台湾人ってどんな人?台湾と日本の関係からひも解く台湾人の国民性

執筆者:

山下訓儀

現代社会は昔とは違い国際社会や異文化を無視して企業が発展することがほぼ難しい時代になってきています。
筆者の大学(台湾の実践大学)の日本語学科では毎年130名の学生達を日本に派遣しインターンシップをさせていますが、いろんな企業や実習先から「台湾ってどんな国?」「台湾人ってどんな人?」とよく聞かれます。そこで、本記事では台湾の歴史的・文化的背景をもとに形成された台湾人の国民性や性格について話をしていきたいと思います。

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台湾の歴史・概要

台湾人の国民性を説明する前に、まずは台湾の歴史や気候、宗教、言語、教育について説明します。

歴史的な背景からみる台湾と日本の関係

台湾は日清戦争の結果下関条約により日本へ割譲されたです。その後約50年間に渡り日本が台湾を統治することになりました。統治時代、日本は皇民化や同化政策を通して台湾人の習慣や言語、文化を日本人にできるだけ近づかせようと努力を重ねました。このように日本が統治した時代がありますが、台湾人の日本に対する国民感情は親日的であり、日本に対し友好的です。これはなぜかというと、1945年に日本が無条件降伏により台湾を中華民国に返還した際、台湾を接収した国民党軍の台湾人に対する搾取やその後に起きた228事件(国民党の台湾人に対する弾圧事件)が、逆に台湾人に紀律のある平和な日本統治時代を懐かしませるのに拍車をかけていったからです。こうして日本への憧憬が台湾全土の子供たちに引き継がれていき、今に至ります。

日本と似ている台湾の気候

台湾は国土面積が九州とほぼ同じ、人口は約2300万人、四季は存在しますが4月から暑さを感じ始める温暖な島です。暑さは7月と8月にピークを迎え34度~38度に達し、10月下旬か11月初旬ぐらいまで32度ほどの暑さが続きます。木陰にいると風があれば比較的涼しく感じますが、私としてはクーラーがなければちょっとやり切れない不快感を感じます。梅雨は早ければ5月中旬から始まり、6月初旬には上がります。台風の来る8月上旬や9月と梅雨の時期は比較的に涼しいですが雨続きです。台風で休校になったり会社が休みになったり台風災害にみまわれたりすることも珍しくありません。

台湾の宗教・言語・教育

宗教面においては、ほぼ道教と仏教を混ぜ合わせたような信仰が中核をなしていますが、昔と違って熱心に宗教に打ち込む若者は日本同様少ないように思えます。

言語は戦後母国語となった北京語、いわゆる中国語が公用語として用いられます。中国の方言である台湾の現地語、いわゆる台湾語も一般的に使用されていますが、会議や教育はすべて中国語が使われています。学生の中には台湾語が苦手な子も多いようです。

次に教育面ですが、日本と同じく小学校が6年、中学と高校が各3年ですが、日本と異なるのはいずれも義務教育だという点です。また、高校卒業後は4年制大学に進学しますが、大学進学率は約93%と非常に高いことが特徴です。

台湾人の国民性

日本でインターンシップに参加する台湾人学生と山下教授

台湾人は柔軟性のある国民

台湾人は日本人と違って必要以上に他人の目を気にしない傾向にあります。日本では「世間体が悪い」などをよく口にしますが、日本は他人の目を気にする文化があり、そのような側面が礼儀作法や敬語・謙譲語など日本語自体に表れています。そして協調性や気遣い、他の人に合わせるなどと言った行動が必要以上に求められ、他の人と大きく異なる行動は和を乱す行動とみられる傾向にあります。一方で、台湾の礼儀作法や言語形態はもともとそのような必要以上に人目を気にするといった文化を背景とはしていません。

しかし、50年以上も日本の教育を受けた歴史的背景があることに加え、日本企業との盛んな交流や日本文化の浸透、日本語教育の発展などの影響もあり、台湾ではある程度―特に国際間の交流などにおいては、他人の迷惑や文化的背景の違いを考慮して行動し、過剰な主張を避けるなど柔軟な性格を有しているように思えます。台湾人の学習意欲が高く勤勉で真面目な国民性もこれを後押ししているのでしょう。

また、台湾人は外国の文化に憧れを抱き、率先して他国の文化を受け入れようとする柔軟な体質を持っています。

そのため、異文化の受け入れにあまり抵抗がなく、異文化を事業にも生かしています。そのためか先進国出身の外国人にとても親切です。また、歴史的背景や国民性も影響して、とりわけ日本人には親切にしてくれるように思います。

女性の意見を尊重する台湾人男性、自分の意見をはっきり伝える台湾人女性

「男女平等」という考えが根底にありますが、台湾人男性は女性に合わせて計画を立て、台湾人女性は自分の主張をはっきりと伝える傾向があります。まず、何かあったら最初に動くのは男性の方が圧倒的に多いです。

例えばこんなエピソードがあります。大学に日本から来た女性の留学生がいて、台湾の男性と付き合っていたことがありました。どこかへ遊びに行く時、台湾人の彼氏はどこへ行きたいか、何時に出発するか、何を食べたいか、など細かく聞いてくるそうです。また、彼女(日本人)がクラブ活動をしている間、ずっとどこかで彼女を待っていたり、夕方頃になると彼氏から電話があって「もう晩御飯を食べた」と聞いてきたりしたそうです。彼女は彼にこう答えました。「わざわざ聞かなくてもいいよ」「私をずっと待っていなくてもいいから、自分のやるべきことを早くやって」と。日本ではデートをする上で男性がある程度計画を立てて遊びに行くのが当たり前のようですが、台湾でこれをやってしまって失敗した例を日本人の友人から聞いたことがあります。遊びに行く計画の内容を台湾人の彼女に話したところ、「計画する時どうして私に何も聞かないの」と答えたそうです。

このエピソードからわかるように台湾の男性は女性をとても尊重しています。そして、女性は平等意識が強く、それだけに男性に負けまいと向上心を持って仕事に励んでいます。台湾は男性主体の社会ではありますが、女性の地位向上が開かれた社会であり、女性の管理職は珍しくありません。この女性を尊重する男性の性格や向上心の強い女の性格が仕事上においても、大きく役立っています。

台湾人の家族と会社の関係

日本では家族は家族、会社は会社と区別されているのが一般的で会社と家族間で交わりを持つことはあまりありませんが、台湾ではそうではありません。例えば、社内旅行や会社の会食やイベントに奥さんと同伴で参加することは珍しくありません。台湾は男性中心の社会ではありますが、女性の存在を軽視できない国民性が強く影響しているのではないかと思います。一般的に台湾人は非常に家庭や奥さんを重んじており、夜帰るのが遅くなるとよく逐一奥さんに報告する男性を見かけます。

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まとめ

日本との関わりを踏まえながら、台湾人の国民性について紹介しました。台湾人は他人の目を気にしすぎない、はっきりと自分の主張をするという側面がありながらも、相手の立場を考慮しながら行動する柔軟性も持ち合わせています。歴史的な背景や台湾での日本語教育、国際関係を重んじた現代文化の発達によって日本と台湾の文化が入り混じって形成された台湾人の国民性は、日本人や日本の文化になじみやすいといえるでしょう。

筆者としては、多くの日本企業の方々に台湾を知っていただき、彼らとスムーズなコミュニケーションが図れればと切に願って止みません。

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