の在留資格申請手続きが不要
他の就労可能な在留資格とは違い、基本的には本人が手続きを行うため、雇用側が在留資格の申請手続きを行う必要はありません。
ワーキングホリデーの外国人を雇用するデメリット
ワーキングホリデーには、デメリットもあります。
在留期限がきたら帰国しなければならない
ワーキングホリデーでは、在留期限の更新はできません。在留期間は最大1年間で、この期限がきたら帰国することが求められます。また、基本的にワーキングホリデーは国ごとに一度のみ許可されています。正社員などで長期雇用をしたい場合は、一度帰国して就労ビザを取得の上、再入国してもらうことになります。
台湾人の仕事観と注意点
台湾の人々の仕事観は、日本とは少し違う部分があります。もちろん個人の性格にもよりますが、台湾の人々のうちおおまかに共通している気質は、以下の通りです。
- まじめに働く人が多い
- 仕事のスピードは早いが、計画性がない部分も
- こまめな報連相の習慣はない
- 残業は好まない
- 転職をポジティブに考えている
順に詳しく説明します。
まじめに働く人が多い
台湾の人々は、基本的にはまじめです。決められたことを守って勤勉に働きます。自分の業務をただこなすのではなく、積極的に行動します。
仕事のスピードは早いが、計画性がない部分も
与えられた仕事をできるだけ早く終わらせようと努力する人が多いです。過程より結果を重視し、効率よく仕事をするので、仕事はとても速いです。
しかし、計画性をもって仕事をすることは少し苦手で、細かな点を決めずに仕事を進めてしまうこともあります。また、柔軟性が高く効率を重視するため、自分の判断でやり方を変更してしまうこともあります。このような考え方の違いは、文化の違いによるものであり、本人に悪気があるわけではないので、繰り返し丁寧に説明していく必要があります。ただ、説明が必要という点は、台湾人に限らず、海外の他の多くの国の方に共通していることです。
こまめな報連相の習慣はない
台湾では欧米諸国と同じ「ジョブ型」雇用が主流です。「ジョブ型」雇用とは、必要な職務を実行するために有益な経歴を持つ人材を採用する方式です。この雇用形態は自分の仕事の役割と権限が明確なので、チームで仕事を行う意識があまりありません。
途中経過などの報連相の習慣がない台湾人が多いので、どこまで進めたら報告してほしいのか、なぜ報連相を必要としているのかを説明して理解してもらう必要があります。
残業は好まない
台湾人はプライベートや家族との時間を大切にしており、残業を好みません。仕送りを目的に就労しておらず、日本の文化などを好んで来日していることから、プライベートの時間は旅行や日本生活を楽しむ行動に時間を割きたいと思っているようです。
転職をポジティブに考えている
先述の通り、台湾ではキャリアアップのために転職することが一般的なので、転職に対してポジティブに考えています。日本のように、1社に長く働き続けるという発想があまりありません。台湾の生涯転職回数は7回以上、ともいわれています。
長く働いてもらうために企業ができること
台湾人に長く働いてもらうために企業ができることとして、転職しなくてもキャリアアップできることを示すことが大切です。
先述の通り、台湾の人々は転職をポジティブに考えており、転職に抵抗感がありません。転職しなくてもキャリアアップを目指せることを説明しないと、転職するリスクが高まります。そのため、役職を目指せる・給与が上がるなどのキャリアアップを明確にしておきましょう。
また、都心で働くことを望む台湾人材が多いので、入社初期は地方勤務でも何年後かに都心への異動があるなどのキャリアを用意するとよいでしょう。
実際に日本で働く台湾人の声
実際に日本で働いている台湾人に、インタビューを行いました。
台湾人・外国人材の採用を考えている企業様へ
かつて日本は台湾国内よりもはるかに給与水準が高く、台湾人の方々は海外就労先として日本を選択していました。
しかし円安の影響もあり現在では給与目的の就労ではなく、日本文化への憧れなどが、目的の主流へと変化しています。文系の人材であればまだまだ日本の平均給与でも採用のチャンスが多く、日本語が活用できる外食業や宿泊業での就労は人気があります。
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