日本人との違いは?外国人の退職時の雇用保険手続きはこれに気をつけて!

外国人を雇用する場合、退職時にも手続きが必要です。原則としては日本人と同じ手続きを行いますが、「外国人雇用状況の届出」が必要であるところなど細かいところが違います。
今回は、外国人職員が退職するときの雇用保険の手続きと注意点についてご紹介します。

原則として日本人職員が退職するときと同様

大まかなところは、日本人職員が退職するときの手続きと同じです。まずは共通部分から見て行きましょう。

日本人職員と共通の手続き

  • 健康保険の被保険者証の回収……健康保険の被保険者証を回収し、健康保険の手続きを行います。
  • 雇用保険の離職票の交付……離職票は、雇用保険の基本手当(失業給付)を受けるために必要になります。流れとしては、会社が離職証明書(従業員が雇用保険から脱退する手続きをするための書類)をハローワークへ送付し、ハローワークから送られてきた「離職票―1」と「離職票―2」を退職者に交付します。
  • 源泉徴収票の交付……退職者の最後の給与額が算出されたら、源泉徴収税額も確定することになります。多くの企業では、退職者の最後の給与の支給日前後に源泉徴収票を交付しています。
  • 住民税で支払うべき残額がある場合の手続き……「給与所得者異動届出書」を自治体に提出して、住民税の残額についての手続きを行います。

次に、外国人職員が退職する場合に、追加で必要となる手続きをご紹介します。

退職証明書を作成、交付する

退職証明書は、転職時に入国管理局に提出したり、日本以外の国で働いたりするときにも必要になります。
退職証明書は労働基準法第22条に従って交付するものであり、離職証明書(企業がハローワーク宛てに発行する文書)や離職票(ハローワークから交付される文書)のような、公的文書ではありません。
あくまでもその会社が独自に発行する文書であり、退職者が交付を請求する場合に交付義務が発生します。

なお、退職者の請求しない事項を記入してはいけないので、記載を求められた事項のみを記載します。

退職証明書に記載される事項は、一般的には以下の通りです。

  • 使用期間
  • 業務の種類
  • 当該事業における地位
  • 賃金
  • 退職の事由(解雇の場合は、その理由を含む)

これらのうち、退職者が記載を求めない事項については記載しません。

外国人雇用状況の届出を行う

外国人が退職する際には「外国人雇用状況の届出」を管轄のハローワークへ提出する必要がありますが、「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出すれば、この届出は不要です。外国人雇用状況の届出を行わない場合は、中長期在留者の受入れに関する届出を入国管理局へ提出します。

詳細は後述します。

雇用保険被保険者資格喪失届と必要書類を作成・提出する

①雇用保険被保険者資格喪失届を提出する

雇用保険を脱退するときには、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要です。提出先は、管轄のハローワークです。期限は、離職の翌日から起算して10日以内なので、間に合うようにスケジュールを立ててください。

雇用保険被保険者資格喪失届には、以下の事項を記載します。

  • 個人番号
  • 被保険者番号
  • 事業所番号
  • 資格取得年月日(雇用保険に加入した年月日)
  • 離職等年月日
  • 喪失原因(退職の事由)
  • 離職票交付希望の有無
  • 1週間の所定労働時間
  • 補充採用予定の有無
  • 被保険者氏名・性別・生年月日
  • 被保険者の住所又は居所事業所名称
  • 被保険者でなくなったことの原因
  • 事業主の住所、氏名、電話番号、押印

<以下は、外国人のみ記入する箇所>

  • 被保険者氏名(ローマ字)
  • 在留期間
  • 派遣・請負就労区分
  • 国籍・地域
  • 在留資格

外国人のみ記入する箇所については、在留期間や在留資格を間違いなく記入しましょう。

雇用保険被保険者資格喪失届は、電子申請が可能です 。「離職票交付あり」、「離職票交付なし」、「期間等証明票交付あり」の、3種類の手続きができます。「e-Gov電子政府の総合窓口」のページに行き、「従業員が退職した場合」のページを選んでください。様式が新しくなっているので、これから手続きをする場合は「令和2年3月以降手続き」と書いてある手続きを選びます。
電子申請をするためには、電子証明書が必要です。電子証明書を持っていない場合は、申請書様式をe-Govのホームページからダウンロード、プリントアウトして記入し、管轄のハローワークに提出することも可能です。

②在留カード番号記載様式を提出する

20203月から在留カード番号の届出が必要になりました。雇用保険被保険者資格喪失届とは別に、在留カード番号記載様式が用意されているので、そちらも提出してください。

記載事項は以下の通りです。

  • 事業所番号
  • 事業所名
  • 在留カード番号記載欄(個人別票の枝番号、被保険者番号、氏名、在留カード番号記載欄)

届出期限は、雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限と同様で、離職の翌日から起算して10日以内です。

外国人雇用状況の届出を忘れずに

雇用した時だけでなく離職時にも外国人雇用状況の届出が必要です。ただし、雇用保険に加入している外国人の場合は、雇用保険被保険者資格喪失届への記載で代替できます。

外国人雇用状況の届出は離職日の翌日から10日以内に

雇用保険に加入していない外国人が離職する場合には、外国人雇用状況の届出を離職日の翌月末日までに、管轄のハローワークに対して行わなければなりません。

届け出方法は、直接ハローワークに提出するほか、電子申請を行うこともできます。電子申請の場合は、「外国人雇用状況届出システム」を使用します。ただし、一度でも届出用紙によってハローワークに外国人雇用状況の届出をしたことのある事業所の場合、ユーザーIDとパスワードをオンラインで発行することができません。その場合は管轄のハローワークまで、問い合わせてください。

記載事項は以下の通りです。外国人本人に関する事項を記載します。

  • 外国人の氏名
  • 在留期間
  • 生年月日
  • 性別
  • 国籍・地域
  • 資格外活動の許可の有無
  • 在留カードの番号
  • 離職年月日
  • 在留資格
  • 届け出た事業者の名称、所在地、電話番号、氏名、押印

中長期在留者の受入れに関する届出を行うケースは限定的

外国人雇用状況の届出を行っていない場合、受け入れを終了した日から14日以内に「中長期在留者の受入れに関する届出」を入国管理局に対して行う必要があります。

ただし、この届出は雇用ではなく受け入れを前提としているため、「外国人雇用状況の届出」をしている場合は、届出は不要です。

多くの場合、外国人が退職するときには外国人雇用状況の届出をしているか、届出が免除されている状態です。したがって、中長期在留者の受け入れに関する届出を行うケースは、外国人の会社役員の場合や、受け入れているのが研修生である場合など、そもそも雇用関係にない場合に限定されます。

提出方法は、オンラインで行う場合は出入国管理電子届出システムを使用します。

本人がおこなう手続き「契約機関に関する届出 

勤務先や契約先に変更があった場合には契約機関に関する届出が必要です。

これは本人が行う手続きですが、万が一忘れてしまうと、在留資格の更新時に支障が出てしまうこともあるので、会社からも周知をしておきましょう。

契約機関に関する届出は、離職などの事由が生じた日から14日以内に行います。

オンラインで行う場合は出入国管理電子届出システムを使用しますが、最寄りの地方出入国在留管理官署に書類を持参することもできます。郵送の場合は、封筒の表面に「届出書在中」と朱書きし、在留カードの写しを同封のうえ東京出入国在留管理局在留管理情報部門届出受付担当宛てに送ってください。

まとめ

外国人が退職するときの手続きは基本的に日本人と同じです。ただし、日本人が退職した場合と違う点は、雇用保険被保険者資格喪失届に外国人労働者在留カード記載様式を添付することと、雇用保険被保険者資格喪失届がない場合は、外国人雇用状況の届出があることです。

また、退職証明書は日本人には馴染みがない書類ですが、外国人本人が今後必要とする書類ですので、作成、交付してください。

退職者本人が行う手続きとしては、契約機関に関する届出を入国管理局に対して行います。本人が行う手続きではありますが、念のため周知しておくと親切です。

注意すべきポイントを押さえつつ、退職時の手続きを滞りなく済ませましょう。