日本で働くインドネシア人が増加中なのはなぜ? 直接聞いてわかった理由と日本企業に求めること

こんにちは、ジャカルタ駐在事務所の宮本です。今回は、ここ数年、日本で増加しているインドネシア人についてご説明します。なぜ勤務地に日本を選んでいるのか、働く時に日本企業に理解してほしいことについてインドネシアの方へのインタビューも行いました。

日本人で働く外国人・増加率2位のインドネシア

厚生労働省が発表している「外国人雇用状況の届け出状況」によると、現在日本で働いている外国人全体の人数は、約166万人います。この数は鹿児島の人口を若干超えるほどの人数で、それほど多くの外国人が日本で働いています。
その内、インドネシア人は5万人程ですが、前年と比較した人数の増加率がベトナムに次いでインドネシアが2番目に高く、昨今日本で働くインドネシア人が急増しております。
私は、東京都、神奈川県、福岡県、沖縄県など転々と移り住んだ経験がありますが、インドネシアの方々と接する機会ってほぼなかったな~と感じたので、どこの都道府県にインドネシアの人々が多く住んでいるか調べてみました。
調べによると、インドネシア人の人口が多い都道府県 1位は愛知県、2位は東京都、3位は茨城県となっておりました。1位は東京かなと予想していたのですが、1位は愛知県でした。3位は茨城県と、意外な結果となりました。
なお、人口実数と人口に対しての割合の両方でどちらも10位以内にランクインした都道府県は、茨城県、群馬県、愛知県、静岡県です。
共通項としては、どの県にも有名な工業地帯があり、農業も盛んなエリアです。機械系エンジニアや農業・漁業分野でインドネシア人の方々が働いてくれいることが分かるかと思います。

日本で働くインドネシア人が増えている理由

なぜ近年日本で働く外国人が増えているのでしょうか。
大きな要因の一つとしては、「外国人技能実習生制度」の活用があげられます。技能実習制度は、さかのぼること1993年に開始されました。当時の技能実習制度は「国際貢献」というテーマの元、狼煙を上げました。日本の技術や文化を持ち帰ってもらい、自国の産業に還元することが両国に課せられた使命でした。そこから徐々に「日本の労働力の確保」という意味合いが強くなってきてしまい、様々ないびつも起き、様々なルールの改変が行われ今に至ります。2019年4月からは、『特定技能』という人手不足の解消を目的とした新たな在留資格も誕生しました。

今までは日本に働きにくる外国人というとベトナムや中国出身者などが大きな割合を占めていましたし、今でもその現状は大きく変わりません。
しかし、インドネシア現地の送り出し機関(現地で日本語学校を運営し、インドネシア人に日本語教育を行い、日本企業へ送り出す準備をする学校)で勤務している人曰く、最近は採用の需要拡大や国内の平均賃金が高くなった影響で、ベトナム人や中国人の採用競争が激化しており、次のターゲット国としてインドネシアに狙いを変える企業が増加傾向にあるとのことでした。

日本で働くインドネシア人は増加していますが、インドネシア人が労働する国別の順位では日本は19位と決して高くありません。なぜなら、日本企業が提示する給与は、他国と比較して特段高いわけではなく、実際には日本よりも給与の高い国々に行くインドネシア人の方が多いからです。より給与の高い中東やドイツ、ポーランドの方が多くのインドネシア人が働いている現状があります。

なぜ日本へ?実際にインドネシア人に聞いてみた

左がハフィスさん

世界で比較するとインドネシア人の労働者数が多くないとはいえ、日本で働くインドネシア人が増加していることに変わりはありません。では、インドネシア人が日本で働こうと思う理由は何か、インドネシア人の友人であるハフィスさんに直接聞いてみました。

日本で働くインドネシア人が増えている理由とは?

―技能実習生を中心に日本で働くインドネシア人が増えていますが、それはなぜでしょうか?

ハフィスさん:まずは給料の高さが一番だと思います。インドネシアの首都・ジャカルタでも最低賃金はたった約32,000円です。スマランやジョクジャカルタといったインドネシアの地方都市ではその半分の約16,000円の給料しかもらえません。
技能実習生や特定技能生として日本に行けたら、もっと高いお給料がもらえますよね。職種にもよると思いますが、1か月間で約90,000円~130,000円もらえます。貯金ができれば、日本から帰国する場合、お金持ちになります。インドネシア人では、特に貧しい生まれの方が一攫千金を目指して日本へ行くケースが多いですね。

―なるほど。他に何か日本を選ぶ理由はありますか?

ハフィスさん:日本にしかないメリットという点でいうと、旅行や食べ物、文化ですね。インドネシア人に限らず、日本の自然、特に富士山や雪・桜は美しいと世界中の誰もが知っています。日本の美しい自然や景色を見に行けるのは嬉しいですね。日本で働けば、東京、京都や大阪など日本の有名な場所へも安く行けます。わざわざインドネシアから日本へ旅行するとすごくお金も時間もかかってしまうので。また、旅行だと滞在期間が短いので、あまり深くまで日本文化を体験することはできません。あとは、日本人の優しさ、正直なところ、労働倫理や規律、約束を守る事などもインドネシア人の間では有名で、そのような日本の文化を直接感じたい人は多いはずですよ。

日本語習得はキャリアアップのチャンス

―語学の面で不安などはないですか?

ハフィスさん:確かに日本語は非常に難しいですが、日本語を勉強出来る事は僕にとってすごく良いことです。インドネシアはフィリピンと違って、英語が母国語じゃないですから。どのみち外国語を覚えるとなると全て一から覚えなきゃいけない。また、インドネシアに拠点を持つ日本企業はとても多いです。だから、日本語を勉強することは将来のキャリア形成にも大きな強みになると思います。日本語がある程度話せるだけでも、インドネシア現地の日系会社で働く時にお給料などの交渉ができたりしますからね。

日本企業に求めるのはムスリム文化への理解

―日本に魅力を感じてもらえるのはうれしいですが、インドネシア人と一緒に働く時は日本人もインドネシア人のことをしっかりと理解する必要がありますよね。日本で働く上で勤務先に理解してほしいことはありますか?

ハフィスさん:インドネシア人は大体ムスリムだから、お祈りは1日5回しなければいけません。1回目は4:30、2回目は12:00、3回目は15:30 、4回目は18:00、5回目は19:00からお祈りをします。3回目のお祈りはできるかどうか微妙でしょ。勤務時間中にお祈りをすることになりますから。時間になったらお祈りをするのを認めてくれる仕事であれば、インドネシア人にとっても非常に働きやすいと思います。
あとは、ヒジャブをかぶっている女の人では応募できる職種が限られてしまっているのが現状です。ホテルのレセプションなど人前に立つ仕事だと、日本ではヒジャブをかぶりながら仕事をするのは敬遠されることが多いですから。
そうした文化的背景を理解してくれて、きちんと制度にも取り組んでくれる会社であれば、インドネシア人にとって非常に働きやすい環境ですね。

多様な価値観の人が働ける職場づくりを

―日本も多様な価値観やバックグラウンドを踏まえた職場づくりにもっと本格的に取り組んでいかないといけないですね。どんな職場環境が必要だと思いますか?

ハフィスさん:日本で働きたいインドネシア人はたくさんいるけど、勤務地の選択肢はもちろん日本だけじゃありません。
今後、日本がインドネシアの方々に選ばれ続けるためには、多様な価値観の人が働ける取り組みが大事になってくるんじゃないかと思います。あとは、やっぱり日本人は残業が多いですよね。オーバーワークによる過労死もよく聞きます。残業ばかりの職場は嫌だから、という理由で日本では働きたくないと考える人も少なからずいるので、残業や労働時間についてのルールの徹底が必要だと思います。あと、給料のことは事前にしっかりと知っておきたいです。ボーナスがあるのかどうか、1年間何回もらえるのかなんかも入社前に知っておきたい点ですね。

まとめ

インドネシア人の方々が日本経済に貢献してくれているのは間違いない事実です。今後も、日本は労働人口が減り続けていくため、外国人の方々の労働力は必須になります。
そうした中で今後外国人の方々と関わる人も多くなります。お互いを尊重しあい、歩み寄ること。まずは相手を知ろうと努力すること。こうした基本的なコミュニケーションは言葉で言うのは簡単ですが、実際に行うとなると、日本人同士でも簡単ではありません。失敗はつきものだと思うので、日々の中で意識し続け、学び続ける必要があると感じました。

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