旅館で働く中国人留学生が見つけたやりがいとは?学業も仕事も充実した日本生活を紹介

発表をする中国人留学生

中国から留学生として来日し、学びながら高級温泉旅館で働くCrystalさん。
業務を通して日本のサービスを勉強することはもちろん、お客様との会話は日本語の上達にも大きく影響しているそうです。

サービス業で働くことへのやりがいや、感動エピソードについて、教えてもらいました。

留学をきっかけに来日。語学力を磨きながら働く

―なぜ日本へ行こうと思ったのでしょうか?

もともと日本語を勉強していたのですが、母校が日本の大学と連携していることを知り、語学力を磨くために留学を決意しました。2015年のことです。中国とは違う文化も体験できますし、視野も広がればいいと思いました。

最初の半年はすごく寂しかったですが、徐々に慣れ、周りに方々にも仲良くしていただきました。今でも、日本に来てよかったと思っています。

 

―どんな仕事をされていますか?

大学に通いながら、高級温泉旅館でアルバイトとして働いています。お客様の出迎え、部屋へのご案内、そして夕食と朝食の準備・提供・片付けが主な仕事です。

出迎えから部屋へのご案内の間には荷物を運びながら旅館の歴史を紹介し、部屋では夕食・朝食のチョイスを確認したり、懐石料理の献立を説明したりします。すべて日本語で行います。外国人観光客もいらっしゃるので、その際は英語です。

 

―日本語のスキルが要求される仕事ですね!なぜこの仕事をしようと思ったのですか?

高級温泉旅館のため、サービス提供に関して大変勉強になるからです。またやりがいも感じられます。接客中は丁寧な敬語を使用し、普段は使用しないような日本語も多く、日本語学習になること、清潔で綺麗な場所で働けることも、この仕事を選んだ理由です。

友達を通じて派遣会社の社長と知り合い、そこで現在働く旅館の求人情報を紹介してもらいました。当時、とても緊張しながら電話をしたことを覚えています。

 

「外国人」ではなく「スタッフの一員」にしてくれた職場にやりがいを感じた

旅館で働く中国人女性。鍋の蓋をとったところ

―実際に働いてみて、どうでしたか?

現在の職場で働く以前に、さまざまなアルバイトに挑戦しましたが、今までで一番楽しくそして勉強になっているのは現在の職場だと感じています。ここでは、私を「外国人」ではなく、そこで働く多くの「スタッフの一員」として認めてくれました。

ここで働くようになってからは多くの人と出会い、お客様からもたくさんの感動をもらいました。最も印象的だったのは、大学入試を受ける直前に出会ったフランス人のお客様です。初日の夕食後、朝食のチョイスを伺いに行った際に、一スタッフだった私の受験を応援し「Lucky Charm(幸運のお守り)」をプレゼントしていただきました。あまりにも感動しすぎて、泣いてしまったくらいです。私にとってかけがえのない思い出になりました。

 

―とても素敵なエピソードですね!では、日本で働いてみて、大変だったことは何でしょうか。

一番大変だったことは、相手の言葉をうまく聞き取って理解できなかったことでしょうか。いわゆる「意思疎通困難」のことです。特に、方言や早口は難しかったです。意味を理解できないままどんどん話が進んでしまうことも多かったです。

忙しいときなどは、意思疎通できないことに対して、同僚たちのフラストレーションも高まってしまいます。以前ホテルでホールスタッフとして働いていた際、忙しい最中に同僚の発言の意味が理解できず、職場のリーダーに怒られてしまいました。その時は本当につらく、泣きながら仕事をしました。

 

―日本と中国を比較して、違いを感じた部分はどんなところですか。

文化の違いです。日本ではお客様を神様かと思うぐらい、とても大切に丁寧に接客をしますが、中国では随分と違います。お客様が椅子に座っている際、スタッフが当然のようにしゃがんで接客することなど中国ではめったに見られません。中国の男性にとってはなおさら難しいことです。なぜなら中国には「男儿膝下有黄金(男児両膝に黄金を持つ)」ということわざがあって、これは「れっきとした男子は人にこびへつらったりしない」という意味なのです。

あとはお給料でしょうか。断トツに日本の時給が高いと感じます。物価水準も違うので、それが要因かもしれないですが。

 

―日本で働く際に勤務先に用意してもらって助かったものはありましたか?

現在の職場では制服となる着物と下駄を用意してくださいました。白の足袋ソックスは自分で用意しなければならなかったのですが、不慣れな私はどこで入手すれば良いかわからず、派遣会社の社長に用意していただき、助かりました。なかなか手に入らないものや、外国人が手に入れるには難しいものなどは、事前に用意してもらえると助かると思います。

 

日本生活5年目。春からは日本で社会人に……

浴衣姿の中国人女性

―日本で暮らしてみての感想を教えてください。

今年で来日して5年目になりました。寂しいと思うときもありましたが、とても楽しく、周りの方々にもとてもよくしてもらいました。大家さんが温泉旅行に連れて行ってくれたり、飲み会をしてくれたり、交流会に参加すれば役所の方々や地元の市民と楽しくゲームをしたりもしました。日本に来て本当によかったと思っています。

 

―Crystalさんは周りの方と積極的に関係を築いているのですね。趣味や休日はどんな過ごし方をしているのですか?

趣味は山登りやヨガ、ダンス、読書などいろいろあります。休みの日は友人と遊んだり、日帰り旅行をしたりします。天気の良い日は山登りに行って頂上からの眺めを楽しみながら朝食をとります。最高です。

現在、大学に通っているため、平日は授業を受けています。新型コロナウイルスの影響でオンライン授業がほとんどですが、人混みを避けて図書館やカフェに行って発表の準備をすることもあります。

 

―今後のキャリアプランについて教えてください

大学4年生になり、先日、企業より内定をいただきました。来年四月からは社会人として会日本で働くことになります。その企業では、充実した社会人生活を送り、より多くの経験を積みながら、スキルを磨くことができると思っています。たとえ中国に戻ったとしても、この経験は生かせることでしょう。

 

―日本には外国人の採用に不慣れな企業もたくさんあります。これから中国人を採用する日本企業へのメッセージをお願いします。

出身によって文化に違いあることは事実ですが、その方が自ら「日本の文化(仕事の進め方、コミュニケーション)に適応できるように努力する」と意欲を示した場合は、企業側として積極的受け入れていただけたら嬉しいです。そのような環境があれば、たとえ今は語学力がそこまで高くなくても、自ずと上達していくはずです。

外国人を採用する際に大切なのは、その人の意欲と仕事への熱意ではないかと思っています。

また、外国人求職者の皆さんは、日本文化になじみがなくても、自分から「母国との文化の違いは理解している」こと、「日本文化に適応するように努力する」ということを、積極的に企業側にお伝えしていきましょう!