【記入例】在留資格変更許可申請書とは?書き方や提出方法をわかりやすく解説!
学校を卒業して企業に就職する、技能実習を終えて特定技能に移行する等、在日外国人の在留目的が変わった際には、在留資格変更許可申請が必要になります。どの在留資格でも必要になり、かつ正確さが求められるのが、「在留資格変更許可申請書」です。
今回は、企業向けに、在留資格変更許可申請書の記入方法やその他必要書類等について、行政書士が解説していきたいと思います。
目次
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在留資格変更許可申請書とは?
在留資格変更許可申請書とは、日本での在留目的が変わり、現在の在留資格から別の在留資格に変更する際に必要な申請書類です。
在留資格変更許可申請を行い、許可が下りて新しい在留カードが発行されると、新しい活動ができるようになります。在留資格変更許可申請書の様式は下記出入国在留管理局のサイトからダウンロードすることが可能です。
変更後の在留資格(在留目的)に応じて、使用する申請書様式が異なります。
例えば特定技能へ変更したい場合は、「13 【特定技能】の様式を使用し、技術・人文知識・国際業務へ変更したい場合は、8【研究】・【技術・人文知識・国際業務】・【技能】・【特定活動(研究活動等)】・【介護】・【特定活動(本邦大学卒業者)】」の様式を使用する必要があります。
申請人等作成用のページは外国人本人が作成し、所属機関等作成用のページは企業が作成します。企業と外国人本人が協力して、在留資格変更許可申請書を作成していきましょう。
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在留資格変更許可申請は外国人本人が出入国在留管理局へ提出する
住居地を管轄する出入国在留管理局に提出します。例えば東京に住所がある方は、東京出入国在留管理局に行って提出します。各出張所でも申請が可能ですので、出張所が近くにあれば、出張所でも申請できます。本人での対応が難しい場合は、申請書類の作成や出入国在留管理局への申請を行政書士等に依頼する方法もあります。
また、外国人本人のマイナンバーカードがあれば、オンラインにて在留資格変更許可申請が可能です。事前に利用情報登録を行う必要がありますので、詳しい情報は、下記出入国在留管理局のHPを参照ください。
ここからは、企業が対応したり協力したりすることが多い在留資格変更について解説していきたいと思います。
「留学」から「特定技能」に変更する場合
初めて申請書を作成する方にとっては、何を書いたらいいのか、分からない部分が多いと思います。今回は、よく質問を受ける項目について紹介したいと思います。書類への記載は外国人本人ができる場合は本人が行い、できない場合は企業や登録支援機関、行政書士でサポートしながら作成しましょう。
申請書類について
まずは「留学」から「特定技能」に変更する場合に必要な書類について解説します。
ちなみに「技能実習」から「特定技能」へ変更する場合もほぼ同じになります。
申請人等作成用1
【ポイント】
- 住居地
在留カードに記載の最新の住居地を記載してください。引越しをした場合は、転入先の役所で在留カードの裏書をしてもらってから申請しましょう。
- 変更の理由
「〇〇会社で勤務するため」など、在留資格を変更する理由を書きましょう。
- 在日親族(父・母・配偶者・子・兄弟姉妹など)及び同居者(同僚や友人など)
該当する場合は、必ず記入しましょう。
申請人等作成用2
【ポイント】
- 技能水準/日本語能力
合格した試験名を正式名称で書きましょう
(例)飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験、日本語能力試験N3
申請人等作成用3
【ポイント】
- 職歴
会社名や入社月・退社月をよく確認して、正しく記載しましょう。前回申請時と相違があると指摘を受ける可能性があるので注意しましょう。
- 代理人
法定代理人(親権者、未成年後見人、成年後見人)による申請の場合以外は記載しないようにしましょう。
- 署名
代理人の下の二重線の上に外国人本人が署名し、署名した日の年月日を記入してください。シャーペンや消せるボールペンは使えません。
所属機関等作成用1
【ポイント】
- 特定技能雇用契約
(2)従事すべき業務の内容 (3)所定労働時間 (4)月額報酬 等は雇用条件書に合わせて書きましょう。特に(2)従事すべき業務の内容の、特定産業分野や業務区分は、運用要領通りに記載しましょう。
例)特定産業分野:飲食料品製造業分野
業務区分:飲食料品製造全般(飲食料品(酒類を除く。)の製造・加工,安全衛生)
所属機関等作成用2
【ポイント】
- 特定技能所属機関
(3)雇用保険適用事業所番号(11桁)は、適用事業所台帳(雇用保険適用事業所設置届事業主控)や雇用保険被保険者資格取得届等確認通知書(事業主通知用)を見て、記入しましょう。
(10)勤務させる事業所名
特定技能外国人の勤務先が、会社の本店と異なる場合は、勤務先の住所を記入しましょう。また、労働保険番号は、添付書類の労働保険料等納付証明書(未納なし証明)の番号と合致させましょう。
所属機関等作成用4
【ポイント】
・5 登録支援機関
登録支援機関に支援を委託する場合は、登録支援機関に情報を確認して、記入しましょう。特に(12)対応可能言語に、特定技能外国人の母国語が含まれているか必ず確認しましょう。
最後に、二重線の上に、会社名、代表者の氏名、年月日を記入しましょう。
在留資格変更許可申請書以外の必要書類
在留資格変更許可申請書以外に必要な書類は、下記出入国在留管理局のHPに記載されています。
(1)申請人に関する必要書類(第1表)、(2)所属機関に関する必要書類(第2表)、(3)分野に関する必要書類(第3表)に分かれていますので、それぞれ一覧表を確認して書類を準備しましょう。出入国在留管理局から、他の書類の提出も求められることがありますので、その場合は、出入国在留管理局の指示に従って書類を準備しましょう。
◆ 個人住民税の課税証明書、納税証明書
◆ 申請人の国民健康保険被保険者証の写し
◆ 申請人の国民年金保険料領収証書の写し
◆ 特定技能1号技能測定試験の合格証明書、日本語能力試験(N4以上)の合格証明書の写し
(国際交流基金日本語基礎テストの合格証明書(判定結果通知書)の写しでも可)
◆ 顔写真
※パスポートと在留カードを持参
◆ 特定技能雇用契約書の写し
◆ 雇用条件書の写し
◆ 特定技能外国人の報酬に関する説明書
◆ 雇用の経緯に係る説明書
◆ 徴収費用の説明書
◆ 申請人の給与所得の源泉徴収票の写し
◆ 健康診断個人票
◆ 特定技能企業概要書
◆ 登記事項証明書
◆ 業務執行に関与する役員の住民票の写し
◆ 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
◆ 社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
◆ 税務署発行の納税証明書(その3) など
※申請人が複数人いる際には、申請人名簿をつければ同時申請が可能です。
※その他分野別の書類が必要になります。
在留資格変更許可申請の注意点
- 健康診断を受診
健康診断を受診する必要があります。各病院の様式も使えますが、受診項目は出入国在留管理局所定の「健康診断個人票」の様式に記載している項目を受診する必要があります。そのため、病院へ行く際は、所定の様式を持参すると安心です。
- 住民税、国民健康保険料、国民年金保険料に未納がある場合
誓約書を提出する必要があります。外国人の方は、これらの公的義務を知らないケースが多いので、企業側もサポートしてあげると良いと思います。
特定技能外国人の雇用や雇用後の支援についてのお困りごと・ご相談ならマイナビグローバルへ。
「技能実習」から「特定技能」に変更するための移行準備として「特定活動」に変更する場合
「特定技能」への変更を希望しているものの、在留期間の満了日までに必要書類の準備が間に合わないなど、移行準備に時間がかかる場合は、一度「特定活動」に変更することが可能です。「特定技能」への変更と比較して、少ない書類で申請することができ、「許可」となればその会社ではフルタイムで働くことが可能になります。
申請書類について
「技能実習」から「特定技能」に変更するための移行準備として「特定活動」に変更する場合に必要な書類について解説します。
申請人等作成用1
【ポイント】
- 変更の理由
「特定技能1号」への移行準備のためなど、在留資格を変更する理由を書きましょう。
申請人等作成用2
【ポイント】
- 活動内容
⑪を選択し、「特定技能1号への移行準備のため」と記入しましょう。
申請人等作成用3
具体的な在留目的のみの記入でOKです。
申請人等作成用4
【ポイント】
- 法定代理人
法定代理人による申請の場合以外は記載しないようにしましょう。
法定代理人の下の二重線の上に、外国人本人が署名し、署名した日の年月日を記入してください。シャーペンや消せるボールペンは使えません。
所属機関等作成用1
【ポイント】
- 職種
主たる職種を別紙「職種一覧」から1つ選択して番号を記入してください。
- 活動内容詳細
記載例にならって記入しましょう。
記載例)「特定技能1号」へ移行予定であるが,準備に時間を要することから,就労予定の受入れ機関において「特定技能1号」で従事する業務と同様の業務に従事するもの。
- 月額報酬
各種手当(通勤・住宅・扶養等)・実費弁償の性格を有するものは含みません。
所属機関等作成用2
最後に、二重線の上に、会社名、代表者の氏名、年月日を記入しましょう。
在留資格変更許可申請書以外の必要書類
在留資格変更許可申請書以外に必要な書類は下記出入国在留管理局のHPに記載されています。
▶参照:「特定技能1号」に移行予定の方に関する特例措置について|出入国在留管理庁
特定活動の変更許可が下りた後、別途特定技能への変更申請が必要になりますのでご注意ください。「留学」から「特定技能」に変更する場合(適宜変更ください)に記載の通り、在留期限までに必要書類を準備して、速やかに申請しましょう。
在留資格変更許可申請の注意点
在留資格変更許可申請の際に注意したいのは、「移行準備の特定活動」は、あくまでも特定技能の要件を満たしていることが前提となる点です。特に、建設分野と製造3分野の場合は、特定技能への変更許可申請前に協議会への入会が必要になるため、注意が必要です。建設分野と製造3分野について説明します。
建設分野の場合
特定技能への申請の前には、別途建設キャリアアップシステムの技能者登録や、建設特定技能受入計画の認定申請が必要になります。
移行準備の特定活動に変更でき次第、すぐに特定技能へ変更申請できるように、あらかじめ準備を進めておくと安心です。
詳しい情報は、下記建設キャリアアップシステム及び国土交通省のHPを参照ください。
▶詳細:建設分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)|国土交通省
製造3分野の場合
特定技能に変更するためには、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会への加入が必要になります。特定技能外国人が就労する事業所が、日本標準産業分類に掲げる産業のうち指定された産業を行っている必要があり、製造品の画像や生産設備の画像等を提出して、審査を受けることになります。特定技能へ変更する際に、本協議会に入会できなかった!というケースが増えていますので、事前に入会準備を進めておきましょう。
詳しい情報は、下記製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会のポータルサイトを参照ください。
▶詳細:受け入れ機関向け入会手続き 申込み前の準備|特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイト
外国人の雇用や雇用後の支援についてのお困りごと・ご相談ならマイナビグローバルへ。
「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合
日本の大学・専門学校や日本語学校などに通う留学生が持つ「留学」の在留資格から、いわゆる就労ビザと呼ばれる「技術・人文知識・国際業務」へ在留資格変更する場合です。要件や書類の書き方で不許可になってしまうことも多いので、よく確認をして申請してください。
申請書類について
「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する場合に必要な書類について解説します。
申請人等作成用2
【ポイント】
- 最終学歴
(1)本邦又は外国のどちらかを忘れずに選択しましょう
(4)卒業年月日については、まだ卒業していない場合は、卒業見込み年月日を記載し、卒業見込み証明書を提出しましょう。
- 専攻・専門分野
該当する専攻・専門分野がない場合は、その他に記入しましょう。
- 情報処理技術者資格又は試験合格の有無
情報処理業務従事者の職種を選んだ場合のみ、記入すればOKです。
- 職歴
会社名や入社月・退社月をよく確認して、正しく記載しましょう。前回申請時と相違があると指摘を受ける可能性があるので注意しましょう。
所属機関等作成用1
【ポイント】
- 勤務先
(4)雇用保険適用事業所番号(11桁)は、適用事業所台帳(雇用保険適用事業所設置届事業主控)や雇用保険被保険者資格取得届等確認通知書(事業主通知用)を見て、記入しましょう。
(5)主たる業種を別紙「業種一覧」から1つ選択して番号を記入してください。
- 職種
所属機関等作成用1の申請書の職種のすぐ下に記載されている(注意)をよく読み、職種を別紙「職種一覧」から選択して番号を記入してください。
- 活動内容詳細
職種に沿った活動内容を記入しましょう。
所属機関等作成用2
最後に、二重線の上に、会社名、代表者の氏名、年月日を記入しましょう。
在留資格変更許可申請書以外の必要書類
在留資格変更許可申請書以外に必要な書類は、会社のカテゴリーによって異なります。このカテゴリーは出入国在留管理庁が定めていて、上場会社や国・地方公共団体等はカテゴリー1、前年分の給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある会社はカテゴリー2、1,000万円以下の会社がカテゴリー3、前年分の給与所得の源泉徴収票合計表がないスタートアップの会社等がカテゴリー4に該当します。
詳しい情報は、下記出入国在留管理局のHPを参照ください。
▶詳細:在留資格「技術・人文知識・国際業務」|出入国在留管理庁
カテゴリー3の場合の主な必要書類は下記の通りです。出入国在留管理局の審査によっては、他の書類を求められることもありますので、その場合は、出入国在留管理局の指示に従って準備しましょう。
◆最終学歴の卒業証明書の写し
◆資格・免許や検定・試験等の合格証書の写し
◆顔写真 等
※パスポートと在留カードを持参
◆労働条件通知書もしくは雇用契約書の写し
◆直近年度の決算書一式の写し
◆前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
◆法人履歴事項全部証明書 等
在留資格変更許可申請の注意点
学歴要件を満たす必要がありますので、満たしていることを確認した上で申請してください。大学もしくは日本の専門学校を卒業し、学士・専門士・高度専門士以上の学位や称号を持っている必要があります。また、日本で働くことができる業務は、専攻関連する業務であることが必要です。例えば、会計専攻であれば経理の業務、コンピューターサイエンスの専攻であればエンジニア、日本語専攻であれば、翻訳通訳業務等が該当します。技術・人文知識・国際業務(就労ビザ)の取得方法について、詳しくは過去の記事を参照してください。
顔写真も要注意!
各在留資格変更許可申請に共通することとして、最近申請書に添付する顔写真も厳しく見られるようになっています。申請書も大切ですが、顔写真の不備で申請が受付されない!とならないようにしましょう。
縦4センチメートル、横3センチメートルで、提出の日前3か月以内に撮影されたものである必要があります。無帽で正面を向いたもの、鮮明であるものが求められ、マスクや前髪等で顔の一部が隠れているものや、画像加工されているものは認められませんので注意してください。
まとめ
在留目的が変わった際には、在留資格変更許可申請が必要になります。基本的には外国人が申請人となりますが、企業が準備するべき書類も多くありますので、外国人と企業が協力して、変更手続きを進めましょう。