留学中に日本の飲食店で働いた経験を生かし、グローバル人事スキルの習得に挑戦

オフィスで働く中国人女性
執筆者:

外国人採用サポネット編集部

中国から日本の大学へ留学後、日本の大学院に進学。その後、回転寿司チェーン運営会社に就職したElleさん。日本での生活10年目の彼女がどんな風に日本で働いているのか、日本と中国の仕事観の違いなどを編集部がインタビューをしました。

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日本カルチャーへのあこがれから来日。日本語を学習し、大学院を卒業

―どのようなきっかけで日本へ行こうと思いましたか?

子どもの頃から日本の小説・アニメやJ-POPなどの日本文化が大好きだったので、いつかは実際に日本に行って、日本のカルチャーに触れていきたいと思っていたことがきっかけです。

それもあって大学では日本語を専攻し、大学3年生のときに留学できることになりました。2010 年のことでしたので、今年で日本在住歴10年です。大学卒業後は大学院に進学しました。

 

―念願の日本での生活ではどうですか?

日本はとても便利できれいな国ですね。24時間営業のコンビニやスーパーもありますし、ネットショッピングなどを通じて簡単に欲しいものを買うことができます。ゴミの分別や公共の場においてのマナーの徹底など、いろいろ感心します。また、文化やテクノロジーの領域においてもリードしていると思いますので、とても快適に暮らすことができています。

それに対して、全体的に物価が高くて消費税の増税に伴う出費の増加は居住者としてストレスを感じるところです。東京やその周辺地域は特に、家賃や日常生活を送るためのコストが年々増加、さらに税金の増加の影響を受けて手取り年収が減少しつつあります。生活に大きく影響しますので、日本の将来がどうなるか心配していたりします。

 

回転寿司チェーン店の運営会社に就職し、50人のスタッフをマネジメント

滝の前で写真に写る中国人女性

―では、仕事の内容について教えてください。

大学院卒業後に、新卒社員として外食業界の大手企業に入社しました。入社当初は担当社員として現場の飲食店で勤務しました。回転寿司チェーンを運営する会社のため、大型の回転寿司チェーン店で調理・接客など業務を行いながら、食材の発注および在庫管理やアルバイトの採用・管理なども担当します。

また、会社は海外事業に注力しており、私は入社半年頃で中国に海外第1号店の立ち上げ業務に携わるようになり、上海で4ヶ月ほど現地スタッフのトレーナーとして働きました。現地の食文化に融合させたメニューやおもてなし精神にあふれたサービスを提供することに尽力しました。

 

―回転寿司チェーン店に入社しようと思ったきっかけは何でしたか?

留学生時代から、その会社が運営する回転寿司チェーン店でアルバイトをしていました。その際に、日本の食文化、特に回転寿司という特有な食事スタイルは母国である中国をはじめ、全世界でブームになることは間違いないと思い、それに関連するような仕事に就きたいと思ったことがきっかけです。

また、誰かが笑顔になれるような仕事をしたいとも思っていました。サービス業界では、おいしい食べ物を提供することで、誰かの幸せな笑顔が見られることがとても有意義でした。サービス業界で自分の実力を磨きたいと思いました。

 

―アルバイト先の会社に就職したんですね。店舗で社員募集の情報をもらったのですか?

いいえ、日本の大学生と同じように、マイナビなどの就職情報サイトで情報を収集し、新卒向けの会社説明会に参加しました。そこから筆記試験や面接などの選考を経て入社しています。

実は、大学院1年の後期から大学のキャリア相談センターや留学生センターなどの機関で就職情報を収集し、幅広く企業の説明会などに参加しました。ですが、選考を受けているうちに、自分のやりたいことや実現したい目標に合った企業だと感じたので、入社しようと決めたのです。アルバイトはきっかけで、そこから就職活動を通して、就職したいと感じられるようになった形です。

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―その後、働いてみて、どのような感想を持ちましたか?

自分のキャリアは日本からスタートしているので、よく「考え方や行動パターンは日本人に似ている」と言われますが、実際に日本人の同僚と働くことは大変でした。それはやはりバックグラウンドが違うからです。

私は、意見が違ったときや感じたことなどを率直に伝えてしまいますが、日本人社員はそのような人ばかりではありません。率直に意見を言うことに対して、周りの同僚の反応も異なります。それなりにフィードバックをしてくれる同僚もいれば、直接な反応がなく、陰で誰かに意見を言う人もいます。そのような職場で仕事することはいろいろと遠慮しなければならないことが多く感じました。

その一方で、近年は多様性や共存性などの変革が重視されるようになり、階級を飛び越えた意見出しなども可能になりました。これは日本企業で働く外国人にとって、とてもいい変化であり、仕事がしやすくなったとも感じました。

 

―バックグラウンドが違うことで苦労したとのことですが、一番大変だったのはどんなときでしたか。

新卒1年目の時、店舗で唯一の社員として50人ぐらいのアルバイトと一緒に働いていました。高校1年生から70代の元ベテラン板前まで、広い年齢層のアルバイトたちのシフト作成、勤務中の管理やトレーニングなどの業務は決して簡単なことではありません。

アルバイト一人一人とコミュニケーションを取ることはとてもエネルギーが必要でした。みんなの意見を聞きながら、実際の業務に反映するのはとても難しかったです。

   

白川郷と雪を背景に写真に写る中国人女性

―働き方や仕事観において、中国とは違うと感じたことはありましたか。

日本の働き方にも中国の働き方にもメリットデメリットがあると思いますが、日本で正社員として働くと無期雇用制度(終身雇用)が適用されるため、企業の理念や文化に共感し、会社のために働くことが重要視されていると思いました。人事評価や報酬制度などについても、年功序列です。

中国は無期雇用制度より有期雇用(日本で言う契約社員に近い)が多く、自分のキャリア形成に適している会社で働くことが一般的です。キャリアアップのために転職する機会が多く、周りの同僚の出入りも激しいと思います。したがって、常に自分を向上させ、厳しい競争に勝つ必要がありますので、緊張感が高まる職場環境です。

 

―勤務先に用意してもらって、よかったことがあれば教えてください。

仕事を行う上で必要な研修や社員として成長し続けるためのトレーニングプログラムを準備していただきました。定期的に上司との面談など自分の意見を発信できるような機会もあり、よかったです。

個人的な希望としてですが、業務に関するトレーニングだけではなく、メンタルヘルスやコミュニケーションスキルなど自己成長に繋がるような研修もしくは学習プログラムの提供があればいいなと思いました。

また、外国人社員として日本企業で働くための注意点がわかるような異文化コミュニケーション研修などは、個人にとっても、企業にとってもとても役に立つと思います。

 

今後の目標は、社労士の資格を取得し、グローバル人事機能を極めたい

―今後の自分のキャリアプランについて教えてください。

実は、転職をしました。現在は、サービス業界の現場で培ったマネジメントに関する知識や経験を活かし、企業の人事担当として給与計算・社会保険関係などの業務を担当しています。

現場の営業系ポジションから管理部門ポジションに転換した理由としては、バックオフィス業務を行うことで、現場の従業員を効率よくサポートすることの楽しさがわかったからです。今後は人事としての知識や経験を増やしつつ、社労士の資格を取得したいと考えています。

また、業務においての変革を起こし、グローバル人事機能をマスターできる人材になりたいと思います。外国人従業員としての視点やアイディアを提供しつつ、日本企業の文化に融合できるようにしていきたいです。

 

―日本には外国人の採用に不慣れな企業もたくさんあります。これから中国人を採用する日本企業へのメッセージをお願いします。

中国人に限らず、異なる背景を持つ人材を採用したい場合は、まず相手を尊重することが大切だと感じます。違う視点や斬新なアイディアを提供し、企業の将来の成長に役立つはずです。また、「●●人だから…」という先入観を捨てる必要もあると思います。日本人にも様々な個性があるように、海外出身の人材にもその人のそれぞれに特徴があります。個人に合わせてコミュニケーションの取り方を変えることも重要ではないでしょうか。

※2021年12月インタビュー実施

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