中国人と働く上で知っておきたい、性格・考え方・価値観

「中国ってよくわからない国ですよね」という話を頻繁に耳にします。
日本人は“同じ国で暮らす者同士は似たような国民性を持っている”と思い込みがちですが、中国は想像している以上に多様性に富んだ国で、国民の特徴も一言では表すことができません。そのため、なんとなく「中国ってよくわからない国」という印象を持ってしまうのではないでしょうか。採用面接においても、中国人はなぜこうした発想になるのだろう? なぜ同じ質問をしているはずなのに人によって理解が異なるのだろう? と疑問が生じたことがあるかもしれません。

そこで本記事では、中国人が多様性に富む理由と、彼らを理解するために知っておきたいポイントについてご紹介していきたいと思います。

中国の人口と風土

中国は日本の約26倍の国土に約14億人という、世界1位の人口を有しています※。日本の総人口は約1億2,500万人ですから、中国は約14倍の人が暮らしているわけです。その約92%を占めるのが漢民族ですが、その他に55の少数民族が暮らしています。日本よりも多くの文化や風習、考え方が混在しているのです。

※[出典]:外務省.中国基礎データ

 

中国の気候と時差

国土の南北の距離は約5,500㎞あり、気候は寒帯から熱帯まで存在します。例えば冬の気温は東北部に位置するハルビン(黒竜江省)が-20℃を下回るのに対し、南の広州では20℃近くまで上がったりします。このように、同じ国内でも北海道と沖縄以上の気候差があり、土地によって暮らし方や文化が大きく違います。

ちなみに東西の距離は約5,200㎞、経度差が60度以上に上り、これは同じ緯度にある都市の標準時を見ると4時間分の時差に相当する広さです。実際には中国全土で北京時間を標準時としているため、どこにいても日本との時差は-1時間となりますが、いかに広い国なのかがわかりますね。

 

中国人に共通する3つの特徴

冒頭で中国人の特徴を一言で表すのは困難と述べましたが、多くに共通している国民性があります。①家族を大事にする ②自己主張をする ③効率を求める、の3つです。

 

①家族を大切にする

中国人に共通する思想のようなもので、親を敬い、家族のために行動する中国人は非常に多いです。また、共働きが一般的な中国では、子どもの世話を祖父母がすることも日常的で、多世代で強い繋がりを持ちます。数年前、親同士が公園で子供の履歴書を持ち寄って結婚相手を探してくるというニュースが日本でも流れましたが、このような婚活エピソードが流行ってしまうのも中国ならではと言えるでしょう。

 

②自己主張をする

中国人は日本人に比べて「自己主張」が強い傾向にあります。日本では「自己主張」は「わがまま」等とネガティブにとらえられがちですが、中国では「他人に自分のことを分かってもらえるように伝える」ためのポジティブな行動です。

小さな島国の日本では文化や習慣に大きな差はなく、ある程度相手の考えを察することができます。よく「察しの文化」と言われますね。しかし、広大な土地に様々な民族が住む中国では、生まれた土地によって文化も習慣も違うので、互いの常識が通じないことが往々にしてあります。そこで、ビジネスでも私生活でも、自分がどんな人間であるかを伝えるために「自己主張」をするのです。中国人は、自身のことや自分の考えをたくさん話してくれますが、それは相互理解のためであるということを知っておくと良いでしょう。

 

③効率を求める

ここでの「効率を求める」は、「実質的な利益を優先する」ということです。中国ではIT化が進み、生活が格段に便利になりました。次々と新しいサービスが生まれていますが、驚くべきはその普及の速さです。中国ではスマホ決済が主流となった影響もあり、便利なものであれば老若男女問わず、すぐに取り入れます。年配の方も日常的にスマートフォンを利用し、遠く離れた孫と無料でテレビ電話をすることが当たり前です。彼らからすれば感謝こそあれ、操作が難しいので使わないという選択肢はないようです。

このように「効率が良い」ことに対しては日本人よりも柔軟に取り入れ、また効率を求めて行動する国民性を持っているので、ビジネスにおいて大変強みになるでしょう。

 

さらに中国人について理解を深めるために……

ここまでは中国人の3つの共通特性を挙げてきました。さらに深く理解するために、ここからは中国人の「地域性」「世代」「情報環境」についてご紹介します。

 

「地域性」から中国人の考え方を知る

中国は省が違えば国が変わると言っても過言ではないほど、土地ごとに独自の文化や気質、言葉(方言)を持っています。中国の代表的な都市、北京と上海を例に比較して説明しましょう。

 

政治の都市・北京

2都市はそれぞれ「政治の北京」、「経済の上海」と例えられます。

北京は悠久の歴史を持ち、首都で政治の中心地です。北京人は政治談議を好み、また教育への関心も高く、文化人・教養人が多いと言われています。北京大学・清華大学といった有名大学も有しています。また意外かもしれませんが、ギャラリーや美術大学が多く、中国の芸術の中心でもありました。

 

経済の都市・上海

一方、上海は国際都市として中国の経済を牽引してきました。日系企業の進出数が最も多く、中国一高いビルがあり、国内で唯一リニアモーターカーが走っています。上海人は長く中国経済を支えてきた自負から自分たちを特別視する傾向にあり、ファッションなどの流行に敏感な人が多いのが特徴です。

 

地域性に合わせてコミュニケーションをとる

このような違いから、コミュニケ―ションを取る際は地域性を考慮していました。例えば、北京生まれ(北方生まれ)の中国人と会話する際に意識していたのは、「道理にかなっているかどうか」です。文化人・教養人が多い北京生まれの中国人は筋道を通すことを美としているため、大義名分が立つことで行動に繋げることができました。

一方、経済都市で生まれた上海人は、より「合理的」に物事を考えます。そのため、道理よりもメリットの提示を会話のなかで行いました。すると彼らも納得してくれるようになります。ちなみに、中国第3の都市で華僑を多く輩出している広州(広東省)は、現実主義者が多いと言われています。このような場合は理想論を語るよりも、現実論でいかに興味を持たせられるかが、コミュニケーションのポイントでしょう。

 

中国人にもある「世代論」

中国の世代論は10年単位で語られることが多く、80年代生まれを「80後(バーリンホウ)」、90年代生まれを「90後(ジューリンホウ)」と呼びます。日本で言うところの、「氷河期世代」「ゆとり世代」「さとり世代」のように、世代によって傾向があります。

 

“一人っ子政策”が大きく影響した「80後」と「90後」

中国は1979年から「一人っ子政策」を開始し2016年に撤廃されるまで、生まれた子供は基本的に一人っ子でした※。そのため、兄弟を多く持つそれ以前の世代とは、生活環境や文化が大きく違う人々とされています。この世代が「80後」と「90後」です。

「80後」は一人っ子のため自立心が足りず、わがままな「小皇帝(小さな皇帝)」のまま成長した世代、「90後」は「小皇帝」に加え、後先考えずにお金を使う経済感覚のない世代と言われてきました。皆さんもこのことはご存知かもしれません。

※ 少数民族など2人目の出産が認められる場合があった

 

近年の「80後」は堅実で現実的

しかしこの世代論もこの10年で大きく変わりました。現在では「80後」は企業の要職についていたり、家庭でも親と子の両方を面倒見たりと、責任ある年代に差し掛かってきました。彼らは急速に発展する中国を見て成長し、教育が重要視されたことから外国への留学も増え始めた最初の世代です。そのため国際的で柔軟な思考を持っており、変化に対して敏感に対応できます。

 

多様性の「90後」は全体よりも個を見る

「90後」が10代のころ、中国のGDPは日本を抜いて世界2位となり、さらに豊かな時代となりました。彼らは裕福な親世代に育てられたデジタルネイティブであり、「自分らしさ」を重要視するため価値観も様々です。後先を考えず月給を使い切ってしまう「月光族」が多いとされる「90後」ですが、彼らは、中国は物価上昇が著しいので欲しいものは早く買った方がよい(でないと値上がりする)と考えているそうです。その一方で、近年「90後」が資産運用をスタートする年齢は23歳からというデータも出ており※、堅実な考え方をする人も増えています。経済成長が以前より鈍化し、今の中国ビジネスに昔ほどのチャンスがないと考える若者は、不足するお金を投資で補おうとしているようです。

また、日本由来の「仏系」と呼ばれる人々も増え始めました。「仏系」とは社会に嫌気がさし、 “頑張っても見返りが保証されないのなら省エネで暮らしたい”という人たちを指します。現代の日本の若者と近い考え方と言えます。ところが、世界の最先端を行く中国のIT業界では、ブラックな環境でも関係なく働く「90後」もいます。朝9時から夜9時まで週6日働くことから「996問題」と呼ばれていますが、「ITは今の中国で稼げる数少ないチャンス」「残業代がでる」などの理由から受け入れている若者も少なくはありません。IT業界に限らず残業に対しての抵抗は「80後」よりも「90後」の方が少ないという調査結果も出ています。

このように考え方は違っても、置かれた環境を冷静に把握したうえで、様々な生き方・働き方をしているのが現在の「90後」といえます。世代論でくくるのではなく、個をよく見て理解を深めましょう。

※[出典]:中国新経済研究院と「支付宝(アリペイ)」調べ

 

「情報環境」で日本の見方は変わる

日本の言論NPOと中国国際出版集団が2019年に日中の両国民を対象として行った「第15回日中共同世論調査」では、「日本に良い印象を持つ」中国人の割合は45・9%となりました。一見、低い数値にみえますが、過去最高の数字です。特に20代では6割、訪日経験がある人では8割が「日本に良い/どちらかといえば良い印象を持っている」と答えています。※  これは、直播(ライブ配信)や抖音(TikTok)等のサービスを通じて日本文化やマナーが紹介され、日本への理解が進んでいることが要因と言われています。こうした親日派とは日本に対する共通認識が持てるので、こちらの意図を伝えることが比較的容易になりました。

その一方、日本について偏って理解している人々も存在します。中国は経済格差が大きいため、日本語を学んでいても訪日未経験者だったりします。すると、教科書やアニメ等で見た日本しか知らず、情報が偏っていたり、誤った認識をしていたりするのです。日本の文化や歴史からきちんと知ってもらうことが、円滑なコミュニケーションに繋がります。相手がどんな情報環境にいて、どのくらい日本について理解しているか見極めて会話を進める必要があるでしょう。

※[出典] :第 15 回日中共同世論調査

 

まとめ

中国人が多様性に富む理由と、中国人を理解するために知っておきたいポイントについてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。14億人が暮らす国なので、今回紹介した内容がすべての人に当てはまるわけではありませんが、中国人理解にきっと役立つはずです。そして貴社での中国人採用が活性化するきっかけになれば幸いです。