なぜ韓国人は日本就職を選ぶ?仕事観と就職事情を解説

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こんにちは。マイナビグローバルでキャリアアドバイザーをしているNです。
2017年から3年ほど、台湾や韓国に駐在し海外現地で、日本就職を希望するバイリンガル人材の就職サポートに従事してきました。

今回はこれまでの経験に基づいて、韓国人の就職事情や企業選びのポイントをご紹介したいと思います。韓国人採用を検討している担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

海外で働く韓国人が増えてる理由

前回の記事でもお話しましたが、韓国では大企業と中小企業との給与格差が大きく、2倍以上の開きがあります。多くの人が大企業への就職することを理想としますが、韓国国内の大企業の割合は全体のたった0.3%。韓国は学歴社会で現役の大学・短大への進学率は、72.5%(2020年・韓国教育省)にものぼりますが、大学への進学率が高い一方で大企業の数が少ないという厳しい現状があります。受験戦争に勝ち有名大学へ入ったとしても大企業に就職できる人はごくわずかです。

また、近年では大企業に対する増税や最低賃金の引き上げなどの韓国政府の政策をうけ、労働コストが上昇し、特に中小企業が雇用を控える、廃業や倒産となる事態も起きています。経済の悪化により大企業以外での採用難も続いています。

韓国政府は若者の雇用対策の1つとして、海外就職の支援を積極的に行っており、海外でのインターン、ボランティア、研修などの施策が実施されています。また、公共の海外就職支援サイトとして「ワールドジョブプラス」というツールが運営されており、日本就職を希望する学生にも多く利用されています。

このような事情と支援から、海外で就職先を見つけようとする高学歴でハイスペックな学生たちが韓国では増えています。

韓国の大手求人サイト「ジョブコリア」が20代・30代の求職者を対象に「海外就職に関する希望調査」を行ったところ、約84.9%が「機会さえあれば海外就職をしたい」と回答しました。就業国別では、米国が33.1%で最も高く、次にカナダ17.8%、ヨーロッパ諸国14.9%、日本11.3%の順となりました。

韓国人が日本で働く3つの理由

海外で働くことを希望する韓国人が増加しているなか、日本の就職を選ぶのはなぜでしょうか。3つの理由をご紹介します。

その1:日本特有の新卒採用制度

韓国では日本のように将来のポテンシャルを重視するのではなく、採用試験時の経験や実力を重視しします。その為、大学で上位の成績をとることはもちろん、自身の「スペック」を高める為に、学生時代から様々な資格取得に注力しています。

就職ができる人材の半数以上は外国語の資格を持っておりTOEIC800点、JLPT N2、HSK5級等どれも上位レベルです。その他にも高い競争倍率を勝ち抜いて、インターンシップの経験を積んだり、海外留学へ行ったりしています。

また大学卒業後スペックを高める為に準備している人の事を示す「就職準備生(취업준비자)」という言葉があるほどです。コロナの影響を受けて、今年の就職準備生は過去最多の85万3000人という記録を更新しました。

このように韓国では社会に出る前にスペックを高めることが非常に大変であり、実務を通して経験を積むことができる日本の新卒採用制度に魅力を感じる学生が増えています。

※参考:就職準備者歴代最大85万人|文化日報

※参考:mk.co.kr/news/economy/view/2020/12/1233506/

その2:長期的なキャリア形成

日本では一般的に定年は65歳と定めている企業がほとんどですが、韓国では40代後半になると多くの人が「定年退職」を意識し始めます。そして48歳頃になると予期なく「無給休職又は、自主退職」の選択を告げられ職場を失うことになります。

このような40代での退職を韓国では「名誉退職(명예 퇴직)」と呼んでいて、「後進に道を譲る名誉ある自発的退職」という意味合いで使われていますが、実際は強制解雇に近い状態です。その後の転職は、一定の専門スキルを有する人にとっては難しくないですが、それが叶うのはわずか一握りです。こうして道を閉ざされた人の多くが、先行投資が少ない小規模店の飲食店の起業を選ぶと言われています。

韓国では厳しい就職競争を勝ち抜いたとしても、長く働き続けられるのは本当にごく一部です。このような親世代の苦労を目の当たりにしてきた現在の若者世代は、終身雇用制度を採用し長期的に一社でキャリアアップができる日本での就業にメリットを感じています。

その3:安定した優良中小企業が多い

韓国の大企業集団64グループが昨年に得た売り上げは国内総生産(GDP)の84%に達しますが、雇用影響力は10%前後の水準となっています。つまり韓国では、64グループ以外の中堅・中小企業などが国内雇用の約90%を担っているという事です。

中堅・中小企業が国での残りのGDP16%を奪い合うことになりますので待遇をはじめ劣悪な環境になります。

一方日本では、中小企業の売り上げも半数以上を占めており大きな影響を与えています。

その為、安定した優良中小企業が全国にある日本での就職を目指す学生も少なくありません。

韓国人が就職で重要視するポイント

韓国人が就職する際、重要視するポイントをご紹介しましょう。これは彼らの仕事観と密接に関係しています。採用の際、自社のセールスポイントにもなるのでぜひ注目してみてください。

キャリアアッププランがしっかりしている

先ほども解説した通り、韓国国内では40代で退職をする人も増えており、若者は長期の就業にメリットを感じます。今後のキャリアプランが描けるような企業説明ができると、志望度が高まるでしょう。また、定着へとつながります。

研修制度がある

実力主義の韓国では、日本のような入社直後からの研修はなく、即戦力の高いパフォーマンスを期待されます。その為、学生にとって日本の研修の充実度は重要な指標となっています。

給与額

韓国人の希望する年収はだいたい文系大学出身で250万円以上、理系大学出身で300万円以上です。これより低い場合、韓国国内の中小企業の給与と変わらないため、日本で就職するメリットは少なくなるでしょう。

自社寮がある

韓国人に限らず多くの外国人にとって、賃貸の契約は非常にハードルが高いため、寮があってスムーズに住居が決まることは大きなメリットとなります。

外国人は、日本の賃貸契約のルールを知らなかったり、日本語の書類を理解することは非常に難解です。例えば、保証人制度は海外ではないことがほとんどです。また、外国人には物件を貸さない家主もいる条件が厳しいこともあります。

まとめ

このように韓国の若者たちの間では、韓国国内の就職難、経済状況によって海外就職の需要が高まっています。転職文化の他国と比べ、長期の雇用を希望する点で韓国人雇用は日本企業との親和性も高いと言えます。韓国人採用をご検討される場合は、ぜひマイナビグローバルにお問い合わせください。

※参考:グローバル人材の活用・育成に関する 韓国政府の政策調査|JETRO

※参考:JOB KOREA https://www.jobkorea.co.kr/Starter/Spec/View?C_Idx=215