インドネシア人の仕事観・働き方とは?|一緒に働く時のコツも紹介
今回は、インドネシア人の方々が「仕事」に対してどのような価値観を置いているのか?について、現地の人に聞いた意見や実際にインドネシア人と仕事をした経験を元にご紹介します。
一緒に働く経験をしない限り、本当に理解することは日本人であっても難しいことではあると思いますが、事前に知識として自分の頭に入れることはできると思いますので、参考にしてもらえる点があれば幸いです。
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人口・面積ともに世界トップクラスのインドネシア
13,000以上もの島々から成り立ち、約200万㎢の広大な国土面積を持つインドネシア。2億7千万人の国民を有し、世界第4位の人口を誇ります。人口の増加はまだまだ続くと言われている、急成長中の新興国です。
国民の約85%がイスラム教徒ですが、国民全員が何かしらの宗教を信仰しており、日常生活の中で、宗教が非常に重んじられています。また、近年は就労目的で日本に滞在するインドネシア人が急増しています。
詳しくはこちらの記事にも記載していますので、ぜひご覧ください。
インドネシア人の仕事観
転職は当たり前のジョブホッパー文化
インドネシアで「Kutu Loncat(クトゥ・ロンチャット)」という言葉を耳にすることがあります。
「Kutu Loncat(クトゥ・ロンチャット)」とは、虫の一種である「ノミ」を表すインドネシア語です。この言葉には「職場を転々とする者」という別の意味もあり、インドネシアの労働文化に根付いている言葉でもあります。すなわち、インドネシアは転職が多い国なのです。
一体なぜインドネシアではこの「Kutu loncat(クトゥ・ロンチャット)」の方々が多いのでしょうか。現地企業のCEOに挙げられることが多い退職理由を聞いてみたことがあります。「新しいことに挑戦したい」「仕事とプライベートのバランスが取れる仕事がしたい」「命令するだけの上司ではなく、スキル・知識を提供してくれるリーダーがいない」などの理由がよく挙げられるそうです。
転職文化が根付いている理由
ここまで聞くと、日本人が挙げる退職理由とほぼ変わりません。では、退職理由は日本人と同じなのに、なぜインドネシア人の方が、転職率が高いのでしょうか。
これは、インドネシア人の「会社」に対する帰属意識が影響しています。インドネシアでは、会社というより直属の上司に対しての帰属意識が強く、会社に帰属するという概念が薄いようです。また、我慢する前に転職してキャリアップするほうが得策だと考える方が多いという点も転職率が高い理由に挙げられます。
転職しようとする人を引き留めようとしても成功することはほとんどないようです。そのため、インドネシアの方を職場に引き留めるには、常に新しい刺激を与え続け、日ごろからよくコミュニケーションを図り、家族的な帰属意識を持たせる事が大事になってくるかと思います。
日本でも最近は「終身雇用制の崩壊」や、「複数回の転職」などといった言葉を目にする機会も珍しくなくなってきましたが、一般的にまだ日本は企業への忠誠心が高い国であるといえます。全てのインドネシア人が早期離職するわけではありませんが、背景や考えを理解した上で、日ごろのコミュニケーション手法を考えるべきでしょう。
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サービス残業はしない
日本でも「ブラック企業」「サービス残業」という言葉に敏感な時代がやってきていますが、国際的にみても日本人は労働意欲が高い国民性であることは知られています。 一方、インドネシアでは雇用契約書に書かれた範囲の仕事をするという意識が強いです。労働時間以外で自発的に働き、さらには無給で残業をする社員はほとんどいないといっても過言ではないでしょう。
私が働いているコワーキングスペースにはたくさんのスタートアップの企業が入っていますが、18時を過ぎるとみな一斉に帰り始めます。スタートアップ企業であろうが大企業であろうが、あまり変わりません。CEOや経営陣などは比較的遅くまで働いているイメージですが、それでも20時~21時にはメールの返信が返ってこなくなることが多いです。
ちなみに、私のオフィスの横の部屋に入っている企業は、18時を過ぎると毎日ウイニングイレブン(サッカーゲーム)を5、6人で大声を上げながら1時間程しています。「オフィスで18時からゲームするのか…」と最初はカルチャーショックを受けました。
「仕事」と「プライベート」の時間を分ける意識が薄い
しっかりと時間を守ることで知られる日本人とは違い、インドネシア人は時間に対してルーズな方が多いと聞いたことがあるかもしれません。企業に勤務しているようなビジネスマンというよりは、バスや鉄道などのインフラ、公務員の方々が時間にルーズな方は多いようようです。やはり、日本と比較してしまうと全体的に時間にルーズな国民性なのかなと感じます。
遅刻やサボり、おしゃべり、勤務時間中に私用(買い物など)で退社などは日常茶飯事です。殺伐とした雰囲気のオフィスはどこを見渡しても見当たらないというのが個人的な感想です。インドネシア人はプライベートと仕事をうまく切り離すことができていない人が多いのではないかと感じます。プライベートで問題が発生すると、それを職場に持ち込んでしまい、仕事に集中できず仕事のパフォーマンス低下を引き起こし、他の従業員にとっても居心地の悪い職場環境になってしまうことも多いようです。
日本人がインドネシア人と働き始めると戸惑う部分かもしれませんが、これはインドネシアの国民性として割り切る部分だと思います。インドネシア人の意識を矯正するのではなく、バックグラウンドを理解して相手を受け入れ、彼らにはストレスフリーで働いてもらうのが得策なのではないでしょうか。
お互いに助け合う「Gotong Royong(ゴトング ロヨング)」の精神
ここまでは日本人からするとネガティブに思われがちな文化や考えが多かったかもしれませんが、インドネシアには「Gotong Royong(ゴトング ロヨング)」という素晴らしい精神があります。
「Gotong Royong」とは、お互いの協力・助け合いを表すインドネシアの言葉です。
インドネシアは多民族国家、多宗教でありながら、それぞれの価値観を尊重しあう寛容な心があります。これはインドネシアの特徴の一つです。それが仕事にも影響しており、誰かが何かに困っていたら助け合うという精神が強く根付いています。この「助け合いの精神」は日本人も見習うべき点は多いのではないかと思います。
私自身「何か困っていることはない?」とシェアオフィスの全く知らない人からも声をかけられることが多々あります。日本人だから珍しいこともあるのだとは思いますが、この助け合いの精神には、とても救われました。正直なところ、はじめは「なんでこんなに優しいんだろう?裏があるのだろうか?」と思うこともありましたが、親切心からの行動であるケースがほとんどであるかと思います。
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仕事でも怒られる文化はない
冷たい態度や怒ったような態度を取ったり、人前で怒ったりするのはインドネシア人にはご法度です。インドネシアでは人前で叱られると屈辱を受けたと感じるそうです。注意・指導する時は個別で行い、感情的な批判ではなく、建設的にロジカルかつポジティブに説明していく必要があります。
ちなみに、インドネシア人の口コミの広がり方はとても早いです。すぐに良い噂も悪い噂も広まりまるので、しっかりとしたセルフブランディングをしないと、仕事に影響が出る可能性があります。
まとめ
インドネシア人の仕事に対する価値観をメインに説明しました。
冒頭でも述べましたが、人それぞれ仕事の価値観は違うで、「外国人だから、〇〇だ」というような価値観の押し付けをしてはいけないということが最も大事な点です。まずは、相手を知ろうとする勇気や、努力をすることが大事だと思います。国の歴史・文化はもちろん、従業員一人一人の歴史にも興味を持ち、お互いの価値観や経験をシェアできる関係性を築いていく能力が今後、インドネシア人だけではなく、外国人と働くうえで必要になってくるのではないかと考えます。