台湾の大学生が「日本で働きたい」理由は?現地の学生取材から見えたリアル  

台湾の大学生が「日本で働きたい」理由は?現地の学生取材から見えたリアル
執筆者:

外国人採用サポネット編集部

円安が進み、台湾の学生にとって日本で働くメリットが薄れつつある昨今。それでも「日本で働きたい」と思う学生はどんな想いを持っているのでしょうか?

今回マイナビグローバルでは2025年12月5日に台湾にある致理科技大学応用日本語学科の学生2名を取材。日本語を学ぶことになった背景や日本で就職したいと思う理由、理想のキャリアパスなどを聞きました。

台湾人の採用を検討している日本の採用担当者の方に参考にしていただけたら幸いです。

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(左)リンさん:取材当時は大学4年生。2024年に1年間、日本企業でインターンを経験し大学の在籍自体は5年目。アニメとマンガが好きで高校生2年生の時に日本語を独学で学び始めた。 
(右)タカさん:取材当時は大学4年生。お父さんが日本人、お母さんが台湾人。台湾で生まれ、小学校から中学校まで現地の日本人学校に通っていた。日本語は母国語レベル。 
写真撮影:マイナビグローバル

台湾では新卒一括採用がない!?シビアな就活事情と日本就職を考えるワケ

—はじめに、お二人が日本で就職したい理由を教えていただけますか?

リンさん:大学で日本語を専攻していることもあり、培った日本語力を活かして働きたいからです。自分の学んだことで周りの方の役に立てることに達成感を感じるので、日本で就職したい気持ちがあります。台湾では就職活動は各自で行いますが実務経験を積んでキャリアアップをしていくことが一般的です。そのため、将来のキャリアアップも見据えて日本で経験を積みたいと考えています。

タカさん:僕はまだ日本で生活した経験が少ないので、大学卒業後できれば数年日本で暮らしてみたいと思っています。台湾で就職する場合でも、日本語力が活かせるところがいいと考えています。 中国語や英語も多少できるので強みを活かせると思うからです。

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—お二人はどのように就職活動を進めるつもりですか? 

リンさん:最初は台湾にある日系企業に就職して、その後日本に行ける機会があれば挑戦したいと思っています。私は日本の空港で働くのが夢ですが、年に何度か航空会社から募集があると聞いたので、機会を狙って応募してみようと思っています。 日本で就職するにもお金がかかるので、台湾で働いてある程度お金を貯めてから日本で就職をしたほうが問題が発生しにくいかと思ってそのようにすすめる予定です。

タカさん:僕は、日本の友達に紹介されてマイナビの新卒就活サイトに登録しました。ただ、僕の場合ハーフなので台湾での兵役もこなさなければならないので、それも考えるといつどこで就活をするか悩ましいです。兵役に行く期間や時期はそのときの情勢で人によって違っていて、途中で就活をストップしなければいけないこともあります。なので、僕は兵役が終わってから本格的に就職をする予定です。

—どんな職種・業種で働きたいと考えていますか?

リンさん:航空のグランドスタッフとして働くことに憧れがあります。もし機会があれば日系の航空会社に就職して、日本の空港でも働いてみたいと思っています。日本でインターンをした際に関東で働いていて、旅行で関西に行きましたが、関西の雰囲気が好きで(台湾と似ているそう)、とっても好きになりました。なので、可能であれば関西で働きたいと考えています。

大阪観光の際の一枚 写真提供:リンさん

タカさん:台湾で就職するとしても日本語を使って働ける環境を選びたいと考えています。まだ詳しくは考えられていませんが、商社などいろいろな国とビジネスをしたいと思っています。僕自身、日本の車やバイクがすごくいいなと感じているので、日本の車やバイクを扱う企業で働いてみたいと思っています。

―日本や在台日系企業で就職する際、どんな福利厚生があれば良いなと感じますか?

リンさん:日本で働くとなった場合、やはり在留資格やビザの申請で協力していただけるのがとても助かると思います。証明書や資料提出などがたくさんあると聞くので、とても大変そうに感じるからです。就職先の企業から関係機関にかけあってもらうなどのサポートがあればいいなと感じます。

タカさん:住宅補助など生活面での補助がある会社は魅力的だと感じます。あとは、台湾では自分のキャリアアップや給料アップのために転職をしたり、自分の強みを売り出していく人が多いので、どのように頑張れば給料が上がりやすいか評価制度がしっかりしていると良いなと思います。

―日本や日系企業で就職できたら、どんなキャリアパスを描きたいですか?

リンさん: まずは台湾で先に働いて、日本で経験を積んで、その後将来的には台湾に戻って働きたいと考えています。台湾では転職をする人がかなり多いので、自分が積んだ経験を活かしてキャリアアップしていきたいと思っています。それでも、ワークライフバランスは重視しながら働けたらいいなと思います。

タカさん: 僕はまだ明確には考えられていませんが、ゆくゆくは日本で働けたらと思っています。その後は日本でずっと働きたいのか、台湾に戻るのか、または別の国に行ったりする選択肢も視野にいれています。趣味や興味の範囲が広いので、やりたいことが見つかったらまた別のことをするかもしれません。

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卒業には在台日系企業や日本でのインターンやアルバイトが必須!学生が現場で感じたことは?

—お二人はどのようなきっかけで日本や日系企業でのインターンをされたのですか?

リンさん:日本や、日本語を使って仕事をする現場でインターンをすることが大学の卒業条件になっているのでインターンに行くことを決めました。全員必須となっているのですが、私たちの学年は特に日本に行く学生が多かったと思います。

タカさん:日本語を使うインターンやアルバイトだけでなく、日本語検定N2に合格する、TOEICの必要スコア(450点くらいだそう)をクリアする、WordやExcelなどのPCスキルを身に着けるなど、卒業条件がいくつかあります。

―リンさんは日本でインターンをされたとのことですが、どんなお仕事を経験したのですか?

リンさん:私のインターン先はいろいろな事業を展開している不動産会社だったのですが、前半は焼肉店や野菜を栽培・販売している事業部で働き、後半はカフェでの接客や不動産の事務を経験しました。働き方や慣習の違いを実感しました。

―インターンではどんなことを感じましたか?

リンさん:大変だったことは、やっぱり言語のハードルです。日本語ができるといっても、会話が流暢にできたわけではなかったので、お客さんや一緒に働く人と誤解が発生することもありました。

あとは慣習の違いも難しかったですね。あるお客さんに「テラス席に座りたい」と言われたので、空いているテラス席に案内をしたのですが、後から案内してはいけなかった席だったことがわかり…お店の方とお客さん両方から怒られたことがありました。台湾ではお客さんの要望を優先することが多いのでそのような対応をしたのですが、日本ではそのお店や会社独自の決まりやルールがあるのだということを知りました。それからは、まず一緒に働く同僚や上司に確認してから進めるようにしました。

その反面、しっかりとルールがあることは良いなと感じた点でもありました。例えば、休みを取りたいときにどうすれば良いか、誰にどう報告したら良いか、などがきっちり決められているので判断しやすかったです。台湾では「どうしたら良いですか?」と聞くと「他の人に聞いてください」と言われてしまうこともあったので…(笑)

―タカさんは今、台湾の日系企業でアルバイトされているんですよね?詳しく教えてください。

タカさん:はい。大学1年生の2学期から日系企業のホテルでアルバイトをしています。大学の社会見学で訪れたホテルで、たまたまそのホテルの責任者の方とお話をし、スカウトをされてアルバイトをすることになりました。

―アルバイトではどんなことを感じましたか。

タカさん:仕事で感じるのは台湾のお客さんは基本的に電話で問い合わせが来ることが多いですが、欧米や日本の方からはメールで連絡を受けることが多いです。また、シフトや仕事の連絡でも普通にLINEで「どうする?」と気軽に聞き合うことが多く、すぐに連絡のやりとりができて人と人との距離感が近いように感じます。また、残業をする社員はほとんどいません。みんな合理的に働いて、用件がとくになければ定時になればすぐに帰るという感じです。

台湾の学生にとって日本文化は身近で親しみがある?! 日本語学習の環境をご紹介

―そもそも、お二人が日本語を学びはじめたきっかけを教えてください。

リンさん: もともと日本の文化(アニメや漫画)が好きで「もっと情報を探したい」という動機で「日本語が読めるようになりたい」と思うようになりました。日本語学習に興味を持ち始めたのは高校2年生くらいなのですが、その時から自分で学習本などを買って独学で勉強をはじめました。

タカさん: 実は僕は日本人と台湾人のハーフなんです。生まれてからずっと台湾で育っているので、日本語よりは中国語の方が得意なのですが、小学校から現地の日本人学校に通っていました。通っていた日本人学校では日本語・中国語どちらもの授業過程があるので、両方学びました。

致理科技大学の校舎の様子 写真撮影:マイナビグローバル

―お二人が日本語学科に入学しようとおもったきっかけはなんだったのでしょうか?

リンさん: 高校3年生くらいの頃に憧れの先輩がいて、日本語が上手で日本人の友達も沢山いたんです。その先輩に憧れて「自分も独学だけではなく、もっと日本語を勉強したい」と思うようになりました。高校では情報学科のようなところにいたのですが、「自分にはあまり合っていないかも?」と思っていたこともあり、日本語学科に進学を決めました。

タカさん: 高校に入ってからほぼ一から台湾の学習過程を履修する感じだったので、大学入試ではこれまで学んできた自分の強みを活かしたいと思い日本語学科を受けることにしました。「日本語の学習を深めていくことで、好きな分野が広がるかもしれない」という“めぐり逢い”の 気持ちで進学を決意しました。

―今の日本語のレベルはどれくらいですか?

リンさん: 大学2年生のころにJLPT(日本語能力試験)※1のN2を取得しました。これからちょうどN1を受験するところです。N2の取得はインターンと大学卒業の条件になっていたので早めに受験しました。

タカさん: 僕はJLPTのN1を取得しました。大学でN1を取ると奨学金が付与されるので、それを学費に当てています。JLPT以外にもJテスト※2やBJT※3もあります。(BJTはビジネス日本語試験のこと)

※1:JLPT(日本語能力試験): N1~N5の5段階のレベルが設定されており、N1が難易度がもっとも高い。
※2:Jテスト( J.TEST実用日本語検定):日本語を母語としない人の実践的な日本語能力を測定する試験。就職や進学、人材育成などで利用され“日本語版TOEIC”と呼ばれることも。
※3:BJT( BJTビジネス日本語能力テスト):日本語が母語でない人が、ビジネスの現場で必要な日本語(指示の理解、適切な表現、敬語、ビジネスマナーなど)をどれだけ使えるかを測定する試験。

致理科技大学の校舎の様子 写真撮影:マイナビグローバル

―どのように試験の勉強をしたのですか?

リンさん:N2のときは特別な勉強はせず、学校の授業や友達との会話でどうにか取得できました。N1は難しく、試験のテキストを自分で買ったり、YouTubeの動画を見たりして単語や文法表現を勉強しています。

タカさん:日本語のレベルアップをするために、日本語の問題をたくさん解いて、自分の知らないワードや言葉遣いを習得するようにしています。格助詞の使い方などもパターンがいくつかあるので、問題の意図を読み取る練習をしたりもしています。

まとめ

取材を通して、台湾では日本の文化が日常的に身近にあるので親しみを持っている方が多く、家族や周りの友達・先輩、文化がきっかけで日本語学習をはじめ、日本で働きたいと思う若い方も多いことがわかりました。今回取材させていただいた致理科技大学応用日本語学科では、日本の企業か在台日系企業、あるいは台湾企業の日本語関連業務のインターンをし、かつ日本語能力試験に合格することが卒業要件になっていました。同じような条件を卒業要件にしている大学が台湾には多いとのことです。

台湾では日本のように新卒一括採用の文化がなく、転職でキャリアアップをしていくことが一般的なため、経験を積んでより自身のキャリアアップに繋げたいと考えるようです。その一環で日本で働くことを視野にいれている方が多く「目先の給与」というより、「長い目でキャリアを考えて、経験を積みたい」と考えている若者が多い印象を受けました。

また、インタビューをしたお二人が口にしていたのは、もし日本や日系企業で働けることになった際「コミュニケーションを積極的にとってくれるとうれしい」ということでした。コミュニケーションを密に取る姿勢を見せることで、安心感や職場での定着につながるのではないでしょうか。台湾の人とこれから一緒に働く方、今働いている方は、ぜひ彼らの価値観を参考にしてみてください。

※2025年12月5日インタビュー実施

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